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【第五章】

【第五章】


 翌日。

 帰りのホームルームが終わり、チャイムが鳴ると同時。僕は手早く荷物をまとめ、急いで教室を後にした。

 今朝、玲菜から連絡を受けていたのだ。ホームルームが終了したら、すぐに学校の敷地裏に来るようにと。

 昇降口を出て、向かって右側に流れていく生徒たちとは反対側へ。反時計回りに敷地を半周する。

「あっ、実咲先輩!」

「おう、拓海か」

 見慣れたポニーテールと背中に差した竹刀で、僕は前方を歩く人物を特定する。

 歩調を合わせると、しかし実咲は難しい顔で黙り込んでしまう。いつになくよそよそしい。

「どうかしたんですか?」

 そう言ってから、香澄からの警告を思い出した。実咲について、過去の詮索はするなと。だが、実咲は別なことを考えていた。

「いや、作戦現場への送迎があるのは、今回が初めてなんだ」

「初めて?」

 確かに、梅子や香澄とも、現場へ行く時は徒歩で向かうか、公共交通機関を使うかのどちらかだった。

「それなのに送迎がある、ってどういうことでしょう?」

「任務の危険性が高い、ということだろうな」

 僕は思わず息を飲んだ。まだ実感は湧かないけれど、実咲の顔色を窺っていれば分かる。彼女の懸念は的を射ているようだと。

 しばらく歩くと、前方から駆けてくる人影が二つ。ベレー帽に防弾ベストを着込んでいる。うちの学校の警備員だ。

 この前のテロリスト乱入騒ぎから、彼らの姿は校内でよく見かける。

 ある程度の距離にまで近づいたところで、実咲は足を止めた。同時に相手も走るのを止め、歩いてこちらにやって来た。そしてピシッ、と敬礼をする。

 返礼する実咲を見て、僕も慌てて敬礼した。って、何だこれは。刑事ドラマの観過ぎじゃないのか。

 中二病的な何かか、と疑ってみたものの、真剣な雰囲気が崩されることはなかった。実咲に合わせて、僕も敬礼を解く。

「大河原実咲殿、平田拓海殿。お二人で間違いありませんな?」

 警備員の片方、口髭の男性が問うてきた。はい、と穏やかに肯定する実咲。

「車を準備しています。作戦現場へお連れ致しますので、ご同道を」

「分かりました」

 綺麗に回れ右をする二人の警備員。それに従って、僕たちもついて行く。

 非常用出入口に着くと、そこには二台の車が止まっていた。真っ黒な、一般乗用車だ。

 それだけでは特に違和感はなかったかもしれない。しかし、この車が僕たちを戦場へいざなうのだと思うと、途端に仰々しく見える。

「お二人は後方車両へ。我々が先導します」

 再び肯定の意を表する実咲。再び行われる敬礼。

 それから、僕たちを導いてくれた警備員は、二人共が前方車両に乗り込んだ。

 実咲に続き、僕も車内に身体を入れ込む。外見は、よくテレビで見かける高級車だった。しかし車内は、やや狭い印象を受ける。

「先輩、これって……」

「ああ。防弾ガラスに耐火装甲、おまけに耐爆仕様のスペアリング。今回の任務はそれほど危険だということなんだろう」

 僕はまた、黙り込まざるを得なかった。俯きかけて、しかし途中ではっとした。前方の座席でハンドルを握る警備員の方へ身を乗り出す。

「あ、あのっ!」

「はッ、何でしょう?」

「えっと、あなたたちも戦ってくれませんか?」

 突然の提案に、目を丸くして身を引く警備員。

「僕と実咲先輩だけじゃなくて、一緒に来ていただければ――」

「止めないか、拓海!」

「どわっ!」

 そう言って、実咲が思いっきり僕のシャツの後ろ襟を引いた。

 僕が自分の提案を言おうとすると、実咲は眼力だけで僕の言葉を封印。苛立ってる時の香澄よりも、圧迫感がある。

「我輩や梅子、香澄たちは、異能力戦闘ができるから、特別に許可を得て戦っているんだ。超法規的措置、というやつだな。だが、警備員は違う。学校を守る場合でなければ、拳銃一発発砲できない。それがこの国の法律だ」

「なっ! そ、そんな!」

 僕は再度、持論を述べようと口を開いた。ここで押し切られたら負ける。

 だが、実咲はやれやれと首を振るだけばかり。逆にその所作が、僕の反抗心を急速に奪っていった。

 俯き、唇を噛みしめることしかできない。そんな僕に、実咲は丁寧に説明した。

「我々ローゼンガールズはな、この町に恩義を感じているからこそ、チームを組んで戦っているんだ。梅子と母親を支えたのはこの町の警察だし、香澄の命を繋いだのもこの町の医療機関とNPOだ。挙句、こうして戦う許可までくれた。だがな、日本の法律はまだまだ犯罪に対して寛容だ。そこにこの町が属している以上、勝手にその法律を破って、私的制裁を犯罪者に加えることは許されないし、増してや出会い頭に銃撃するのも許されない。戦えるのは、我々だけなんだよ」

