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第11話

 そうして眺めていると、戦いが終わった。

 女、子供は運が良かったみたいで俺の見る限りでは逃げられたようだった。

 俺としてももしかしたらだけど、それはラッキーだったのかもしれない。

 人が死んでも何も思わないどころか、良いスキルを持ってたらいいな、なんて考え方をして、完全に人の心を捨ててしまっている俺だけど、女性が犯されたりするのを見るのは流石に嫌な思いをすることになってただろうしな。

 この世界のゴブリンが前世の物語なんかでよくあった風に性欲が強く、他種族の女性を犯すような種族なのかは知らないけどさ。

 まぁ、もしも女、子供が逃げ切れなくて、俺の想像通りになってたとしても嫌な思いをするからってだけで助けてたかは無いだろうけどさ。俺、魔物だし。人間を助けるような義理が無いどころか、逆に襲われる可能性だってあるんだ。

 そんなリスクを犯せるわけが無い。


 そんなことを思いつつも、俺は戦闘が終わった村に向かって歩き出していた。

 まだゴブリン達が色々と荒らしているけど、ゴブリンは俺と敵対しないからな。

 まぁ、敵対しないとはいえ、村の人たちのスキルをあらかた奪ったら経験値としてゴブリンは全員始末する予定なんだけどさ。

 多分、今までの感じからして、超音波を連射するだけで余裕だと思うし。

 一応、村の人達が負けたとはいえ、最初の数よりはゴブリン達も減ってるしな。


「……ぁ」


 そうして、村の中までやってくると、そんな声が聞こえてきた。

 明らかにゴブリンの声では無い。

 血だらけで倒れているもうとっくに死んでいると思っていた人間の声だ。

 生き残りがいたのか。……ゴブリン達でさえまだ気がついてないっぽいな。

 どうせ今更何をしようが助かるような怪我じゃないし、放っておく……いや、俺がとどめを刺すか。

 今回は手を出さなかったけど、俺が魔物である以上、どうせいつかは直接人間に手を出さないと行けなくなる時が来るんだ。

 今回は人の死に慣れるだけで終わるつもりだったけど、今、なんのリスクも無く初めての人殺しができるチャンスが目の前にあるんだ。今やらなかったら、いざって時も殺せないかもしれない。

 そう思って、俺はゆっくりと声を出した人間の方に近づいた。

 見れば見るほど、なんで生きているのか分からないような状況だ。


(超音波)


 そうして、死にかけの人間に向かって俺は超音波を使った。

 ……やっぱり、特に何も思わないどころか、こいつからなんのスキルを奪えるのかを楽しみにしている俺がいる。


(強奪)


【強奪できるスキルを確認出来ませんでした】


 初めての人殺しを経験したばかりだと言うのに、俺はウキウキ気分で強奪スキルを使ったのだが、返ってきたのはそんな言葉だった。

 ……嘘だろ? 確かに、良いスキルを持っているだなんて微塵も思ってなかったけど、何も無いのは流石に予想外だ。

 勝手に人間は絶対に何かしらのスキルを持っていると思ってしまっていたが、そういう訳じゃないんだな。

 いい勉強になったと思えばいいか。

 ……この分だと、そのへんに転がっている奴らもスキルを持っているか怪しいけど、期待せずに強奪を発動させていくか。

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