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今日も俺は一日中、チャート画面を眺めながらひたすら金を増やす。
そんな生活にもいい加減飽きてたが、あいにく他にやることもない。何か自分にすべきことがあった気がするが、とうの昔に忘れてしまった。
「ああー、暇だ。なにか変わったこと起きないかなー...」
そんな数えきれない程繰り返した思考に今日も浸る。
ベットに寝転がりながら天井を眺めていると揺れを感じる。
「また、地震か。停電はやめてくよ」
いつもならすぐに止む揺れは収まることなく大きくなり続けている。
それにピークに達してからの継続時間が長すぎる。
「おいおい、地震はまだ来ない予定だろ!」
”管理者権限により世界番号???-????????に対して???計画を実行”
そう声を挙げていると突然頭に声が聞こえ気を失った。
「一体なんだったんだ、世界番号とか言ってたな。目をそらしてたがやっぱり箱庭だったか.....」
「あと、目の前に浮かんでるのはゲームステータスっぽいな」
レベル: 1
名前: 来栖牧人
状態:良好
生命力:14
頭脳:28
筋力:17
器用:15
耐久:14
魔力:35
スキル:Not Found
固有スキル:「夢幻領域Lv1、前世憑依Lv1」
これが俺のステータスか。それぞれの数値は置いとくとして、固有スキルとやらがすごそうな名前だな。
夢幻領域とかいかにも強そうな雰囲気を醸し出している。
(ほぉー、興味深いですねぇ。私がこのような形で蘇るのも。いまの状況も)
「だれだ!!どこから話しかけている!」
(あなたの前世ですよ、ステータスにも前世憑依というスキルがあるでしょう?そのスキルで呼び出されたのですよ。それに、あなたは私を何度か見たことがあるはずですよ。実験で死んだ古代の科学者ですよ)
「いや、声は聞いたことないから分からないだろ。それになんで俺が見たことあるの知ってんの?」
(もちろん、あなたの記憶を覗いたからですよ。すぐに分かることを聞かないでください)
あれ?なんか厳しくない?俺の前世。
(時間は有限ですよ、あなたが無駄な時間を過ごしていたからです)
やっぱ毒舌だわ、この人。
「とりあえず、よろしく頼む」
(今更ですが、しゃべらなくても念じれば話せると思いますよ)
(こうかな?出来たぞ。そういえば名前知らないけどなんて呼べばいい?)
(名前は覚えてないのでアビスで良いですよ)
アビス(さて、今の状況はステータスが現れたということですが、次の時代が来たということです。勝者が決定された盤面が終わり、新たなスタートラインに今立っています。今なら目指せますよ。私とあなたの悲願である進化を)
ああ、忘れてしまったことを思い出した。俺はそのために投資家になったのだった。科学技術での進化を目指すためには金がいる。そうして始めた手段がいつのまにか目的になってしまっていた。
既に答えは出てるじゃないか、考えるまでもない
牧人(何を持ってしても叶える。科学者よ、共に天へ行こう)
アビス(ええ。持てる全てを使ってお助けします)