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お母様はイケメンで失敗しましたが(笑)、最後に笑うのは誰?  作者: ねこまんまときみどりのことり


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8 破壊工作 その3

 ステナ:「こんばんは、セルジュさん。誕生会用のお花をお持ちしました」


 セルジュ:「あぁ、遅かったね。中庭に運んでくれるかい」


 門番の許可をもらい、噴水近くの花壇へ移動を始める。


 特に怪しまれず王城に入れたことに、シュパル以外が驚いていた。


 ドリップ:「あの方が知人の方ですね」


 ステナ:「うん、予めお願いしてはいたんだ。けど、上官命令とかだと予定は変わることもあるし、ちょっと心配してたんだ。実はギリギリまで緊張してたよ」と、言って口をすぼめて息を吐き出した。


 ドリップ:「信頼できる方なんですね」


 ステナ:「あの人、私がここにいた時から良くしてくれたんだ。お母様が平民でも敬ってくれたし、私のことも孫みたいに可愛がってくれて……」


 ステナ:「はっ」

 一瞬昔を思い出してトリップしていた。敵陣で何てことだ。


 ちょっとしたことが命取りになるというのに。


 ステナ:「ごめんね、気合い入れ直すから」

 そう言って頬を両手で2回思いきり叩き、自分に渇を入れる。


 コレー:「何やってんですか! 頬っぺ真っ赤ですよ~」と、泣きそうな顔になっている。


 タハハッと笑い誤魔化すステナに、みんな安心したようだ。


 そんな感じで歩いていると噴水まで到着。


 こんなに喋っていても王城に入った時点で、コレーの消音魔法を拡大展開していたため、会話から怪しまれることはなかった。


 これまで一番の懸念は、王城の魔法士や魔道具で魔法無効化がなされていることだったが、今のところは影響がない様子だ。


 シュパル:「やっと着いたな。ここからは俺に任せてくれ。ステナは周囲の警戒を」


 そう言うと、爆弾を次々と噴水に投げ込み始めた。


「バシャン バッシャン バシャッ…………」


 3人はシュパルを隠すように花壇を手入れしているふりをした。幸い誰もこの時間に、王城から少し離れて暗い庭園には近ずかないようだった。 


 全て投げ入れてから、ドリップの障壁魔法で上からは見えない壁面3ヶ所に固定する。 

 噴水の水は湖から引いており、中央部には初代王像が設置されている。像の下には循環用大モーターと水の出るリズムを変更できる魔道具が嵌め込まれており、時間により水が変化し吹き上がっていた。


 ステナ:「水の吹き上がりに変化ないし、上からみてもわからないわね。準備OK、帰りましょう」


 そう言って空のリヤカーを、今度はドリップが押しながら門を通過した。


 一同:「遅くにありがとうございました」


 セルジュ:「お疲れさまでした。うまくいくと良いですね」と言って、ステナに優しい笑顔を向けた。



 コレー:「うまくいきましたね。信管もついているし、あの爆弾の量なら遠隔操作で城ごと飛ばせるんじゃないですか?」


 ステナ:「普通の貴族家ならありなんだけど、王家には魔法を使える人が数十人いるわ。その中には防御系の能力者も。特に王家に遣える隠密部隊ポリフェノール家は黙ってないわね。あの呪いの一族が」 


 ドリップ:「呪いですか? 始めて聞きました。ポリフェノール家は、王家側近の伯爵家ですよね」


 ステナ:「そうよ。これは秘密にしといてよ。一応私は前王妃ダイアナ様から、王族の教育を受けていたから知ってるの。安易に触れてはいけない禁忌常識としてね。

 あなたが誰かに話したら、口封じで周辺地域ごと死人が出るかもしれないわ」


 ドリップ:「絶対言いません!」

 聞きたくない情報だったと、少し気分が悪くなった。


 ステナ:「信じてるから話したのよ」

 両手を握って口に当てブリッコ風に話しているが、ドリップとコレーは全く笑えなかった。


 ステナ:「そういう訳で十中八九見つかるわ。それにね、私はあまり被害は出したくないと思っているの。  

 王や王妃達には恨み真髄なんだけど、生活のために城で働いている善良な平民や貴族もたくさんいるから。  

 できれば王の直系だけ包囲して、みんなが逃げてから復讐できればと考えているのよ。その後のこの国を建て直す人材も必要だしね」


 城をでてから平民として生活しているうちに、王城の全員が敵だとは思わなくなっていた。良い人も悪い人もおり、全員吹っ飛ばして終わりにするのは違うと感じたのだ。


 ステナ:「あなた達だって、さっき協力してくれたセルジュさんには死んで欲しくないでしょ?」


 コレー:「そ、それはそうですが。王らを拘束してからみんなを逃がしている時間、危険が増えるじゃないですか? 安全に逃走できないですよ」


 ステナ:「まぁ、そうなんだけど。その辺はシュパルといろいろ考えてるから」


 寂しく笑いシュパルを見ると、シュパルも頷いている。


 2人の様子から生還する気がないような気がした。

それでもこれ以上は聞けず、その日はみんなで宿屋に泊まることにし、前哨戦勝利のお祝いをした。


 しばし憂いを晴らし、呑んで食べた。


 全員飲みすぎて、起床したのは翌朝の昼だった。






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