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お母様はイケメンで失敗しましたが(笑)、最後に笑うのは誰?  作者: ねこまんまときみどりのことり


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20 邂逅 その2

「この間の爆弾の残り持ってきちゃった。せっかくだから使っちゃおうか?」

 シュパルは悪びれなく、舌をぺろっと出しておどけて言う。

 しかし、目は笑ってない。


「そうね。こんな城いらないしね。やっちゃおうか!」

 ステナも同意し、小型の爆弾を次々に人気のない所で起爆させていく。


 噴水時の爆弾とは違い(てのひら)サイズなので、誘爆しなければ破裂しても1mが燃える位の威力しかない。


 ポンポン投げると、ドカンッ、ボガンッ、ドゴーンッと爆音が轟き、ダンスホール辺りから悲鳴が聞こえてきた。


「ああ。あっちは、はずれだね」 


「そうね。私が宣戦布告したのだから、声が漏れないように防音でもしてるのが普通だからねぇ。陽動で残された人かしら」


「周囲を観察していましたが、ホール(ここ)にいる人達は何も知らされていないようです。

 逃げるとなると大混乱(パニック)でしょうから。 

 集っている人数も半端ないですし」と、隣に現れたドリップがしれっと話す。 

 隣にはコレーもいて、首肯している。


 ステナは一瞬ビクッとするも、声の主を知り落ち着きを取り戻す。


「そのスキルすごいね。防護壁と防音があれば、気配ほとんど感じないわ。これなら危なくなった時、認識阻害効果高いから何とか逃げられるわね」


 他人事の様に話すステナに、「どうせ逃げる気なんてないんでしょ? 負けそうになったら自害する気なんですよね」泣きそうに顔を歪めて、ドリップは問いただす。


 そんなことないと、言い返そうと思ったができない。

 もう嘘はつきたくなかった。


「ここは最低な場所(とこ)だけど、思い出の場所でもあるの。ルーツってやつね。そんな訳で私は良いの。だから危なくなったら、あなた達は逃げて。 

 悲しい思いをこれ以上させないでね。最期のお願いよ」


「っつ」

「そんなぁ」

 納得できない声を出す。

 俺達兄妹の忠誠は、とっくに貴女(ステナ)のものだ。

 死はあの時迎えるはずだった。

 ……貴女がいたから生きられた。

 それは肉体も精神もだ。

 何もかも奪われ、希望もなく生き延びていたとしても、死んだも同然だっただろう。

 それは祖父も同じだった。 

 だから死に物狂いで、商会も大きくした。 

 プライドなんてどうでもいいし、頭を下げるなんて何ともないと言っていた。


『ご恩は忘れないと』


 貴女だけが手を差し伸べてくれた、助けてくれた。

 それが全てだ。後はどうだっていい。


 俺達は貴女に生きて欲しい。俺達が死んでも生き延びて欲しい。



 だが、貴女はそれを望まないだろう。

 だからこれは俺、いや俺達(ドリップとコレー)の勝手。

 一緒に生きて帰るか、死ぬかは好きにさせてもらいますからね。

 どうやら、兄妹も2人では帰る気はないようだ。



 そんな気持ちをよそに、ステナは突き進む。


 バリアー『障壁と防護壁』・『消音』を展開しながら、魔法関知ができないダンスホールの人々や騎士団の横をくぐり抜け、堂々とカンファレンスルーム方向へ近づいていく。


 手持ちの爆弾は使い尽くした。


 威嚇は終わりだ。

 ステナ・シュパル・ドリップ・コレ―は、簡易の酸素マスクを装着する。


 ステナは手を上空へ(かざ)す。

 天井付近を目掛け、物凄い早さでりんご大の黒い鉱物を無数に(優に1万個は越える)生成。

 ドリップは障壁を自分達に展開したまま、別の障壁をクッションの様な柔らかな袋の形にして鉱物を全て包み、シュパルが鉱物を炎で包む。 

 全ての鉱物への発火を確認し、袋を破裂させて中身を分散させた。再度、精度の低い防護膜で城全体を包み仕込みは終了だ。 


 シュパルの変成障壁は魔法の練度によるものだ。

 この日(ステナの復讐)の為に錬成を重ねた賜物だった。


「さあ、今度はお父様をさがさないと。かくれんぼは得意なのよ昔から」


 不敵に笑い、ステナは歩いていく。

 覚悟を決めた他の3人も、狩人の目になっていた。

 震えも怯えもなく、粛々と目的を遂げに動く。



 カンファレンスルームでは、魔法関知で何かが城全体に発生したことを確認した。


 魔法であれば属性により対処するが、魔法反応は消えていた。

 その為、実物を確認しなければならない。

 そもそもあんなに大量の質量を、持ち運ぶには無理がある。


 ここで作り出したのだろうか?


 魔法で作り魔法反応が消える。

 これがステナ姫の能力『鉱物作成』か? 

 しかしあの量は現実的と思われない。

 他の能力者の空間と空間を結ぶ瞬間移動(ワープ)か、空間収納と言うところだろうか?

 今は断定を避けよう。

 発生物の確認が先決だ。


 気配は薄いが、こちらに向かっているのは確かに感じる。



「お嬢様。10個程お持ちしましたが、全て石炭でした。持参した物は発火中です」

 リプトンは遮断ケースにそれらを入れて、暴露の危険がないように処理していた。


 魔術師からの物体関知では、数量は1万個は越えるそうです。


「そう、回収もおぼつかないわね。ここを留守にもできないし。石炭の炎で火事を狙っているのかしら? それとも別な目的が…………」



「バシン!!!」と、手荒にドアが開く。


「お久しぶりです、お父様。このステナ、暗殺者から逃れ只今帰還いたしました。な~んちゃって」と、真剣な表情で声だけ笑っている。


 仁王立ちで立つ4人は、無傷でそこに立っていたのだ。





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