無題
スケルトンマローダー狩りは順調に進んだ。
一度パターンを構築すれば、後はひたすら繰り返すだけ。
体にしみこむまで反復練習するのには慣れている。
モンスター相手に約束組手をしていると思えば、子供のころからしてきたことと何も変わらない。
どう動くか決めておき
思うよりも早く体が反応するまで
反復、反射、無心
足のまめが潰れても構わず続けていた。
もちろん痛みはあった。
でも、それ以上に
早く黒帯になりたくて
早く昇段したくて
早く三段になりたくて
でも、三段にはなれなかった
親父は認めてくれなかった
剣道には敵わなかった
俺のやってきたことが全部否定された気分だった。
(・・・どうすりゃ勝てたのかな。)
悔しさがこみあげてきた。
昔は頭の中をからっぽにして目の前のことに打ち込むことができたのに
今ではそんなこと、どうやったらできるのかわからない。
(・・・集中しねえと、付き合ってくれてるレンに悪い。)
俺は黙々とスケルトンマローダーを狩ることに徹した。
午前3時前か・・・。
「あー、さすがに疲れた。」
俺はレンの様子を伺った。
「疲れたね。6時間で30%か、最初の計算で大体あってそうだね。」
今日の狩りは終わりでよさそうだな。
「1時間5%か。70÷5で後14時間。ほんと、ちょうど20時間かかる計算になるな。」
今週末がっつりやったとしても、厳しいか。
「後14時間・・・。」
「カンストしちまえばこの苦行も報われるってもんだ、とりあえずLv59は週末までおあずけだな。」
今度はレンのやる気を伺った。
反応はなかった。
さすがに6時間ぶっ続けの後だ、そんな元気もないか。
「んじゃ、街戻って落ちるわ。また明日な、レン。」
明日の約束だけすることにした。
「わかった、僕もそうする。お休み、コウちゃん。」
明日はOKらしい。
俺は『帰還の玉』を使用し、王都の広場に戻ると、すぐにログアウトした。