「そう、ですか」

 ちょうど僕が項垂れたタイミングで、運転手が出発の意を告げた。

「お願いします。ほら拓海、お前もシートベルトを」

 僕は黙って、実咲に従った。しかし、言いたいことは山ほどあった。

 教育課程にいる以上、実咲たちは大人に保護されるべき存在だ。それなのに、一度救われた経験があるからといって、命を危険に晒すことを強要されてはいないだろうか?

 たとえ、今敵に回している正体不明のテロリストが、無益な殺生を避けようとしているとしても。

 僕の頭が虚しい回転を続ける中、車は工場跡地へと向かって行った。


         ※


「大河原殿、平田殿、現場到着しました」

 運転手のキビキビした声が、沈黙を切り裂く。一人思索に耽っていた僕は、はっとして姿勢を正した。

 車窓を見遣る。空は橙色と群青色がせめぎ合い、それを仲裁するかのように立ち昇る入道雲が見えた。

 結局、シートベルトを締めるよう言われてから、車内には一切会話がなかった。僕と実咲の仲が険悪だったのではない。僕が実咲のことを心配していたのだ。

 僕より遥かに高い戦闘能力を持つ実咲。彼女の心配をするなど、十年、いや、百年は早いだろう。

 だが、僕とて立派なローゼンガールズの一員である(性別については問わないでおく)。その機転、状況観察力を買われて戦場に同行している。

 実咲や梅子、香澄にはできないことが、どうやら僕にはできるらしい。まだ宙ぶらりんな立場ではあるけれど、彼女たちとの共闘が、僕に居場所を、安心を、存在意義を与えてくれる。

 というと、何だかエゴ丸出しのような気がしてならない。それは情けないことだ。それでも、僕は自分にできることをやり遂げたい。

 車内で考えていたことは、ざっとこんなものだ。

「ほら、拓海」

「あ、すいません」

 僕はシートベルトを外し、後部座席のドアを押し開けた。と同時に、妙な臭いが鼻を突いた。続けて降りてきた実咲も、顔を顰める。

 すると、前の車で先導してくれた警備員が歩み寄ってきた。二人だ。それぞれ小さな白い箱を持っている。そこから長いチューブが伸びているのが見えた。

「これが、警察庁から取り寄せた空気清浄機になります。使い方はご存知で?」

「はい」 

 返答する実咲の隣で、僕も首を縦に振る。今朝の玲菜からのLINEに、取扱いのレクチャー動画が付属していたのだ。

 箱状の空気清浄機を背負い、チューブの長さを調整して、人工呼吸器のようなものを鼻と口につける。スイッチを入れると、ややひんやりとした空気が、周囲の異臭をシャットアウトしてくれた。動作不良はなさそうだ。

 僕たちが確認を終えると、僕は金属製の腕輪状のものを手渡された。

「これは?」

「地下にある通信妨害装置の位置を逆探知する機械です。空気清浄機と一緒に送られてきました」

 確かにこれは必要だろう。梅子や香澄と訪れた現場と違い、今回のターゲットは地下にある。『人工衛星からの情報は当てにならない』と猪瀬が愚痴っていたのを聞いた覚えもある。

 場違いなこと甚だしいが、僕は猪瀬が理事長として多忙を極めている現状を思い知らされた。

 まさか、教育機関として人工衛星を保有しているはずがない。それでいて人工衛星を使うには、政府系機関、それも治安維持や防衛戦略を担う部門に頼らなければならない。相当な手間や手続きを要したはずだ。

 いずれにせよ、今回の任務は危険で長時間にわたる、ということは明確になった。

「お二人共、ご武運を」

 敬礼する警備員に対し、僕たちも返礼する。それから、車に乗り込んでこの場を去っていく警備員たちを見送った。

「では行こうか、拓海」

「は、はい」

 さっさと歩みを進めていく実咲。その先にあるのは、四角張った、平たくて暗い建物だった。地上部分は一階しか見えない。きっと機密保持のために、地下に主要な研究設備があるのだろう。

