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95話 ソフィーの誕生日 前編 (流しそうめん)

7月16日、今日はソフィーの誕生日。


 以前のシノブの誕生日のように慌てて用意することはもうない。

あれ以降、皆でお互いの誕生日をお祝いしようと、俺が提案し、今は皆の誕生日

をあらかじめ聞いてあるから、もう慌てることはない。


今回のソフィーの誕生日は、本来うちにホームステイしているので、俺の家でお

祝いするって、うちの とうさんが言っていたんでけど、メンバー全員だと俺の家

では少々ってか、だいぶ手狭なので、今回ここンドワン国大使館を使わせてもらう

ことに。


 幸い今日は土曜日で、うちの とうさんも休みなので、ンドワン国大使館で行わ

れるソフィーの誕生会に、うちの両親も参加することになった。


(うちの とうさん、前の晩からえらく張り切っていたわ)


 とうさんの発案で、部屋の中で普通にソフィーの誕生会をするのではなく、野外

でBBQをしながらの誕生会となった。


 ンドワン国大使館の裏庭を借りて、朝早くからうちの とうさんを中心に誕生会

の準備に皆で取り掛かった。


 俺やゲキ、シノブに時田さんが加わり、椅子やテーブルの設置に、BBQコンロ

や、日よけのためのタープを張ったりと準備に勤しんでいる。


 その傍らで、うちの とうさんと、なぜかアイーシャさんが、細い木を三本ず

つ用意してその端をロープで縛り、反対側を広げ地面に置き、開いた足の部分を

針金で固定し、段々になるよう高さを変えて設置していく。

そして、そこに長い竹を真っ二つに裂いた片方の竹を置き、スロープ状にする。

 さらに、もう片方の竹をその下に段になるように設置すると……。

って……あっ、あれね。

俺とゲキは、とうさんとアイーシャさんが作るものを見て”ピン”と来た。


 一方、女性陣はと言うと、俺の かあさんを中心に、エドナさん、クレアさんに

大使館メイドのレラトさんも加わり、BBQに使う野菜や肉などの食材を切ったり

剥いたりしていた。


 また、エドナさんと、うちの かあさんがBBQの食材と並行してソフィーの誕

生日用ケーキも焼いている。


 ソフィーは今回の主役なので、大使館客間で待機してもらっている。


 そして、約1名……我らの問題児のミオンさんはと言うと、会場の真ん中にデレクターチェアーを据え、何やら俺達に指示を飛ばしているが……。


 ほとんど皆、俺も含めて、ミオンの言うことは聞いちゃいない。




◇◇◇◇◇





 炭を熾し、ある程度準備ができたので、一番暇にしていたミオンにソフィーを呼

んで来てもらうことにした。


 ミオンに連れられソフィーが会場に登場すると、全員で所謂”お誕生日の歌”を

合唱する。


 それに、少し戸惑いながらも嬉しそうなソフィー。


 歌の終わりに合わせ、メイドのレトラさんが蠟燭に火のついたケーキーをソフィ

ーの前に持って来て、歌い終わりと同時に、ソフィーに蝋燭の火を消すよう促した。


 ためらいながらも、皆に即され17本の蝋燭の火を一気に吹き消すソフィー。


”ふー”


 蝋燭の火が消えると同時に皆でクラッカーを鳴らした。


”パン、パン、パン”


「「お誕生日おめでとう~ソフィーちゃん」」


「おめでとうソフィー!」


「ソフィーこれで私と同じ17(セブンティーン)だね」


「姫……いえ、ソフィーさんおめでとうございます」


「ソフィーさんおめでとうございますぅ~」


「おめでとうですにゃ」


「Happy Birthday!Missラグナヴェール」


「お・おめでとう……ソ・ソフィーさん」


「おめでとうございます。ラグナヴェール様」


「ラグナヴェールさんおめでとうございます」


うちの両親、俺、ミオン、クレアさん、エドナさん、アイーシャさん、シノブ、若

干”カミカミ”のゲキに時田さんにレトラさんからそれぞれお祝いの言葉を掛けら

れ少し照れたような表情のソフィー。


その様子を見て、うちの とうさんが間髪入れずに言った。


「それじゃ、ソフィーさんの誕生日を祝しカンパイしよう~」


うちの とうさんの言葉に、手際よく、レトラさんと時田さんが各自のコップに飲

み物を継いでいく。


 コップに継がれた飲み物って言うのは……所謂、シャン○リ……ノンアルコールのスパークリングワイン擬き。


 これは、単に俺達が未成年だから……って訳でなく、単にうちの とうさんのわがまま。


 うちの とうさん……お酒が飲めないのよ。


 各人のコップにシャン○リがいき渡ったのをみて とうさんが発声した。


「ソフィーさん改めてお誕生日おめでとう~カンパイ!」


「「「「「「「「「カンパイ~」」」」」」」」」


乾杯の後、ソフィーが言った。


「みなさん、わたくしのために、このような会を開いていただきありがとうございます」


そして深々と頭を下げるソフィーに、うちの とうさんが言う。


「そんな硬い挨拶は抜きにして、さ、ささぁ、食べよう~ソフィーちゃん」


と仰々しくするソフィーに優しく声を掛ける。


「あっ、はい」


と、とうさんに言われ返事をするソフィー。


 時田さんが、手際よくBBQコンロに肉や野菜を並べ焼いているが、まだ焼きあ

がるにはまだ少しかかりそう……なのに?


