34 因果は巡る 前世と今生
ちょっと、あらすじっぽいです。 次回から、ポリフェノール家の内乱話へ続きます。
あれから、長い長い時間が流れた。
アルバ、スターディネス、クロウらは、何度も何度も転生を繰り返し、やっとこの時代に合流した。本来の転生のサイクルは神々の仕事なのではっきりしないが、生まれた時期が100年違えば同じ時をすれ違うこともできない。
エルフや獣人に生まれれば、もっと早くに出会えただろうが、何故か皆何度も人間としての生死を繰り返したのだ。
そして貴族家には、魔力が強い子が生まれやすいようだ。
その為ポリフェノールは、引き合わせたい魂を集めやすいように、コネクションを多用しポリフェノール伯爵家を誕生させた。
勿論ポリフェノールの協力者が当主となっている。
ある時、ポリフェノールは1つの発見をした。
300年の転生を見守ることで、それぞれの魂の色を感じることができるようになったのだ。
魂は丸く切れることなく、薄いひものようなものをくっ付けて女の腹に入った。
何度も繰り返し見ていくと、血の近い者の胎児がいると、魂は10月を目安にどの腹に入るか決めているようである。
最初から決められているのではなく、本人の希望や周囲の希望も多少加味されているようだ。
例えば双子ならば、男になりたい魂は男の胎児に、どちらでもいい魂は残った方を選択したり。あくまでも近い所(同じ国)の同時期に生じた胎児に対してであるが。
次の子を産むには高齢で、どうしても時期当主となる男児が欲しい夫婦には、その祈りに応じて叶うこともある。
ポリフェノールは、数十年前にスターディネスを見つけた。転生先は侯爵家の侍女の腹。不貞の子だったようで、侍女は家族にも何も告げずその町を去った。
1人で働きながら子育てをした侍女。しかしスターディネス12才の時、侍女は病に臥せることが多くなり、2人で死のうと思っていた時、ポリフェノールが脳内に思念を送ったのだ。
『ポリフェノール家に行けば、その子は幸せになれる』と幾度も繰り返す。
一縷の望みを託し、何とか辿り着いたポリフェノール伯爵家の門で、当主がスターディネスを保護したのだ。
馬車や人を誘導し、ポリフェノール家に誘導したのは勿論ポリフェノールである。
侍女は伯爵にスターディネスを託し、命を引き取った。
縁も所縁もない侍女の子だ。
表向きには捨て子として、引き取られた。
身元も知らぬ女が子を託したとなれば、伯爵の不貞が疑われるからだ。
スターディネスを残し亡くなったとて、ポリフェノールは侍女を責めたりしない。もし亡くならなくとも、何れはここに誘導したことだろうが。
ただ不貞と言っても侯爵家の侍女は、伯爵家の三女だった。行儀見習いに来て、侯爵の息子と付き合い捨てられたのだ。
結婚すると思っての行為だったのだろうが、既に高位の婚約者がいたことに気づかなかった愚かな娘。だが、ポリフェノールは、スターディネスを健康に産んでくれた彼女に感謝した。但し生活の援助等は行わない。
どんな生き方であれ、極度の介入は失礼だからである。侍女は親に頼らずに、スターディネスと生きることに、幸せを感じていたのだから。
スターディネスの為に、親に頼る選択肢もあったかもしれない。だけど、肩身の狭い思いをさせるかもしれないと、悩んだのかもしれない。自分が死んだ後、スターディネスを1人にしてしまうのだから。
最後にポリフェノールが関与したが、侍女は幸せそうに逝ったので、スターディネスも悔いは少ないだろう。そしてポリフェノールは、彼女が転生先で幸せになれるように祝福を掛けて送ったのだ。
逆に一応はスターディネスの父になる侯爵の息子には、娼婦から性病を移されて、それがばれる噂を撒いた。情けない噂に婚約は破棄されたようだ。ポリフェノールは理不尽な貴族が嫌いなのである。
スターディネスの今生の名は『リプトン』で、(現在年齢44才)。後のポリフェノール伯爵家、執事兼暗部当主側近となる。
その26年後、クロウはポリフェノール伯爵家の長女として誕生。
(リプトンがポリフェノール伯爵家に来てから、26年後です)
エルフの時に奪われた自由を、ここで謳歌出来るような環境。
美しく優雅な娘に生まれた。幼くして母を亡くしたが、父と使用人からの溢れる愛情で過ごす。流行り病により30才で命を落とすが、愛に生きた生涯を送った。実父とリプトンに癒されて、魂の深い傷はだいぶん修復できたようだ。
ダージリンは3、4才位の時に、戦争孤児として引き取られた。
その後、庭師兼暗部所属として働く。17才。
幼い時からポリフェノール伯爵家で育ち、アマンダとは兄妹のように過ごしている。
ポリフェノール伯爵家とアマンダには、忠誠を誓っているが、現伯爵のファインには、苦言しかない。
どちらにつくかと聞かれれば、アマンダ一択である。
戦場で前ポリフェノール伯爵と出会ったのも、ポリフェノールの導き。前ポリフェノール伯爵の通過地点で、引き合わせた形。
前世の名は『サンド』で、最期までアルバを守った狐獣人である。
前世クロウの娘として転生したアルバ。
今生の名は『アマンダ』として生を受けた。
ポリフェノール伯爵代理フェインと、母エリーゼの間に生まれた。
フェインの前世は『バルデスの父マーカー』だ。
マーカーの失態からの悲劇だった為か、運命の偶然でここにいる。たぶん同じミスを犯さない為の転生だったのに、またやらかして浮気をしてしまった。
今生『マリアンヌ』、前世の『ミスト』は、最期までアルバを守っていた狐獣人。
フェインとジンジャーの間に生まれた、アマンダと同じ年の娘。
前世の『アミール』がジンジャーとして生まれた為、縁によりマリアンヌの母になったと思われる。
異母姉妹でなければ、きっと親友になれた二人。
フェインとの子は同じ年に二人。
すなわち『アマンダ』と『マリアンヌ』は、産まれるまでどちらの魂が、どちらに入るかはっきりしていなかった。
アルバにとっては、産みの親と育ての親の二人だったからだ。
スターディネスとクロウの気持ちの差で、アルバはアマンダになったと思われる。
なのでマリアンヌがアマンダを恨むのは、本当に筋違いと言うか、逆転もあったかもしれない。
たぶんアルバがマリアンヌになっていれば、羨んだりしていないだろう。今生もマーカーのせいで、かき回されてしまう運命。
今生は今生の物語だが、スターディネス(リプトン)はポリフェノールに思い出しを希望していた。思い出した時は、クロウ亡き今、さらに全力でアマンダを守ることが予想されるのだ。