 僕は自分の頬を叩いて気合いを入れ、腕輪型探知装置を装備した。


         ※


 建物の外面は、意外としっかりしたものだった。

 通電設備も生きているらしい。先行した実咲がパスカードでメインエントランスのスライドドアを開錠したのが見えた。

「ここからは敵地だぞ、拓海。我輩の背後を離れるな」

「はっ、はい」

 こちらに背を向けながら、すっと竹刀を引き抜く実咲。するりと開いたガラス張りのドアを抜けて、周囲に注意を向ける。まるで自身が索敵レーダーになったかのようだ。

「先輩、やっぱり玲菜の言う通りです。通信妨害装置は地下の研究設備にあるようです」

「……」

「先輩?」

 すると実咲は、さっとこちらに腕を差し出した。

「地下から殺気がするな。待ち伏せされてる。階段もエレベーターも使わない方がいい。ちょっと荒っぽいが、ついて来い」

 僕が了解の意を表する前に、ヴン、と竹刀が真っ赤な光を帯びる。右手に竹刀を握らせた実咲は、左腕を伸ばして僕の手を取った。

「な、何ですか?」

 答える間もなく、実咲は勢いよく竹刀を床に着き立てた。そのままぐるり、と一回転。

 これって、まさか。

「足元に気をつけろ!」

「わわっ!」

 僕の心の準備が整う前に、ふっと身体が浮いた。実咲と僕を中心に、床がずん、と落ちる。円形に切り取られた床面にひざまずくようにして、僕と実咲は地下一階に降り立った。

 突然の出来事に狼狽えたらしく、殺気の主たちはささっ、と距離を取った。

 非常電源の赤色灯で照らされた、殺気の主たち。それは、軍用犬としても知られるドーベルマンだった。

 そう言えば、聞いたことがある。海外の研究所では、情報漏洩を警戒し、夜間警備にドーベルマンを放し飼いにしているとか。もちろん、屋外でのことだが。

 そんな連中の意表を突いたのだから、奇襲としては成功だろう。

「はあっ!」

 実咲は床を蹴って、前方へとステップを踏んだ。そのままドーベルマンに、一見無防備にも見える体勢で突撃する。すると、二、三頭のドーベルマンが、一気に弾き飛ばされた。

 実咲が横薙ぎに竹刀を振るったのだ。それでも出血は見られない。遊園地で遭遇した鳩たち同様、動物たちに罪はない。実咲もそれを分かっているのだ。

 ドーベルマンは泡を吹き、痙攣しながら倒れ込む。

 それよりも、僕の目を惹いたのは、ドーベルマンが背負っている白い箱状の物体だ。それはチューブでドーベルマンたちの口に咥えられ、鼻と口を覆っている。

 そうか。有毒ガスが使われる恐れがある以上、彼らにもまた、その対策が講じられていたということか。

 もちろんその代償として、彼らは噛みつくことはできない。だが、尋常ならざる脚力と、前足の爪は依然として脅威である。

 実咲はバックステップで僕のそばに戻ってきた。汗一つかいていない。だが、敵の数が問題だ。赤黒い照明の下でも、それなりの頭数のドーベルマンがいるのは把握できる。

「先輩、ここで戦うのは不利です! どこか広いスペースに退きましょう!」

「いい判断だ、拓海!」

 僕は実咲の肩を叩き、反対側を指差した。

「こっちか!」

「はい! 電力供給ユニットルーム! 十分な広さがあります!」

「行くぞ!」

 勢いよく振り返った実咲は、警戒して安易な接近ができずにいるドーベルマンたちに接敵。気絶させるべく頭部に一閃をくれながら、同時に駆け出した。

 一旦包囲網から抜け出した僕たちは、実咲が先鋒を、僕がナビゲーターを務める形で、素早く電力ルームへ向かった。

 廊下を折れること、数回。

「見えた!」

 実咲が叫ぶ。

「拓海、お前が先に行け! 我輩が犬たちの相手をする!」

「先輩はどうするんです!?」

「出入口のそばに、非常用シャッターのスイッチがあるはずだ! 我輩が犬たちを遠ざけておくから、すぐに閉鎖しろ! 我輩はそれを確認してから滑り込む!」

 そんな、あまりにも無茶だ。もし廊下に取り残されたら? 非常用シャッターに挟まれたら? 

 しかし、そんなことを考えている暇はなかった。実咲はつんのめるようにして立ち止まり、僕を先行させる。振り返りざまに、横薙ぎに振るわれた竹刀がドーベルマンたちを突き飛ばす。

「急げ!」

 切羽詰まった叫びに背を押され、僕は足がもつれそうになりながらも、電力ルームに走り込んだ。

 どうやら、警備役のドーベルマンがうろついていたのは廊下だけだったようだ。さっと電力ルームを見渡し、危険がないことを確かめる。

 振り返ると、シャッターわきの壁面に『非常封鎖』の文字があった。ガラス状の透明な箱が固定されていて、その内側に赤いボタンが備え付けてある。

「でやっ!」

 僕は肘打ちでガラス箱を破壊し、ボタンに手を当てた。あとは実咲が滑り込んできてくれれば、ここを封鎖してドーベルマンから逃れられる。

 部屋の出入口から顔を出し、実咲の方を見遣る。しかし、僕は慌てて顔を引っ込めることになった。

「うっ!」

 竹刀が吹っ飛んできたのだ。再度廊下に視線を飛ばすと、得物を失った実咲がじりじりと後退するところだった。

 こちらに背を向け、ゆっくりと出入口に近づいて来てはいる。しかし、いつドーベルマンに跳びかかられてもおかしくない距離だ。

 何だ? 何かないか? 実咲を後退させて、出入口に安全に誘導する手段は?

