表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/267

78話 電風の丘ダンジョン14(アップルツリーマン)

 夜が明けたと言う訳ではない……相変わらず太陽が出てないが、昼間のような明るさだ。

  ただ、時間になったので起床する。


 朝食(朝なのか昼なのかわからないが)は、マジックボックス小からシノブが取

り出した焼きたてのトーストと冷たく冷やしたアイスミルク。

各々が焼きたてほくほくのトーストにバターやジャムを塗って食べる。


 意外だったのは、マクシムス将軍が、バター派でなくジャム派だということか。


 それはさておき、朝食後、テントなどを片付け、みんなそろって転移門の魔法円

に乗り、このダンジョン最下層に転移した。




◇◇◇◇◇





無事、6階層に転移した俺達は、あたりを見回した。


 月も星もない夜空……ではあるが、なぜか月明かりの夜程度の明るさがあり、ここから一面芝生を敷き詰めた平地に所々ぽつぽつと草や花が咲いているって感じの所だ。


「あれ?またUFOかな……」


と言うミオンの言葉に、俺が”ぎょっ”として身構えた。なぜなら、ここに飛ばされたのはそのUFOが原因なのだから……。


 しかし、ミオンが指差す物を見て、フェリクス王子がにこやかに言った。


「あっ、あれは空クラゲですよ」


「「「「空クラゲ~!?」」」」


王子の言葉に驚く、俺、ミオン、シノブにゲキ。

驚く俺達の様子を見て、マクシムス将軍が不思議そうに尋ねた。


「空クラゲを知らないのか?」


「「「「しらな~い」」」」


声をそろえて言う、俺、ミオン、シノブにゲキ。


「人や魔物から少しずつ漏れて、空気中に漂う魔力を栄養源に生きてる魔物だ。」


「え、人は襲わないのですか?」


マクシムス将軍の言葉に俺が聞くと、


「いや、直接人や魔物から魔力を吸収すると奴らは破裂する。魔力が多すぎるのだ。だから決して奴らは人を襲わんよ」


と笑うマクシムス将軍にミオンがこう聞いた。


「えー、なんかこういうのエロゲームでは、あの触手で美女の服をはぎながら……

美女が”あれ~”って、そいでもって触手が美女の……。」


身振り手振りを入れて、触手に襲われる美女を現すミオンの頭を俺は思わず叩いた。


”パーン”


