七話
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王城へ向かう馬車に揺られながら、妃教育とはなんたるかを思い出す。
我が国、リングドン王国の妃になるものは高貴であり高潔、そして女性の象徴のような存在でなければならないとされている。
あくまで我が国の作法であり、隣国などの教育法は知らないが、このリングドン王国の妃教育ならば何十回と繰り返して受け、そして極めてきたルミナにとってはもはや分からない事などないというほどであった。
だからこそ、ステファンがしっかりと妃教育を理解していないことが腹立たしかった。
あんなにもソフィーならば出来ると豪語していたくせに、その実態を知らなかったのではないかと思わずにはいられないからだ。
ならば教えてやろうと思った。
どんな事が妃教育では行われるのか、魂に植え付けてやろうという気持ちでルミナは燃えていた。
王城につくと執事に案内され、ルミナは事前に指定していた図書室へと足を踏み入れた。
本の匂いが胸いっぱいに広がり、ルミナは大きく息を吐くとソファに腰掛けるステファンとシャロンに一礼をする。
「本日はお招きいただきありがたく存じます。」
「あぁ。さぁ約束の日だ。今日はルミナ嬢には妃教育を教えていただこう。あぁ、それと、キミの言う妃教育が本当に正しいかどうか判断してもらうために、今日は一人侍女を傍に置くことを許してくれ。」
そう言ってステファンの横に控えていた、三十代後半の女性が一歩前へと歩み出た。
「王妃様付侍女のアルマございます。本日は僭越ながら見学させていただきます。」
ルミナは一瞬目を見開きそうになるのをぐっと堪え、優雅に微笑みを浮かべた。
「忙しい所、ありがとう。本日はよろしくお願いいたしますわ。」
アルマはいたっておとなしそうな侍女に見えるが、元々は子爵家の令嬢であり、ステファンの母シンシアが妃教育を受ける時から傍に使えるようになった侍女である。それはそれは恐ろしく事細かな所にまで気づき、時には苦言を呈することも出来る実力者である。
確かにアルマであれば妃教育のなんたるかについて事細かに把握しているであろう。
これでステファンが逃げる道もなくなったというもの。
ルミナは嬉しそうに笑みを浮かべると、数人の侍女に手伝ってもらいその目の前に、本棚からたくさんの本を取り出しては積み上げていく。
「お、おい。突然なんだ?」
ルミナは笑顔で答えた。
「机に乗る分だけでも、妃教育の本を乗せて見せましょうかと思いまして。」
「は?」
「物量で見た方がまずは分かりやすいかと。ふふ、これでまだ十分の一にも満たないのですよ?」
ステファンの前に置かれている長机にはすでに本の山が出来ている。
その光景に、ステファンもシャロンも口を開け広げて呆然と見つめていた。
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