73話 電風の丘ダンジョン9(ミオンとソフィーの着替え)
今回は、少々長めになってしまいました。(汗)
「Oh!Mr.オオワシ!」
「悪り~シノブ、待たせたな!」
俺はそう声を掛け、シノブ達に声を掛けたと同時にケンタウロス形態からUnic
ornと分離した。そしてシノブに再び声を掛ける。
「シノブ!」
シノブは分かっていると言わんばかりに頷き、マジックボックス小に駆け寄るとU
nicorn用の馬具を取り出し、素早くUnicornに駆け寄りセットしだし
た。
その間、マクシムス将軍は、額から汗を拭きだしながらも”疾風のグラン・クラッ
シャー”と言うフレイル型モーニングスターを振るい、ワイバーンの群れと戦って
いる。
Unicornに馬具を素早くつけ終わったシノブが、その将軍に近づき、将軍
の影に向かって声を掛けた。
「Missアイーシャ!」
「はいですにゃ」
シノブの言葉に、将軍の影からアイーシャさんの声がしたかと思うと、将軍の影か
ら、アイーシャさんに手を引かれたソフィーが出てきた。
「残り時間はMissアイーシャ」
「3分ですにゃ」
そう2人の会話を聞きながら俺は、マクシムス将軍の横に立ち、右腕のマシンガン
アームに左腕のエレクトリーアームから高圧電流を流しながら、上空を群れながら
飛ぶワイバーンの群れに向け鋼弾を連射していた。
”バリバリバリ”
と鋼弾がレーザービームのように光の尾を引きずりながら、飛んで行く。
飛んで行った電気を帯びた鋼弾が空を飛ぶワイバーンの一体の喉元に飛び込むと鋼弾がワイバーンの喉元を食い破り、ワイバーンは声もあげずに地上へと落ちて行った。
(やはり思った通りだ)
これは、ミオンが電空ブーメランで、一撃でワイバーンを倒した時に、ひょっとして通じるかもって思ってやってみたのだが、思った通りだった。
ワイバーンの弱点は……喉元、しかも電流に弱いってことだ。
「お見事!私も負けてられんな……」
と言いながら、マクシムス将軍が”疾風のグラン・クラッシャー”を再度、ワイバ
ーンの群れに向け振るおうとした時だった。シノブが将軍に向け声を掛ける。
「ジェネラルマクシムス!時間がないUnicornに早く乗ってくれたまえ」
「あっ……ああ、分かったシノブ殿」
そうシノブに言われた、”疾風のグラン・クラッシャー”を振るうのを辞め、Uni
cornに飛び乗り跨るマクシムス将軍。それを見たシノブが俺に聞いてきた。
「Missアイーシャの影魔法で、Unicornの影にMissアイーシャとM
issラグナヴェールを隠し、一気にゴールまで3分で行けるかなMr.オオワシ
?」
そう聞いてきたので、俺は少し考えて、
「亜音速で行けば3分だが、影魔法の2人は問題ないとして、騎乗するお前と将軍は風圧で……」
と言いかけた時、シノブは俺の言葉の途中で、将軍に向け聞いた。
「ジェネラルマクシムス!騎乗しながら障壁は張れるかい?」
その言葉に将軍はすぐさまシノブに言い返す。
「無論だ!」
その言葉を聞いて大きく頷くシノブ。
そして俺の方に向き直りこう言った。
「この状況では、2回に分けて向かうのは危険すぎるMr.オオワシ、ここは一気
に行った方が安全だと思うが…… ただ、GUY BRAVE単独の走行スピード
は時速100Km……これではMr.オオワシだけが、ワイバーンに追いつかれて
しまう……」
と考え込むシノブに俺が明るく言い返した。
「あ!なら、大丈夫だ!俺にいい考えがある……だから気にせず先に行け、殿は俺が務める」
そう言う俺にシノブが心配そうに俺に聞き返す。
