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1-11 愛のあるお仕置き・・・?

「訳が分からないよ……」

 何でいきなりこんな事になっているのだろうか? 一体、僕が何をしたというのだろう?

 何もおかしなことはしていないと思っているんだけど……

「……倉科さん。どうして僕はこんな状態になっているんでしょうか?」

 両手足をロープで縛られた状態。僕をそんな状態にした張本人に問いかける。

「何でって、輝くんはこういうのが好きなんだよね?」

「な――っ、何を言っているんですか!? 好きなわけないでしょ!」

 僕が手足を拘束されるのが好きって情報は一体、何処から入手してきた情報なんですか!?

 その情報は明らかなデマですからね!

「でも輝くん。毎回、沙羅ちゃんにお仕置きをされてるじゃない」

「かなり不本意なお仕置きですけどね。ですが、それと僕が拘束をされるのが好きだって

いうのは関係のないことですよね?」

「いや~あそこまでお仕置きをされてるんだから。むしろわざとお仕置きをされるよう

に沙羅ちゃんを誘導してるんじゃないかなって」

「それをして誰が得をするんですか」

 ハッキリ言って、得をするのは沙羅だけですからね。僕は毎回、毎回痛い思いをして

るんですよ。それをただ我慢しているだけなんですから。

「ありゃ? 輝くんはお仕置きをされたい願望の持ち主じゃないの?」

「全然違いますからね! もう一度言いますけど、違いますからね」

 何ですか。そのお仕置きをされたい願望っていうのは。

 僕はそんな特殊な性癖を持ったりはしてないですからね。

「え~、せっかく輝くんのために色々と用意したのに~」

「何を用意したんですか……」

「えっ? 何、気になる?」

「あ、いや……そういうわけじゃ……」

「もう仕方ないなぁ~♪ 輝くんのために私が用意したモノを色々と見せてあげよう」

 物凄くキラキラした瞳で大きな荷物を持ってくる。やけに大きい荷物だけど、あの中

には一体何が入っているのだろうか?

 知りたくないけど、知らないといけない。なんてたって僕の命が関わるかもしれないんだから。

 嫌な予感しかしないけど、それでもあの中身を問いかけなければならない。

「く、倉科さん……? その中には何が入って――」

「ん? それを今から輝くんを使って見せるんだよ?」

「いや、見せる前に中身を聞きたいんですけど……」

 一度出してしまったら、もう引き返せないかもしれないから。

「えへへ~♪ それは見てからのお楽しみだよ~♪」

 あ、ダメだ。この人、完全にあの中に入っているモノで僕をお仕置きするつもりだ。

 僕は何もしていないっていうのに。あまりにも理不尽すぎじゃないだろうか?

「じゃ~ん! まずはコレ!」

「…………洗濯バサミ?」

 勢いよく取りだしたのは何処の家庭にでもある普通の洗濯バサミだった。

 どんな変なモノが出てくるのかとドキドキしてたけど、これならそこまで変なことに

はなりそうにないね。

「お仕置きの定番と言えばコレ! この洗濯バサミを使って輝くんの乳首を挟みたいと思います!」

「…………は?」

 今、倉科さんはなんと言った? 僕の乳首を洗濯バサミで挟むと言わなかっただろうか?

 そんなバラエティで使い古されたような古典的なことをするというのか?

「ではでは~早速、輝くんの服を捲って……」

「あ、ちょ――倉科さん止めてください!」

「にゅふふ……抵抗は諦めるのだね」

 ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべる。抵抗したくても手足を縛られたら抵抗が出来ないじゃないか。

「おぉ……可愛らしい乳首だね~♪」

「そんなこと言われても全然嬉しくないですよ」

 乳首が可愛いって言われて喜ぶ人なんているのだろうか?