 その時、赤色灯を反射する筒状の物体が目に入った。消火器だ。それに、足元には実咲の竹刀が滑ってきていいる。

 この二つを駆使して、何かできないか。

 ええい、考えている間も惜しい。僕は竹刀を握りしめ、実咲の下へダッシュ。

「拓海!?」

「はあっ!」

 僕がこんな行動に出るとは思わなかったのだろう。実咲は呆気に取られている。隙を見せた実咲に迫るドーベルマンの一匹を、僕は勢いよく殴打した。ガウッ、と短い悲鳴を上げて、ドーベルマンは飛びすさる。

 再び登場した竹刀を前に、ドーベルマンたちは警戒心を新たにした。少なくとも、すぐに跳びかかるつもりはないようだ。

「ここは僕が引き受けます。先輩は、出入口そばの消火器を使って、こいつらの目くらましを!」

「お、お前はどうする?」

「こいつらが消火器で怯んだら、隙を見てすぐに電力ルームに入ります!」

 本当なら、実咲に竹刀を返してやるべきなのだろう。だが、僕はそうしなかった。実咲の体力や異能力だって有限なのだ。だったら、まだ体力のある僕が前線に立つべきではないのか。

「先輩、急いで!」

「りょ、了解!」

 今はそれでいい。これから何があるのか分からないのだから、実咲には体力を温存しておいてもらおう。

 マスクと口の隙間から涎を垂らしながら、僕を睨みつけるドーベルマンたち。

 この均衡状態は、きっと十秒にも満たなかったはずだ。しかし、僕の体感時間では、十分にも一時間にも感じられた。

 先頭にいた一頭が、後ろ足に力を込めるのが見て取れた。もちろん、僕が満足に竹刀を振るえるはずがない。

 その前足と爪を見て、ああ、あれが僕を殺すのだなとぼんやり考えた。

 そんな僕の意識を引き戻したのは、実咲の切れ味鋭い声だった。

「拓海、下がれ!」

「ッ!」

 ぷしゅううう、と、白煙が背後から勢いよく噴出した。ドーベルマンたちもまた、流石に後退を余儀なくされる。いや、本能的に避けたのか。

 僕は踵を返し、実咲の待つ電力ルームへと猛ダッシュ。最後はスライディングを決めてみせた。実咲は空になったらしい消火器を廊下へと放り投げ、勢いよくボタンを押し込む。

 がらがらがらがらっ、と音を立てて、上からシャッターが下りてくる。僕は慌てて竹刀を室内に引っ張り込み、立ち上がった。間に合ったのだ。

「ふう……」

 しかし息をついた直後、僕はいきなり肩をどつかれ、横転した。

「ぐわっ! な、何するんですか、先輩!」

「その竹刀は我輩のものだッ!」

「え?」

 そんなことは分かっている。だからこうして回収したんだろうに。

 礼の言葉もなく、僕から竹刀をもぎ取る実咲。

「ど、どうしたんですか、突然?」

「何でもない! これは我輩の専用武器だ。他の誰にも触らせるわけにはいかんのだ!」

 声を荒げたまま、背中に竹刀を戻して電力ルームの中央へと歩みを進めていく。

 何だか、彼女らしくない。いつも余裕で、悠然と構えていた大河原実咲とは、人が変わってしまったかのようだ。それほどに、その竹刀が大切なのか。

 電力ルームは、予想以上にがらんとしていた。僕たちが駆け込もうとしている出入口の反対側に、いろんなボタンやレバーのついた操作盤がある。

 さてここからどう動いたものか。それを考え始めた、次の瞬間だった。

 ばしゅん、ばしゅん、ばしゅん。何かが破裂する音が連続する。

 同時に、背負った空気清浄機がピピピッ、と音を立てた。有毒ガスを感知したようだ。

「先輩!」

「ああ、分かっている」

 見上げると、電力ルームの天井を走る配管に亀裂が入っている。そこから有毒ガスが噴き出しているのだ。

「取り敢えず、ドーベルマンはもう攻めてこないでしょう。腕輪の反応からすると、通信妨害装置はこの壁の向こうにあるようです。でもここからだと、別な廊下に出て回り込まないと――」

