84話 脱出!電風の丘ダンジョンそして
電龍を倒し、PhoenixとUnicornを召還した俺は円形広場中心に立
っていた。
そこには……ぐったり倒れた電龍がブレだし……やがて虹色の泡になって一旦消
え、その後、光の玉が浮かんだ。
「おお、ボーナスアイテム!」
俺はそう言ってその光の玉を掴んだ。
すると頭の中に
≪電龍専用召喚カプセル≫
このカプセルは、現在手にしている者が電龍をカプセルからいつでも召喚、召還で
きる。
(なるほど、モン○ターボールってことね)
そう俺が思っていると、突然俺の体から”ごそっ”とエネルギーが奪われた感覚になり、次の瞬間、俺はGUY BRAVEの姿から、大鷲青空に戻ったかと思うと、記憶が途切れた。
◇◇◇◇◇
口になにか柔らかいものがあたり……何かの刺激で気が付いた。
そう、またもやソフィーの濃厚なキ……エネルギー補給で目が覚めた。
「セイア様……大丈夫ですか?」
気が付くとそこにソフィーの顔が……
「俺はいったい何を……あっ!そうだ”魔物カプセル”」
俺が”ガバッ”と起きてそう叫ぶと、ソフィーはニコニコとしながら、俺に手に持
ったカプセルを見せながら……。
「あっ、はいこれですか」
と俺に手渡そうとするソフィー。
しかし、俺はそのカプセルを手に取ろおとせず、首を横に振りソフィーに言った。
「ソフィー、それを持ってて、何ともないの?」
そう聞く俺に、ソフィーは首を傾げながら、
「ええ……あっそう言えば、初め手に取った時は、何かがごそっと抜ける感覚はあ
りましたよ……今は何もないですけど」
そうソフィーの言葉を聞いて、ある意味納得した。
実はこのカプセルって言っても形は女性がお化粧をする時に使うコンパクトの形
をしているんだが、このカプセル俺の頭に浮かんだ説明通り、だれでもこれを持っ
ていれば、魔物……今回は電龍を召喚、召還出来、その魔物(電龍)を操れるのだ
が、一つ問題がある……それは……。
召喚した魔物(電龍)が戦闘などで魔力を使い果たした場合、食べ
物(餌)を与えエネルギー補給しなくてもいい。
ただ、カプセル内に収納すればいいのだが、その際、中に居る魔物(電龍)はカプセルからエネルギーを補給するので、言ってみればモンスターを使役しながら、ある意味メンテナンスフリーなんだけど、では、そのカプセルはどうやってそのエネルギーを得るか……そう持ち主の魔力から必要なエネルギーを得るようだ。
つまり、今回の電龍の場合……必要な魔力ってのが俺のデーターによると……。
”MP100,000”って言う膨大なエネルギーを必要とするわけだ。
どうりで、俺が触れた瞬間そのエネルギー(魔力)を吸われたので、俺は一気にエ
ネルギーをなくし大鷲青空に戻っただけでなく気を失ったって訳。
例え、戦闘前のフルエネルギーでもこのカプセルを維持できないってことだ。
つまり、このカプセルを持てる人って、この世界でもソフィーしかいないんじゃ
ないの?
ってことでこのボーナスアイテムはソフィーのものになった。
【ソフィー=ラグナヴェール】
≪名称 ソフィー=ラグナヴェール〈ドラゴン使い〉≫
≪レベル4≫
≪戦闘力 120,000≫
≪防御力 90,000≫
≪スピード 10,000≫
≪MP ∞≫
≪状態 ☆【青】良好≫
≪特技 姫・無限魔力 電龍使い≫
あへ?ソフィーのレベルはそのままだけど……戦っていないのに……。
このバケモノじみた戦闘力はなんなんだ!?って多分ほとんど電龍の力だろうけど。
◇◇◇◇◇
電龍のカプセルの件が落ち着いた頃、突然”ゴー”と言う地響きと共に”ズズズ
ズ”と円形広場中心付近に石板と共に転移門である魔法円が地面から現れた。
「転移門は分かるけど……あの石板はなにかしら?」
と疑問の声を出して、石板に近づくミオン。
石板に書かれた文字をマジマジと見て言った。
「なんて書いてあるの?」
その疑問の言葉に、シノブが例の眼鏡(翻訳眼鏡)を掛けながら、石板にやって来た。
「どらどら、僕に見せて見てくれたまえMissシラトリ」
そう言いながら石板の文字を読むシノブ。
シノブによると、これは石碑。で、ここには古代文字で俺達の名前が入ってるんだ
