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93話 燕沢甚平登場

エドモンド王とカリーナ王妃それにフェリクス王子達と別れを告げて、イーシャ

イナ王国を出発する。


 しばらく走ってから、電龍を呼び出し、砦から戻るときの要領で、給電しながら

走った。しかも2台分。


(流石電龍だ、2台給電しながらでも平気な顔で飛んでいる)


そして、地下道の入り口まで来た時、電龍をコンパクト(モンスターボール)

に戻してから、トレーラーは通路を進んだ。


 通路は幅も10mあり高さも10m近くあるのだが、さすがに電龍がトレーラー

の上を並走して飛びながら走るには少々窮屈なので一旦電龍には戻ってもらった。


 それでも、一度給電しなければならず、ケンタウロス砦手前の例の10マイル

(約16km)ごとにある広場にトレーラーを止めて5時間充電し、ケンタウロス

砦へと戻った。


 行きの半分の時間(日にち)ほぼ1日(24時間)でケンタウロス砦に戻ってこ

れた。


「皆さまおかえりなさいませ」


トレーラーを降りた俺達に、シノブの所の修復班30名が勢ぞろいして出迎えてく

れ、そのうちの一人班のリーダーらしき人物が俺達に声を掛けてくれた。


「ご苦労、準備の方は?」


時田さんがリーダーに声を掛けると、リーダーは言った。


「はっ、整っています。」


「よろしい……では、取り掛かってください。」


「Yes, sir.」


時田さんの言葉に修復班30名が一斉に敬礼をして、そう答えた。


 修復班のメンメンは、早速オートマトン100体を2号機から降ろす作業にかか

った。


トレーラーの2号機から降ろされたオートマトン達は、かつてグレムリン達が使

っていた小型の荷馬車に積まれ、それを電動バイクで引っ張り、かつて地下3階に

あったケンタウロスの馬車駐輪場へ運ばれて行く。


 地下3階にあったケンタウロスの馬車の内使えそうな物は、地上にある建物に仕

舞われ、また、ジャイアントシャベル達が侵入に開けた穴は、すでに大量のコンク

リートを注入し、固めたあるとのことだった。


ニールさんは、ここでシノブの所の修復班30名と残り、このケンタウロス砦を

俺達の異世界での拠点……つまり基地化を進めてくれるそうだ。




◇◇◇◇◇





 ニールさんが用意が出来たと言うので、仮に作った地下7階層中心部の直径50

mの円形台の隅に作った魔法円に俺達は入る。


 今回はニールさんはここに残るので、魔法円外でニールさんが、ソフィーに頷い

た。ニールさんが杖を大きくかざし、ソフィーが、魔法円中央部にある大きな水晶

(魔水晶)に触れ、魔力を注ぎこんだ。


すると、水晶から淡い青白い光がでて、魔法円全体に広がり魔法円に刻まれた魔

法文字や記号に次々と流れ、魔法円全体が光り出した。


 それを確認したニールさんは、杖を頭上に掲げこう言った。


「Paralleltransfer【異世界転移】!!」


俺達の周りにある魔法円の頭上に例の雲のモヤモヤが現れたかと思うと、次の瞬

間!俺達は、魔法円の真上に出来た雲のような物に吸い込まれた、と思ったら、

俺達はすでにトンネルのような所を移動していた。


(うん、これこれこの感覚)


とトンネルを異動しながら思う俺。

決して、不快ではないんだが……爽快って訳でもない。


 そのうち進行方向にから眩い光が刺して来たかと思うと……見覚えのあるンドワ

ン国の大使館の地下室現れた。




◇◇◇◇◇





「おかえりなさい」

 

大使館のメイドのレラトさんに出迎えられ、大使館1階の客間で、自分達のプロキ

シ オートマトン(分身人形)が来るのをレトラさんが入れてくれたお茶を飲みな

がら待っていると、しばらくして俺達の身代わりであるプロキシ オートマトン(

分身人形)が順次現れた。


 各自のプロキシ オートマトン(分身人形)の前に立ち命令する。


「「「「「「「「Reinttate!!!!」」」」」」」」


 すると、見る見る俺達のそっくりさんは唯の木人形に姿を変え、口の所からカー

ドを出し、それを各人食べる。


 口の中に入れたカードは一瞬にして消えてなくなり、それと同時に俺達の頭の

中にプロキシ オートマトンの記憶が流れ込んできた。


(ふんふん……なるほど……こっちの世界でもいろいろあったようだ)


 ミオンはバイクで家に帰り、ゲキ、クレアさん、エドナさん達は例の馬で帰って

行った。


 残された、俺とソフィーは……お互い顔を見合わせ……。


「バスで……」


と俺がソフィーに言いかけた時、時田さんが俺達に声を掛ける。


「お家まで、お送りいたします。」


「えっありがとうございます」


時田さんの申し入れに、正直ありがたく思いそう俺がお礼を言って頭を下げた。


(いい加減足がいるよな……)




