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85話 砦救出作戦1(電龍の話)

俺達はトレーラーに乗り込みファルコさんの話を聞いた。


 ファルコさんの話だと、俺達がダンジョンに飛ばされた後、砦に退却中の騎士達

が、砦までもう少しの所で、騎士達に化けていたアントマンが突如正体を現し、襲

われたらしい。


 しかし、退却する騎士達の指揮を任されていたデスロ同盟国ポリスパルタスの第

一軍団長、虎族のベンガルさんが混乱の中、自分と自分の直属のポリスパルタス第

一軍団を殿しんがりとして残り、他の部隊の退路を確保して砦に向かわせたこ

とにより、ポリスパルタス第一軍団の兵士の半分を失ったものの、何とか砦までた

どり着いたらしい……。


 だが、ようやく砦にたどり着いたのも束の間、今度は砦内に潜むアントマンが暴

れ出し、砦は混乱……したのだが、ここはフェリクス王子の直属のイーシャイナ王

国第一騎士団長のアラン・マクラーレンさんとベンガルさん率いるポリスパルタス

第一軍団の活躍でどうにか撃退はしたものの……。


 イーシャイナ王国とデスロ同盟国の総勢2万人の騎士(従士含む)の内6,00

0の騎士(従士含む)を失ったそうだ……。


 しかも、その直後、砦に攻め込んでくる魔王軍。

空からはワイバーンが、地上では新種のモンスターが攻めてくる。


 そこで、イーシャイナ王国第一騎士団長アラン・マクラーレンさんは、騎士の立

て直しを図る時間稼ぎに、迫りくる魔王軍に対し、砦の門を硬く閉ざして、障壁を

砦の周りに張り巡らせ、防御を固めたということだ。

そして、傷ついた騎士(従士含む)の怪我の治療を優先させ、部隊を再編制してい

る中、迫りくるワイバーンや新種の魔物に対し、弓や魔法で遠距離攻撃を試みるも

、治療を最優先で魔法士をあてがったため、攻撃に割り当てる魔法士の数が少なく

なかなか効果的な攻撃ができなかったらしい。


 そこで、ダメもとで、新種の魔物に対し、決死隊を編成し、ベンガルさんが指揮

の元、砦から出て盾と剣での近接攻撃を試みるも、新種の魔物はトロールのように

直ぐに再生してしまい、攻撃が全く効果なかったそうだ。

それを見たアランさんは、ベンガルさん達決死隊を援護すべく、砦内より、例の時

田さんが開発し、王子達が持ち出した魔物のコントロールを解くジャマーの装置の

予備を発動させたが、新種の魔物には全く効かなかったらしい。追い込まれる決死

隊に対し、アランさんは砦から新種の魔物に対して弓隊と槍隊の一斉掃射を試みて

、かろうじて決死隊を砦内に逃げ帰らせた所だそうで、今は、砦内にこもって魔王

軍の攻撃をかっろうじて防いでるらしいが、それもいつまでもつか……ってことだ

った。


「なるほど、アランやベンガル殿の奮闘には頭が下がるな」


ファルコさんの話を聞いて、顎に手を当てながら言うフェリクス王子。


「急ぎ、応援に向かわねばなりませんぞフェリクス王子。」


と拳をトレーラーの食堂内のテーブルについて、王子の顔をのぞき込みながら言う

マクシムス将軍。


「その前に、敵のおおよその戦力は?ファルコさん 」


とミオンがファルコさんに聞いた。


「ざっとですが、ワイバーンが7体に……新種の魔物が160体……それにサンダーコング3体に、マンティスが6体とアントマンが500体ほどと、なぜかゴブリンクイーン4体……それを指揮する魔王軍の将軍が1人……」


