表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/267

69話 電風の丘ダンジョン5(トーテンポール)

-----ソフィー視点『電風の丘ダンジョン』地下3階層---


「 That’s slutty!」


「しまった!」


「にゃばいですにゃ」


「どういたしましょ」


 わたくし達は口々にそう言って固まりました。


 そんな中、水面から出ていた数個の目は、浮上し顔を出しました。

顔を見ると先ほどのウォーター・リーパーです。


 マクシムス将軍は、それを見て、慌ててわたくし達の前に出て、魔法で障壁を貼

ります。と同時ぐらいでしょうか、3匹のウォーター・リーパーが口を尖らせたか

と思うと、”シュッ”、”シュッ”、”シュッ”とこちらに何かを吹きかけてきま

した。


おそらく、風魔法で空気を圧縮して吹きかけてきたと思われます。


 その圧縮された空気が将軍が張る障壁に当たり、障壁が”ビビビッ”と揺れまし

た。


「何のこの程度!」

 

と将軍が障壁に当たる圧縮空気の振動に揺れる障壁を維持しながらおっしゃいます。

その間、シノブ様と、アイーシャは、将軍の張る障壁内でそれぞれ銃と吹き矢を構

えます。準備が整ったのか、シノブ様とアイーシャが将軍の目を見て頷きました。


 それを見て将軍も2人に頷き返すと障壁を解除したと同時に2人の後ろに下がり

ました。……っと同時にシノブ様がレミントンM31と言う銃を発砲いたします。

アイーシャもそれに合わせ風魔法で強化した吹き矢の矢を打ち出しました。


”バコン””カチャ”、”バコン””カチャ”


”シュッ”