◇◇◇◇◇





 翌日、土曜日で学校が休みなので、早速ソフィーを連れ電車で隣町まで行く。


 プロキシ オートマトン(分身人形)の記憶では、修理に出していた とうさんのバイクが修理を終えていると甚平叔父さんから連絡が来ていたからだ。


甚平叔父さんと言うのは、俺の かあさんの弟で、若いころ峠を攻める峠族ってのをやっていたそうだ。


 峠族ってのは、所謂暴走族とは違い、街中を徒党を組んで爆音轟かせて走る輩とは違い、純粋にスピードと峠のコーナーを迫るテクニックを競う集団のことらしい。


 まぁ、違法行為には違いないけど……。


 で、そこで、ある峠で、叔父さんは神掛かりのテクニックで記録を打ち立て、そ

れがあるレース関係者の耳に入り、GPレーサーとしてスカウトされ、レーサーと

して各地のレースやグランプリレースに出場し、レーサーとしての頭角を現してい

たらしいが、あるレース中で、転倒してしまい、その時の怪我が原因で引退した後

、バイクショップを出したってことだ。


 だから、甚平叔父さんのお店は、単にバイクを売るバイクショップではなく、叔

父さんが考案のレースバイク部品も作成しており、その道の人達には燕沢甚平と言

えば”神の手”と言われてる人らしい。


 って言っても俺は音吉でもないし、バイク好きって訳でもないから、俺にとって

は単に気の良い叔父さんって印象しかないけどね。


 ソフィーを連れ、駅から30分くらい歩いたら、甚平叔父さんのお店”Gショプ”

に到着した。


 店の前にはいろんなバイクが並んでおり、その間をすり抜けるように店の入り口のドアを開けた。


”カランカラン”


 ドアを開けると、昭和の喫茶店のドアベル(カウベル)のような音がする。


「いらっしゃい」


 バイクの修理をしながら、視線をこちらに向けず、甚平叔父さんは言う。


「こんちは、叔父さん」


と俺が声を掛けると、叔父さんは作業の手を止め入り口に立つ俺達の方に顔を向け言う。


「おっ来たかセイア!」


と言いながら隣のソフィーを見て俺にこう言った。


「セイアの新しい彼女か~、セイア」


「いや……」


叔父さんの彼女って言葉に口ごもる俺。


「なんだい、ミオンちゃんと別れたのか?」


「えっ、ミオンとは別れたとか……」


「なんだい、今はやりの2又か!セイア」


叔父さんの言葉にソフィーは俺の袖口を”ギュッ”と掴む。


「叔父さん!」


俺が少し怒ったように叔父さんい言うと、叔父さんは笑いながら


「わり~わり~、冗談だよ冗談……」


「叔父さんの冗談は笑えないよ~」


と少しむすっとして俺が叔父さんに抗議すると、叔父さんは少し呆れ顔で


「相変わらず、セイアは真面目だな~」


そう言って持っていたスパナをソフィーの方に向け


「その子、留学生の……」


と叔父さんが言いかけた時、ソフィーは1歩叔父さんの方に進み出て


「ソフィー=ラグナヴェールと申します」


と深々と頭を下げるソフィー。


その姿に、慌てて、叔父さんがスパナを降ろし、直立不動でソフィーにお辞儀して


「ご丁寧なご……ご挨拶いたみいります。」


「わ・わたくし、このセイアの叔父をやらせてもらってます燕沢甚平つばきさわじんぺいと申します。」


そのコミカルな動きを見て、ソフィーは思わず”ぷっ”と吹き出したのを見た叔父さんは満足げに


「よし、つかみはOk」


と言いながら、ガッツポーズをする甚平叔父さんであった。


(ほんと、なんでうちの親戚ってこんなんばっかなんだろう)




◇◇◇◇◇





 店の奥のガレージから、叔父さんが俺(正確にはとうさん)のバイクを出してきてくれた。

それを店の外に出し、セルのスイッチを入れる俺。


”キュルキュルキュル”


”ブオン~ブオン、ブオン”


勢いよくマフラーから排気ガスが噴き出る。


「吹上よくなったろ」


と叔父さんが俺に言うが、正直乗ったことないし、これを とうさんが乗ったのを

見たことがなかった俺はよくわからないが


「そうだね」


と適当な言葉を言った。


SIZUKIシズキ製GSX-R250は1987年制。

当時、新たに開発された水冷DOHC4バルブ直列4気筒エンジンは、最高出力

45psを14500rpmで発生し、丸目二灯というGSX-R伝統のスタイ

リングにスチール製のツインスパーフレームを採用したバイクだそうだ。


 バイクにまたがる俺の耳元で、叔父さんがうんちくをのたまわりだしたので、


「叔父さん、それよか修理代は?」


と俺が聞くと、叔父さんは手を横に振りながら、こう言った。


「そんなもんいらん」


「えっ、そんなわけにはいかないっしょ」


と叔父さんに言い返すと叔父さんはこう俺に言った。


「マフラーやサスペンションを今俺が開発中のレース部品に変えてあるから、その

テストってことでお代はいらない……ただ」


「ただ、乗るたびにこのチェックリストにその時の状態を記録してくれればいい」


そう言って、何枚かのペーパーを俺に渡す。


(なるほど、俺はテストドライバーってことね……正直面倒くさいな)


そう思ったけど、口には出さず。


「ありがとう叔父さん……じゃ、ヘルメットが2つほしいんだ」


「おお、良いぜ」


「そのかわり、そのお代は払わせてね叔父さん」


と俺が言うと、しばらく考えた叔父さんは


「わかった、じゃ好きなの選びな」


そう言って店の方に戻る叔父さん。


 俺はバイクのエンジンを切って、ソフィーを連れて叔父さんの後を追い、店の中に入ってヘルメットをソフィーと2人で選ぶのであった。




◇◇◇◇◇





 俺とソフィーはヘルメットを選び、お代を叔父さんに払うと、早速それをかぶり、颯爽とバイクにまたがり、後ろにソフィーを乗せ、エンジンを掛けた。


”キュルキュルキュル”


”ブオン~ブオン、ブオン”


「そんじゃ叔父さんありがとう」


「おお、きーつけてかえんなよセイア」


そう叔父さんと会話してバイクを発進させた。


 爽快にバイクは風を切り走る。


(なんか昔のアニメの主人公になった気分だな)









これで第2章が終わりです。次回から第3章ダンジョン激闘編になります。

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