表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/277

43 久々に戻ってきた日常、イベント後のチーム

そういえば学園ものなのに授業やってないじゃん!で書いた話。

「……今日もいい朝だ」


 今朝も大学の講堂へと歩いていく。

 アイヴィーとのデートの後普段通りの生活が戻ってきた。イベントで表彰された俺たちは他の学生から少し違う扱いになった気がする。

 顔見知りではない学生からも声をかけられることも多い、俺も全然知らない学生に長々と話をされて困ったりもしたわけだが。話すならまずは名乗って欲しいところだ。


 チームの中では特にアイヴィーは人気があるようで、他の女子学生に捕まっていることも多くなった。今も道すがら多くの女子学生に捕まっているのが見える。

「アイヴィー様は剣も使われるのですよね! 素敵!」

「その赤い瞳、素敵です! 魅力的ですわ!」

「アイヴィー様の好きなタイプはどんな方なのですか? もしかしてチームのあの殿方かしら?!」

「え、ええ……そうですわね……」

 困ったように女子学生の質問に対応するアイヴィー。案外こういうの苦手なんだな。


 アドリアも似た様な感じで女子学生に囲まれている。

 が、アドリアは対応が上手いらしく、適当に交わしながら俺のところにやってくる。その様子を見て周りの女子学生が悔しそうな目で俺を睨みつけてくる。いや、そういう関係じゃないんで!僕ら!

「ふう、質問攻めばかりじゃ疲れちゃいますね」

「やあ、お疲れ」

 アドリアがふふっ、と笑って俺の隣で歩き出す。

「いやいや、大変ですよ。イベントで表彰された人たちはだいたい似たような感じになってるみたいですけどね」

 そうなんだ、まあ俺もそうだしなあ……。あしらい方も覚えないとだめかもしれないな。


 講堂に到着し、授業の準備をまつ。机で準備をしていると、アイヴィーが隣に座ってきた。

「隣、失礼するわ」

「あ……ああ」

 なんとなく、気恥ずかしくなってしまって顔を合わせられない。アイヴィーの顔を見るとあの時の記憶が蘇ってくるような気がしてしまう。


「全く……もう授業だからって話してるのに全然離してくれないんだもの」

 アイヴィーがため息をついた後に、自分の方を見ようとしない俺に気がつき……急に悪戯っぽい笑顔になる。

「あれ? クリフ……もしかして恥ずかしがってる?」

 ちょんちょんと脇腹を指で小突いてくる。なんか嬉しそうだ。

「い、いやそんなことは」

「照れてるじゃない、そっかー……クリフは照れ屋さんなのね」

 小悪魔っぽい笑みを浮かべながら、うりうりと脇腹に当てた指を動かす、あ、そこはやめて。


「何、朝から乳繰り合ってんですか」

 アドリアがジト目で俺たちの方を見る。その声でパッと離れバツが悪そうな顔をしているアイヴィー。

「な、な、なんのことかしら」

「はー、そんなこと言っちゃって……見てるこっちが恥ずかしいですわ」

 アドリアがケッ、と拗ねた様な顔を見せる。

 そこへトニーがやってきた。

「おはようございます……」

 なぜかしょぼんとした表情で机に座る。普段の覇気が全くない。何があったのだろうか?


「ど、どうしたのトニー……随分と弱っている様だけど……」

 トニーはクマの出来た目でこちらを見ると、ふっ……と寂しそうに笑う。

「怖いのですよ……特に……」

 そう呟くトニーがふとアドリアの方をみる……すると突然ビクッ、とすると下を向いてしまう。

 視線の先を見ると、アドリアがトニーに笑いかけていた。


「トニーさんのせいですからね」

 アドリアが無表情でニコリと笑う。ドス黒い謎のオーラを発しつつ、アドリアはギギギと講壇の方を向き直る。なんかめちゃ怖い動きなんですけど……アドリアさん何があったんですか……。

「女性は怖いのですぞ……」




 その日の授業は魔法の歴史についてだった。

 何度か同じ様な授業を受けているが聖王国の学習内容は、王国のものよりも詳しく詳細に説明が入る。

 魔法が使われる様になった起源はわかっていない、古くは神の時代にもたらされたと言われているが、長い間魔道士の存在は一般的ではなかった、という。この辺りは王国でも学んだ。

 魔道士の市民権を獲得するのには多少時間がかかっている……というのも魔道士たちが建国した国が魔法を暴走させ、大事件となったこともあるからだ。

 過去には魔道士排斥運動というのも起きたりはしているが、それももうかなり前のことだ。

 そのほかでは混沌に加担する魔道士、混沌に汚染される魔道士なども多く、人ではない何か、となって災厄と化したり、凄惨な事件が起きた、なども多く発生しており、そういった堕落した魔道士が評判を貶めているのだ、と。


 魔道教師(メイジチューター)が近年に起きた出来事を話し始める。

「15年ほど前に帝国では堕落(フォールダウン)により帝国騎士が混沌の戦士(ケイオスウォリアー)へと変化した事件があったそうです。当時の帝国騎士とその仲間が混沌の戦士(ケイオスウォリアー)を倒したことで大きな被害は起きなかったそうですが……」

 セプティムが話していた友人の堕落(フォールダウン)の話だろうか。


 ただ、現在では魔法を使う魔道士もそれなりの立場として生活できる。魔法大学も学問を学ぶ場所として、大陸の民からは尊敬される場所になっていると聞いたことがある。

 ただそれと同じくらい、魔道士を胡散臭い集団として見ている人も多く、つっけんどんな対応をされるケースも多い。

 聖王国ではそこまでの悪感情にあったことがないが、王国では多少そういう経験がある。


「とはいえ、魔法を使った事件、というのはかなり多いので危険視する思想もあることはある様ですね」

 アドリアが補足を入れてくれた。

「王国は戦士が尊重されてたからなあ……魔道士になりたいって言ったら親からは止められたけどね」

 苦笑するアドリア。

「まあサーティナ王国は武勇の国ですからねえ……聖王国と宗派は似ていますが、その実全然違う国ですから」


 冒険者の中では魔道士は重宝された。

 特に俺のように攻撃魔法など複数の魔法を習得し、戦士としての訓練を同時に行なっているものは少数派でそう言った意味でも信頼はされていた気がするな。

「あれだけ技術(スキル)が高ければ当たり前ですね、正直いえば銅級(カッパー)とは思えない知識量ですよ、クリフさんは」

「そうですな、私も冒険者、と呼ばれるものを見ていますがクリフ殿の技術(スキル)はかなりのものだと思いますぞ」

 アドリアに続いて、復活したトニーが俺に話しかける。

「そうなのかな? 俺には普通のことだったんで、よく分かってなかったけど……」

「謙遜しちゃって、素直に嬉しいって言いなさいよ」

 アイヴィーが俺ににっこりと笑いかけながら話す、うおっまぶしっ。

 謙遜ではなく、冒険者仲間からは「油断せずにもっと精進するんだぞ」としか言われたことがなかったからな……なんとなく嬉しいやら何やら。


 そんな話をしつつ、その日の授業は終了した。

日常回


「面白かった」

「続きが気になる」

「今後どうなるの?」

と思っていただけたなら

下にある☆☆☆☆☆から作品へのご評価をお願いいたします。

面白かったら星五つ、つまらなかったら星一つで、正直な感想で大丈夫です。

ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。

何卒応援の程よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