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89話 砦救出作戦5(ヒュドラと電龍のわがまま)

―――『電風の丘ダンジョン』付近連合軍砦上空(セイア視点)―――☆



 現在俺は、ワスプマン(等身大のスズメバチ)と交戦中だ。

100体居たワスプマン(等身大のスズメバチ)も今は30体に減ってはいるが

……。

 これは、俺1人で倒したのではなく、砦の城壁上部より、連合軍の兵士達が、風

魔法で強化して弓矢の飛距離を伸ばして攻撃したり、風魔法で飛距離を伸ばした

矢に、雷魔法や炎の魔法を付加した攻撃で、俺を援護してくれたおかげだ。


 ただ、この魔法で強化した矢は、魔力消費が激しいため、2~3射しては他の兵

と交代を余儀なくされるようで、一気にワスプマン(等身大のスズメバチ)を殲滅

するには至っていないが……。


 俺の方も戦闘当初、ワスプマン(等身大のスズメバチ)のお尻(昆虫で言うところ

の腹なのだが)からの毒針攻撃を一斉に受け、不覚にも左腕のエレクトリーアーム

に毒針を受けてしまった。


 毒針は毒ではなく、アントマンが吐く蟻酸と同じで、金属を腐食……ってか溶

かすようで、毒針を受けた俺の左腕はみるみる溶けた。


 俺は慌てて、左腕をシールドアームに変えバリアーを展開し、ワスプマン(等身

大のスズメバチ)の毒針を防ぎながら、右腕のマシンガンアームの鋼弾で奴らを倒

しているところだ。


 当初は、防戦一方で、なかなかすばしっこいってか、小回りが利き、数の原理

で攻めてくるワスプマン(等身大のスズメバチ)に苦戦していたが、連合軍の援護

があったのと、奴らの癖?のようなものを見つけ今は幾分楽に戦えている。


 奴らの癖?ってのが、毒針を放つ際、体を九の字に曲げお尻(昆虫的には腹)

を前に向けて放つ……その際に一瞬動きが止まるんだ。


 俺は、それに気が付き、その時目掛け鋼弾を叩き込むと、ほぼ100%命中する。

それでも、数が数なので、今だ30体が残っているって訳。


ワイバーンのように大きく、小回りの利かない相手なら、大技を使い一気に倒せ

るんだけどね……。こいつにはそれができないので、ちまちまと倒して行くしかな

いんだよねぇ~面倒くさいけど。


 そんなことを考えている時だった、俺は急にガルーダ形態を強制解除された。


「えっ!え―――――――――――――――!」


俺はそのまま地面に向け真っ逆さまに落ちる……。が、


Phoenixフェニックスは落ちる俺を両足でガッチリ掴み俺の落下を食い止めると、徐にワスプマン(等身大のスズメバチ)に向け首を水平に振りながら、目からレーザー光線を放ち、次々とワスプマン(等身大のスズメバチ)を赤いレーザーで焼いて行った。


 俺は、その光景を唖然として見ながら思った。


(そんなこと出来るの?……それぇ~早く言ってよ~)