 約若干2名の食いしん坊達が、箸を片手に、BBQコンロの前に立ち臨戦態勢を

とる。


それを見たうちの とうさんが2人に声を掛ける。


「ゲキ君、シノブ君、まだ、肉は焼けないようだから、先にこっちを」


と言いながら、あの例の竹と木で作ったスロープ状のものを指差しながら言った。


 シノブはそれを見ても?なようだったが、ゲキは、とうさんの言う意味をすぐに理解してシノブを連れてそのスロープ前に行こうとした時、うちの かあさんが2人に声を掛ける。


「ゲキ君。シノブ君、めんつゆと薬味を持ってきなさい」


そい言いながら2人を手招きしすると、かあさんの所に来たゲキとシノブに続けて

言った。


「ここにめんつゆが入ってるから、それを持って行きなさい……あっ、それに薬味

はこっちに置いてあるの入れなさいね……それと、ここに並んでいるのが付け合わ

せだから好きなの入れなさいね。」


とテーブルにある薬味皿と、付け合わせとして、大皿に並べたものを指差した。


そして、俺達の方に向き


「皆も、今から流しそうめんするから、同じようにして、あそこに行って」


「あっ、セイア、ミオンちゃん、ソフィーさん達はよくわからないみたいだから2

人でちゃんと説明してあげて」


「「はぁ~い」」


かあさんに言われ、俺とミオンが声をそろえて返事をした。


「ナガシー……そうめ?って何でしょうか」


と首を傾げ言うソフィーにミオンが笑顔で


「そうめんを流して食べるのよ」


と胸を張りソフィーに言う。


(おいおい、それじゃ全然説明になってないぞミオン)


「そオめんって、ラウメンのようなものですぅ~か」


エドナさんがさらにミオンに聞く。


「いや、ラーメンより細い面で、それを冷やして食べるんだけど、今回はそれをあ

そこから とうさんが流すからそれを俺達は箸でキャッチして食べるという趣向な

んだよ。」


とミオンが説明する前に俺が言った。


「流す……キャッチ……?」


と頭に疑問を浮かべて言うクレアさん。


「まぁ、やってみればわかるわよ、クレアさん、ソフィー」


そう言って、皆にそうめんつゆの入った器を手際よく渡していくミオン。


そして、俺が皆にまず入れる薬味を説明する。


「こっちが、刻みネギで、これが刻んだみょうが、そしてこっちが摩り下ろ

したショウガに白ごまね」


「どれをいれれば……」


と薬味を前に固まるソフィーに俺が


「んじゃ、取りあえず、俺と同じもの入れてみる?」


「あ……はい」


こくりと頷くソフィーのめんつゆが入った容器に俺が、白ごまと刻みネギにショウ

ガを入れ渡す。


それを見た、クレアさんエドナさん、アイーシャさんも同じものを入れた。


 シノブはすでにゲキにレクチャーされたらしく、みょうがと、ショウガを入れて

流しそうめんの所にスタンバっている。


「皆、まずはトッピングなしで食べてみて」


俺はそう言うと皆は頷いた。





◇◇◇◇◇





 全員流しそうめんの所で、竹の筒を挟んで並ぶ。

向かって右側に、ゲキ、クレアさん、エドナさん、アイーシャさんで、左側にシノ

ブ、俺、ミオン、ソフィー。


皆が並んだのを見て、とうさんがホースから勢いよく水をトイ状の竹に流し、


「じゃ、そうめん流すよ~」


と言いながら続いてそうめんを一把づつ流していくが……。


それを、ゲキとシノブが次々に取ってしまい俺達の所まで流れてこない。


(おいおいお前ら)


