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ゲームプランナー転生 異世界最強の魔道士は企画職  作者: 自転車和尚
第五章 忘れられた王国編

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275 暗闇と傭兵

「ったくあいつら全然到着しねえのな、おかげで近くの酒場は顔見知りになっちまった」


「あいつら冒険者だからな、依頼を受けながら向かってるんだろ」

 ベッドに寝転んだままぼやくカレンに向かって、やれやれと言わんばかりだが非常に優しい表情で彼女へと話しかけるベッテガ。

 二人は少し前からブランソフ王国の王都であるエイオリームに滞在し、クリフ達夢見る竜(ドリームドラゴン)の到着まで情報収集を行なっていた。

 傭兵としての活動期間が長い二人は旅慣れており、ここまでの期間でかなりの情報を仕入れていたが……肝心のクリフ達がなかなか到着しないこともあって、時間を持て余し気味となってしまっていた。

 活動資金は潤沢に受け取っており、あと数ヶ月は問題なく生活ができるとはいえ……情報収集と、時折舞い込むちょっとした小遣い稼ぎなどでは飽きも来ようというものだ。

冒険者組合(ギルド)に聞いてきたんだが、夢見る竜は近くのシャアトモニアまではきているらしい」


「ならもう少しか……あの街は少し前に行ったけど陰気な街だったよね」


「そうだな、独特の空気があったように思える」

 シャアトモニアはブランソフ王国第二の都市ではあるが、数々の国へと立ち寄ってきた二人からすると、どうにも静かすぎて不気味だった記憶がある。

 そんな街でも人間は日々の営みを送っており、奇妙な感覚に陥ったものだ……カレンは、ふとクリフのことを思い浮かべる。

 彼の周りにいる女性達……特に金髪の戦士アイヴィーと、半森人族(ハーフエルフ)アドリアはすでに彼と深く通じ合っている、それは過去の経験からでもよくわかる。

 そして少し小柄な少女であるヒルダ……あの少女も最後に会った時はクリフのことを熱っぽい視線で見つめており、彼女も恋心を抱いているのがわかりやすかった。

 そして自分もほんの少しだけだが、クリフに惹かれている……傭兵生活が長いと、色々なことがあって彼女はすでに昔の貴族令嬢などには戻れる気がしていないが、彼ならありのままの自分を受け入れてくれそうな気がするのだ。

「……早く来ないかな……」


「もうすぐだよ」


「そっかな……」

 ベッドから起き上がり、宿の外を見るために窓のそばへと歩み寄ったカレンだが、通りを歩いている人の中に奇妙な人物がいることに気がついた。

 驚くほど背が高い……肉体も鍛え上げられているのか、なんらかの祈祷を行う神官が着用する礼服を身に纏っているのにも関わらず、その異様な雰囲気に周りの人間は全員遠巻きにして離れていっているのが見える。

 そして……その人物はフードを浅く被っていたため顔が見えており、垣間見える肌には驚くほどの刺青に見える紋様が刻み込まれているのが見えた。

 似ている……あの時プロヴァンツーレ男爵家が滅びた夜、お父様を殺したあの男……クリフから聞いた混沌の戦士(ケイオスウォリアー)クラウディオという怪物に。

「……あいつ……!」


「カレンどうした?」


「ベッテガ……あいつがいるよ」

 急に緊張感を漲らせたカレンに気がついたのか、ベッテガが彼女のそばへと歩いてくるが、彼もまた窓の外を覗き込んだ瞬間に息を詰まらせる。

 ギリリと拳を握りしめる音が部屋の中へと響く……堪えきれない怒りと殺意、そして宿敵であるクラウディオを見てしまったという恐怖が彼らの心を締め付けた。

 すでに一度クラウディオと戦っている二人だけでは、あの男を殺すことは難しいのだと冷静な自分が囁いている……クリフがいた時ですら、苦戦し倒すことができなかった。

 むしろクリフも仲間に助けられなければ窮地に陥っていただろう、素直にあの後負けを認めていたくらいなのだから。

「……なんでここに……」


「ここがやはりあいつらの根城だということなんだろう」


「……ゆ、許せない……私たちがあの後どれだけ苦労したのか……」

 カレンは目に涙を溜めながらこちらに気がつくこともなく、悠々と大通りを歩くクラウディオを見つめている……自分の親の仇がその場にいるにも関わらず手が出せない、それは傭兵として戦場を渡り歩いてきた彼女にとっても屈辱でしかないだろう。

 ベッテガもまた、必死に殺意を抑えていた……本心では今すぐにでも武器を持って襲い掛かりたい、だが通常の手段では彼を倒すことは不可能なのだ。

 ゴン、とカレンは額を窓枠に打ち付ける……プロヴァンツーレ男爵家の記憶は古くなり、すでに遠い過去のものとなっている。

 しかし……あの時の記憶は彼らにとって幸せの象徴のようなものなのだ、その幸せを奪った仇をどうにかしたい、と思うのは人である以上仕方のないことではないだろうか?

「カレン……クリフが来る前に片付けるか?」


「……勝てるかい? 私たちだけで……」


「優れた狩人は獲物をよく観察する、そして最も油断したところを狙うものだ」

 ベッテガはふう……と大きく深呼吸をしてから、最も愛する義妹へと優しく微笑む。

 以前優れた狩人であった傭兵仲間から狩りの方法を学んだことがあった、その技術は今でも忘れず傭兵として活動するにあたって、多少の()()()()依頼などで大いに役に立ったのだ。

 カレンはじっと義兄の顔を見ると、それまで泣きそうだった表情を引き締めると、力強く頷いた。


「やろうベッテガ……私たちの手でお父様の仇を取るんだ……!」

_(:3 」∠)_ 復讐が始まる……!


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