「……」

「先輩? どうしました?」

 突然、実咲はその場に屈みこんだ。

「拓海、我輩の空気清浄機を見てくれ」

「え?」

 何かあったのだろうか? 僕はそっと実咲の後ろに回り込む。そして、驚きに目を見開いた。実咲が背負った空気清浄機は、見事に切り裂かれていたのだ。

「先輩! 空気が!」

「やはりな。道理で……息が苦しいわけだ……」

 そのまま両手を床に着き、荒い息をつく実咲。

「は、早く救急に連絡を!」

「無理だ。玲菜の説明を聞いていなかったのか? この周辺、町の南部一帯には、強力な通信妨害が仕掛けられている。恐らく、一般回線を使った救急車や援護要請もジャミングされてしまう。連絡を試みるだけ無駄だ」

 僕は自分の顔から血の気が引くのが分かった。

「じゃ、じゃあ一体どうすれば?」

 実咲は数回、げほげほと咳き込んだ。

「我輩が、壁を、斬る」

「だ、大丈夫なんですか!?」

 それが愚問であることは、僕にだって分かった。もうそれしか、手段が残されていないのだ。

 通信妨害装置を破壊し、救援要請を出して、新しい空気清浄機を届けてもらう。そうでもしない限り、実咲は助からない。

 しかし、時間は切迫している。しゃがんで実咲の顔を覗き込むと、目は虚ろでいつもの気迫は微塵も感じられなかった。これは、本当にマズい。

「拓海、妨害装置への最短距離は……?」

「あ、こっちです! この操作盤をぶった斬れば、すぐに妨害装置の仕掛けられた部屋に出ます!」

「……分かった」

 実咲は右手を床に着き、左手には竹刀を握らせ、その先端を床に押しつけた。両腕に力を込めて、何とか立ち上がる。

 シャッターの反対側、操作盤の方へと歩み出す実咲。しかし、その足取りは覚束ない。

「先輩、肩貸します」

 一瞬、実咲は目を見開いて身を捻り、拒絶するような所作を取った。だが、僕は半ば強引に、実咲の右腕を自分の肩に載せてやった。

「や、止めろ! これは、我輩の戦いだ……」

「ええそうです。でも、僕の戦いでもあります」

 バッサリと言い切ってみせた。

「戦闘員の三人だけに、負担を強いるわけにはいかないんです。僕だって、役に立ってみせます。戦いはまだまだかもしれないけど」

 すると、再び実咲はこちらに顔を向けた。

「……よくもまあ、そんな啖呵が切れたものだな」

「僕だって怖いですけど、でも、戦いたい。後方支援だっていい。そうでもないと、僕は何者でもない、生きている意味があるのかどうかも分からない存在に戻ってしまう。それだけは、どうしても嫌なんです」

