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97話 ブレイブ基地

 ソフィーの誕生日の翌日、俺達は異世界に旅立った。


 ンドワン国の大使館の地下室に全員集まり、メンバー全員が魔法円に入ったのを

見て、ソフィーが中心に設置された大きな魔水晶に魔力を注ぐ。


 あれから改良されて、呪文や魔法名を叫ばなくても作動するようになった。


 俺達の周りにある魔法円の頭上に例の雲のモヤモヤが現れたかと思うと、次の瞬

間!俺達は、魔法円の真上に出来た雲のような物に吸い込まれた、と思ったら、俺

達はすでにトンネルのような所を移動していた。


 そのうち進行方向にから眩い光が刺して来たかと思うと……。

大きな広場に作られた魔法円の上に俺達はいた。


「?着いたのか」


「着いたの?」


俺とミオンがあたりを見渡しそう言うと……。


”パッ”とあたりが明るくなり、何処からともなくニールさんの声がした。


「おかえりなさい皆さん」


「えっニールさん?」


「どこどこ?」


俺とミオンの言葉に、笑顔で時田さんが言った。


「あそこのスピーカーからですよ」


「「ああ!」」


俺とミオンは時田さんが指差す場所にあるスピーカーを見て納得した。


「今皆さんが居るのは地下3階です。奥のエレベーターで地下6階までお越しください」


そう言われ、あたりを見渡すと確かにあの馬車があり、ジャイアントシャベルと戦った場所だとわかる。例のジャイアントシャベルがあけた穴をコンクリートで埋めた形跡が見て取れたからだ。


「でも、ここは確か作業用オートマトンを収容する場所ではなかったですか?」


とクレアさんが疑問を投げかけるが、それに全てわかっていますよって顔の時田さんが答えた。


「ええ、作業用オートマトンの格納庫は、1つ上の武器庫を片付けて移動しました……といいましても、現在、作業用オートマトンは24時間体制で稼働中でして、2階には一台も残ってませんけどね」


「地下6階というとぅ~あの神殿のような建物があったところかしら~」


そうエドナが言うと、時田さんはニッコリ笑って頷いた。


「あのぅ~エレベートと言うのは何でしょうか?」


そう聞くソフィーの疑問に、時田さんではなくミオンが答える。


「昇降機……ほら、例の落とし穴……あったでしょソフィー」


「はぁ……」


と生返事のソフィーに対して、俺がミオンに言った。


「ミオン、ソフィーは現場を見ていないからわからないと思うぞ」


「それもそうか……まぁ、行けばわかるっしょ」




◇◇◇◇◇





3台のエレベーターが直されていた。

両端の2台は資材搬入用にと使っているとのことなので、俺達は真ん中のエレベー

ターで地下6階に降りることにした。


 ”デカイ”確かに大きい。軽自動車が3台同時に乗る……ただし、横にだけど。

奥行きは幅に比べて常識的な大きさと言っても3~4mはありそうだが……。


「ひゃ~」


「うっ」


「にゃ~」


「うっ……」


エレベーターが下降する時の例の”フワ”っと感に異世界組の、クレアさん、エドナ

さん、アイーシャさんそしてソフィーが声を漏らした。


”ピン”


 6階にエレベーターが到着した。


 エレベーターを降り、しばらく通路を進むと……あの小ぶりのパルテノン神殿

風の建物が見えて来た。


 早速、建物の中に入り、内部の通路を進むと…正面に大きな扉が見えて来て、扉

の前に俺達が立つと扉は”スー”と左右に別れ、20畳くらいの部屋が現れる。


 正面には大型モニターがありその手前には、Vの字の形をした大きなテーブル。

そして、左の壁側には、いくつもの操作パネルといくつかのモニターパネルが並んでいて、そこにニールさんがモニターを見ながら忙しく作業をしていた。


 俺達が部屋に入って来たのに気付き振り返って、


「さぁ、どうぞお席の方へ」


と例のV字のテーブルへと俺達を案内する。


 V字の左側の部分に、俺、ミオン、ゲキ、シノブ、時田さんが座り、右側の方に

ソフィー、クレアさん、エドナさん、アイーシャさんが座る。どうやらアイーシャ

さんの隣の最後の席はニールさん用のようだ。


 ニールさんは自分の席には座らず、正面の大型モニター横に立ちこのブレイブ基

地の説明をする。


 ニールさんの説明では、ここ地下6階は中央コントロール権作戦室。

この中央にあるモニターを初め、左側にあるモニター類はこの砦のあちらこちらにある監視モニターからの映像を見ることが出来、さらに、レーダー監視やセンサー類のコントロールをする。