「Mr.オオワシ……本当に大丈夫なのか?」
そう言うシノブに俺はこう言い返した。
「大丈夫だ……俺達が考えたGUY BRAVEの力を信じろシノブ」
と言うとシノブは、俺の肩に手を置き笑顔で言った。
「OK、わかったよMr.オオワシ」
そう言ってUnicornに駆け寄り、側にいたアイーシャさんに一つ頷くと、アイーシャさんも頷き返し、影魔法を発動させソフィーと共にUnicornの影に潜った。
それを確認すると、シノブはUnicornに跨るマクシムス将軍の後ろに飛び乗った。そして俺は、Unicornに心の中で合図を送ると、Unicornは疾風のごとく駆け出して行く。
それを、見て1体のワイバーンがUnicornを追撃しようとしたので、俺はそのワイバーンに電撃付鋼弾をお見舞いしてやった。
◇◇◇◇◇
シノブ達を乗せたUnicornが、駆け出して1分ほど経った頃だろうか、上
空のワイバーン達の数もかなり少なくなり、7体ほどが俺の真上を飛んでいる程度。
(そろそろ、いいかな)
俺は、そう思い両腕をフレイムアームに変えた。そして両掌を地面に向けると勢い
よく両掌から炎を吹き出す。
バランスを崩しながらも俺の体は空中に舞い上がる。
空中にいきなり上がって来た俺を見たワイバーン達は驚き、俺の周りから離れる。
俺は、バランスを何とか保ちながら、徐々に前傾姿勢を取り、勢いよく空を飛ぶ?
ってか弾丸のように飛んだ。
(要は、落下速度より前に進む速度が増せば落ちないと……物理の授業で習たよう
な?)
そう思いながら、両掌から炎を更に勢いよく吹き出し、飛ぶ俺。
正確には、飛んでいないのかもしれないが、空を飛ぶって結構気持ちが良いもの
だ。
しかも、いつの間にかワイバーン達は見えなくなっていた。
(諦めたのだろうか?)
そんなことを思いながらも、あまりにも気持ちいいので思わず叫びたくなり、
「やっほー!」
とそんな言葉を発しながら飛んでいると、目的地の岩山(サンダーバードの巣)が
見ててきた。その中腹にある、ポカリ開いた洞窟の前に広がる平らになった所に降
り立とうとするが、バランスを崩して転がるように降り立ってしまった。
「痛って~!」
別に痛くはない……が、あまりに無様な格好で降り立ったので、照れ隠しに思わず
俺はそう口走った。
「あら、お帰りセイア……ずいぶん派手なお帰りだ事」
と地面に転がる俺を見下ろしミオンが言った。
「皆は?」
と続けて言うミオンに俺はゆっくり起き上がり、
「ああ、下に居ると思うよ」
と体に着いた土埃を払いながら言い返すと、ミオンが左手を腰に当て、右手の人差
し指を崖下に指して、俺に言う。
「じゃ、さっさと残りの仕事を片付なさい」
「あっ、はい」
ミオンにそう言われ俺は、洞窟前の平らになった広場の端に行き、崖下を覗くと下
でシノブが俺に手を振ってくる。俺もシノブ達に手を振り返して、
「では」
そう言って俺は両腕をワイヤーアームに変え、下のシノブ達の所に降ろした。
まずは、ソフィーとアイーシャさんを引き上げる。ソフィーは俺の右腕にしがみ
付き、アイーシャさんは俺の左腕にしがみ付いたのを確認すると俺はワイヤーを引
き上げる。
”キュルキュルキュル”
引き上げる途中、ソフィーは何度か左手で、短く切り裂いたスカートが気になる
のか押さえようと左手を俺の右腕から放そうとするので、それを念話で注意する。
≪ソフィー!両腕でしっかり掴まないと危ないから≫
≪あっ、はい……でも≫
そんなやり取りを2回ほど繰り返しただろうか、何とかソフィーとアイーシャさんを引き上げる。
「ソフィー、危ないじゃないか手を離すなんて」