 僕は我ながら淡々と、胸中から湧いた言葉を垂れ流した。何もカッコいいことを言う必要はあるまい。

 しかし実咲は、

「それは、頼もしいな」

 と言って、体重の半分を僕に預けてきた。操作盤の配された壁までの距離、約十メートル。

 その距離を、僕と美咲はゆっくり、ゆっくりと歩んでいった。

「よし、ここで……ここでいい」

 そっと僕の肩を押しやり、実咲は大きく息をつく。指示される前に、僕は実咲の背後に回り、数歩後ずさった。

 再びヴン、という音を立てて、実咲の竹刀に真っ赤な光が宿る。

 竹刀を正眼に構え、さっとその切っ先を真上に上げる。

 気合一閃。斬、という音と共に、操作盤中央に一本の筋が走る。

「下がれ、拓海!」

 実咲と共にさらに後ずさると、三メートルほどの高さのあった壁面が倒壊するところだった。右側はこちら側へ、左側は向こう側へ。ものの見事にばったりと倒れ込んだ。

 僅かにまった埃と粉塵。ぼくはマスクの上から手を当てて、吸い込んでしまうのを防いだ。

 が、しかし。

「先輩! 大丈夫ですか?」

 実咲は右手に竹刀を握らせたまま、気力なく突っ立っている。

 慌てて駆け寄ると、再び屈みこむようにして、実咲はがっくりと膝をついた。有毒ガスが回っているのか。

 ええい、こうなったらしょうがない。

 僕は自分の空気清浄機を背中から外し、すっと息を吸ってからマスクを外した。

「先輩、間接キスっぽくてすいません」

「な、何を?」

「僕の空気清浄機を使ってください。あなたには、まだやるべきことがある」

「そ、そんな、お前はどうするんだ?」

 僕はその問いを無視して、半ば強引に実咲の口元にマスクを押し当てる。

 何も僕は、自己犠牲などという高尚な行為を行おうとしたわけではない。ただ、実咲には無事でいてほしかった。

 僕を含めたローゼンガールズの最年長者の実咲。情報統括官である玲菜と共に、僕たちを引っ張ってきてくれた実咲。そんな彼女を、ここで死なせるわけにはいかない。

「先輩、壁の向こうに通信妨害装置が――げほっ! ごほっ!」

「だ、大丈夫か、拓海!」

 こくこくと頷きながら、僕は自分の周囲を漂う有毒ガスを味わった。

 何だか、甘ったるい臭いがする。痛みや痺れといった刺激は感じない。思っていた『有毒』とはやや意味が違うようだ。

 ただ、全身が倦怠感に包まれ、頭がぼんやりしてくるのは感じられる。

 テロリストたちの目的は、ローゼンガールズのメンバーの殺害ではない――。もしその仮説が本当なら、今僕が気を失ったところで問題はないのではないか。

「おい、しっかりしろ、拓海!」

 実咲の声が、遠く、近く、僕の耳朶を打つ。彼女はやや元気を取り戻したようだ。あとは、僕が通信妨害装置の位置を探り当てれば――。

 だが、それは断念せざるを得ないようだった。意識が朦朧としてくる。これでは、腕輪型逆探知器を扱うこともできない。実咲に任せようとも思ったが、そこまで身体は動かず、口も回らない。

 ここまでか。そう思った、次の瞬間。

 僕は自分の頭頂部が、何者かに鷲掴みにされるのを感じた。実咲の仕業に違いない。

 それから、そのままぐいっと頭を半強制的に下げさせられる。

「拓海、伏せてろよ!」

 実咲の声。そこには、先ほどの気迫が戻ってきているように、僕には感じられた。

 虚ろながら、視線を実咲の方に遣る。その直後、

「はあああああああっ!」

 実咲の身体が、凄まじい勢いで回転した。右足に重心を置き、絶妙なバランス感覚で全身を、そして両手で握り込んだ竹刀を真横に振る。その姿はさながら、こまのようだった。

 その回転技は一瞬だったが、僕は急速に自分の意識が明瞭になるのを感じた。有毒ガスが振り払われたのだ。

「拓海、どうだ? 少しはマシになったか?」

「は、はい」

 まだ本調子とはいかないが、腕輪型逆探知器の表示を読み取るくらいのことはできる。

「先輩、今斬り崩した壁の向こうの部屋、中央に妨害装置があります!」

「了解!」

 僕のそばを離れた実咲は、ダッシュで瓦礫を乗り越え、その瓦礫の上から跳躍した。

「通信妨害装置、覚悟ッ!」

 何だその掛け声は。ツッコむ余裕はなかったものの、僕ははっきりと見た。実咲の竹刀が、通信妨害装置をあっさり打ち砕くのを。

 バチバチと火花を飛ばし、黒煙を上げる装置。すると実咲は、すぐさま携帯を取り出した。スマホではない。僕たちに貸与された、緊急通信用の端末だ。

「あーあー。こちら実咲。繰り返す、こちら実咲。玲菜、聞こえるか?」

《はい! たった今、通信妨害電波の消失を確認しました!》

 いつも大人しい玲菜が、興奮気味に喋っている。無論、よい意味でだ。

「この薬品工場跡地は、電力がまだ生きてる。そちらからハッキングして、有毒ガスの流出を止められないか?」

《待ってください。――いけます! 三十秒ください!》

「了解」

 それから実咲は、僕の方へ振り返った。すたすたと歩み寄り、自分のマスクを外して僕の口元に当てる。

「二重間接キスだな、拓海」

「ッ!」

 その言葉に、僕は赤面した。こういう場を読まないこの人の言動、どうにかならないものか。

 そうこうするうちに、僕は自分の鼻腔を占めていた甘い異臭が、急速に薄まっていくのを感じた。

《今から梅子さん、香澄さんを派遣します! 実咲先輩も拓海くんも、怪我はありませんか?》

「ああ。誰も死んじゃいない」

《二人が到着するまで十五分はかかります。何かあったら、またすぐに連絡をください!》

「了解」

 そう言って、実咲は端末を切った。


         ※


「ん……」

 どうやら僕は、またもや気を失っていたらしい。あの鼻にへばり付くような甘い異臭が僅かに漂っている。ということは、僕たちはまだ現場にいるのか。薬品工場跡地の地下に。

 そこから、僕の覚醒は早かった。あたりが静まり返っていることから、既に危険はないものと考える。だが不思議なのは、自分の後頭部が柔らかい何かに載せられている、ということだ。

 あの激闘を繰り広げた場所に、枕やクッションが配されているとは思えないが。

 すると、僕の頭上から声がした。

「気づいたか、拓海」

 実咲の声だ。まだ援軍は到着していないのか。

「先輩……?」

「突然お前が倒れたのでな。その……ひ、膝枕というやつをやってみたのだ」

「ほえ?」

 間抜けな声が、僕の喉を震わせた。膝枕、だって? 僕が、あの実咲に膝枕してもらっていると?

