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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第1章 突然の異世界 そして 突然のヒーロー!?
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8話 白鳥美音と忍・メイトリックス

------美音ミオン視点---


 私は、白鳥美音シラトリミオン大鷲青空オオワシセイアと同じマン研部。青空セイアと剣道部主将の下峠激シモトウゲゲキとは、小さいころからの幼馴染なの。


 今、選択科目の物理の授業を終えて、同じマン研の忍・メイトリックス(シノブメイトリックス)と、部室である美術室に向かってるところ。


「Mr.オオワシはデザイン描き終えたかな……」


と隣を歩いているシノブが私に向かって問いかけてきた。


 シノブはアメリカ人と日本人のハーフ。そう聞くと、イケメンのように思うかもしれないけど、全然イケてない奴。金髪の髪だけど、ボサボサだし、今時、分厚いレンズに黒縁の眼鏡を掛けてて、とにかくダサいの。


「そうね、セイアは今日選択授業ない日だから、先に部室に行ってるって言ってたし、描けてるんじゃないの。」


とシノブにそっけなく返事をした。


 ちょうど、私とシノブが美術室に向かう渡り廊下に差し掛かった時、グラグラっと地面が揺れたわ。


「きゃっ!」


「What the!」


 咄嗟に私はシノブにしがみつく。シノブは私を支えながら、


「Earthquake……地震!」


 そのまま2人で、時間にして、1~2分。揺れが収まるまで私はシノブに抱ついて固まってることに気づき、”はっと”してシノブから離れた。辺りをキョロキョロ見まわし、誰にも見れていないことを確認し”ほっと”胸をなでおろす。


(こんな奴に、抱きついているところ、人に見られたら自殺もんだわ)


 そして、何事もなかったように美術室へ、さっさと1人りで歩きだすと、その私を追いかけるように歩きだすシノブ。そして私の隣まで追い付いて、


「大丈夫だったかい?Missシラトリ……」


と私を気遣いながら隣を歩いてきたわ。


「大丈夫よ!」


 素っ気なくシノブに言い返す私。


「それより、セイアが心配!」


「ああ、そうだな。」


 2人で美術室に急ぐ。渡り廊下を越え、美術室の前まで来た私は、勢いよく美術室の扉を”ガラッ”と開け、そこに見えた光景は……机がぐちゃぐちゃに壊れ散乱して、教室の壁は大きく凹み、血の跡がべっとり付いていたの。


「はっ!……はぐっ」


 その光景を目の当たりにして、思わず息を呑み口を手で押さえ固まったの。美術室の入り口で、固まる私にシノブが声を掛けてきたが、呆然と立ち尽くす私。シノブは、私の様子に何かを感じたのか、入り口に立ち尽くす私をすり抜け、美術室に入り、動揺もせずに美術室の中を観察して回ったの。


 そして、倒れてる男の人を発見する。


「誰か倒れている!」


と私に向かって言うシノブの声に、私は”はっ”として、


「セイア!」


と叫びながら、倒れている男の人に駆け寄ったわ。


「Mr.オオワシではないようだ。」


と言うシノブの言葉を確認するように、私は倒れている男の人を観察する。ヨーロッパ系の顔立ちをし、髪はグリーン。ローブのようなものを着て、耳は尖がってる

……。


「エルフ!」


 声に出して言ってしまった私にシノブが聞き返す。


「エルフ?……」


「なるほど……確かにファンタジーゲームに出てくるエルフにそっくりだね。」


 顎に手を当てて、考え込むシノブ。私は、倒れてる男の人に近づき体を乱暴にゆすりながら、


「セイアは!?セイアはどこに言ったの!!」


と男の人を乱暴に揺さぶりながら大声で言ったわ。


 でも、エルフらしき男の人は意識のないまま。そんな私の傍らで、シノブは床に落ちているタブレットを拾い。


「これはMr.オオワシのではないのか?」


 私にタブレットを差し出したわ。私はそれを受け取り電源を入れてみる。画面には、ヒビが入っていたけど、なんとか立ち上がったみたい。そこには、3人共同で作成するマンガのヒーローの絵があったの。


「この絵のタッチはセイアの絵だわ。」


 シノブに振り返り言うと、シノブは、スマホで誰かと話しているところだった。


「うん……そうだ、大至急!救護班と修復班をこっちに。」


 そう誰かに話す、シノブの眼つきの鋭さに驚く私。


(シノブ……あんたいったい……なにものなの!?)




◇◇◇◇◇




 しばらくして、黒い作業着を着た男達が数人入ってきて、そのうちの2人が、倒れていたエルフらしき男の人を、担架に乗せ運び出そうとしているの。他の人達は、散らかった椅子や机を片付けたり、壁の凹みを計測したりしている。


 シノブは、担架で運び出す2人と教室を出て行こうとしていた。私は慌ててシノブに声をかける。


「シノブ!何処行くの?」


 私の声にシノブが振り向き。


「ついてくればわかるさ、Missシラトリ」


と不敵な笑みを浮かべながら私に言ったの。


(ついてくれば……って)


 私がそう心で呟いている間に、シノブは担架を運ぶ男達と美術室を出て言ってしまったの。私は慌てて、シノブの後を追って、美術室を後にしたわ。シノブと担架を運ぶ2人の男達は、私のことにかまわず裏門へ向かって、グングン進む。私は必死に走って、やっと学校の裏門の所で、シノブ達に追いついた。息も絶え絶えにシノブ達にもんくを言う。