 もし、そんな人が僕の周りにいるのなら、出来るだけ近づきたくはないね。

「じゃ、挟んじゃうよん♪」

「う……ぁっ」

 有無を言わさず、洗濯バサミで僕の乳首を挟む。ただ挟んでいるだけだというのに、

結構痛みがあるんだね。初めて知ったよ……まぁ、知りたくはなかったけど。

「そしてこの挟んだ洗濯バサミを一気に――」

「う……っ」

「……」

「…………?」

 いくら待っても洗濯バサミを引っ張られる感覚がない。やるのなら早くやってくれな

いと、恐怖で心臓がドキドキとうるさいんだけど……

「く、倉科さ――」

「えいっ♪」

「はうわっ!?」

 完全に気を抜いた一瞬、その瞬間に洗濯バサミを引き抜かれる。

 一瞬、乳首が伸びて元に戻る。パチンと大きな音が鳴り、大きな痛みが僕の身体を襲う。

「あぁん。今の輝くん、凄くいい顔をしてるわ♪」

「苦しんでいる顔に対していい顔って、性格悪いですよ……」

「これは沙羅ちゃんが何度もお仕置きをするのも分かるわ」

 そんな訳の分からないことは理解して欲しくなかった。ただでさえ沙羅にお仕置きを

されるのは辛いのに、倉科さんまで加わってしまったら――

 ほんと、に勘弁して欲しい。

「も、もういいでしょ。早くこのロープを解いて下さいよ!」

 これ以上他に変なことをされないためにも早く――

「ダメよ。まだまだお仕置きは終わっていないんだから。それにここで終わったら、

なんのためにここまで大きな荷物を用意したのか分からなくなるわ」

 僕にはお仕置きをされる意味が分からないです。

「さてさて、お次はコレだよ♪」

「……ハリセン、ですか。これまた同じように古いモノを……」

 これも散々使い古されたネタのような気がする。しかもこれの使い道は一つしかない。

 単純に大きく振りかぶって相手を叩く。実にシンプルで威力のあるお仕置き。

「ふん、ふんっ!」

 ブンッ! ブンッ! と空気を切り裂く音が聞こえる。 何なの? この変なやる気は。

 この勢いで叩かれたら、物凄く痛いでしょ。

「うん。素振りはこれくらいでいいかな? それじゃいくよ♪」

「い、いや……あまり痛いのはちょっと――」

 さっきの洗濯バサミも大概痛かったけど、これはさっきのよりも比べ物にならないほ

ど痛いでしょ。こんなので叩かれるなんて嫌すぎる。

「お仕置きなんだから、輝くんに拒否権はないわよ」

「……酷い」

 実に酷過ぎる。少しくらいは拒否権があってもいいじゃないか。大体、無実の罪でお

仕置きを受けるというのが間違っているんだ。

「いっくよ~♪」

 僕の嘆きなぞ無視してハリセンを振りかぶる。

 ぶおんっ、という大きな音と共に振り下ろされるハリセン。そして僕の頭に響き渡る

バシンという激しい音。

「――っ!?」

「おー、今のは会心の出来だったわね」

 頭が真っ白になって思考が止まる。一瞬、自分が誰なのか分からなくなる。

 今、間違いなく軽く記憶が飛んでいた。まさかハリセンでこんなことになるとは……

「輝くんもさすがだね。見事に綺麗な音を奏でてたよ♪」

「……好きで、そんな音を奏でたわけじゃないですよ」

 それに僕が奏でたというより倉科さんが奏でたという方が正確じゃないのかな? 僕

はただ単に叩かれただけなのだから。

「そうかな? まぁ、これはこれで楽しかったからいいんだけどね」

 お仕置きを楽しむのは止めて欲しいよ。楽しいからでお仕置きをされたら、こっちと

してはたまったもんじゃない。

「それじゃ、休まずサクサク次のお仕置きに向かおうかしらね」

「そろそろ止めるって選択肢はないんですか?」

「あると思う?」

「……いえ」

 倉科さんのあの顔を見たら、誰だって理解させられてしまう。このお仕置きはまだまだ終わらないと。

