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お母様はイケメンで失敗しましたが(笑)、最後に笑うのは誰?  作者: ねこまんまときみどりのことり


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47 アマンダが抱くのは、友愛か愛情か?

 夜会の付き添いには、デキストリ辺境伯家のモリーゼが多く伴っていたが、最近は孫のアルベルトがエスコートを務めていた。 

 アルベルトは婚約者がおらず、頼みやすかった。


 デキストリ辺境伯は、ポリフェノール家門とは違い国境を守る為、強い兵士で編成されている。 

 魔法を使える魔法騎士もいる国守の要である。 

 当然後継のアルベルトは、辺境を守護できるくらいに強靭である。 

 初級の治癒魔法も使え、重宝されてもいるようだ。



 最近モリーゼ(前辺境伯)は、孫のアルベルトに婚約者を決めようとしているらしい。 

 らしいと言うのは、この話をしているアルベルト自身もハッキリは言われていないのだ。 

 雰囲気で察したと言う。


「爺ちゃんは、王太子妃候補として今多くの令嬢が王都に集められているから、チャンスだと言うんだ。俺は鈍いから、既に囲い込まれている可能性がある。まあ実際、何にも聞いてないんだけどな。アマンダはなんか知ってるのか?」


 辺境伯の応接室で、そう言われても特には聞いていなかった。

 アルベルトは何となくこっそり相談したくて、今は部屋に2人きりだった。

 どちらかと言うと、家族と縁の薄いアマンダが一方的にお世話になっている形。

 協力を頼まれるなら、遺憾なく力は発揮したいとは考えているのだが。

 でもまあ、念の為聞いておく必要はあるだろう。

 アルベルトは女子の前では緊張しいだが、筋骨隆々の美丈夫で次期辺境伯当主の優良物件だ。 

 婚約を申し込まれて、嫌な気持ちはしないだろうし。


「ねえ、アルベルト。貴方は付き合っている人とか、好きな人は居ないの?」

「ええっ、ゴホゴホッ。 そんな奴居るわけないだろ?

居たら紹介してるって!」


 普段坦々としているのに、ちょっと恋人について聞いただけで照れが凄い。 

 護衛や仕事のエスコートなら平然としているのに、プライベートだとこれである。 

 公私混同しない男アルベルトは、プライベートで女子に慣れる必要があるだろう。 

 慣れても女誑しは駄目だけどね。 

 まあね、アルベルトがそんなのになるわけないけど。    

 家の父じゃあるまいし。


 でもこの状態では、騙される前に先に婚約者を決めて貰った方が安全かもしれない。 

 ハニートラップなんかで、不幸になって欲しくない。


 気になる女子がいれば、影の力使ってでも全力で調査するんだけど。 

 と言うか、それしかしてあげることができない。

 隠密(影)の当主はアマンダであるも、16才になるまでは表の暫定当主は父のフェインだからだ。


 とは言っても、父のフェインがアマンダの婚約を決めることは出来ない。 

 もし決めても、国王が承認印を押すことはないだろうけれど。 

 あくまでも婿養子のフェインの仕事は、アマンダが産まれた時点で終了しているのだ。



 話は戻り、気になる女子も居ないのか聞いてみる。

 うーん、うーんと考えてから(おもむろ)に言うのが、

「強いて言えば、お前(アマンダ)かな?」と。


「わたし?」

 ちょっとびっくりのアマンダ。

 少なくない時間を共に過ごしたが、そんな素振りは微塵もなかったからだ。


「まあ、何とか絞り出せばだけどさ」

 そう言うアルベルトの顔は、真っ赤になっている。


 つられたアマンダも、赤くなるのが解って慌ててしまう。

「そ、そうなのね」


「ああ。もう一回ストップしねえ」

「そうね、そうしましょう」

 手で顔を扇ぐように振るアマンダを、天井から見ているダージリン。


(何良い雰囲気作ってんの、アイツ。お嬢も何だよ、その顔)

 いつも完璧に姿を消しているのに、一瞬殺気が漏れた為2人が警戒姿勢を取る。


((敵か?))

 同時に服に隠す暗器を手にする。



 その瞬間、モリーゼとリプトンが応接室に入ってくる。

「敵じゃない、安心せえ」

「そうです。未熟者が暴発しただけのこと。後で締めておきます」

 不適な笑いのお二人さん。

 仲良いのかしら?


「アルベルト、お前が思ってる通りだ。近いうちに婚約者決めをするぞ。候補がいれば早めに言え」

 内緒の話が漏れている不思議。

 遮音魔法とかしてないから、聞こうと思えば聞けるけどね。


 そして更に続けるモリーゼ。

「仮にもし……アマンダを望むなら、相当の試練を覚悟せんといかん。俺には何とも言えんが、平穏を望むならやめろとしか言えん。決めるのはお前だし、アマンダもお前を選ばんかもしれんしな。悔いのないように考えろ」


 硬い表現で、真剣にアルベルトに向けて声を掛けた。


 解ったと頷くアルベルト。


 そしてアマンダも決意した。

 恩を返すなら、アルベルトに告白されても受け入れることは出来ない。決してしてはいけないと。


 唯一、リプトンとダージリン以外に味方になってくれた人達だ。

 その人達の幸福を望むなら、一線を引かなければならない時が来ただけ。 

 穏やかな気質の、辺境伯家の人達が大好きだった。






 それを察したリプトンが、アマンダの肩に優しく手を乗せる。

『大丈夫ですよ、我々がいます』と、言ってくれているようだった。


 アマンダは淑女の微笑みで、カーテシー後に部屋を後にした。

 何故か涙が、僅かに溢れる。

 その涙を隠すように、リプトンが携帯用の帽子を懐から出してアマンダに被せた。


 婚約者が出来れば、これまでのような付き合いは出来なくなる。

 それがどの感情か今は解らないが、今夜1つ寄る辺を失くしたのは確かだった。





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