7 破壊工作 その2
結局あの後、私、シュパル、ドリップ、コレーの4人で王城を目指している。
シュパル:「王城に行っても、こんな夜中に入れないんじゃない?」
大量の爆弾を真空パックし、布で隠したリヤカーを引くシュパルはステナに囁いた。
ステナ:「まぁ、ちょっとしたつてがあるのですよ」
シュパルの隣で重いリヤカーを引きながら、シュパルを見て笑っている。
もうとっくに夜は更け、赤みを帯びた大きな月が顔を見せている。
ドリップ:「門番にお知り合いが?」
ステナ:「ビンゴ。良くわかったね。賢い、賢い」
そう言うと、リヤカーを引く2人に並走しているドリップの頭を片手でなでなでした。
ドリップ:「ちょっと何してんですか!」
そう言ってなでられた所に自分の手を当て、顔を真っ赤にしている。
ステナ:「え、なでたんだけど。ダメだった?」
ドリップ:「だ、だめなわけないです。ただシュパルさんに悪いかと」
シュパルの方を向いて軽く頭を下げている。
ステナ:「シュパルに? 変なの」
ステナとシュパルがリヤカーを引き、ステナの隣にドリップが、シュパルの隣をコレーが配置についている。
コレーはリヤカーの音を魔法で極力聞こえなくし、中身が軽いように周囲に印象づけている。
怪しまれないように。
1つだけでも結構な重量があるので、大量の爆弾となれば少し引くだけで骨が折れる。持ち前の筋肉で軽く移動するステナに、シュパルとドリップは同時に俺がやると叫んでいた。ドリップがまずやってみるも、懸命にやっても僅かずつしか進まなかった。シュパルが交代するも然りである。
ステナ:「なんか、ごめん」
男子2人が凹んでしまった。
ステナ:「ほら、仲間作りって拳で語るとこあるじゃない? だから認めてもらおうと思って、頑張って強くなったの。神父の中にも戦争経験者がいて指導してもらったのよ。
筋トレから始まり、受け身と攻撃を何年となく続けたらこの仕上がりなの。ダイアナ様の死を知った時からなので、もう10年目ね」
茶化すように話すも、何故かしんみりムードが。
10年か…………2人が小声で呟いている。
彼女の身体能力は努力・適切な指導者以外にも、目的と本来のセンスもあるのだろう。経験や訓練年数だけで埋まらないのだ。
そしてリヤカーを引き始めたステナだが、横から「ちょっとは手伝わせて」とシュパルも、隣で手伝いだした。
普段はクールな兄がステナの前だと、赤くなったり青くなったりあたふたしている珍しい様子に、コレーは微笑んだ。
妹を守るためにいつも気を張るドリップは、ここ数年で信用できうる人物に出会ったようだ。
いつも生き急ぐ彼女が、今回の件で死ぬことがないように、彼女のことを知る周囲の誰もが死なない復讐になるのを願っていた。
シュパルも、例え自分が死んでも彼女だけには生きて欲しいと思っていた。だが彼女の許せない気持ちを思うと、何も言えなかったのだ。
しばらく歩くと、王城が月夜に照らされ輝いて見える。
「もうすぐ王城ね」
軽い緊張のもと、ステナが門番に声をかけた。




