68話 電風の丘ダンジョン4(クロスエンド)
”ビリビリビリ~!ズド~ン”
「きゃぁ~――――――――!」
「ミ・ミオ――――――――ン!」
ミオンが立っていた、通路入口付近に、サンダーバードが口から吐いた電撃がぶ
ち当たる。
その衝撃でミオンは吹き飛ばされ通路奥へと倒れこんだ。
【白鳥 美音】
≪名称 白鳥 美音 ≫
≪レベル4≫
≪戦闘力 1,000≫
≪防御力 100≫
≪スピード 100≫
≪状態 ☆【赤】気絶≫
≪特技 作戦参謀 ≫
(ふぅ~直撃ではなかったようだ)
俺はそう思い胸をなでおろす。
俺は改めて、サンダーバードを見てみる。
≪名称 サンダーバード≫
≪戦闘力 60,000≫
≪防御力 30,000≫
≪スピード 500≫
≪MP 10,000≫
≪特技 電撃、放電≫
×1
(って……おいおい、オブリヴィオンのデロべ将軍より強いのかこいつ!)
そう心で呟いて、俺はランスを持った右手をサンダーバードめがけ飛ばした。
「ブースドワイヤーナックル」
”ブシュ~シュルシュシュルシュル”
ランスを握った右手はサンダーバードの胴体右側に刺ろうとした時、サンダーバー
ドは右の翼でそれを弾いた。
”ガチーン”
”ひゅ~”
”ドシャ”
弾かれた、ランスは俺の右手と共にサンダーバードの横の壁に突き刺さった。
俺は、右手とランスを回収しようとワイヤーを巻き上げるが、
”キュルキュルキュル”
壁に刺さったランスが思いのほか深く刺さっていたため、ワイヤーが滑り回収でき
ない。
仕方なく、ランスを握った手を離し右手だけを回収した。
”キュェ―――――!”
と甲高い声を放ったサンダーバードは、翼を広げたかと思うと、翼の内側の無数の
羽根を俺に向け飛ばしてきた。
「おっと」
俺がそう声に挙げると、俺の下半身(Unicorn)が素早く反応しその無数
の羽根を回避する。
(Good job!Unicorn)
俺は心でそう呟き、右腕をマシンガンアームに、左腕をシールドアームに変えて、
すぐさま右手の4本の指をサンダーバードに向け、鋼弾を発射しながら左掌からバ
リアーを展開させた。
”バリバリバリ”
しかし、サンダーバードの黄金に輝く羽に阻まれ、軽い金属音と共に鋼弾は弾
かれる。
そしてまたもやサンダーバードの鶏冠が立ったかと思うと、鶏冠が光った。
「やばい、来る!」
俺はすぐさまバリアーを展開した左手を突き出し、サンダーバードの攻撃に備える。
”バリバリバリ~ドーン”
サンダーバードが口から放った電撃が俺の展開したバリアーに直撃し、俺の体は大
きな衝撃を受ける。
「ぐっわー!」
その重い衝撃に思わず叫ぶ俺であった。
◇◇◇◇◇
-----ソフィー視点『電風の丘ダンジョン』地下3階層---
「What’s this!?」
「なんじゃこれ!」
シノブ様とマクシムス将軍が驚き声を上げられました。わたくしとアイーシャは、
2人が声をあげ指差す方を見てみますと……。
何とそこには、翼開長70cmはあろうかと言う……大きなトンボが数匹飛んで
おりました。
「太古の地球に居たメガネウラ……?に似ているが……」
と大きなトンボを見つめぼっそとおっしゃるシノブ様の言葉にマクシムス将軍が驚
き、聞き返しました。
「えっ、勇者殿達の異世界にも魔物は住んでおるのか?」
と言う言葉に、シノブ様は首を横に振り、
「いや、太古の昔にに絶滅しているが……」
そうお答えになりました。
「そうなのか……シノブ殿」
とマクシムス将軍がさらに聞き返されますと、黙ってシノブ様は頷かれました。
「同じかどうかわからないが、もしあれがメガネウラと同じ性質であれば厄介だな
……」
とおっしゃるシノブ様にマクシムス将軍が、
「……で、どう厄介なのだ?」
と聞き返されると、シノブ様は、背負っていたマジックボックス小を降ろし、中から
何やら別の銃を取り出すと、今持っている銃と交換されました。そして従来の弾とは
違う筒状の弾を込められていました。
後でシノブ様にお聞きいたしますと、レミントンM31と言う銃で、わたくしには
よくわかりませんが、散弾と言う弾を発射できる銃とのことでした。
「肉食だからさ、あの大きさだと人も襲いかねないだろう?ジェネラルマクシムス」
とおっしゃいました。そしてシノブ様はそう将軍に話されながら、銃口をそっと、
巨大トンボに向けた時でした。
沼の水面の上を飛ぶ無数の巨大トンボの一つにめがけて何やら水面から”シュッ
”と言う空気音が聞こえてきたかと思うと、巨大トンボの一つが翼を何かに撃ち抜
