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ゲームプランナー転生 異世界最強の魔道士は企画職  作者: 自転車和尚
第五章 忘れられた王国編

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266 脱出中にて

「出口は近いと思う……」


「……クリフ……」

 俺と共に星幽迷宮(アストラルメイズ)の出口を彷徨うヒルダだったが、彼女にとってこの異常な光景が続く場所に感じるストレスは凄まじいものがあるらしい。

 彼女はしっかりと俺の腕にしがみついて離れないし、俺はというと先ほどまでこのか細い少女と肌を合わせていたという感覚がリアルに感じられてどうも普通にしていられない。

 じっとりと汗が滲む肌が密着しているという感覚に意識が完全に持っていかれるし、汗の匂いとヒルダの体臭が入り混じって鼻腔に届くたびに何度も立ち止まって大きく深呼吸する羽目になっているからだ。

「……な、なあ……ちょっと離れられ……」


「……いや……怖いの……」


「そ、そうか……なら仕方ないな……」

 そうは答えるものの、このままだといつまで経ってもこの場所を出れないためそれはそれで気がやきもきするだけなのだが。

 あの時結局ネヴァンは何もしてこなかった……俺の内面に存在していた劣情や醜さなどを見透かされたかのような歪んだ笑みを浮かべて笑い、そして気がつけば姿を消していたのだ。

 それはまるで「お前はそういう奴だ」とでも言わんばかりの顔で……それが余計に隣でじっと俺にしがみついているヒルダの顔を見るにみれない気分になっている。

 出口だろうと思われる方向へ進んでいるが、その場所は次第に暗く静かな通路のような形状へと変化している……それは昔の記憶にもある地下水道にも似た場所のように思えるし、それは全く違う別の場所のような気がしてならない。

「……クリフは……」


「ん?」


「王国へは戻らないの?」

 ヒルダがポツリと呟いた言葉で、俺は生まれ故郷であるサーティナ王国のことを思い出す……一度実家に戻ってそこからずっと帝国やこのブランソフ王国を旅しており、気がつけば結構な期間王国から離れていることに気がついた。

 聖王国の魔法大学へ留学してからだとかなりの長い時間王国には戻っていなかったけど、その時よりも色々なことがありすぎて遥かに長い時間のようにも感じている。

 王国に生まれて魔法使いとして自分を高めるために王国を離れた後、俺はずっと何をしていいのかわからない時間が多かった。

 帝国の内戦に加担したことも流れでそうなってしまっただけでしかなく、本来であれば戦争なんかに参加はしたくなかったのだ。

「……そうだな、もしこのブランソフ王国から出る時は一度サーティナ王国に戻るか……」


「ずっとアイヴィーもアドリアもクリフと一緒に穏やかな時間を過ごしたいって思ってたと思うの」


「そうか……」

 なんとなくは感じていたけど、俺たち『夢見る竜(ドリームドラゴン)』の進むべき方向がよくわからず、このまま頂点を目指すのか、それとも一度休むのかという方針を決めきれていなかった。

 アイヴィーは俺ときちんとした夫婦になりたい、という希望であることは知っているけど、アドリアはよくわからないし。

 ロランは元々傭兵出身で戦いのある場所に赴くのが仕事だとは言ってたけど、冒険者であることに多少なりとも疑問を感じ始めてるとは寝ずの番の際に言ってたしな。

 ただロスティラフはあの混沌の戦士(ケイオスウォリアー)カマラを追いかけるのだろう……それを手助けしないのもどうかとは思うけど。

「……でもこれまでの戦いで死んでいった人のことを思うと、今すぐにそんな生活ができるとは思えないんだよな」


「……そう……」


「もちろん、ヒルダやアイヴィー達とゆっくりできる時間が持てるなら俺はどこでもいいよ」

 俺の言葉にぱあっと顔を明るくするヒルダ……この()は親代わりの人を無くし、仲間を失いそして俺たちに連れ出されて広い世界を観たけど、本質的には家族がわりの人たちを求めている。

 俺との睦合いで何度も何度も譫言のようにヒルダは抱きしめてほしいと願っていた……それは本心として一心に愛情を受けたいと思っている裏返しなのだろうとは思う。

 一度落ち着く時が来たのだろうか? 『夢見る竜(ドリームドラゴン)』という冒険者パーティの生命力がこれまでの戦いで尽きようとしてるのか、それはまだわからないけど……ブランソフ王国における冒険が一つのターニングポイントになるのではないか? という予感はしている。

「……こっちか……」


 俺の感覚に目に見えている通路ではなく、その先に隠されている別の道が感知出来たため、壁に手を添えるとぐにゃりとした感覚と共に、それまで壁に見えていたものが消え失せさらに遠くまで伸びる薄暗いがまっすぐな通路が出現する。

 生理的な嫌悪感……どことなく混沌の戦士(ケイオスウォリアー)と対峙した時のような気持ち悪さを感じながらも俺はヒルダを伴って通路を歩き出す。

 視線を感じる……どこからか観られているという感覚が気持ち悪さを増長させている気がするな……俺の顔色が少し悪いことに気がついたのか、ヒルダは俺を心配そうな眼差しで見上げるが、それに気がついた俺は彼女の額にそっと唇を落としてから囁いた。


「大丈夫……必ず君をこの悪夢の迷宮から出すから、心配しなくていい……」

_(:3 」∠)_ 転プラの書き方を忘れてしまった……ということで読み直しつつ執筆しております


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