3匹のウォーター・リーパーは、あっという間に散弾と吹き矢に撃ち抜かれ、四散

いたしました。


 それを見ていた残りのウォーター・リーパーが、すごすごと水の中に消えていき

ました。


「お見事、吹き矢といい、その……銃と言う魔動具といい。」


そう感心するマクシムス将軍にシノブ様はにっこり笑ってこう答えました。


「いや~ジェネラルマクシムスのバリア……障壁がなければこうも上手くは行かな

かったよ~本当に助かったThanks a lot.」


そう言って笑いながら、お互いを称えあうシノブ様とマクシムス将軍。




◇◇◇◇◇






 サンダーバードを倒して、振り向くとミオンが気が付いたのか、倒れた首なし

のサンダーバードを見ながら、俺の方に近づき声を掛けてきた。


「クロスエンド……上手くいったじゃない」


「ああ」


俺に声を掛けるミオンにそう返事をした。


 見ると、ミオンは、顔中埃まみれで、服の袖があちらこちら破れていた。


「お前、そのかっこう……」


「あっ」


俺に言われ顔や頭に着いた埃を手で払いながら、自分の服の綻びを確認したミオン

は、


「やんなっちゃう、これもう着れないじゃない」


その言葉に俺が少し笑いながら言った。


「まぁ、命があっただけ儲けもんだ……一時はもうだめかと思ったぞミオン。」


「そうね、私もダメかと思ったわよ……でもセイア私のこと心配してくれるのねぇ

~いつもは私をお荷物扱いするくせに」


と嫌味ぽく笑うミオンに俺はアタフタしながらも、


「心配くらいするさ……幼馴染だからな」


と答える俺の顔をのぞき込み


「それだけ?」


と言うミオンの言葉に何故か固まる俺だった。


 その時、俺は顔をのぞき込むミオンの視線をそらそうと、後ろに視線を向けた時

だった。後ろに倒れている首なしのサンダーバードの死体が、まるで、ゲームのモ

ンスターのようにブレだし、やがて虹色の泡となって消えていった。


「げっ!」


「あら!……ゲームみたい」


と声を上げる俺とミオン。


やがて、先ほどまでサンダーバードの死体があった場所に明るく輝く光の玉が浮か

んでいた。


「これ、ボーナスアイテムだったりして……」


と言いながらその光の玉に近づいて行くミオン。


「おい、ミオン危ないから止せ!」


と俺が大声でミオンを止めようとしたが……


その光の玉は近づくミオンの方に急に飛んだかと思うと、ミオンの腕に張り付いた。


「おっ!」


「キャー――――――!」




◇◇◇◇◇






-----ソフィー視点『電風の丘ダンジョン』地下3階層---


 わたくし達は何とか沼の向こう岸に渡るため、沼の淵を歩きながらその方法を考

えて移動していますと、沼の淵に何やら長いポールのようなものが見えてまいりま

した。


「Totem poleトーテンポール?」


その長いポールを見てシノブ様がおっしゃいました。


それを聞いてマクシムス将軍はシノブ様に尋ねます。


「と・テンポールとは?」


将軍の問いにシノブ様が答えました。


「ネイティ……、いや僕の生まれた国の一部地域の人々の習慣で、家の中や外、時

には墓の近くに建てられる支柱で、その家の人の出自、家系に関わる紋章や、村の

伝説、物語の登場者などを彫刻したものだと聞いているのだが……」


それを聞いて将軍は


「ほう……それにこれが似てるというのかねシノブ殿」


そうおっしゃいました。それに対してシノブ様は、


「似ている……ただ、材質はこのように石ではなく、木だったけどね。」


とおっしゃいました。


 その間にアイーシャがトーテンポールに近づき何かを見つけたようです。


「ここに、何か書いてありますにゃ」


アイーシャの言葉に、わたくし達はトーテンポールの根元部分を指差すアイーシャ

に駆け寄り、その文字を見てみますが……。


「これは、この世界の文字で僕には読めないな……」


そう言うシノブ様に将軍はわたくしの方を見て、


「姫は読めませんか?」


とおっしゃるので、わたくしもアイーシャが指差すところを見てみましたが、

、現代のわたくし達の文字ではないのでさっぱりわかりません。


「これは、古代文字……かと……ニール様なら読めるかもしれませんが、わたくし

にはさっぱり……申し訳ありません将軍」


そう言ってわたくしが謝ると、将軍はそのわたくしの態度に恐縮して、


「いえいえ、姫が謝まらなくても……私も読めませんし」


と将軍がわたくしに言うと、


「?……Missラグナヴェール、今、Mr.ラーキンなら読めると言わなかった

かい」


とおっしゃいますので、わたくしは自信なく答えます。


「はぃ……たぶん」


そのわたくしの言葉を聞いて何かを思いついた表情で、慌てて背負っていたマジ

ックバック小を地面に降ろすと、嬉しそうに何かを取り出しました。


「これで読めるかも!」


そう言って、取り出した眼鏡を掛けられました。

それは、シノブ様のお誕生日にニール様がシノブ様に贈った”翻訳眼鏡”でした。