そう、少し強めに俺が言うとソフィーが、すまなさそうにしながらも、少し顔を赤
らめながら、何度も短く切り裂いた自分のスカートの裾を引っ張るソフィー。
(かわいい……)
そう思いながらソフィーに見とれる俺。
よく見ると、ソフィーが恥ずかしがる理由が分かった。
歩きにくいので、ロングスカートを短く切ったのだろうが……切りすぎたようだ。
短く切ったスカートから……その……”パンツ”が見えている。
(淡いブルーで真ん中に青いリボンのアップリケ付き)
そう思い、俺は顔を赤らめながらも、ソフィーの短く切ったスカートから覗くパ
ンツを凝視していると……。
”パーン”
と良い音がして、俺は頭を後ろから叩かれた。
振り返ると、そこには腰に手を当てて睨むミオン様の姿が。
「セイア!さっさと残りの仕事をする~!」
「はぁ~い」
ミオンにそう言われ、俺はそそくさと、崖下で待つシノブとマクシムス将軍を引き
上げる。2人を引き上げた後、Unicornも送還した。
「Missシラトリ~だいぶ服が傷んでるようだが……」
引き上げたシノブがミオンを見てそう言うと、ミオンがあちらこちら破れ、埃まみれの自分の姿を見ながら、
「そうなのよ……でも、これを手に入れたわ~」
と自慢げに左腕に着いた腕輪をシノブに見せるミオン。
「WOW、それボーナスアイテムかい?Missシラトリ」
目を輝かせそれを見つめるシノブ。
しばらく、シノブに電空ブーメランを見せびらかせていたミオンが、”はっ”と何
かを思いついたのか、シノブに言った。
「あっ、そうだ、予備の服が合ったと思うの……それ出したいからちょっとそれこ
こに降ろしてよ。」
とシノブが背中に背負っているマジックボックス小を顎で示し言うミオン。
「OK」
そう言って、ミオンの前に背負っていたマジックボックス小を降ろすと、ミオンは
早速メニュー画面を開き、2点の服と簡易テントを一張りだしてきた。
「シノブ……これ組み立てて」
そう言って、簡易テントを指差しシノブに言った。
「OK!Missシラトリ」
そう明るく答え、シノブはテキパキとテントを組み立てだした。
シノブがテントを組み終わるとミオンはシノブに向かって、
「ありがとう♪」
とニッコリ笑うと、今度はソフィーに向かいこう言った。
「ソフィー着替えましょう」
「あっ、はい」
ミオンにそう返事をしたソフィーは、自分の分の服を受け取り、ミオンについてテ
ントに入って行った。
2人がテントに入るのを見送ると、シノブは徐に、マジックボックス小からホット
ドックを取りだし、俺とマクシムス将軍に手渡し言った。
「お腹空いただろう~ここらで遅めの昼食をしないかい?」
シノブが差し出す、ホットドッグは湯気を上げながらアツアツ状態だ。
これは、マジックボックスが保温できるのではなく、収納直後の状態を保つって言
うか、たぶんこのマジックボックスの中では時間が経過しないのだろう。
そのアツアツのホットドッグをシノブから受け取り不思議そうな顔をするマクシ
ムス将軍。
「暖かい犬?」
そう呟く、将軍にシノブが笑いながら、首を横に振り、
「ノンノン、ジェネラルマクシムス。それは温めたソーセージを細長いバンで挟ん
だものだよ」
そういうシノブの顔とホットドッグを見比べるマクシムス将軍……すると”
グゥ~”と将軍のお腹が鳴った。
「何はともあれ、美味そうだ……」
そう言いながら”ガブリ”と一口食べると……
「う、美味い」
そう言いながら、かぶりつき、あっという間に食べきる将軍を見て、おかわりのホ
ットドックを手渡すシノブ。俺もその間に変身を解いて、ホットドックにかぶりつ
