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80話 電風の丘ダンジョン16(王子の秘策)

何とか第一波を退けた俺達は、通路をしばらく進む。

基本なだらかに岩山を降りていく感じ。


 しばらく、歩いていると教室位の大きさの広場に出た。


「ここらで、小休止せんか……勇者殿」


とマクシムス将軍が俺に声を掛けて来た。


「そうですね、さっきの戦闘も激しかったですからね、ここらで小休止しましょう

か」


とマクシムス将軍に返すと、皆もそれに頷いたので、俺達はここで小休止することにした。


シノブが背負っていたマジックボックス小を降ろし、飲み物を配る。


「セイアはこれでしょ」


と俺に冷えたコーラーを手渡してくる。


「ああ、ありがとう」


そう言って俺は、変身を一旦解き、ペットボトルの冷えたコーラを一気に飲んだ。


「っかー、冷えたコーラーはうまい」


と俺が言う横で、広場の先の通路の下の方に見える建物を指差して言った。


「あれって……」


俺はミオンの指差す物を見て、首を傾げる。


「なんだろう、和風の建物……」



 広場から下る通路は急に斜度がきつくなっていて、(斜度15度)その先200

m位降た所がこの通路の終点らしく、広い岩肌が剥き出しの大地があり、通路終点

の右の方にはそこだけ森のように木が生い茂り、和風の建物が見えた。


「鳥居らしきものが見えるな」


俺とミオンが見ている横にゲキが来てそう言った。


「じゃ、神社ってこと?」


そう聞くミオンにゲキは、少し考えて言った。


「まぁ、そうかもな」


そう答えるゲキにミオンが不思議そうに言った。


「この、ファンタジーの世界で神社……っておかしくない?」


「確かに、おかしいと思うが、現に、かまいたちや天狗のような日本のあやかしが俺達の目の前に現れたんだ、神社があったとしても不思議ではないだろう」


そうゲキに言われ、俺とミオンは変に納得した。


その時だった。


 神社のような建物から、”わさわさ”と人!?のような者が大勢出て来る。


「あれはなんだろう?」


 ミオンが指差し言った。俺は再び変身をして、視界をズームして、頭の中のデーターと照合すると、


≪名称         雷亜人≫

≪戦闘力       2,000≫

≪防御力      1,500≫

≪スピード       800≫

≪MP       2,000≫

≪特技       電撃、金棒≫


×30


と出たのでそれを言葉にして皆に言うと、


「!?雷亜人……って」


「ああ、どう見てもあれは”鬼”だな」


ミオンの言葉にゲキが言う。


 手に金棒を持ち、青い皮膚に頭には一本角が生え、虎の革のパンツをはいた……

どう見ても”鬼”にしか見えない。


 俺はすかさず、皆に言った。


「迎撃態勢を!」


その言葉を聞いて皆おのおの武器を手に取り構えるが……。


そんな俺達を制して、フェリクス王子が言った。


「ここは、私に任せてください」


王子はそう言って、俺達の前に出て、剣を抜き剣先を天に向けて呪文を唱え始めました。


 その間に、雷亜人(鬼)達は俺達に向かい、通路を登り始めた。


≪距離   180m≫


≪距離   150m≫


≪距離   100m≫


俺のレーダーが雷亜人(鬼)達との距離を告げる。


≪距離   50m≫


≪距離   20m≫


前列の雷亜人(鬼)達は金棒を振り上げ、奇声をあげながら俺達に迫ってくる。


「キェ~ィ―――!」


 その時であった、王子が高々と上げた剣の剣先から青白い光の玉が現れたかと思

うと、それがみるみる大きくなり……。


「ビックアイスボール!」


王子がそう叫ぶと、”ドッス~ン”と大きな音をあげ、王子の足元に落ちた。


それは、通路いっぱいの大きな氷の玉だった。


 王子はその玉に近寄ると、”ちょい”と指で小突く……。


すると、王子に小突かれた氷の玉はゆっくりと”ゴロゴロ”とゆっくり、転がりだ

した。


傾斜のある通路を登ってくる雷亜人(鬼)達に向かい、大きな氷の玉はどんどん転がり速度が上がって行く。


”ゴロゴロゴロゴロ”


 雷亜人(鬼)達はそれに気付き、何とか止めようと、角から電撃を放ったり、金

棒で砕こうとするが、それをすべて弾きながら更にスピードを上げ転がる大きな氷

の玉。


数人の雷亜人(鬼)達が大きな氷の玉を受け止めようとするが、それも叶わず、次

々に弾かれ、飛ばされて行く雷亜人(鬼)達。


”ガラガラガッシャッ~ン”