「ちょっと、2人ともいい加減にしなさい!」


俺が思うと同時に、ミオンが叫んだ。


2人は、頭を掻きながら申し訳なさそうにしていた。


「じゃ、ゲキ君とシノブ君は最後尾に回りなさい」


と、とうさんが2人に言うとゲキとシノブはしぶしぶ後列へと並ぶ。


「じゃ、いくよ~」


再びテンポよく、とうさんがそうめんを流し始めた。


俺を初め、ミオン、クレアさん、エドナさん、アイーシャさんが、流れてくるそうめんをキャッチし食べる。


「うまい」


「う~んやっぱ夏はこれだね~」


「う……冷たくて美味しい」


「また、ラウメンとは違う食感ですねぇ~」


「冷たくて美味しいにゃ~」


「……」


それぞれが、そうめんを食べ感想を言う中、1人だけそうめんを上手くキャッチで

きずに未だ食べれない人が……。


「はい、ソフィー」


未だそうめんをキャッチ出来ずにいた、ソフィーの器に俺がキャッチしたそうめん

を入れて言った。


「あ……ありがとうございます」


と、そうめんを取れずにしゅんとしていたソフィーが俺に小声で言う。


 しかし、そうめんを口に入れた瞬間、満面の笑みを浮かべ


「お~いしーです。そうメン」


と言うソフィー。


「じゃ皆、そろそろ味変えるためにトッピング入れて食べてみて」


と かあさんが俺達に声を掛けた。


「「「「「「「「は~い」」」」」」」」



因みにトッピングは以下の通り


金糸卵を刻んだもの。玉ねぎのスライス、大葉の刻んだもの、プチトマト、ハムの

刻んだものにきゅうりの刻んだもの……に缶詰のミカン。


みんなそれぞれ、好きなものを選びトッピングして再度流しそうめんを楽しんだ。





◇◇◇◇◇





BBQコンロで焼けた肉や野菜を堪能し、お腹がいっぱいになったころ……。


 本日の主役にプレゼントを渡す。


とうさん    ホッパーライダーのDVD


(これは予想通り)


かあさん    浴衣


(おっナイスチョイス)


ミオン     浴衣用の下駄


クレアさん   巾着


(かあさんとミオンとクレアさんは相談して決めたみたい)


エドナさん   誕生日ケーキ


アイーシャさん ソフィーの木彫りの像


(これがのちに物議をかもしだすことに)


シノブ     シャルルのバック


(こいつ~ミオンとおんなじバックじゃねーか芸のないやつだな)


ゲキ      扇子


(へっ!ゲキにしたらセンスあるじゃん……たぶんうちのかあさんの入れ知恵だろ

うけど)



セイア  腕時計


(異世界には時計はあるんだけど、たいがいは大きな置時計しかないらしい。

そこで、あまり高くはないんだけど、自分のお小遣いで買える範囲(約5,000

円)を出して、バンドがピンクで四角く文字盤がいびつに並ぶ時計をネットで見つ

け可愛かったからそれをソフィーにプレゼントした。)




皆のプレゼントを見て目を輝かせるソフィー。


 因みにニールさんからもソフィーにプレゼントがあったんだけど、ここでは披

露できないものなので時田さんが預かり、後ほどソフィーに渡された。


「皆さんありがとうございます」


笑顔でそう言い、頭を下げるソフィー。

 

 そんなソフィーにうちの かあさんが言った。


「ソフィーちゃん、浴衣着て見て~」


「えっ、はい」


そう言って、かあさんはソフィーを着替えさせるため、ソフィーに付き添い大使館

の建物に入って行った。





◇◇◇◇◇





 ソフィーが浴衣に着替え終わり、かあさんと共に俺達の前に出て来た。


「おお!可愛い」


「セクシーだよソフィーちゃん」


「き・きれいです~」


「いい感じじゃん、下駄も浴衣に合ってるし」


「き・巾着もかわいいでしょ」


「きれいですにゃ」


「Wonderful~!Missラグナヴェール」


「よく似あっているぞ……浴衣もだが扇子も」


「お似合いですよラグナヴェール様」


「ラグナヴェールさんきれい」


俺、とうさん、エドナさん、ミオン、クレアさん、アイーシャさん、シノブ、ゲキ

に時田さんとレトラさんもソフィーを見て言った。



「えっ……そうですか……皆さんありがとうございます。」


照れながらも、皆にお礼を言うソフィー。


 そして、ソフィーの浴衣のお披露目が終わり少し落ち着いた頃、とうさんが急に

言い出した。


「みんな、まだお腹いっぱいでケーキは食べれないだろう~」


なにやらニヤニヤして、とうさんが企んでいる顔をしている。


 若干2名以外のメンバーは、とうさんが言う通りお腹がいっぱいなので頷くと、


「だろ~……じゃ、腹ごなしにゲームをやります。」


「「「「「「「「ゲーム!?」」」」」」」」


とうさんの言葉にメンバー全員が声をあげると


 ニヤついた顔を更にほころばせ言う。


「題してビームライフル大会!」


右手の人差し指を斜め上に突き出し、元気よく言うとうさん


「「「「「「「「ビームライフル!?」」」」」」」」


唖然とする俺達をしり目に意気揚々と胸をはるとうさんだった。


(何考えてんだろう……うちのとうさん?)


シャン○リ 豆ごはんが子供の時、お誕生会と言うより、どちらかと言うとクリスマス会で

よく飲みました。所謂、子供用シャンパンと言う触れ込みで流行ったものです。

名前の由来もシャンパン+メーリークリスマスだからとか。


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