王太子の浮気相手をいじめたという罪で婚約破棄された私は世をはかなんで自殺しました。だって無実なのですもの。あの世とやらで神という存在と会ったのですが…どこか軽い人でチート?そんなものいりませんわよ!
『だから力を上げるって言ってるだろ! 君はチートが欲しくないの?』
「いりませんわよ、生まれ変わって幸せになんて望んでませんわ!」
私は玉座に座る金髪碧眼の美少年と喧嘩をしています。周りは真っ白で何もありません。
『神である僕に逆らうの?』
「だから生き返らせろって言ってるだけですわ!」
私はクララベルいいます。王太子の婚約者である侯爵令嬢でしたが王太子が庶民の女性を愛して婚約破棄すると宣言をしまして。
私が彼女をいじめたから辺境追放をするといわれました。
そんなことをしていなかった私は抵抗しましたが嘘だといわれまして……。
両親も誰も助けてくれず。私はすべてに見捨てられ絶望をして自殺をしたのです。
その先でこの少年に出会ったのです。自称神ですわね。
『生き返らせろって…転生先でチートを授けるって言ってるのに』
「いりませんから、生き返らせてください!」
『あーわかった特別大サービス。生き返らせてあげる』
私は神とやらに生き返るだけではなくチートはいりませんからあいつらに復讐できる力もくださいとお願いしました。
『贅沢な人だねえ』
「だってこのまま生き返っても辺境にぽいです!』
『わかった希望をどうぞ、どうせ退屈していたし』
私はあの王太子よりも地位が高くて顔がよくて背が高くて金持ちで頭がよくてそんなすごい人を恋人にしてくださいと叫びました。
見返してやるのですわ!
『……あなた馬鹿なの?』
「だってそれくらいしか思いつきませんのよ!」
考えている神、しかしよく見るとこの子美形ですわ。13歳ほどに見えますがあと5歳ほど上なら。王太子殿下などよりもっともっと。
「あなた、あなたが恋人としてきてくださいまし!」
『はあ?』
玉座から下り立ち頭がおかしくなったのかなあ?と戸惑う表情をする神。
私はあなた美形ですわ。とてつもない美形ですものと彼の肩をつかんで叫びました。
少し今ねじが飛んでいるのかもしれませんわ。
『うーん、別にいいけど退屈していたし。僕が直接降り立つわけにはいかないから体は仮初だけど』
「年齢は5歳くらいは上で!」
『わかったよ。君に釣り合うくらいにしておくから』
私はお願いしますと頭を何度も下げました。
にこりと神は笑いじゃあ生き返ったらよろしくと笑ったのでした。
「……あなたがあの神です?」
「そうだよ」
「身分が隣国の王太子、しかも魔法学園主席。隣国はたしかにうちの国よりはもっともっとお金持ちですけど」
私は生き返って漫然と辺境の修道院で過ごしていましたがいきなり豪勢な馬車がきて私を迎えに来たという人が来たというので驚いて行きました。
夢だとばかり思っていた自称神がそこに立っていたのです。
年齢は18歳ほどに見えました。
「殿下より美形で背も高くて、身分も高くてお金持ちで知性があってあれよりももっとすごい人ならだれでもいいですわ~っていうから」
「……」
「いやあ運命軸を動かして18年前に生まれた王太子とやらになったけどさあ、婚約者決めで君の名前をだしたら誰それって言われて大騒ぎで」
「そりゃそうでしょうね」
私はしかしこいつがあの神とやらか? と思います。
普通の人間にしか見えません。確かにすごい美形ですが。
「一応契約は君が死ぬまで、隣国の王太子妃として迎えるよ。あいつらに見せつけるために婚約式にはよびつけたから」
「はあ」
私は馬車に乗せられて隣国に向かっています。
「神の権能はこの体だと制限されて大変だよ」
「はあ」
だってねえあのちび助が神様で生き返っていきなり人間になってあなたを迎えに来ましたって言われて。
夢だと思っておりましたのに。
「一つだけ注意ね、神の権能はもって後5年だから」
「え?」
「僕のこの体、ユリウス・フォン・クラゼルは23歳で死ぬことになっている。でもまあ見返すことができればいいんだよね? そこまでは持つから安心してよ」
淡々と言い切る神、いえユリウス。
私はさらっと言い切る彼に驚きますまあ神ですけど。
「クララベル、その時は未亡人になるけど大丈夫だよ。あとはうまくやっておくし」
「はあ」
私はそのあと隣国の城に迎えられ、飾り立てられ婚約式とやらをしました。
隣国から招待された王太子とその婚約者はとても悔しそうな顔をしていましたわ。
ユリウスはにっこりと笑いあなたが婚約破棄されたクララベル嬢は素晴らしい女性で一目ぼれしたんですよと嫌味を言うと顔を引きつらせてましたわ。
「すっきりした?」
「そうですわね……」
「よければあいつらを殺してあげるけど」
「少し考えますわ」
「そうかい」
私はユリウスとともに過ごしています。彼は完璧と言われていました。神なのですから当然です。
でも人間としての彼と過ごすうちに……。
彼は傲岸不遜でした。でも私にはとてもやさしかったのです。
「……退屈だったからいい暇つぶしになったかな。あいつらに対する嫌がらせは他はどうするの?」
「そうですわね、戦争を仕掛けるのはあとでいいですわ」
王妃と王となった二人の悪い噂を巻き散らかし民衆に暴動がおこるようにし、凶作にはやり病に地震、ありとあらゆる災害をもたらしました。
しかし私の気持ちは晴れません。
「……何か満足してないみたいだね」
「そうでもありませんわ」
3年が経ちました。隣国の王家はもう壊滅寸前、私の両親も所領が没収されその行方は知れずです。
でもなんだろう後2年で……。
ユリウスはいつも通りです。
神の権能を使い私の願いをかなえてくれています。
でも。
「ねえあと2年で死ぬのは撤回できませんの?」
「無理、この世界が滅びるから」
「そうですか」
私はユリウスがニコッと笑うのを見ました。それはあの小さい少年が見せたほほえみとよく似ていました。
隣国の王家は滅びました。王と王妃は処刑されその遺体を見に行こうよとユリウスは言いましたが私はもういいといいました。
「……じゃあ僕はもう君とはさようならだ」
「ユリウス……」
「楽しかったよクララベル」
「私が死んだらあなたと……」
「もう会えないよ、あれは特別。偶然、だって自殺した君の魂を別世界に本当は転生させるはずだったんだもんね」
「そうですか」
「じゃあね」
私は病になったユリウスが寝台で眠るように死んでいくのを見ました。
どうしたって彼は神で、その心はあの少年神のまま。
私は彼の遺体を目の端に入れながらそっと短剣を取り出しましたそして。
「あなたがいない世界で」
死んでも会えない愛しいあなた。でももう生きてはいられない。私は。
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