◇◇◇◇◇




―――『電風の丘ダンジョン』付近連合軍砦前トレーラー内(ミオン視点)―――☆



「なにあれ~!」


 私は、トレーラーのモニターに映るうねうねした物体を見て、思わずそう叫んだ

の。


「あれは、ヒュドラだ」


無線から、マクシムス将軍の声がしたわ。


「ヒュドラ?」


そう聞き返す私に


「ああ、一般に9本首の蛇の魔物だ」


そう言うマクシムス将軍の言葉に、私は疑問に思ったことを口にしたの。


「えっ!でもあれ首が17本もあるわよ」


「ああ、恐らく何者かが、8本の首を切り落としたのだろう~」


そう答えるマクシムス将軍。


私の疑問に将軍は説明してくれたわ。


 将軍の説明によるとヒュドラと言う魔物は、9本の首を持ち、毒の息を吐く魔物

で、真ん中の首が本体で、この首はあらゆる攻撃を跳ね返すらしいの。


 で、他の首は切り落とすと、その根元から再び再生する……その際2つに増える

というの。しかも、厄介なのは奴の体液は猛毒で、肉を焼き尽くすらしいの。


 その厄介な魔物がこちらに毒の息を吐きながら、迫って来たわ。



「「退却!」」


マクシムス将軍とフェリクス王子が同時に叫び、それを聞いた兵達は慌てて砦に撤

退を開始したんだけど、1人の騎士が乗っていた馬がヒュドラの吐く毒息を吸って

しまいバタッと倒れたため、上に載っていた騎士が地面に転がってしまったの。

そこに、ヒュドラの吐く紫色の毒息が迫って来たわ。それを見たマクシムス将軍は

、転がる騎士の手前上空へと、手に持っていた”グラン・クラッシャー”をまるで

ハンマー投げでもするように低い体勢でぐるぐると回りながら投擲したわ。


「ふん!行け~グラン・クラッシャー・ボルテックス!」


地面に転がる騎士の手前、ヒュドラの吐く紫色の毒息の上空で、”グラン・クラッ

シャー”がクルクルと回転し、竜巻を発生させたの。


 竜巻は、騎士に迫るヒュドラの吐く紫色の毒息を吸い上げ、上空へと巻き上げた

の。


「さぁ、今のうちにそれに乗って退却せい」


と騎士に声を掛けるマクシムス将軍に、騎士は頷くと、すでに騎士の側に駆けつけ

ていたUnicorn(ユニコーンにすぐさま飛び乗り、砦へと駆け戻ったわ。


 その様子を確認し、すべての兵が砦に避難したのを見届けた、マクシムス将軍と

フェリクス王子は、ゲキ達みんなとトレーラー内に避難してきたの。


 その間、私はブレイブタンクでヒュドラの進行を食い止めていたの。

ヒュドラは、自分に近づいてくるブレイブタンクに、毒の息を吐きかけるけど、ロ

ボットのブレイブタンクには全く効かないのをみて、ヒュドラは少し驚いているよ

うだったわ。


 ブレイブタンクをヒュドラの向かって、右斜め前に止めて、左の肩の軽機関銃を

連射したわ。


”バリバリバリ~”


5.56x45mm NATO弾の弾の連射を受け、ヒュドラは穴だらけになり

、紫色の血しぶきをあげ苦しんでいるようだけど……。

一向に倒れる様子はないのよこれが……。


「もう!~しぶといねぇ」


そう私がモニターに向かって呟いた時、マクシムス将軍達と戻って来たシノブが、

指揮所の私とソフィーの後ろを駆け抜け、トレーラーの運転席へと向かったわ。


 席に着いたシノブが無線で、合図を送って来たので、私はシノブに言ったの


「トレーラーの向きを……」


と言いかけた時、シノブは私の言葉をさえぎって、


「わかってるよMissシラトリ~」


と言いながら、トレーラーを砦の方にバックさせ、トレーラーのフロントをヒュド

ラに向けたわ。


「Fire!」


シノブがそう叫びながらトリガーを引くと、フロント部分にある2つのブローニン

グM2重機関銃がヒュドラに向け火を噴いたの。


”バリバリバリ”


 ヒュドラの真ん中の首以外の首が、ブローニングM2重機関銃の12.7mm弾

を次々と浴びて、千切れていく。


 千切れた首は地面に落ちて、ぴくぴくしながら、やがて首が腐食しだしたかと思

ったら、腐食した首からヒュドラが吐く毒の息と同じ紫色のガスが噴き出してきた

の。


≪Warning≫


指揮所の私やソフィーのモニターを初め、運転席のモニターや食堂兼作戦室のモニ

ターにWarningの文字が点滅し、トレーラー内に警告音が響き渡ったのよ。


 私は慌てて後ろのソフィーの方に振り向き、ソフィーに


「バリアー全……」


言いかけたんだけど、ソフィーは独り言を言いながらコンパクト(モンスターカプ

セル)の蓋を抑えていたの。


「だめです、電ちゃんさん!今出て行ったら……」


それを見て私は、唖然としながら、


「ソフィー!?なにしてんの!」


と叫んだの。




◇◇◇◇◇




ソフィーの話だと、ヒュドラが現れた時、”電ちゃん”こと電龍から念話があった

らしいの。


 因みに、電龍の名前を”電ちゃん”と名付けたのは私なの(エヘ)。


 それはさて置き、ソフィーの話だと、電ちゃんはヒュドラが現れると興奮気味に

念話でソフィーにこう話しかけたそうなの。


≪あれ、僕のご飯なんだ~≫


≪えっ、あの魔物が電ちゃんさんのご飯なんですか?≫


≪うん、ダンジョンではあいつを食べてたよ~≫


≪でも、あの魔物……ヒュドラでしたっけ、あれには猛毒が……≫


≪うん、ほかの生き物には毒かもしれないけど、僕には効かないみたいなんだ~≫


≪そうなんですか?≫


≪うん≫


≪電ちゃんさんお腹空いているのですか?≫


≪いや、ソフィーから魔力をもらってるからそう言う訳じゃないけど……≫


≪けど……?≫


≪なんか、あいつを見ると、わかんないけど、無性に食べたくなるんだ~だから、

ここから出してよ~ソフィー≫


≪ダメです。今出て行ったら、魔王軍の将軍に操られてしまいますよ≫


≪だって~≫


≪ダメですぅって≫


≪うーん……我慢できない!≫


 このやり取りの後、無理やり電ちゃんがコンパクトから出ようとして、先のソフ

ィー行動につながったって訳。


 そこで私は、食堂兼作戦室に居るゲキに頼んで、予備のマジックボックス小を持

って来てもらい、その中にコンパクト(モンスターカプセル)を入れるようにソフ

ィーに言ったの。


 ソフィーは私の指示通り、コンパクト(モンスターカプセル)を予備のマジック

ボックス小にいれた。それを見て私はソフィー言ったの。


「これで良し、じゃソフィーバリアーお願いね」


「はい」


そう言ってソフィーは自分の席に戻り、レバーを引いたのち魔水晶に魔力を込めた

お陰で、無事バリアーを張れたわ。バリアーを張ると、トレーラー内に響き渡って

いた警告音が鳴りやみモニターの≪Warning≫の文字も消えたわ。


 ほっと一息ついた私は、改めてモニターに映るヒュドラを見て驚いた。


「え―――――首が33本って!」



次回で決着つく……はずです(汗)

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