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90話 砦救出作戦6(帰還イーシャイナ王国)

ワスプマン(等身大のスズメバチ)を片付けた俺は、皆のいる地上へと向かった。

地上に向かう途中で、ソフィーからの念話で電龍との経緯を聞いた。


(幾ら周りの首を飛ばしても、増えるだけ……と言って、本体の首は無敵って訳で

もないのか?)


≪名称         ヒュドラ ≫

≪戦闘力         9,000≫

≪防御力       80,000≫

≪スピード       1,000≫

≪MP        80,000≫

≪特技  毒息、毒、再生、本体の首は攻撃力10,000まで無効化≫



 今現在皆は、トレーラーにソフィーの魔力でバリアーを張り、籠っている状態ら

しい。ヒュドラの本体の首は別として、他の首は切り落とした後、炎で焼けば再生

できないと、言うことで、銃器で首を吹き飛ばして、クレアさんの炎系の魔法か、

シノブの火炎放射を使い吹き飛ばした後焼くか、いっそフェリクス王子の"氷結フ

ラッーシュ"で凍らせて、マクシムス将軍のグラン・クラッシャーで砕く……と言

う案も出たらしい……。


 と言うのも、シノブが装備品として持ち込んでいる防毒マスクを使えばヒュドラ

の毒息を防げるのでは……って話だったが、マクシムス将軍の話だと、ヒュドラの

毒息は皮膚おも侵す毒らしいので、防毒マスクと言うより、防護服でないと対処で

きないってことだった。


 結局、毒に対処できるのは、ヒュドラの毒に耐性のある電龍か生物以外……つま

り、ブレイブタンクやトレーラーの兵器と言うことになるが、すでにいずれも弾切

れの状態。


 天敵である電龍を使えば話は簡単ではあるが、以前の電龍の話であったように、

魔王軍はそれを狙って今回、ヒュドラを出してきたのだろうことは想像できる。


 結局、体が機械であるGUY BRAVE……つまり俺が対処するしかない。

ヒュドラの真ん中の本体の首が幾ら無敵だとは言え、それはこの世界の通常の人間

の攻撃に対してだということだし、俺の頭のデーターによると攻撃力10,000迄は無

効だと出ているってことは、それ以上なら通じるってことだ。また、天敵だとは言

え、電龍が仕留められるなら、まんざら無敵と言う訳でもなさそうだ。




◇◇◇◇◇




「バリブリン(ドローン)発進!」


ミオンの掛け声と共に、バリブリン(ドローン)がトレーラー上部ハッチから飛び

立った。


 俺は、しばらく上空で待機。


 飛び立ったドローンは、ヒュドラに近づくと、ヒュドラがドローン目掛け毒息を

吐いた。ドローンは、ヒュドラ吐く毒息で煽られ、少しバランスを崩すもののその

ままヒュドラの前まで飛んで行くと、搭載されている短機関銃イングラムM10を

2基がヒュドラめがけて火を噴いた。


”タタタタタタ”


 ヒュドラは、ドローンの短機関銃の9m弾を浴びるが、全然効いていないようだ。

わずか1.5秒で弾を撃ちつくすと、すぐさまドローンはヒュドラの頭上に上昇し

、今度は同じく搭載されているソフトボール大の特殊爆弾2つを投下する。


”ドカーン”


と特殊爆弾が爆発し、爆炎が上がった。


「今だ!」


俺はそう叫び両腕をフレイムアームに変え、両腕を前に突き出し、掌から勢いよく

炎を吹き出しながら急上昇上昇する。


 俺が両掌から炎を出すと同時に、Phoenixフェニックスも翼を含む全身から炎を吹き出

し……やがて俺の全身は炎に包まれた。


「ガルーダ・シャイン!」


俺がそう叫ぶと、俺の体を包む炎の温度が上がり、炎の色が赤から黄……そして青

色に変わり……真っ白な光に包まれた。


 真っ白な光に包まれた俺は、そこで急上昇を止め、そこから一気に地面で鎌首を

持ち上げている電龍めがけ急降下する。


 降下速度はグングン上がり音速を超え……おおよそ、M2.4(マッハ2.4)

に達する。


 そして、降下を続けヒュドラにぶつかる寸前で、


「ガルーダ・スパーク!」


そう叫んだ俺はそこから反転し、急上昇した。


 音速を超える急降下で発生した衝撃波と共に、俺の全身を包むプラズマの炎を同

時にヒュドラにぶち込んだ。


”ドッカーン”


物凄い轟音と地響きが鳴り響き、爆炎があたり一面に広がった。


「なっ!なんだと~!!」


ヒュドラの後方で、障壁を張り立っていた魔王軍(オブリヴィオン)サディコ将軍が思わず叫ぶ。


 ヒュドラを襲った衝撃波とブラズマの炎が作り出した爆炎が、サディコ将軍が張

る障壁を襲う。


「ばぁかな!」


「いかん!Transfer!(転送)」


そう叫んだサディコ将軍だが……叫ぶと同時に障壁は破壊され、爆炎に包まれてしまった。




◇◇◇◇◇




戦闘終了後、俺はヒュドラの居たあたりに降り立ち、俺のセンンサーでヒュドラ

の毒が残っていないか探ってみたが、ヒュドラの毒はプラズマの熱できれいに焼か

れ毒の反応は消えていた。


 っていうより、倒した魔物の死体も何もかもすべてが焼き尽くされ、何も残って

いなかった……唯一残っていたのは、魔王軍(オブリヴィオン)のサディコ将軍の立

っていたところに、黒焦げの右腕と、三又の槍が落ちているだけだった。


(サディコ将軍を倒せたのだろうか……。)