「お下劣だぞミオン」


俺がそう言うと、ミオンが頭を押さえながら、


「いた~い、この幼気な少女に何するの~セイアさん」


と手で顔を覆い泣きまねをするミオンに俺が、


「痛くないだろう~何時ものように痛くないように叩いたはずだが……」


と高圧的に言うと、ミオンは顔から覆っていた手をどけ、ケロッとした顔で、


「えへへ……ばれたか」


テヘペロっと舌を出して言った。




◇◇◇◇◇





「話が脱線してすみません、人に害がないならこのまま先に進み……」


と俺が言いかけた時、”ゴー”と言う風の音と共に、俺達の頭上を通りすぎる物体が……。


「あれは!?」


ミオンが驚き頭上の物体を指差し言った。


 俺、ゲキ、シノブはすぐさま臨戦態勢を取るが、王子や将軍は慌てる様子もなく


「あれは、空クジラだ」


とマクシムス将軍が言った。


「ソラクジラとは?ジェネラルマクシムス」


とシノブが将軍に聞き返す。


「空クジラってのは、空クラゲを主食にする大人しい魔物だ」


と言う将軍の言葉に頷くフェリクス王子。そしてこう言った。


「彼らは歯がなく、ああやって空クラゲを吸って飲み込むだけですよ」


と空で、大きな口を開け、沢山の空クラゲを吸いこむ空クジラを指差し言った。




◇◇◇◇◇





空クラゲとそれを食べる空クジラに遭遇後、しばらくは何もなく夜の草原(月明かり程度の明るさ)を歩いていると、遠くの方で老人の叫びのような声が聞こえて来た。


「ええ~い、近寄るな!」


「「「やめろ~」」」


「やめてくれ~」


 俺達は声のする方に急いで行ってみると……。


 そこは、少しなだらかな丘のような所に、数十本の木?が生えている。


「あれは!?トレント……」


とミオンが言いかけたら、ソフィーが首を横に振り、こう言った。


「いえ、あれは……おそらくアップルツリーマンだと思います」


「「「「アップルツリーマン!?」」」」


ソフィーの言葉に俺、ミオン、ゲキ、シノブが驚き声をあげる。


 ソフィーはその俺達に向かって話をつづけた。


「はい、トレントは根で歩けますが、アップルツリーマンは根がしっかり地面に張り付いていて歩けません……それに……」


「「「「それに」」」」


と再び俺、ミオン、ゲキ、シノブが声をそろえて聞いた。


「それにアップルツリーマンは魔力の実が生ります。」


と答えるソフィーに、三度俺達が声をそろえて聞く。


「「「「魔力の実!?」」」」


そんな俺達にソフィーは更に話を続けた。


「魔力の実とは、それを食べると魔力が一瞬にして回復する実のことです。魔力回復薬のエーテル錠はこの実から作られるんですよ。」


と言ってにっこり笑った。


そこで、俺はセンサーを使い頭の中のデーターと照合すると……。


≪名称       アップルツリーマン≫

≪戦闘力       1,000≫

≪防御力      1,000≫

≪スピード         0≫

≪MP      10,000~20,000≫

※本体5,000,実1つに付1,000

≪特技      魔力の実  ≫


×20


 頭に浮かんだデーターを声に出して言うと、ミオンが感心したかのように言う。


「へぇ~あのリンゴのような実1つで1,000MPもあるんだ~」


 そんな会話をしていいると、近くに居たアップルツリーマンが俺達に言った。


「おい、そこの人間、しゃべってないで何とかせい」


と言って、仲間木達の実を次々に食べているゴリラのような魔物を指(枝)を指して言う。


 俺は、そのゴリラを俺はセンサーを使い頭の中のデーターと照合する。


≪名称       サンダーコング≫

≪戦闘力      90,000≫

≪防御力     60,000≫

≪スピード     2,000≫

≪MP      35,000≫

≪特技   腕力、電撃、ドラミング(超音波)≫


×1


それを皆に聞こえるよう声に出して言った。


「はい?何とかせい……って、なんか偉そうね」


とアップルツリーマンの言いぐさにムッとして、ミオンは言い返した。


すると、アップルツリーマンは器用に幹を折、頭を下げるような感じで言った。


「すまん、すまん、なぁ頼む、あいつを何とかしてくれ~このままでは実がすべて

食べられてしまう」


と懇願するアップルツリーマンに背を向けそっけなくミオンは言った。


「食べられれば~」


ミオンの態度に今度は器用に左右の太い枝を合わせて拝むように言う。


「たのむ~倒してくれたらワシたちの実を少しあげるから……なっ、べっぴんさ~

ん」


その言葉を聞いてミオンが片眼をあけて聞く。


「少しってどれくらい?」


とミオンに聞かれ、困ったように考えたアップルツリーマンは、


「5つでどうじゃ~」


と言うが、ミオンはすぐさまアップルツリーマンに向き直り、


「え――――少ない、最低10個……いや20個はくれないと」


と言うミオンに絶句したような顔をして、


「20個は多すぎる……」


と言うと、ミオンはにやりと笑って、悪魔のような顔で言う。


「じゃ、アイツにすべて食べられれば」


と言い返すと、額(額らしき部分)から汗をかきながら、


「えぇ~い、分かった20個!20個で、頼む」


と懇願するアップルツリーマンにミオンは満面の笑みでこう言った。


「毎度あり~」


と言うと、すぐさまサンダーコングに向かって身構えて叫んだ。


「電空ぅ~ブーメラン!」


ミオンのブーメランはアップルツリーマンによじ登ろうとしていたサンダーコングの背中にあたり、サンダーコングはそれに驚いてバランスを崩してアップルツリーマンの幹から地面に落ちた。