 また、短波による通信の受信送信を行う。

今のところ、イーシャイナ王国(俺達が王子を救出中に時田さんが設置)とアルブ王国(俺達が自分の世界に戻ってる間にニールさんと修復班で設置)としか連絡は取れないが、2国とのやり取りはモールス信号でするらしい。


 因みに、このモールス信号でのやり取りは、コンピューターで普通の言葉に変換する。この砦(基地)ではミオンが担当し、イーシャイナ王国とアルブ王国では、受信後コンピューターで言語返還後、プリントアウトする。

 また、送信はそれぞれの国の担当者が紙に書いたものをスキャナーでスキャンし、それをコンピューターで、モールス信号に変換するというシステムで、その機材や送受信に必要な電気は、魔結晶にためた魔力を魔法円で電気に変換、さらに変圧器にかけて利用するとのことだった。


 そして、この中央コントロール室兼作戦室の右側の壁にある2つの扉のうち、一つは簡単なお茶や料理がここでも出せるようにと、給湯室と言うよりちょっとしたキッチンになっている。


 もう一つの扉は……廊下になっていて、それぞれ男女に別れたトイレに通じる扉だそうだ。


 また、中央コントロール室兼作戦室に入る通路左右の壁にあった扉は、男女それぞれの更衣室になっているそうだ。


(なんに使うんだろうね)


次に各フロアーの説明に入った。


 1Fの塔真下の所は今のところ何もない……って言っても現在あるものを部品単位で搬入しており、それの組み立てを行っているのだそうだ。


(それは何かは、今は秘密らしい)


 次に地下1階、元は武器製造場所についても、今のところそのままになっている。


(使い方は現在検討中)


 地下2階の元武器庫については、初めに説明された通り、作業用オートマトンの格納庫。


 地下3階は、転移魔法円。


 地下4階は、元100人隊長クラスの住居だったが、あまりにも建物が朽ちていたので取り壊し、現在滞在中のシノブところの修復班の人たちの仮設住居を立てて使用しているとのことだ。


 また、開いているスペースに将来は闘技場と……それに隣接した大浴場を設置する予定らしい。


(えっ、大浴場?ですか)


 地下5階は、元上級騎士クラスの住居後。

これは、意外と建物がしっかりしていたので、エレベーター近くの3つの建物を少し改造し、俺達の住居、男女1棟づつと大食堂に改造したらしい。


 地下6階は、先程説明を受けた、中央コントロール室兼作戦室。



 地下7階は、トレーラーの発進場。


アルブ王国への通路以外は、ほぼそのまま使えるとのことだった。


 そして、そして……なんと!この7階の下にも実はある施設があったそうだ。


 地下8階、ここは調査の結果、大きな川……って言うか地下水脈が流れており、幅10数mで毎分何トンと言う水が流れており、もともとケンタウロス達は、この水脈の水の勢いを使い水力発電を行い、さらにそこで作られた電力を蓄電池で溜め、この砦の維持に使っていたということだ。


また、この豊富な水を使って、この基地の上下水道に利用するって言っていた。


(なるほど……だから大浴場ってわけか)


 現在は、ケンタウロス達が設置した発電機や、蓄電池の一部で機能不全を起こしていた物を俺達の世界の物と交換し、ケンタウロスが使っていた当時より改善したとのことだった。


 次にメインモニターを切り替え基地の外観の説明をするニールさん。


 元砦にあった朽ちかけた城壁を取り壊し、約直径1Kmの砦を囲むように幅3m深さ4mの堀を巡らせ、その堀外と内にそれぞれ、高圧電流を流せるフェンスを張り巡らせているとのことだ。


 それに加え、地下水脈の水を使い堀には水が張ってある。


 これで、ある程度の魔物は防げるとのことだった。


 また、砦内の建物は随時、今取り壊し中で、砦を時計に例えると、3時~6時の方向の分の建物はすでに取り壊し、整地してあるとのことで、残りの部分についても随時取り壊す予定だそうだ。