「何、ワイバーンだけでなく、サンダーコングにマンティス……とな」


と驚くマクシムス将軍に対し、王子は冷静に言った。


「やはり、ダンジョンの魔物を外に出していましたか」


と顎に手を当て考え込むフェリクス王子。


 その時、考え込むフェリクス王子とマクシムス将軍にミオンが明るく言った。


「その程度の戦力なら、何とかなるわね」


ミオンの言葉に絶句して、顔を見合わせるフェリクス王子とマクシムス将軍であ

った。




◇◇◇◇◇





 シノブの運転でトレーラーを砦付近に向かい走らせる。


 当初、ミオンの作戦は、空のワイバーンを俺がガルーダ形態で一気に倒し、地上

部隊はソフィーの電龍を使って殲滅しようと言うものだったが……。


 ここで問題が……。


 この話をしている最中にソフィーが、持っているコンパクト(モンスターカプセ

ル)から何かを訴えようとしている電龍の意志を感じたそうな。


 そこで、ソフィーがテレパスの魔法をかけると、コンパクト(カプセル)から声

が聞こえた。


「あっ、聞こえる?僕の声」


と子供のような声。その声に俺達が唖然とする。

恐らくこの声はカプセルの中の電龍の発するものだと思われるが、ドラゴンの一種

とされる、あの巨大で凶暴な電龍のイメージではなく幼い子供のような声だったか

らだ。


「とりあえずカプセルから出ていい?」


と言う電龍に俺達は慌てた。


「駄目・ダメ・だめ~」


コンパクト(カプセル)に向かって手を振り大声で言うミオン。


「なんで?」


と、あどけない声で聞き返す電龍。


「いや、この狭いところでお前のような巨体が出てきたら、このトレーラーが壊れ

てしまうからだ」


と真顔でコンパクト(カプセ)に向かって言うゲキ。


「あっ、大丈夫ですよ僕」


とあっけらからんと言う電龍に。


「いや、君が大丈夫でもこっちがダメなんだって」


と俺もコンパクト(カプセル)に向かって言うが、コンパクトの蓋が勝手に開いて

光が飛び出してきた。


「「「あっ!」」」


驚き叫ぶ、俺、ミオン、ゲキに他のメンバーは声も出ないぐらい驚いて固まってい

る。……が。


出てきたのは……体長30cmの白いコブラってか電龍。


「えへ、大丈夫でしょ」


テーブルの上で”チョコン”と頭を下げて言う電龍。


「ああ、まぁ、それなら……」


とミオンが”ポカン”あっけに取られながら言った。


「で、わざわざ出てこられたってことは、何か我々に伝えたいことがおありなので

すか電龍殿?」


とフェリクス王子が電龍に尋ねた。


「あっ、うん」


と王子の方を向き言う電龍にミオンが割って入った。


「いえ、その前に……あんた私達と戦ったときは体長25mもあったのに、何で今

は体長30cmなのよ~!」


と腰に手を当て電龍に言うミオン。


「えっ?ああ……身長を自由に変えれるんですよ僕」


真顔でミオンに言う電龍にミオンは思っていた答えと違ったのか、少し固まってから、


「あっ、そう……ならいい」


と言ってそのまま電龍に話の続きをするようゼスチャーで促した。


「でね、そこのお姉さんが言っていたように僕が地上の魔物と戦うのはいいんだけ

どね、ただ……」


「「ただ!?」」


と、フェリクス王子とマクシムス将軍が声をそろえて聞き返す。


「ただ、ね、アイツがいると思うんだ……アイツが……」


と言い淀む電龍。


「「「あいつって?」」」


と電龍に聞き返す、俺、ミオン、ゲキ。




◇◇◇◇◇





 電龍の話だと、俺達と出会う前に魔王軍オブリヴィオン達が電龍の前に現れたそうだ。

電龍はすぐさま攻撃を加えようとしたが……。


 数体のアントマンを引きつれ現れたのは、三又の槍を持って立っていて、長く伸

びた白髪を逆立て、白い、フードがないローブのような物を着ていたそうだ。


 攻撃体勢の電龍に対し、その男が三又の槍を構えると男の目が光った……。


 すると、電龍は体の力が抜けだし……やがて、自分の意志に反して体が言うこと

を効かなくなったそうだ。


その話を聞いていたエドナさんがポツリと言った。


「操り……」


その言葉を聞いて、ミオンがエドナさんに尋ねた。


「あやつり……って?」


その言葉にエドナさんが言う。


「操りの魔法ですぅ~。魔物使いがよく使う魔法でぇ~、魔物を操るんですよぉ~」


その言葉を、運転席で耳につけた無線機で聞いていたシノブが言った。


「かなり強力な思念波ってやつだろう」


その声をトレーラーの食堂にあるスピーカーから聞いたミオンが、


「なるほど、思念波ね……それで操るってわけか」


と1人納得していた。


 その後、奴らは自分達が持ち込んだ転送装置をそこに設置して、そこにこのダン

ジョンのヌシたる電龍を誘導し、最下層から順に上の階層へ上がって行き、

電龍を恐れた各階層の魔物を順次各フロアーに設置した転送装置に追い込み、一

気にここのダンジョンすべての魔物を外に出し、砦に向かわせるつもりであったら

しいが、そこに俺達が砦に向かったと言う報告を部下から聞いた、その三又の槍を

持った男……電龍曰く、サディコ将軍と言う奴らしいが、そいつが作戦を変更し、

逆に俺達をダンジョンに閉じ込めて殲滅しようと図ったらしいのだが。


 恐らく、今向かう砦を攻めてる魔王軍には、そのサディコって将軍が居るであろ

うから、自分がそいつ……そのサディコに再び操られ、俺達ってか、コンパクト(

カプセル)の持ち主であるソフィーの命令に背き、俺達を攻撃してしまう可能性が

あると言う。


 しかも、このコンパクト(カプセル)の持ち主の命令に従うってのは、一種の契

約魔法になっているそうで、例え操られ、自分の意志ではないとは言え、持ち主の

意志(命令)に反した場合、電龍は即座にコンパクト(カプセル)内に強制収容さ

れ……そして、コンパクト(カプセル)ごと自爆することになっているらしい。


「僕……本来不死身ですけど……その場合本当に死んじゃうんです」




◇◇◇◇◇





 電龍の話を聞いてミオンが作戦を立て直した。そして俺達は今砦を囲む魔王軍の

手前1kmでトレーラーを停止させて、俺はUnicornとPhoenixを呼

び出した。


 そして俺は、Phoenixと合体して、ガルーダ形態になる。

俺が呼び出したUnicornにゲキが鞍を着けるとそれにマクシムス将軍が跨る

と、Unicornの影にアイーシャさんの影魔法で、アイーシャさんとフェリク

ス王子、それにクレアさんが潜ると、ミオンが声高らかに言った。


「皆!いい作戦開始よ~!」


それに頷き、マクシムス将軍が障壁の魔法を自分にかけて、Unicornを全

力(亜音速)で走らせる。その後をトレーラーが続き、俺は空に舞い上がった。


Unicornを疾走させながら、マクシムス将軍は1人呟いた。


「待っておれ、ベンガル、アラン殿!今助けに行く」



劇中 電龍は体の大きさを自由に変えれると言ってますが、正確には

身長30cm~25mです。

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