こうとしたその時だった。
「あ――――――ずるい3人だけ、私も食べる~」
とテントから顔だけ出して、怒るミオンにシノブは笑顔でこう言った。
「大丈夫だよMissシラトリ~、ちゃぁんとMissシラトリやMissラグ
ナヴェールもあるよ」
◇◇◇◇◇
着替えが終わって、ミオンとソフィーが出て来ると、なんとアニメ「デンジャラ
スペアー」の服だった……ミオンがケイティでソフィーがユリアの衣装。髪型まで
は同じではないが、ミオンは薄い緑で赤の淵どり、ソフィーは薄い黄色で赤の淵で
セパレートに上下が分かれており、へそ出しルックでかなり胸元が大きく開いてい
る。下のホットパンツはサイドにキレ目が入り肌が見えている……ってこれパンツ
穿いてないよな……。男性陣はその姿を見て、全員ミオンとソフィーに目を奪われ
た。
ソフィーは恥ずかしそうに顔を赤らめ俺に聞いてくる……。
「に・似合ってますか……セイア様」
俺はハニカミそう聞くソフィーに、固まりながらもこう答えた。
「せ・セクシーだよソフィー」
その俺の言葉にさらに顔を赤らめ
「せ・セクシー……?ですか」
とソフィーが聞いてくるので、”うんうん”と頷きソフィーを見つめる俺。
そこに、ミオンが笑顔で割って入って来て俺に聞く。
「ミオンちゃんは?」
笑顔で聞いてくるミオンに俺は顔を引きつりながらも言う。
「あっ……ミオンも」
その答えに少々不服なのか”プンスカ”怒りながら言うミオン。
「えッ”も”ってなによ……”も”って!」
そう怒るミオンにシノブが笑顔でこう言った。
「Beautifulで、Wonderfulそして何よりCoolだよMiss
シラトリ~」
そう言うシノブの横で、明らかに訳が分かっていないマクシムス将軍とアイーシャ
さんも笑顔で頷いていた。
その様子にご満悦のミオンさん。
(ふぅ……皆、ナイスフォロー)
そんなやり取りの後、ミオン達も、ホットドックで軽い食事をした。
お上品に食べるソフィーとは対照的に、口いっぱいに頬張ミオン。
(お腹が空いてたのは分かるけど……ミオン……下品だぞ)
お腹が少し落ち着いたところで、ゲキ達のことが心配になってきた。
俺達はシノブと合流して、こうして食事をすることができたが、ゲキ達は手持ち武
器以外何も持っていない。普段の戦闘力が高いゲキとは言えど空腹にめっぽう弱い
ゲキ……何も食べないとゲキの戦闘力は著しく低下するのを俺は知っている。
そこで、ソフィーにフェリクス王子と連絡を取ってもらうことにした。
胸のネックレスの状の魔動機を使いソフィーが王子連絡をとる。
≪お兄様~お兄様、ご無事ですか?≫
と言うソフィーの言葉に王子が
≪あっ、うんソフィーか……≫
そして何かを飲み込んでから
≪すまない、今食事中だったんでな……≫
その言葉をソフィーから聞いた俺達が頭に疑問符を浮かべていると……
≪いや、なに魔物を倒してなそれを今焼いてみんなで食べているところだ~≫
≪えっ!≫
その王子の言葉に驚くソフィー……そしてそれをソフィーの口から聞いた俺達は驚
愕して声をそろえて言った。
「「「「「魔物を食べてる~!」」」」」
今回のミオンとソフィーが着替えた衣装は……女の子2人が大活躍するアニメです。
「デンジャラスペアー」=ダ○ティーペアー
ミオンの格好のケイティ=ケイ
ソフィーの格好のユリア=ユリ
の格好です。
当時アニメオタクの中では結構人気ありました。(笑)
一説によりますと、あの刑事ドラマ「あぶない刑事」
の元ではないかと言われてます。
(本当かどうかは知りません)