 なんでもその朽ちた建物に小型の魔物が今もいるようで、なかなか工事が進まない原因でもあるみたい。


 また、中央の3階建ての塔の部分の最上部には、レーダーや無線送受信の装置が取り付けられている。


 以上の説明をニールさんから聞いた俺達は、一旦先ほどニールさんが言っていた地下5階の自分達の住居に向かうことにした。


 因みにソフィーはこの後大事なお仕事があるそうで、その場にニールさんと残る。

例の作業用オートマトンの魔力充填をするんだろう。

なんせ、もう2週間以上24時間体制で作業をさせていたから、そろそろ魔力が切れるころだろうから。





◇◇◇◇◇





 ソフィー以外のメンバーと地下5階へとエレベーターで上がる。


 エレベーターを降りて通路を歩き、煉瓦作りの建物がある場所まで移動した俺達。

以前とそう見た目は変わらないように思ったが、あの時にはなかった外階段と、建物の2階部分にデッキがあるのに気付く。


 もともと、この煉瓦作りの建物は、確かに通常の俺達の世界で言う2階建てと同じ高さがある建物ではあったが、本来平屋であったはずなんだけどね。


 これは、あまりにも天井高になるので、建物の高さの半分で、区切り床を作り、本来3つ分の部屋を6つに分けて使用するよう改造し、それに伴い、外階段と2階の部屋の入り口部分の前にデッキを設置し、所謂アパートのような作りにしたようだ。


 向かって左側が男子の棟で右が女子の棟。そして、女子の棟の奥の棟が食堂がある棟になっている。


そして、男子の部屋割りは、1階に時田さん、シノブ、ニールさんで2階に俺とゲキ後の一つは今のところ空き部屋になっている。


女子の部屋の割り当ては、1階にクレアさん、エドナさん、アイーシャさんで2階にミオンとソフィーの部屋があり男子と同じく2階のあと一つは空き部屋となっていた。


 とりあえず、各人自分の部屋に入る。


 俺も外階段からゲキと一緒に2階に上がり、そこでゲキと別れ自分の部屋へとドアを開け入る。ドアは普通の取って付きの引くタイプのドアで、開けるとそこは、かなり広い部屋。俺とゲキとミオンの3人の部屋には入り口に靴を脱ぐようになっていて、右手の壁には靴箱もある。


 俺は、靴を脱いで部屋に入る。ワンフロアー……所謂ワンルームタイプの部屋だが……24畳の……ひ・広い広すぎる部屋。


元々40畳くらいはあったが、防音や各種配管(上下水道)それに、バス、トイレを設置したため、この広さになった……ってことだけど。


 玄関で靴を脱ぐと、目の前には台所……流し台があり、一応IHコンロも1つある。

その横には小ぶりの冷蔵庫。そしてその上に小型の電子レンジを置いてある。

さらに、右手奥にはベットが据え付けてあり、奥の壁にはウォークインクローゼットも用意されていて、流し台の右の方にはトイレとお風呂がある。

ちゃんと部屋とは区切られ、扉もある。 


 部屋中央にはテーブルとイス2脚が、置いてあった。


 流し台の反対側には42インチの大型の壁に掛けられたテレビ……ではなくモニター。これは他の部屋とテレビ電話にも使えるし、お気に入りのDVDやゲームで遊ぶこともできる。当然、緊急事態の時は、中央コントロール室にもつながっている。


 台所は別にいらないんだけどね、だって食堂が別にあるからここで俺が料理を作ることはおそらくない。しいて言えばインスタントコーヒーを飲むくらいだろう。


 一応、流し台上には各種調理道具や、食器が並んではいるんだけど。


 部屋に入って、ベット奥にあるウォークインクローゼットを開けると……わずかな上着と、こないだアルブ王国でシノブにもらった例のフログコートなど数点。


 元々服の数が俺は少ないので、あっちの世界で俺が使ってる服を持ち出すと、確実にかあさんにばれるので、今回例の資金を使って下着も含め買いそろえたもの。


 下着やTシャツなどはクローゼットの中にある整理ダンスに仕舞ってあるんだけど全体に見てごそごそ……まぁこんなもんだわな。


 そんなことを考えていると、壁に掛けてあるモニターのランプが点滅したので、俺はリモコンでスイッチをオンすると……。


 大型モニターに……時田さんのドアップの顔が映りそれに”わっ”て驚くと、時田さんは咳ばらいを一つしてから、


「そろそろお昼のご準備が出来ましたので、食堂の方にお越しください」


とだけ言ってモニターは切れた。


(時田さん俺が驚いたことに怒ってるのかな……)


(まぁ、兎に角食堂にいこう)


そう思い、部屋を出て食堂に向かう俺であった。



基地がようやく完成……まだ、完全ではないですが

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