表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/277

25 ゲームプランナー(前世)はエルフと遭遇する

「しかしデカい都だなあ……」


 なんというか、生まれた王国の首都ホワイトウォールも大きかったが聖王国は大きさもさることながらもっと文化的な匂いがする作りだ。石造の家が立ち並び、路面は綺麗に舗装されている。

 前世で俺がファンタジーの街並みを想像するのであればこの街はぴったり当てはまるのではないか?

 それくらい西洋風ファンタジー世界のテンプレートみたいな街並みだったのだ。


 王国首都ホワイトウォールは案外質素で、質実剛健という言葉がぴったり当てはまる作りだった。

 サーティナ王国は戦士の国、それは歴史を学んでいても必ずそう紹介されていたので、そのイメージに合わせた作りになっているのだろう、とは思っていた。

「国の文化だから仕方ないけどね」

 そんな独り言を言いつつ、大通りを歩いていく。

「しかし……同じ大陸にあるとは思えないくらい華やかな街だな……」


 通りはさまざまな人、種族が歩いている。ぱっと見知的種族に見えないものも歩いているが、そんな人々が楽しそうにまた忙しそうに歩いている。平和なのだなあと感心する。

 大通りを抜け、聳え立つお城を横目に街の外れへと向かう。

 目標となっているのは巨大な尖塔、「魔道士の塔」の方向だ。王国魔法大学が提供してくれた地図と簡素なイラストにこの塔を目指すべし、と書かれていた。

 小一時間も歩くと塔が目の前に見えてくる。

「おお、絶景だな」


 聖王国魔法大学は塔を中心に、複数の建物が配置されその敷地は小型の砦のように石壁が周囲に配置されていた。

 非常に整然とした作りかつ合理的な建物の配置だな、と感じる。無駄というか隙がない。有事の際はここも戦いに利用されることもあるのだろうか?

 そして夥しい数のお揃いの制服を着た人々が歩いている、目を凝らしてみているとどうやらこの大学には制服があるようだ。

「制服まであるのか……大学というよりは高校に近いな」

 前世では高校はブレザーだったので、この大学の制服はそのイメージに近いかな、とは思う。一つ違うのは学生達はやはり皆一様に杖などを所持している点か。


 この(精神)年齢で再び学生気分を味わえると思うとちょっと切ない。

 学生の頃にやり残したことはたくさんあるのだ、何せ家で遊んでたゲームと勉強の記憶しかないからだ。男女共学だったのに俺は学生時代何もしていなかった、まあそのおかげでゲーム業界にいきたいという気持ちだけは強くなったんだが、結果はアレだからね。


「さて、受付を探さないといけないんだっけ」

 ここにきたのは留学のため、そして数日後に行われるという入学式に間に合わせるためだったので、やっておかなければいけないことはさっさと終わらせてしまいたい。

 が、どこにいけばいいのかわからない。大学からもらった地図も受付の場所までは書いてなかったのだ。

「んー……よし」

 覚悟を決めて適当に制服姿の人に話しかける。

「すいません、学生の受付はどちらになりますでしょうか?」

「ん? あら、新入生ですか」

 パッと目に写った中で思わず声をかけたのは、耳がつんと尖った森人族(エルフ)の女性だった。人間の男性とかも多かったのに、この人に声をかけたのは俺の中でベアトリスの印象がまだ強く残っているからなのか。


「はい、今日到着したばかりで右も左もわからず……」

「いいですよ、案内します」

 女性は快く引き受けてくれた、助かった。

「ありがとうございます、私はサーティナ王国魔法大学から来ましたクリフ・ネヴィルと申します」

「私はクレール・ラファージュです、見ての通り森人族(エルフ)ですよ」

 クレールは耳をチョイッとつまんでニッコリと笑う、なんかその仕草にドキッとしてしまった。というかやはり森人族(エルフ)は美しい種族なのだな、と感じる。

 彫刻のような造形、尖った耳、切長の目、そしてほっそりした体型、美形しかいないというのも理解できる。

「どうしました?」


「昔の友人に半森人族(ハーフエルフ)の魔導士がいまして……ちょっと思い出したのです」

 少し照れながら答えると、クレールはああ、と頷いた。

「そうなのですね、そうか半森人族(ハーフエルフ)ね」

 少し考えるような動作をして、俺に顔を向けるとクレールはこちらへ、と歩きながら続けた。

「私は気にしませんが、他の森人族(エルフ)半森人族(ハーフエルフ)の話はあまりされない方が良いと思います」


「え? なぜですか?」

森人族(エルフ)の大半は半森人族(ハーフエルフ)の存在を疎ましく思っているものも多いのです、特に今でも森の女神に従属する森人族(エルフ)は純血主義です。とても排他的とも言えます」

 そっか、確かに昔遊んでいたゲームなんかだとエルフは純血主義、ハーフエルフは人間、エルフ双方から迫害されているという設定のものも多かったはずだ。

 まさにその通りの図式がこの世界では起きているということか。

「クレールさんはそうではないのですか?」

「私は、異端者(アウトサイダー)森人族(エルフ)なので……実は私もサーティナ王国の出身です。あの王国には異端者(アウトサイダー)森人族(エルフ)の森があるんですよ」

 え、それは知らなかった。先生も森人族(エルフ)のことはほとんど話してくれなかったし、日常でも全く接することすらなかった。それは大学に通っていてもそうだったので伝承の通りまさか同じ王国にそんな場所があるとは……。


「こちらです」

 クレールはそんなことを話しながら学生の受付に案内してくれた。

「クリフ……さんと呼んでいいですかね?」

 クレールが少し恥ずかしそうに俺に聞いてきた。

「はい、私のことはクリフと呼んでください、先輩」

「え? せ、先輩?!」

 素っ頓狂な声をあげるクレール。少し顔が赤い。

「え? 大学では先輩じゃないんですか?」

「あ、いや先輩って呼ばれるのがちょっと恥ずかしかったので……私のこともクレールと呼んでください」

「ありがとうございます、クレールさん」

「クリフさん、それではまたお会いしましょう」

 クレールはニッコリと笑うと去り際に可愛く手を振ってくれた。


「いやー、なんか美少女と話す機会がこの世界に来て増えたなあ、デュフフ」

 そんなことを思いつつ俺は学生受付に向かった。

「面白かった」

「続きが気になる」

「今後どうなるの?」

と思っていただけたなら

下にある☆☆☆☆☆から作品へのご評価をお願いいたします。

面白かったら星五つ、つまらなかったら星一つで、正直な感想で大丈夫です。

ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。

何卒応援の程よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