 




◇◇◇◇◇




トレラーはそのまま皆を乗せバックで砦の門から入る。

砦に居た沢山の兵士たちが歓喜の声をあげ、トレーラーを迎え入れた。

そして兵士達の歓喜の声に包まれながら、トレーラーは砦内部の中央にある広場に

停車する。


 俺は、マクシムス将軍とフェリクス王子の助言に従い、ガルーダ形態のまま、砦

中央の広場に止まっているトレーラーの横に降り立った。


 トレーラ横に降り立って直ぐ、ガルーダ形態を解除して、Phoenixフェニックス送還した。


俺が広場に降り立つと、一段と兵士達の歓声が高まり、照れくさいが周りに集まる

兵士達に手を上げ、歓声に答えながら、トレーラーから降りて来たマクシムス将軍

とフェリクス王子、そしてミオン達と砦にある、一際大きい作戦本部のテントに入

って行った。


「ふぅ~」


とため息を付く俺にフェリクス王子が笑顔で言った。


「ご苦労様、セイア殿」


「もう、変身解いていいですか?」


俺の言葉にフェリクス王子が頷き、横に居たマクシムス将軍が俺の肩に手を置いて言った。


「悪かったな、勇者殿、ああしてくれると兵達の士気が上がるんでな」


「はい、まぁわかりますけどねぇ」


マクシムス将軍の言葉に俺はそう答えて変身を解く。


「Release!」


 なぜ変身を解かず、そのままの姿で俺がこの砦に入ったか……それは、16歳の

若造があの予言された勇者だとわかると、兵士たちが驚くって言うのもあるが、何

より、オブリヴィオンの間者アントマンがまだ、偽装して潜んでいるかもしれ

ない、むやみに素顔を見せない方が良いだろうと言うマクシムス将軍とフェリクス

王子の助言を受けてのことだった。


 変身を解いた俺は、皆が座るテーブルの開いている席に座った。

すると、マクシムス将軍自ら金属製のマグカップらしき物にお茶を入れて俺の前に

置いてくれた。


「すまんな、ここは男所帯なもんでな」


「いえ、ありがとうございます将軍」


そうお礼を言って将軍が淹れてくれたお茶を飲みながら、皆で今後の話をした。

 




◇◇◇◇◇





一晩、この砦に泊まった……って言っても俺達は自分達のトレーラーの中だけどね。


「では、一足先に私は帰るが、後を頼むぞアラン」


「ははっ」


フェリクス王子がそう第一騎士団団長のアラン・マクラーレンさんに言うとアラン

さんは、王子に深々と頭を下げて言った。


「私は先に国に戻りますが、後のことアラン共々よろしくお願いしますマクシムス

将軍。」


そう言って、マキシム将軍に軽く頭を下げる王子に将軍は握手を求め2人はしっか

り握手して、


「ああ、任されよ」


と笑顔言う将軍だった。そして俺達に向かい将軍はこう言った。


「勇者殿、貴殿達も落ち着いたら一度、我祖国に遊びに来て下され~歓迎いたしま

すぞ」


と俺達にウインクしてきた。


 将軍のウインクには、少し驚いたが俺が笑顔で将軍と握手しようとしたら、横か

らミオンが割り込んで来て、俺に代わり将軍と握手するミオン。


「おっ……おい」


と俺がミオンに言いかけたがミオンはそんな俺を無視して笑顔で将軍と握手を続け

る。将軍も将軍で、ミオンの突然の行動に一瞬固まるが、ミオンの笑顔に若干……

嬉しそうに握手していた。

 




◇◇◇◇◇





今回王子は、一連のオブリヴィオンのことを王と話し合うため、砦に兵を残して

俺達と一緒に一足早くイーシャイナ王国に帰還することにしたようだ。


 残りの兵たちはマキシム将軍とアランさんが率いて、 電風の丘ダンジョンの入

り口を再度封印し、また一部のダンジョン監視部隊を残してから帰還するとのこ

とだった。


 今俺達が乗るトレーラーは一路イーシャイナ王国目指して進んでいる。

砦に向かうときに、ルートをトレーラーのコンピュータでスキャンしてあるので、

帰りは自動運転なんだ。


 しかも、電龍がトレーラー真上を飛びながら進み、トレーラーの上を飛ぶ電龍に

は電源の線を取り付け、尚且つそれをトレーラー上部に新たに設置した変圧器に通

してその変圧器からトレーラーのバッテリーに電気を送るようにしながら……。

 

 つまり、早い話が、充電しながら走行しているので、行きの半分の時間でイーシ

ャイナに着くことができた。


 ついでに言うと、トレーラー上空を電龍が飛んでいるおかげで、魔物が襲ってこ

ないおまけつきだった(笑)。





次回は、イーシャイナ王国に帰還し、ミオンが特注した服のお披露目。


あの伝説の美少女ヒロインの元祖の服です。

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