「はぁ、はぁ……

ちょっ、ちょっと……待ちなさいよ。」


 学校の裏門の前には、黒塗りのバンとセダンの車が停まっていた。私が追いついた時、すでに黒塗りのバンには担架が運び込まれ、丁度発進するところだったの。


 黒塗りのバンの後ろに止まっている、黒のセダンの前で50歳くらいの紳士と、シノブが何やら話をしていたわ。そのシノブに向かって、


「だから、どこに連れてくか私に説明しなさいよ!」


 怒鳴るように言うと、シノブは唯、ニヤニヤしてるだけで、私に説明をしようとはしないの。


「笑ってないで、説明しろ!メイトリックス!!」


 さらに、怒鳴る私にシノブは、両手を上に向けて、首をかしげながら、笑顔で肩をすくめたわ。それを見ていた50歳くらいの紳士が、私の前に進み出て、右手を胸の前に当て、お辞儀をする。


「はじめまして、わたくしは、シノブおぼっちゃまのバトラーを務めさせてい頂いている時田と申します。ここで、ご説明致しかねますので、まずは、お車の方へお乗りくださいませ。」


 そう私に言って、車の後部座席の扉を開けて私に車に乗るように即してきたわ。


「えっ、えっ!?」


 戸惑う私の手をシノブが掴み、強引に車に私は載せられ、時田と名乗る紳士が、私達が乗り込んだのを確認すると、静かに車のドアを閉め、車の運転席へと座ると、車を静かに走らせた。


「ちょっ!ちょっ!……なにするの!痛いじゃない!離しなさいよ!」


と車の中で怒鳴る私に、シノブは笑いながら私から手を離して、


「OH!これは失礼。」


 軽く頭を下げた。


「この車はどこに向かってるの!シノブあんた何者なのよ!あのエルフをどうするつもり!、あなた、まさか私を拉致るつもりなの。あなた達、政府の某諜報機関とか言うんじゃないでしょうね!」


 矢継ぎ早に、まくしたてる私の言葉に何も言い返さない、後部座席のシノブと運転をする時田さん……。


「……」


 その二人の沈黙に、私も黙ってしまったわ。しばらく沈黙の中、車は走る。私は、車窓の景色をぼーと見ていると、外国の領事館や大使館が並ぶ通りに車が差し掛かったの。


(えっ!ここら辺って、大使館がある通りじゃない……やっぱ……)


 車の車窓を見ながらそう思って思わず、


「やっぱり、あなた達!CIA!?じゃないの!」


と叫ぶ私にシノブが、私の顔の前に人指し指を立て、それを左右に振りながら、


「ノン、ノン、……僕らは、CIAでもKGBでもないよMissシラトリ」


と言うシノブ。


「まぁ、似たような仕事はするかもしれないけど。」


と私にウインクをするシノブ。


「はぁっ!似たような事ってなによ!」


と私が叫んだ時、車はある国の大使館の門の前で停車したわ。


 高さ4mの分厚い壁に囲まれ、壁の上には電流が流れる鉄線があり、門は上が丸みの帯びた、鉄の細い格子状になっていて、そこからは木造の洋館風の3階建ての建物が見えたわ。


 私は、大使館の門に掲げられているプレトの文字を読んでみた。


「ンドワン国大使館……?どこの国なの?」


と疑問を口にした私に、シノブがさり気無く、


「アフリカの中央部にある小国さ。」


と答えたの。


「ア!アフリカ!?ってあなた……アフリカ人だったの!?」


と私が疑問を口にすると、シノブは手を上に挙げ首をかしげながら”まさか”と言わんばかりにジェスチャで答えたわ。


 そんな会話の中、大使館の扉が自動で開いた。先頭で停まって居た黒塗りのバンに続き、私達が乗る車もそれに続いて大使館の中へと入って行ったの。




◇◇◇◇◇




 大使館の玄関前で車を降りた私は、玄関で3人の人に出迎えられたわ。シノブのバトラーの時田さんは出迎えた3人を1人1人私に紹介してくれたわ。背が高く、マッチョ系の黒人さんって感じの50歳位の男の人は、この大使館の大使のジブヒソ・ムチャリーさんで、少し小柄で小太りな黒人女性が大使の奥様で、レボハン・ムチャリーさんそして、20歳位の私より少し背の低いムッチリ系の黒人女性がここのメイドのレラト・デューベさん。言葉が通じないので、バドラーの時田さんに通訳してもらいながら、私も自己紹介をし、私は大使館にある客間に通された。豪華絢爛……ではないけれど、上品な家具やテーブルやその他調度品が置いてある14畳くらいの部屋なのかしら……。


 そこのソファーに座るように促された私はソファーへと腰を下ろす。テーブルの左側に私、その向かいの右側にシノブとバトラーの時田さんが座り、テーブル正面には大使のムチャリー夫妻が座ったの。その一人一人にコーヒーを入れて回るメイドのレラトさん。


 全員のコーヒーが入ったところで、シノブが私に向かって、


「それでは、説明するよMissシラトリ。」


 その言葉に私は息を呑んだ。

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