わたくしとアイーシャはそれを見て、


「ああ、なるほど……それなら読めるかもです」


「読めるにゃ」


と笑顔で言うわたくしとアイーシャを見て1人だけ不思議そうに首を傾げるマクシ

ムス将軍。


そんな将軍をほおっておいて、シノブ様はトーテンポールの文字を読み上げます。


「天に君臨する者とそれに侍る者は日を迎え、地上に居る者は日を見送れば、道は

開ける」


その読み上げた言葉を聞いて、わたくしを初め将軍やアイーシャは何のことかわか

らず、首を傾げ考えます。


「うん……詩でしょうか?」


「何のことやらわからん」


「全然わかりませんにゃ」


そう言うわたくし達3人に、シノブ様はしばらく考えてから、


「僕は、何かの暗号だと思う」


「「「暗号!?」」」


シノブ様の言葉にわたくしを初め、将軍とアイーシャも驚きそう叫びました。


そんなわたくし達を気にもかけず、シノブ様はぶつぶつと先ほどの文を呟き、

時には、トーテンポールを見つめ考えます。


しばらくして、シノブ様は”はっ”としたような表情をなされ、わたくし達にお

っしゃいました。


「解けたよ!みんな」


そうおっしゃるシノブ様の前にわたくし達は集まり、お話を伺います。


「こほん、えー、まず、このトーテンポールには人の顔が3つ描かれている。

このトーテンポールの一番上とその下、そして一番下の文字が書かれた上に

あるだろう」


とシノブ様が指差し説明なさいます。


「顔?と言えば顔だな」


そう将軍はシノブ様の説明に呟きます。


「そして上の2つには顔の横に羽が付いているだろう?」


とわたくし達にシノブ様が問いかけます。


「羽と言われれば羽かにゃ?耳にも見えるにゃけど」


とアイーシャがポールの上部の2つの顔を見て言います。


「あれは、羽だよ……事実この下の顔にはついていないだろうMissアイーシャ」


と笑顔でおっしゃいます。


「で、羽があるし、このポールの一番上にあることからあれが天に君臨する者だと

思う。」


と説明するシノブ様の言葉に将軍が頷き言います。


「なるほど……」


「で、一番上が天に君臨する者だとすれば、そのすぐ下のがそれに侍る者だ」


そう説明するシノブ様の言葉にわたくし達3人は黙って頷きました。


「そして、ここの一番下の顔が、地上に居る者……次に天に君臨する者とそれに侍

る者は日を迎えの”日を迎え”と地上に居る者は日を見送ればの”日を見送れば

”なんだけど、それは恐らく太陽のことだと思う。


「「「太陽!」」」


シノブ様の”太陽”と言う言葉にわたくし達3人は思わず、声を上げます。


 しかし、その後すぐに将軍がシノブ様に聞きます。


「太陽……お日様って、言ってもこのダンジョンは地下だ……ここは確かに昼間の

地上のように明るく青空まであるが、日は出ていないぞシノブ殿」


そう言う将軍にシノブ様は人差し指を立て、横に振りながらこうおっしゃいました。


「ノンノン、ジェネラルマクシムスつまり方角だよ方角、”日を迎える”は日の出

の方角で東。そして、”日を見送れば”は日が沈む方角西ってことだよ。」


それを聞いてアイーシャが納得した顔で言います。


「にゃるほど……」


 しかし、まだ疑問に思う将軍はシノブ様にこう聞きます。


「方角だとしても、ここではそれこそ、お日様や夜空の星が見えないから分からな

いのではないのか?シノブ殿」


そう疑問を投げかける将軍にシノブ様は、したり顔でこうおっしゃいました。


「僕の腕時計にはコンパスが付いている。これで方角は分かるのだよ。ジェネラ

ルマクシムス」


「コ・ン……おお、魔動具と言うことか」


 コンパスと言う物が分からず、それでもそう言う魔動具だと思おうとする表情で

将軍はおっしゃいました。


シノブ様はコンパスで方位を見ると、アイーシャに声を掛けます。


「Missアイーシャ、僕の言う方向にこのトーテンポールの顔を動かしてくれな

いか?」


「動かす…ですかにゃ?」


と疑問に思うアイーシャにシノブ様は、トーテンポールの顔の部分を指差しおっし

ゃいました。


「ほら、顔のあるところよく見ると前後にスリットが入っているだろう……あれは

、たぶん回せると思うよMissアイーシャ」


とアイーシャに笑顔でウインクをするシノブ様。


 アイーシャはトーテンポールにスルスルと上りシノブ様の示す方向にそれぞれ

ズズズと回し……


すると”ド―――――!”と言う地響きと共に、沼の水面が波立ったかと思うと、

”ザザザ――――と沼の水面が2つに割れました。


「これは…」


「なにが起こってるのにゃ?」


「おー水面が割れて行きよるわい!」


「おお、モーゼのようだ!」


わたくし、アイーシャ、将軍にシノブ様が目の前の光景に声を上げるのでした。




次は金曜あたりにUPできればと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