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お母様はイケメンで失敗しましたが(笑)、最後に笑うのは誰?  作者: ねこまんまときみどりのことり


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23/63

23 勧誘 その1

 周囲が落ち着くまで、アマンダ達とステナ一行は、商店街に建つ宝石店の地下部屋で過ごしていた。


 監視の目的もある為、全員で生活ができて逃走も困難として選択された場所だ。


 リビングが10畳でテーブルの他、大きいソファーベッドが2つ、キッチン・トイレ2つ・浴室・乾燥室、寝室は4部屋。 

 各寝室二段ベットが2つと、机と椅子が設置されている。

 大きい冷蔵庫もあり長期間の滞在も可能だ。

 因みにコンロは熱が調節できる魔道具で煙がでず、体にも安心。

 換気も風魔法の魔道具でいつもクリーンである。

 リアル秘密基地だ。


 実際に暗部作戦前、結構な頻度で利用されている。



 最初は警戒していた4人だったが、1週間も一緒に過ごすと奇妙な連帯感が芽生えていた。


「今日の朝食は、新鮮なミルクとカリカリベーコンとスクランブルエッグ、焼きたてクロワッサン、コーンスープ、サニーレタスとトマトのサラダ。 

 おやつに林檎のシフォンケーキです。今回の紅茶はオレンジペコですよ」


 リプトンがメニューを読み上げると、部屋の中央にある丸テーブルに全員が集合し、食事が開始される。


 コーンスープとサラダは1人分づつ小分けにされているが、他の物は大皿で、好きな分だけお皿に取り分けるスタイルだ。


 買い出しから戻ったまま食事を作っていたリプトンは、宝石店のユニフォーム用背広を纏っていた。

 色付き眼鏡に茶黒の短髪かつらを着用。

 軽い変装ながら印象がガラッと変わる。


「市場で仕入れた新鮮素材で作りましたよ。沢山召し上がってくださいね」


 潜伏している閉塞感から、食事に対する期待値は高い。


「「「「「いただきます♪」」」」」


「う~ん、幸せ。今日も玉子がふわふわだわ」

 口内にスクランブルエッグを詰め込み、ステナは目を細めて咀嚼する。


「俺クロワッサン好きなんだよ。このバターの香りでもう幸せ。う~味も美味しいです。ありがとうございます」

 シュパルも嬉しそうに、暖かな焼きたてパンを頬張っている。


 ドリップはここに来る前までは、食事の担当をよく押し付けられていた。

 調理していた立場として、短時間でこれほど手の込んだ物を作る手際の良さと、やはり味付けに感動を覚える。

「ドリップさんすごいです。なんでこんなに料理が上手なんですか? これでも僕、2年位料理をしているんですが、こんなにおいしく作れたことないです。コツとかあるんですか?」

 生真面目な性格は、ここでも答えを求めてしまっていた。


「コツですか? え~と、まぁ30年位お嬢様方に使えていれば出来るようになりますぞ。ふふっ」

 いつも厳めしい顔のリプトンも、ドリップと話すときは自然と笑顔になっている。

 親近感を感じているのだろうか?


 う~ん、30年。 

「ちょっとリプトン、その言い方だと私がすごく年上みたいじゃないの。まだ14歳のピチピチ娘に失礼だわ」


 私が怒ると、「ぷっ」とコレーが、口にスープを含み中に笑いのツボに嵌まってしまい、苦しがっている。

 ケホケホッとむせながら、「ピチピチって。どこの親父ですか? ふふふっ、くふ~っ」

 ここに来てからもずっとクールな彼女が、涙を流しながら声を殺せず笑っている。


 それを見て、皆もニヤニヤしだした。


「だってしょうがないでしょ。私の周りは親父しかいないんだもの。私だってむさい親父より、可愛い女の子ときゃっきゃうふふと恋の話でもしたいわよ」


 顔を赤くして訴えると、コレーがまた笑う。


「きゃっきゃうふふって。もう殺す気ですか? くっくっふ~。もうだめ~。やめて~」

 顔がくしゃくしゃになるまで笑っている。


「もういいよ。やんなっちゃう」

 照れ隠ししながら、リプトンが買ってきた新聞を読み始める。


 クロワッサン片手に読み進め「ようやく落ち着いたようね」と呟くと、「無事終了しましたな」と言って、リプトンが紅茶を注いでくれる。



 王の葬儀が済み、混乱なく王弟に無事政権が渡ったようだ。


 新聞が荒れていないことから、このまま落ち着いていくのだろう。




 朝食途中でダージリンが訪問し、「お嬢、会いたかったよ~」と抱きついてきた。

 開口一番がこれである。


 ステナ達は、またニヤニヤだ。


 今日はリプトンも言葉遣いを咎めず、皆とニヤニヤしている。


 くっそう、何て日なのよ。


 そしてダージリンも普通に入ってきてよ、恥ずかしいから。

 まあ、無事で良かったよ。

 お疲れ様。

 本人には言わないけどね。



「え~と、これからのことを相談したいから、一度城に来て欲しいみたいだよ。新しい王様が償いしたいってさ。罪とか問われないから大丈夫だよ。 

 あ、爆弾で壊れた城の修理も終わったよ~」


「「「「あっ!」」」」


 どうやら思い出したようだ。


 まあ、大丈夫って言ってたし。行こうかお城。


 ようやく笑いは止まったようである。

 ちょっと顔色悪くなったかしら?


「王弟、あっ、今は王か。あの方は公平な良い人だから大丈夫だよ」

 一応、フォローしておこう。






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