って。
こんな感じ。
【ブレイブチーム】
・GUY BRAVE
・白鳥 美音
・フェリクス=ラグナヴェール
・マルクス・マクシムス
・下峠 激
・忍・メイトリックッス
・クレア・リード
・エドナ・エリス
・アイーシャ
・ソフィー=ラグナヴェール
(お・俺……大鷲青空でなくて、GUY BRAVEなのかよ……。)
と少し不満に思っていると、なぜか異世界組のメンバーは、石碑に名前を刻まれた
ことに感動している。
「おお、これは父に自慢できますね」
「世界4大ダンジョンの一つを、わしは制覇したのか……信じられん!」
「初めて制覇したのが、電風の丘ダンジョンだなんて……感動です」
「いや~私達がここを制覇したメンバーの一員なんてぇ~すごうですぅ~」
「すごい、すごいですにゃ」
フェリクス王子、マクシムス将軍に続いて、クレアさん、エドナさん、アイーシャ
までもが感動し、将軍とクレアさんなんかは感動のあまり少し涙ぐんでいるようだ。
そんな異世界組をよそに、俺とミオンとシノブが少々呆れぎみに
「「「ホンとゲーム見たい」」」
と声をそろえて言うのであった。
◇◇◇◇◇
異世界組の感動が今だ続く中、俺と、ミオン、シノブ、ゲキ……ソフィーで、石碑の周りにある宝箱を回収していた。
異世界のお姫様であるソフィーは他の異世界のメンバーと違い、このダンジョンを制覇したことには、無頓着って言うか、感動はないようだ。
宝箱の小が2個と中が1個……中身を見ている暇はないので、とりあえず、ゲキとミオンが小をそれぞれ1つづつ持って、俺が中の方を持って、今だ感動の余韻に浸る異世界組に俺が声を掛けた。
「感動しているところ、申し訳ないけど……そろそろ」
「あっ!私としたことが……」
「おお、すまんすまん、勇者殿」
「えっ、あっ……申し訳ありません」
「ごめんなさいですぅ~」
「ごめんですにゃ」
王子、将軍、クレアさん、エドナさん、アイーシャさんが、俺の言葉に我に返って
謝ってきた。
「いえいえ」
と俺は少し恐縮しながらそう言うと。
「お兄様~、マクシムス将軍、クレア、エドナ、アイーシャ早くこちらへ~他の皆
様はもうご準備されてますよ~」
と既に転移門の魔法円の上に乗っているソフィーが手招きをした。
手招きするソフィーに笑顔で手を振りながら、魔法円に向かって歩くフェリクス
王子とその横を笑顔で歩くマクシムス将軍。
クレアさん、エドナさん、アイーシャさんはソフィーに恐縮しながら、小走りに
魔法円へと向かった。
◇◇◇◇◇
ダンジョン最下層から転移した俺達は、あたりを見渡す。
いくつもの丘がある丘陵地帯、その一番奥の他の丘よりひときは高い丘の中腹に
ある祠のような建物の前に、俺達はいるようだ。
そして、この丘陵地帯の先に見える黒い煙がもくもくと立っているところを見て、
「ああ、!間に合わなかったか……」
「遅かったか!」
肩を落とし、そうフェリクス王子とマクシムス将軍が呟いた。
「兎に角、急ぎましょう!」
俺はそう2人に声を掛けると王子と将軍もそれに頷いて、俺達は急ぎ丘陵地帯を抜
けた。
◇◇◇◇◇
丘陵地帯を急ぎ抜けると、俺達が突然転移された場所に出た。
そこには、転送前の状態のまま放置された俺達のトレーラーと……1人の男が……。
俺達を見ると顔をくしゃくしゃにして、涙目で駆け寄ってくる男。
そう、フェリクス王子の伝令将校である鳥人系鷹族のファルコさんだった。
「皆様よくぞ御無事で……」
俺達に駆け寄りそのまま傅く(カシズク)ファルコさん。
「おお、其方も無事で何よりですファルコ」
泣きじゃくるファルコさんの肩を”ポンポン”となだめるように叩きながら、言う
王子。
「して、砦は……我連合軍の兵士達は!」
その横で、急かす様に聞くマクシムス将軍に王子は”まぁまぁ”って感じで将軍の
ファルコさんに対する催促をなだめるようにジェスチャーする。
それを見て王子に手で制して、涙をぬぐいながら
「……い・いえ、王子、大丈夫です……」
そして、2人の目を見て真剣な顔でこれまでの経緯を話し出した。
それを俺達は黙って聞くのであった。
ソフィーが戦闘もせずに戦闘力が上がってしまいました。(笑)




