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ゲームプランナー転生 異世界最強の魔道士は企画職  作者: 自転車和尚
第一章 混沌の戦士編

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19 混沌の戦士(ケイオスウォリアー)04

やっぱり死んでなかった!はお約束

「全く……普通なら死んでますわよ」


 アルピナが瓦礫の中から立ち上がる。肘から先の左腕を失い、腹部が大きく歪み骨格にも影響が出ているのか全身がおかしな方向へ歪んでいる。

「子供まで魔道士とは思わなかったですわ……」

 口から軽く青い血を吐き出し、憎々しげに俺を見ている。


 慌てて冒険者と暗黒族(トロウル)が戦闘体制をとる。

「まさかあれで生きているとは……」

「それは普通の生物(いきもの)に言うのですわね」

 アルピナはさも当たり前のように答えると、失った左腕を眺めていると切断面から泡が湧き、そのまま音を立てつつ肉がせり上がり、失ったはずの手が生えた。

 生えるのかよ、こいつ……。

「あとは背骨ね、私でなければ死んでしまったじゃないの」

 ボキッバキッと大きな音を立て、ガクガクと壊れた人形のような動きをしながらアルピナが姿勢を戻した。致命傷を自動回復とかチートすぎませんか、混沌の戦士(ケイオスウォリアー)さん。


「ただ、楽しかったですわ。ここまで傷をつけられたことはなかったですし」

 アルピナはあの不快な笑い声をケタケタとあげながら、俺を睨みつける。

「まさかあんなチンケな魔法で防ぐとはね……おかげで攻撃を喰らってしまったじゃない」

 ぎらりと俺を睨みつける目が不気味に光る。超怖い、明らかに俺のことを意識されてしまっている。


「お前の相手は子供ではないぞ、僕たちだ」

 セプティムが三日月刀(シミター)をアルピナに向ける。

 ジャジャースルンドも槌矛(メイス)を構えて油断なく距離を詰めていく。

「この状況下で何をしようと言うのだ、怪物め」


「それはね、こうするのよ」

 その言葉と共に、アルピナの立つ地面にぶくぶくと音を立ててドス黒い汚泥が湧き上がる。

混沌の汚泥(ケイオススラッジ)?! 自由に呼び出せるの?」

 ベアトリスが驚いたように叫ぶ。

 汚泥はアルピナに巻きつくとそのまま彼女を覆っていく。覆われた汚泥がさらに泡立ち、元の二倍程度の大きさになったところで不意に汚泥が地面へと落ち瘴気を巻き上げる。

 瘴気が晴れると、そこには下半身が巨大な黒い蜘蛛となり4本の腕を持つ……冒涜的な姿の魔物と化したアルピナの姿が現れた。それまでも体を覆っていた紋様ものたうつように激しく蠢いていて、どうみてもパワーアップしている状態だ。


「さあ、ここから第2ラウンドの開始ですわ!」

 アルピナはそう叫ぶと大きく四本の両腕を広げて構える。

「こっちが本当の戦闘スタイルっぽいな」

 カルティスが流れる汗を拭おうともせず弓を構える、流石に矢の先端が小刻みに震えている。


「さあ、始めましょうか。まずは動けなくしてあげる」

 アルピナの周囲に不気味な黒い黒点が次々と出現し、形を変えドス黒い槍として構成されていく。

「無詠唱で魔法だと?! しかもあの数!」

 セプティムが驚いて叫ぶ。


 アルピナが横に腕を振ると、槍が次々と発射される。

「逃げろ!!」

 その声に反応して冒険者と暗黒族(トロウル)が慌ててその場から大きくステップして槍をかわす。

 目標を失った槍は誰もいない地面に着弾、小規模な爆発を起こして地面を抉っていく。動きの鈍かった炎の精霊(サラマンダー)はその攻撃を受けて一瞬で蒸発してしまった。


炎の精霊(サラマンダー)が一撃で消滅……?」

 ベアトリスが訳がわからない、という表情で困惑する。

「これは<<黒色槍撃(ブラックランス)>>というの。私のオリジナル技と言ってもいいわ」

 アルピナが大きく歪んだ笑いを見せて話始める。

「さあ、次よ。せっかくなのでもっと楽しませてね」

 再び一〇本単位で槍が召喚されていく。これはまずい。


<<黒色槍撃(ブラックランス)>>が次々と冒険者たちに襲いかかる、まさに暴威としか言いようのない攻撃だ。

 今のところ直撃はないものの、皆避けるだけで精一杯という状況だ。

 攻撃が直線的で速度がそれほど早くないのが助かっている。ただ、小規模な爆発で石が撒き散らされるため、鎧の隙間などに次々と傷が造られていく。

 もともと軽装のカルティスやベアトリクスは細かく飛び散る石の攻撃で傷だらけになっている。こういうのって地味に体力や気力を奪われるんだよなあ……かくいう俺も細かい石が何度もぶつかり、打撲がどんどん増えている。


「炎よ、我が敵を打ち倒す力となれ! <<炎の矢(ファイアアロー)>>!」

 何もしないよりは、と反撃のために魔法を打ってみるがアルピナはこの魔法では避けようとすらしない。漆黒の紋様が蠢き炎の矢を包むような動作をすると、魔法自体が消失してしまった。

「そう、坊やはこれが最大の攻撃魔法なのね、見た目と一緒で可愛いわぁ」

 これには困った、俺の攻撃はほぼ無力化してしまっている。あとは魔法の盾(マジックシールド)くらいしか俺には覚えている魔法がない。

 小剣(ショートソード)は……効かないだろうな……。


「やっぱりあなたは私のオモチャにしてあげるわ」

 紫色の舌で舌なめずりをするアルピナ。よほど興奮しているのか、口の端から涎が滴り落ちている。

「クフフ……楽しみだわぁ……子供でたっぷり楽しむなんて何十年ぶりかしら」

 メキメキとアルピナの全身の筋肉が盛り上がる。

「疼くわぁ、早く楽しませて欲しいのよ、お姉さんのお願いよぉ!!」


「反撃するんだ!」

 セプティムの号令でパーティが攻撃に転じる。

 カルティスの弓矢、ベアトリスの攻撃魔法、バーバランドラのスリングショット。次々と放たれる攻撃を避けようともしないアルピナ。全身の紋様がその攻撃の悉くを無効化していく。


「援護します、神よ! 我が友の武器に祝福を! <<祝福(ブレス)>>」

 ジャクーがセプティムとジャジャースルンドに支援魔法をかけると、各々の武器が光り輝いた。

「ありがたい!」

 祝福された武器でセプティムとジャジャースルンドが攻撃に転じるが、アルピナは笑みをたやさずに素手でその攻撃を受け止める。今度は紋様の一部が手のひらに集中しているようにも見える。


「この程度の祝福で私の防御を崩せると思っているのかしら?」

 アルピナが不敵な笑いを浮かべて武器ごとセプティムとジャジャースルンドを投げ飛ばす。

「うわぁっ!」

「なんと!」

 二人は器用に姿勢をたて直し、無事着地したものの驚愕の表情を浮かべている。


 ここではた、と気がついた。そうかあの紋様が絶対防御になっているのであれば、それがない場所であれば攻撃が通じるのではないか、と。

「カルティスさん、僕にちょっと考えがあるのですが……」

「なんだ?」

 俺はカルティスに小声で作戦を伝え始めた。

アラクネのイメージにしたのは、もっと激しいイメージを考えてたんですが誤謬力がなくてうまく説明ができなかった、というのはここだけの話。


「面白かった」

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