「あっ、す、すみません! すぐにどきます!」

 そう言って、慌てて立ち上がろうとした。それが、いけなかった。

 僕の掌に、柔らかい何かが綺麗に収まったのだ。ぽむ、と。

「ひゃん!」

「うわっ!」

 いつになく可愛らしい声を上げて、座ったまま飛び退く実咲。この期に及んで、僕はようやく察した。自分が実咲の胸に触れてしまった、否、鷲掴みにしてしまったということに。

「うわあああああ!?」

 僕は背後からすっ転び、一転、二転。

 もし、実咲の逆鱗に触れてしまったとしたら、間違いなく命はない。だが、実咲は僕を斬ろうとはしなかった。

 竹刀を手にはしたものの、そこに殺気はない。くるくると手元で弄び、しかしやや息を荒くして、気持ちを落ち着かせようとしているようだ。

「ん……まあいい。いや、よくはないような気もするが……時に、平田拓海」

「は、ははははい!」

「梅子や香澄には聞いたんだな? どんなきっかけで、彼女たちが異能の力を手にしたのか」

 見通すような目をした実咲に向かい、僕は姿勢を正し、『はい』と短く答えた。

「我輩もな、きちんと説明しようと思うのだ。君だけが我輩の過去を知らないのは、フェアではない」

 やはり、そうきたか。だが、次に実咲の口から発せられた言葉は、僕の想像を絶するものだった。

「我輩は、自殺しようとしていたのだ」

「ッ!?」

 僕は瞬間的に、喉が締め付けられるような感覚に陥った。

 どうしてそんなことを? そう思ったものの、声にならない。ショックが大きすぎる。

 そんな僕の顔が滑稽だったのか、実咲は自嘲気味な笑みを浮かべた。

「中学一年の頃だ。剣道の練習試合で、相手を殺しかけた。その償いをしようと思ってな」

「そ、それは……」

 実咲は皆の尊敬を一身に集める、カリスマ的存在だ。そんな彼女が、人を殺しかけた?

「そんなに無礼な奴が相手だったんですか?」

「まさか!」

 そんなわけがないだろう、と実咲。

「相手は我輩の幼馴染だ。小学校の頃から同じ道場に通っていてな、女流のプロ剣士を目指して切磋琢磨していた。全ては、我輩のせいだ」

 実咲はふっと視線をずらし、崩壊した壁面の向こう側の、さらに遠くを見通すような目をした。

「学生同士の試合で、相手の喉を突くのは禁止されている。あまりに危険だからだ」

「まさか、先輩はそれを……?」

 馬鹿な。生徒会長として、誠実に職務にあたっている実咲。そんな彼女が、こともあろうに剣道に対して誠実でないことなどあり得るだろうか。

 つと視線をずらし、虚空に漂わせながら実咲は続ける。

「あいつなら……彼女なら避けられる。そう思った我輩が馬鹿だった。我輩の繰り出した刺突は、見事に決まってしまった」

 僕はそっと、実咲の顔色を窺う。玲菜のお陰で電力が復旧し、室内は明るかったが、いや、だからこそ、実咲の顔が蒼白であることがよく分かってしまった。

「それで、その、先輩のお友達は……?」

「首から下が……動かない」

 そう言って、実咲は唇を噛みしめた。『治る見込みがない』ということは、実咲の苦し気な表情から伝わってくる。

 それを気に病んで、実咲は死のうとしたのか。どうやって、などと聞きたくはないので、黙って彼女の語りを拝聴することにする。

「彼女の理想は、我輩よりもずっと高かった。中体連でもインターハイで優勝し、オリンピックに出たいとまで言っていた。それが、わ、私のせいで……」

 それ以降の言葉を紡ぐことができない実咲。彼女の言動を見聞きして、僕は自分の心臓が捻り潰されるような錯覚に囚われた。

 自らを『我輩』を呼び、中二病っぽさを残していた実咲。そんな彼女が、僕の前で初めて自分を『私』と呼んだ。それから血が滲むほど唇を噛みしめ、あろうことか目に涙を浮かべている。

 僕はこの時ほど、自分の無力さを痛感したことはなかった。

 ローゼンガールズの皆の中でも、抜群の戦闘能力を誇る実咲。そんな彼女の心が、残酷な現実の前に打ち砕かれようとしている。

 それなのに僕ときたら、励ましの言葉一つかけられない。一体どうしろと言うんだ?

