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ゲームプランナー転生 異世界最強の魔道士は企画職  作者: 自転車和尚
第五章 忘れられた王国編

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274 この王国は滅亡する

 ——その男は暗く不気味な空気を漂わせる石造りの部屋の中で一心不乱に祈りを捧げていた。


「……順調のようだねえ」

 集中が削がれたのか、儀礼用の礼服を纏った混沌の戦士(ケイオスウォリアー)クラウディオは軽い舌打ちとともに声の主へと視線を向けた。

 彼の背後にあった暗闇より魔法使いの帽子(ウイザードハット)を被った絶世の美女……白い髪とルビーのような赤い瞳を持った少女が染み出すように姿を表す。

 女性の名前は混沌の戦士カマラ……混沌の生物を飼い慣らし使役することに特化した異能を持っており、大陸各地に凶暴な生物を飼育し、混沌の軍勢を作り上げている恐るべき人物である。

「あと少しで魔力は満ちるだろう……王国で飼育していた生物は移動させたのか?」


「混沌の御許に帰るのになんで移動させるの?」

 きょとんとした顔でカマラは首を傾げる……ブランソフ王国には幾千もの獣魔族(ビーストマン)のコロニーが存在しており、これまでは大陸各地へとここから()()()()いた。

 ただコロニー自体は彼らの旺盛な繁殖力もあり、数年あれば別の場所でも構築は可能であるため、この王国そのものが滅びたところで大きな影響はないのだろう。

 ただ、それ以外の混沌の生物は再繁殖させるのにはかなりの時間と労力がかかるため、それを示唆したつもりだったのだが、とクラウディオは目の前の少女を見て軽い苛立ちを覚える。

「もう一度一から作り直すのだぞ?」


「私たちには永劫とも言える時間があるじゃない……」


「アルピナはその時間を奪われたぞ」


「やだなあ……私があの程度の連中に負けるとでも?」

 ギラリと凶暴な笑みを浮かべるカマラ……混沌の戦士の序列では第一柱として君臨する彼女は、単体での戦闘能力ではそれほど強力ではない。

 ただ使役する魔物たちが非常に強力で、特に灰色の竜ウルリーカは彼女が持つ魔物の中でもトップクラスに危険な能力を有していた。

 カマラはすでに使徒と一度接触しており、ある程度戦闘能力を把握しているのだと前に話していた……ただそれは彼らが帝国にいた頃の話で、すでにそこからかなりの時間が経過しているのだ。

「人間は成長するのだ、油断をしていると足元を掬われる」


「そうやって人ならざるものではなくなった貴方は人間に一度殺されたのでしたっけ」


「昔の話だ……決着はそのうちつける」

 帝国最強の剣聖(ソードマスター)セプティムとの決着はついていない……もう少しで倒せそうなところで邪魔が入りすぎている。

 その邪魔を入れてきた使徒を滅ぼすことで、クラウディオは剣聖との戦いに再度挑むことができるのだ、これは彼なりのこだわりと呼んでも良い。

 クラウディオは再び魔力を集中させていく……その魔力に応じるかのように、石造りの部屋の一部、片隅にあった床が突然どろりとした粘性を持って崩れた。

「……変異混成魔法陣、その最終段階に入った」


「あらお早い」


「使徒は今休息をとっているが、ちょうど王都に来るタイミングで最後の鍵を解放する」

 変異混成魔法陣は混沌による最終兵器であり、魔法陣を中心とした空間を原始の海(プライミヴァル)と呼ばれる混沌の海へと沈める強力な術式だった。

 その場所に存在するものは全てが混沌の中へと溶解し、形をなくし……そして一つに溶け合うとされている。

 全てが一つに、一つが全てになることで無に返す……クラウディオはごっそりと抜けた魔力に、ひどく疲労感を感じて大きなため息をついた。

 異世界においてこの魔法が行使されたことがあった……そこでは神の子と呼ばれる少女が、魔法陣そのものを破壊して世界を救ったそうだが、この世界にはそんな人物は存在しないのだ。

「さて……王都における最終段階、使徒を呼び込むための罠を作るとするか」


「ねえ、この王国はどうするの?」


導く者(ドゥクス)からは滅ぼして構わないと聞いている」

 元々ブランソフ王国は混沌の隠れ蓑として使われてきた歴史がある。

 王族は傀儡であり、実権は混沌の戦士たちが命令する高位貴族達によって支配されてきたのだ……この国の内情はほぼ他国には開示されず、唯一シェルリング王国など少数の国だけが交易を行ってきた。

 王国には見るべきところがない……だが、その裏で混沌の花弁(ケイオスフラワー)と呼ばれる麻薬の原料を作り、各国の犯罪組織へと流していた。

 かなり前に生産に携わっていた貴族家が糾弾され取り潰しになったことがあったが、王国では時折混沌の支配から抜け出そうとする連中が現れる。

 プロヴァンツーレ男爵はそのひとりだったが、残念ながら彼には力がなかった……無法と暴虐を跳ね除けるだけの根本的な力が。

「この王国は滅亡する……一〇年前にそうするべきだったはずだ」


「そういやそんなことがあったわね」

 プロヴァンツーレという貴族を滅ぼし、混沌の花弁の秘密を守ったクラウディオ達は別の貴族家を支配し直し、今なお強力な麻薬の原料を生産し続けていた。

 ただそろそろ足がつく頃合いだ、と導く者は判断しているのだ、それゆえにクラウディオに王国を滅ぼして良いと命令している。

 大陸における無法の地域、大荒野と呼ばれるあの場所にすでに王国における混沌の秘密は隠されようとしている。

 使徒は遅かったのだ、この王国は滅びそして使徒も滅びる……クラウディオはぐにゃりと歪んだ笑みを浮かべると独り言を呟いた。


「止められるなら止めると良い、そうできるのであればな」

_(:3 」∠)_ ということで王国は滅亡します(オイ


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