第五章 リジーの絵
「終わったぁ!!!」リジーはある午後叫んだ。
リチャード夫人はソファの上で寝ていた。とても疲れている様子だった。「何が終わったの?」
「もちろん、絵のことよ!覚えてる?コンテストのための絵。」
「あら、宿題が終わったのかと思ったわ。」
「マーマ!描くのに何時間もかかったのよ。それに絵は宿題の一部でもあるし。」
「偉いわね。」とリチャード夫人は言った。
「見たい?」誰も答える前に、リジーは紙を広げた。「じゃーん!」
誰をモデルにしたと思う?僕だった!とても素敵だと思わない?まぁぐちゃぐちゃで、僕はその絵の中では耳を持つ黒いボールみたいだったけど。
「あの、素敵だけど、リズ、一番大事な人ではなかったの?」
リジーは肩を上げて知らんぷりした。
その時上の階から叫び声がした。「わぁぁぁぁぁ!」とトミーが泣いた。
リチャード夫人は唸りながら起き上った。
「ママ、私最初はママを描こうと思ったけど、最近ママは私のこと無視してるからやめたの。」とリジーはリチャード夫人が階段を上っている時に言った。
リチャード夫人は止まって振り向いた。「あら、リズ、私はあなたを無視しているわけではないのよ。ただ疲れちゃって-」
「わぁぁぁぁぁ!」とトミーは叫んだ。
「ごめんね、リズ、後で話すわね?」リチャード夫人は急いで言った。そしてトミーの部屋へ走っていった。「トミーどうしたの?大丈夫?」
「トミー、トミー、トミー。それしかママの頭の中にはないの?」とリジーは小声で言った。リジーは僕のことを描いた絵を自分の部屋に置き、僕を外に引きずり出して無理やりかくれんぼうを遊ばせた。(リジーが隠れて僕が鬼だった。)
トミーはベッドを濡らしてしまった。それなので、おしめを交換してから、リチャード夫人はシーツや布団まで変えなければいけなかった。リチャード夫人はすべてを掃除してる間トミーをリジーの部屋に置いていた。終わったら彼女はソファに倒れ、リジーとの話のことも忘れてしまった。
その間、リジーはかくれんぼうをするのに飽きてきていた。彼女は僕をつかみ、裏庭の一番好きなオークの木の下に座った。温かい風が通り過ぎた。リジーは僕をしっかり抱いた。とても深く考え込んでいるようだった。
「バズ、私がなんであなたをコンテストに描いたのか知ってる?」リジーは突然、僕が猫ではなく本物の人であるかのように話しかけた。「それはあなたが私を裏切らないからよ。私を傷つけたり悲しませたりしないからよ。あなたが猫だからかもしれないけど、私はあなたがいつも信用のおける友達でいてくれるのを本当に嬉しく思っているのよ。」
僕は本当に感動した。ただのいつでも遊べるペットではなく、信用のおける友達として思ってもらえているのは嬉しいことだ。
何分後かに、リジーと僕は家の中に入った。リジーは自分の部屋に行った。
「きゃぁぁぁぁぁっ!」
悲鳴が静かな家に響き渡った。本日二つ目の悲鳴。今度はリジーのだった。
「今度は何?」とリチャード夫人は唸った。
リジーは部屋のドアのところに立っていた。僕は中を覗き、トミーが片手に紫色のマーカー、もう片方の手にオレンジのクレヨンを持っているのを見た。彼はリジーの絵の隣に座っていた。僕は絵を見てハッと息を飲んだ。絵はマーカーやクレヨンで落書きされていた。
「私の絵!」リジーは叫び、ボロボロになった絵を拾った。大きな茶色い目に涙があふれた。「どうしてこんなことをさせるの、ママ?すべてを台無しにしてるわよ!」
「ごめんね、リジー。私のせいだったわ。彼をあなたの部屋に置くべきではなかった。本当に、本当にごめんなさい。お詫びするわ。」
「もういいよ!もう散々よ!ママがパートタイムの仕事があるから週に四日間もレベッカおばさんの家にいなきゃいけない。嫌いな食べ物を食べたりいっぱい勉強しなきゃいけない。仕事があるからパパとは遊べない。そして今はママと時間を過ごすこともできない。特にママが家にいる九十パーセントの時間をトミーを世話するのに使っているからね。さらに私はママとパパが喧嘩しているのを聞いて学校で頭痛がするのよ。不公平よ!トミーは何したって何も問題にならないのに。なんで私だけがつらい思いをしなきゃいけないのよ!!」リジーは泣いて、絵を半分に千切り、階段を駆け降りた。