かれたようで、水面に落ちていきます……と次の瞬間!水面より何かか飛び立った
かと思うと、落ちてくるトンボをパクリと一口で飲み込みました。
「Oh!」
「なんだ!」
その様子を見ていたシノブ様とマクシムス将軍が驚きの声を上げます。
わたくしとアイーシャは驚きのあまり声が出ませんでした。
巨大トンボを一口で飲み込んだ魔物は、魚の胸鰭を大きくした翼でそのまま空中
を飛び続けていました。
しばらくわたくしたちは目の前を飛ぶその魔物を眺めていましたが、そのうち
アイーシャがポツリと言いました。
その魔物の姿は全長1.5mでカエルの姿に似ていますが、魚の尾鰭が生えてお
り、胴体部分には大きな魚の胸鰭が付いていてそれを翼のように羽ばたいて飛んで
居りました。
「ウォーター・リーパーにゃのかにゃ?」
その言葉に、マクシムス将軍が否定の言葉をおっしゃいました。
「いや、ウォーター・リーパーに似てはいるが、奴はもう少し小さいし、第一、獲
物を水面から撃ち落とす能力はなかったはず」
その言葉にシノブ様が聞き返します。
「そのウォーター・リーパーの亜種とは考えられないか?ジェネラルマクシムス」
その言葉を聞いて将軍は”う~ん”と唸りながら考えておられました。
「亜種が居たとは聞いたことがないが、長らく封印せれていたダンジョン故、ない
とは言えないか……」
そんな会話をしていた時、アイーシャがぽつりと言いました。
「私達狙われてるかもにゃ」
そう言うアイーシャーの目線をわたくし達3人が目で追うと……。
先ほどのウォーター・リーパーの出現で他の巨大トンボは蜘蛛の子を散らすように
居なくなり、またトンボをパクリと食べたウォーター・リーパーは、いずこかに飛び
去ったようですが、水面には数個の目が突き出ており、こちらをじっと見ていました。
「 That’s slutty!」
「しまった!」
「にゃばいですにゃ」
「どういたしましょ」
わたくし達は口々にそう言って固まりました。
◇◇◇◇◇
かろうじて、サンダーバードの電撃をバリアーで防いだ俺は、猛スピードでサ
ンダーバードの周りをまわり始める。
サンダーバードは、そんな俺を律儀にも目で追っていた。
それを見てさらに俺は亜音速近くスピードを上げ、サンダーバードが居るドーム内
を駆け回ると、風が起こり、俺を必死で目で追い、少し目を回しかけたサンダーバ
ードの体が、その風に押され体がふらつき、ぐらっとした。
「今だ!ミサイル発射」
俺の背中(Unicorn部分の)から、次々と6発のミサイルが打ちあがり、サ
ンダーバードめがけて飛んでいた……が、その時ふらついていたサンダーバードが
”カッ”と目を見開いたかと思うと、鶏冠を立て翼を大きく広げたと思ったら鶏冠
が”ピカ”っと光った瞬間。全身から放電し、俺の放ったミサイルを打ち落とした。
そして、さらにその放電は俺の体にまで達し、俺の体にサンダーバードの放つ、も
のすごい電気が流れた。
”バリバリバリ”
「うわぁ――――!」
俺の視界にノイズが走る。
しかし、それ以外は大したダメージはなく、俺はすぐさま先ほどと同じように
ドーム内をすぐさまぐるぐると回りだした。
回りながら、考える……。
(あれを使うしかないかも……)
そう思った俺は、両腕をブレードアームに変えるとすぐさまプログレッシブ
ブレードを展開する。そしてスピードを落とし、ドーム内を回るのをやめると、
サンダーバードを正面に見据え、そのままダッシュをかける。
その様子を見ていたサンダーバードは先ほど俺に放った放電のポーズをとる。
俺はダッシュからそのままジャンプすると、Unicornを分離して、さらにジ
ャンプした。そして、サンダーバードの顔付近の高さに達すると、展開したプログ
レッシブ ブレードを顔の前でクロスさせる。
「必殺!クロスエンド」
するとクロスしたプログレッシブ ブレードから衝撃波が起こり、サンダーバードの顔に命中するとサンダーバードの顔は一瞬にして爆発四散した。
俺は空中でくるりと回転し、そのまま床に膝をついて着地した。
俺の後ろで、頭をなくしたサンダーバードが、白煙を上げながらゆっくりと地面に
崩れ去って行った。
そう、これが俺の必殺技の一つ”クロスエンド”ミオンがあるヒーローの技から
考え出した技である。
はっきり言って、科学的、物理的にはナンセンスな技ではあるが、”魔法”(イメ
ージ)の世界では通用してしまうから、不思議である。
あるヒーローの必殺技=人造人間キ○イダーの必殺技 電○エンドです。
今回はキカ○ダー02版を参考にしました。