 体育座りになり、自分の膝に顔を押し当てて鼻をすする実咲。彼女はその姿勢のまま、言葉を続けた。

「さっきはすまなかった。君が私の竹刀に触れたことを責めてしまって。だが、これは私にとっての戒めなんだ。親友の人生を奪った竹刀を使う。そんな罪深い行為をするのは、私だけでいい。竹刀を握る時、必ず彼女のことを思い、冷静でいられるように、私はこの竹刀だけを使って戦ってきたんだ」

『いや、私が使用を許されるのは、この竹刀だけだ』。実咲はそんな意味のことを言った。実際は、声がくぐもってよく聞こえなかったのだけれど。

 その時、実咲の方から通信端末の着信音が響いた。だが、今の実咲にまともな会話ができるとは思えない。

「先輩、端末お借りします」

 そう言うと、実咲はすぐに端末を取り出し、僕に手渡してくれた。無言で受け取り、『応答』ボタンを押す。

「はい、拓海です」

《あれ、お兄ちゃん? 実咲ちゃんじゃないの? まあいいや。あたしと香澄ちゃんは現場に着いたから、今から二人を救助しに行くね》

「ああ、よろしく頼む、梅子」

 そう言って通話を切ると、実咲は立ち上がって、ハンカチを取り出した。彼女が自分の過去を、他のローゼンガールズのメンバーにどう話したかは分からない。だが、泣き腫らした目をしていては、顔を合わせづらいだろう。

 実咲はそっとハンカチを目に押し当て、深いため息をついた。

「……すまない、拓海。今の、その……。わ、私が泣いてしまったことは、二人には黙っていてくれ」

「ええ。そのつもりでしたよ」

 僕が気楽に肩を竦めてみせると、実咲もまた、僅かに頬を緩めた。

「実は、男性にこの話をしたのは初めてなんだ。情けないと思うか?」

「いっ、いえ! 別に僕は――」

 そう言って視線を逸らした直後。むぎゅ、という擬音が似合いそうな柔らかい感覚が、僕の肩に押しつけられた。

「ちょ、実咲先輩!?」

「ありがとう。随分気が楽になった」

 しっかりと僕の背後に回される実咲の両腕。流石に抱き締め返すだけの度胸は、僕にはなかったが。


         ※


 翌日の放課後、理事長室にて。

「いやあ~、昨日は面倒をかけたな、梅子、香澄!」

 快活にそう語るのは、他でもない実咲である。

「あっ、いえ! 困った時はお互い様ですよ!」

 明るく答える梅子に、『うっす』とだけ答える香澄。

 事実、二人に面倒をかけるほどのことはなかった。ドーベルマンは大方行動不能だったし、有毒ガスも人体に影響が出ないほどに薄まっていた。

 僕と実咲の二人で脱出することもできたかもしれないが、まあ、念のためということで、梅子と香澄が参上してくれたわけだ。

「では、本日の作戦会議を始めます。大河原実咲さん、平田拓海くん、概要を」

「えーっと、我輩たちが突入した時のことだが――」

 いつも通り、玲菜が進行役を務める。

 実咲の語りは実に見事だった。要点を押さえつつ、細大漏らさず語って聞かせる。実際、僕の出番はなかった。

 実咲が話し終えると、じっと耳を傾けていた猪瀬が両腕を広げ、パチパチと賑やかな拍手を始めた。

「ブラボー! よくやってくれたな、諸君! これで、市街地の緊急通信を阻害していた通信妨害装置は全て破壊できた! 間違いないな、玲菜くん?」

「はい。理事長の仰る通りです」

「しかし――」

 猪瀬はにこやかな表情を崩さずに、言葉を続けた。

「実は、君たちローゼンガールズのメンバーに、尋ねておきたいことがあってな……」

「尋ねたいこと?」

 梅子が好奇心で目を輝かせながら、猪瀬の方へ身を乗り出す。

「一般生徒が近くにいると、やや話しづらいのだ。お手数だが、今から三時間後、午後八時に校庭に集合してもらえんかね? 見てもらいたいものがある」

「そ、それってご褒美ですか!?」

「おい、梅子」

 香澄に冷たく窘められて、顔を引っ込める梅子。

「まあ、君たちにもゆっくり考えてほしい案件なのだ。必ず三人、それに拓海くんを含めた四人で集まってもらいたい。よろしいか?」

 誰も異を唱えない。僕とて、これ以上危険な目には遭わないだろう。他三人を見回してから、僕も大きく頷いてみせた。

 その時、玲菜がふっと目を逸らしたように見えた。気のせいだろうか? だといいんだが。

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