 結局、すべての雷亜人(鬼)達を吹き飛ばしたり、押しつぶしたりして、通路の下の地面まで到達しそこで砕け散った。


「ストラ~イク!」


ミオンが飛び上がり、指を鳴らすようなポーズで言った。


 ミオン以外のメンバーは皆、目の前の光景に唖然としていたが、王子は何事もな

かったような涼しい顔で、


「では、参りましょうか」


と言いながら先に通路を降りようとしていた。


ミオンがそれに続くのを見て、皆、我に返り、慌てて王子の後を追い通路を下るの

であった。




◇◇◇◇◇





青い鳥居に白い漆喰風の壁に囲まれ中は白い砂利が敷き詰められ、奥には神社

の本殿風の建物が見えた。


 俺達は青い鳥居をくぐり、鳥居の近くにあった手水舎で手や口を洗い、奥の

本殿に向かった。


「ホント、神社みたいねぇ~」


とはしゃぎ、鈴を鳴らそうとするミオンをゲキが止めた。


「ミオン、ふざけない方いい。」


そう言うゲキに言われミオンが鈴に付いている長い綱を持ったまま固まって言った。


「ふざけてないけど……」


「例え、異世界であっても神を祭っていると思われるところだ其れなりの儀礼で参拝するものだぞ」


「じゃ、見本を見せてよゲキ」


ゲキに言われそう言い返すミオン。

ミオンに言われ”仕方ないな”って顔で本堂(ゲキに言わせればここは拝殿らしい)

の前に進む……が、そこで、ミオンの方に手を出して止まった。


「?なにゲキ」


ゲキに手を出され、意味が分からないミオンは、ゲキにそう言うと、


「お賽銭」


そう言うゲキにミオンは、


「急にここに飛ばされたんだから、持ってるわけないでしょ」


そう言うミオンにゲキは手を引っ込め、


「それはそうか」


と言うゲキにシノブが言った。


「Just a moment Mr.シモトウゲ」


と言って、背負っていたマジックボックス小を降ろし、中から巾着のようなものを

出してきて、さらにその巾着からコインを一枚取り出しゲキに渡した。


「これは?」


「イーシャイナのお金、クオーター銅貨25ターラーだよMr.シモトウゲ」


尋ねるゲキに笑いながら答えるシノブ。


(そう言えば、このあいだシノブにイーシャイナのお金を両替して渡していたな)


俺はそう思って1人納得していると。


 ゲキはそれを受け取り、拝殿前に進み出て、最初軽くおじぎをする。

そして、お賽銭を入れ、鈴を鳴らし、2回深く礼をして、2回拍手をした後、1回

深く礼をした……。


すると、拝殿の扉がバタッと開き、眩い光が出て来たかと思うと、俺達はその光に包まれた。


 皆、眩しい光に目を覆った。




◇◇◇◇◇





俺達が目を開けると、そこは……。


雲……雲の上だった。

草原のように遥か彼方のほうまで続いている、雲のような物の上に載っているようだ。


 本来雲は、水蒸気の塊でこのように上に載れないはずだが、俺達が今載っている

雲は、子供のころ絵本で見た綿のようにフワフワした雲だった。


「あは、フワフワして気持ちいいねぇ~」


とミオンは、はしゃぎながら、わざと尻餅をついて、跳ね上がったりしながら、雲

の感触を楽しんでいる。


そんな、ミオンをよそに、俺を含む他のメンバーが警戒していると、遠くの方に人

影が2体見える。


俺は視界をズームして、頭の中のデーターと照合する。


≪名称         風 神 ≫

≪戦闘力       95,000≫

≪防御力      65,000≫

≪スピード      2,500≫

≪MP       40,000≫

≪特技           竜巻≫


×1


≪名称         雷 神 ≫

≪戦闘力       95,000≫

≪防御力      65,000≫

≪スピード      2,500≫

≪MP       40,000≫

≪特技      いかづち


×1


そのデーターを口にすると。


「まんまねぇ」


「まんまだな」


「まんまーだな」


とミオン、ゲキ、シノブが口々に言った。


そして、真顔になったミオンが皆に向かって言う。


「私、フェリクス王子、マクシムス将軍、クレアさん、エドナさんはソフィーを守

りつつ風神に当たって、セイア、ゲキ、シノブ、アシーシャさんは雷神の方を迎撃

して!」


その言葉に、俺達は頷き二手に分かれて風神と雷神に挑むことになった。


(さーてどうなるか、シノブ風に言うならIt’s Show Timeってとこ

ろか)

えー今回、風邪をこじらし、更新が遅くなってしまいました。

ごめんなさい。

 それは、さておき、このダンジョン結構和風……って自分でも思います(笑)

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