「お次のお仕置きは~♪」

 上機嫌に鼻歌なんかを歌っている。

 今度は、どんなお仕置きが待っているのだろうか? 今までの流れでいくと昔に流行

った古典的なお仕置きだとは思うんだけど……

「じゃ~ん♪ 次はコレだよ~!」

「……羽箒?」

「これで輝くんをコチョコチョと擽らせてもらうよん」

「マジ……ですか?」

「うん♪」

 止めて欲しいなぁ……僕はあまり擽られるの得意じゃないんだよね。こんな物で擽ら

れたら絶対に変な声が出てしまう。

「まずは首筋から行ってみよー」

「――――んぁっ」

 首筋を優しく羽が撫でる。ぞわっと気持ちの悪い感触が背筋を伝う。

「ふふっ♪ なかなか可愛い声を出すじゃない」

「んっ、ふぁ……あっ、あぁ」

「あはっ♪ まるで女の子みたいな声が出てるよ」

「あっ、や……んっ、んぅ……」

 変な声を出したくないのに、首筋を執拗に擽られているから声を抑えることが出来ない。

「首筋でこれなら、他の所をくすぐったらどうなるのかな?」

「や、止めてくださ――あぁん」

 首筋からゆっくりと下に下りていき、足を擽られる。

 ふわふわと縦横無尽に足を伝う羽箒。

「あっ、ひゃ……んぅ、ぁ」

「いい。いいよ輝くん。その表情素敵だわ♪」

 実にウットリとした表情を浮かべている倉科さん。どうして僕の周りの女の子達は、

人が苦しむ姿を見て喜んでいるんだよ?

 ほんとに意味が分からないよ。

「くすぐったいけど、手足を縛られて身動きが出来ない……あぁ、私なんか変な趣味に

目覚めてしまいそうだわ♪」

「……それだけはマジで止めてください」

 変な趣味に目覚めるのだけは本当に止めてもらわないと困る。ほんとにもう沙羅の趣

味には困っているのに、倉科さんまで同じような趣味を持たれてしまったら――


「冗談よ。でも最後に本当のお仕置きだけはしないといけないかな」

「えっ!? 今までのはなんだったんですか!?」

 これまでのがお仕置きじゃないのなら、なんだったと言うんですか!?

「…………暇潰し?」

「はぁ!?」

 僕は倉科さんの暇潰しで痛い思いやくすぐったい思いをしたというのか!? それは

あまりにも理不尽すぎじゃないか!

「だって、輝くんが沙羅ちゃんばかりに構うのが悪いんだぞ。もっと私に構ってくれて

もいいじゃない」

「割と普通に構ってる方だと思うんですけどね……」

 他の人ならきっと、スル―してると思いますよ。それなのに、僕はこうして付き合っ

ているんですから良心的だと思う。

「暇つぶし兼、輝くんの意外な一面を見ることが出来たということで、本当のお仕置き

をしようと思います!」

「一体、どんなお仕置きを……?」

「それはね――」

 倉科さんの顔がゆっくりと僕の顔に近づいてきて――

「――んむっ!?」

「んちゅ、ん……ちゅっ」

 キスをされた。唇と唇を重ねるキスを…………


「これが輝くんへのお仕置きだよ」

 顔を真っ赤にしながら答える倉科さん。僕の顔もきっと真っ赤に染まっているんだろうなぁ。

「えへへっ♪ またお仕置きをされたくなかったら、きちんと私に構うんだよ?」

 そう言って、僕の前から姿を消す。

「う、うぁ……あ」

 倉科さんとキスをしてしまった。キスをされてしまった。

 これからどんな顔をして倉科さんに会えばいいのだろうか?

「――先のことを考えると頭が痛くなるけど……」

 とりあえず今は――

「誰かこのロープを解いて下さい……」

 このまま拘束されたままというのは辛いものがあるんですけどぉぉぉぉぉぉっ!

 

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