”ドスン”


地面に落ちたサンダーコングはすぐさま起き上がり、頭を振りながらミオンを見ると、食事を邪魔され怒ったのか、


「グオー」


と叫んだかと思うと胸をたたき出した。


「ウホウホ」


その時、俺の頭に≪ドラミング(超音波)≫て浮かび、とっさに俺は左腕をシールドアームに変え、


「危ない!」


と言いながら、ミオンの前でバリアーを展開した。


”ズーン”


って感じでバリアーが振動する。


「間に合ったか……」


ミオンは何が起こったかわかっていないようだった。


「今のはドラミング(超音波)攻撃だ」


と俺が声を掛けるも、自分の”電空ブーメラン”が通用しなかたことに、ショックを受けてるようだ。


「私の、私の……くうブーメランが……」


そんなミオンにフェリクス王子が、優しく声をかける。


「属性の特性が同じだと攻撃は通り難いかと……」


その言葉にミオンも頷きながら、


「そうよね、そうよね」


と自分に言い聞かせるように呟く。


その間にもドラミングを続けるサンダーコングにゲキが攻撃を仕掛けた。


「撃心流奥義の1つ 真空切り!」


ゲキが放った気の刃も、サンダーコングのドラミング(超音波)に阻まれ、到達する前に拡散する。


「くっそ」


そう悪態をつくゲキに俺が、こう言った。


「あれ(ドラミング)を何とかしないと……」


その時、さっきまで落ち込んでいたミオンが、急にすくっと立、俺達に指示を飛ばす。


「セイアと、マクシムス将軍はあいつの左右から腕を封じて!」


それを聞いて俺と将軍は黙って頷いた。


「シノブとゲキはあいつの肩にある突起物……おそらくあれは魔水晶だからあれを二人で砕いて!あれを砕けばあいつは魔力を失うはずよ」


シノブとゲキもミオンの言葉に頷く。


「さー反撃よ!」




◇◇◇◇◇





 サンダーコングの俺が右で、マクシムス将軍が左の位置に着いた。

そして2人同時に攻撃を掛ける。


「ブースドワイヤーナックル!」


「行け!グラン・クラッシャー!」


俺は飛ばした右手でサンダーコングの右腕を掴み、マクシムス将軍はグラン・クラッシャーの鉄球を大きくせずに飛ばし、鉄球についている鎖をうまくサンダーコングの左腕に絡ませ、俺はワイヤーをモーターで引き上げ、将軍は力いっぱい鎖を引いた。


”キュルキュルキュル”


「ふん!」


サンダーコングも俺達に腕を引かれまいと力いっぱい抵抗する。


「グオー」


力と力の勝負……ジリジリとサンダーコングの腕が左右に引っ張られてくる。


 その時、サンダーコングの両肩の魔水晶が光ったかと思うと、サンダーコングは、まず俺に口から高圧電流を吐きかけた。

俺はそれをとっさに左手からバリアーを貼り防いだ。


すると、今度はマキシム将軍に向け高圧電流を吐きかけようとした。


「やばい今マキシム将軍は両手がふさがって障壁を貼れない」


と俺が口にした時、アイーシャさんの如意棒が”スルスル”と伸びて、サンダーコングの頭を小突き電流の軌道を反らせた。


「今よ!」


ミオンの言葉にシノブとゲキが頷くと、シノブはバレットM82A1を構え、ゲキは気を練る。


”ズドン”


とシノブが銃弾を発射したと同時に、ゲキが斬馬刀を振り、


「撃心流奥義の1つ 真空切り!」


”バキーン””バキーン”


ほぼ同時に、サンダーコングの両肩の魔水晶が砕けると、サンダーコングはその場に崩れるように倒れた。


≪名称       サンダーコング≫

≪戦闘力             0≫

≪防御力            0≫

≪スピード           0≫

≪MP             0≫

≪状態        ☆【白】死亡≫



どうやら、倒せたようだ。



切り替えが早いのがミオンちゃんの良いところ……かな(笑)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