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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第1章 突然の異世界 そして 突然のヒーロー!?
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6話 Release

 ソフィーに、元々の”GUY BRAVE”の俺の知ってる設定と、ここに来てから、設定と食い違うところを説明した。


「今のセイア様のお話ですと、元々勇者様は魔力とは別の……え……エネルギー?で稼働されておられると……それに……アンドリ……アンドロイドと言う人型魔導機が今のお姿に変幻ヘンゲ……変身されると言うことですか?」


 俺はコクリと頷いた。


「しかし、ここに来られる前のセイア様は、生身の人間でおられたわけで、お話の人型魔導機……アンドロイドも変身後元の姿に戻るのであれば、セイア様も元のセイア様に戻れると思うのですが……。」


 右手の人差指を顎に宛て考えるソフィー。しばらく考えて”ポン”と手を叩き、


「セイア様、変身する時、何か詠昌とかなさるのですか。」


と聞いてくるので、


「確か、GUY BRAVEって叫べば変身する……。」


と俺が答えると、


「じゃ、元に戻るのも何か詠昌と言うか、言葉があるのでは?」


無邪気にニコニコっと笑うソフィー。


「いや……その言葉がわからない。」


と俺が言うと、


「分かりませんか……。」


 うな垂れるソフィー。


「召喚魔法だと……呼び出した精霊や魔物を返す時……詠昌の後、

”Release”と言うと精霊や魔物は消えるのですが……。」


 うな垂れながらポツリとソフィーが言った。


「?」


 俺はソフィーのその言葉に”はっ”とした。GUY BRAVAの設定は、シノブだ。あいつはアメリカ人と日本人のハーフ。故に、GUY BRAVEの使う設定用語のほとんどが、英語だ。


「ソフィー!それだよそれ!」


と俺が大声でソフィーに言うと、俺の言葉にキョトンとするソフィー。


 ”キョトン”とするソフィーにかまわず、俺は叫んでみる。


「Release!」


 すると俺が眩い光に包まれる。眩しさのあまり、ソフィーが自分の目の前に手を当てのけ反る。


 しばらくすると、眩い光が消え、そこに居たのは元の俺……大鷲青空オオワシセイア。光が消え、ソフィーは、のけ反った体を元に戻し、目の前に持ってきていた手をどけ、俺の姿を確認すると、


「あ~良かった~、無事だったのですね。」


 目に涙を浮かべながら俺に抱きついてきた。俺は少し困惑しながら、ソフィーを抱きしめ、


「いや、だからGUY BRAVE=大鷲青空だと言っただろう?」


と言うと、ソフィーは俺にしがみついたまま、涙を零し小さく”ウンウン”と頷いた。


「はい、でも、やはり、お姿を見るまでは……」


と泣きながら俺に言う。


 ソフィーが泣き止むまで、しばらく俺は彼女を抱きしめていた。




◇◇◇◇◇




 ソフィーが落ち着いたところで、彼女が作った夕食をソフィーと一緒にいただく。


 オートミールのスープは、言ってみれば、西洋粥。日本人の俺にはあまり馴染みがなく、『うまい!』と、言うものではなかったが、お腹が空いていたこともあり、残さずいただいた。結構、腹もちは良いようだ。


「ごちそうさま。おいしかったよ。」


と笑顔(作り笑顔)でソフィーに言うと、照れながら俺に、


「それは良かったです~」


 満面の笑みで俺に言った。うれしかったようだ。




◇◇◇◇◇




「さてと」


 俺は、再びGUY BRAVEに変身する。


 先ほど変身を解いた時にUNICORNも消えてしまったので、再び召喚……て、言うか呼び出し出発する。


 GUY BRAVEの視界を暗視モードに切り替える。Unicornも同じ能力があるようだ。夜の草原を機械の馬?って言うかUnicornが疾走する。といっても、ソフィーを起こしたくないので、スピードは控えめだ。


 時速……20キロくらいかな(俺、調べで)ホント便利な体だGUY BRAVA。眠くもなく、疲れない。 ただ、≪Energy7,000/10,000≫とエネルギーは減っているが……たぶん、この減り方はUnicornの使った分も

含まれてる気がする。




◇◇◇◇◇




 ”ピッ”≪AM:04:49≫頭にその文字が浮かんだときには、夜が白々と明けてきた。


(長い夜もこれで終わりだ。)


 視界を暗視モードから通常モードへと切り替える。


 辺りは草原ではなくなり、どちらかと言うと”サバンナ”って感じで、地面は赤黄色の土で、背の低い木や人間の子供位の背丈の草の塊が、あたりにポツリ、ポツリと点在してる。


 ただ、地球で言うところの”サバンナ”のように気温が高くはなく、初めに居た所と同じ春の気候って感じの場所だ。


 しばらくして、GUY BRAVEの時計で≪Am:05:40≫ソフィーが眠い顔を擦りながら起きてきた。


「おはようございます。」


「おはようソフィー♪良く眠れた?」


「えっ……はい。お陰さまで」


とにっこり笑って俺に言うソフィー。


「ここはどのあたりかな?ソフィー。」


 ソフィーに尋ねると、馬車の奥から地図を取ってきて、当たりを見渡し、地図を指さす。


「このあたりまで来たようですね。」


 俺は、ソフィーが指さすところを見て、


「ほぉ~、だいぶ来たな。このペースだと後半日くらいかな?」


と聞くと、


「そのようですね。」


 地図から目を外して俺の方を見て笑顔で言うソフィー。


「じゃ、馬車を停めて朝ごはんでも、する?」


「はい」


 満面の笑みで答えるソフィー。


(可愛い子の笑顔は癒されるね♪)


 馬車を停めようと思ったら……停まった。


(流石、我が分身!)




◇◇◇◇◇






 夕食にしても朝食にしても、移動中の食事は、この世界では簡素な食事となる。レストランなんてあるわけないし、当然コンビニも。


 移動中の朝食の定番は、クラッカーにハムやチーズ、ジャムを載せたもの。それに、お茶・・・紅茶を飲むのが定番らしい。


 元々イーシャイナ王国では、昼と夜の1日2回の食事が長い間定番だったらしいが現王のエドモンド王が、王になる前にTreasure Hunter(探検・冒険家)をやっていた時、同じTreasure Hunterのチームのティム・ラーキン(現アルブ王国魔法省大臣)の影響を受けて、朝食をとるようになったらしい。


 ただ、移動時は保存食中心になるため、このようなおやつ?とも言える簡素な朝食になるらしい。


 火を熾すのは大変、お湯を沸かすだけだし、わざわざ炭や薪を使うのは、

”めんどう”ってことで、俺はGUY BRAVEのままで、右手をフレイムアームにして、掌の上に水の入ったポットを載せ、落ちないようにわしづかみし、掌の炎がでる所から、チョロチョロと炎を出しお湯を沸かす。


(沸いたかな?)


 俺は左手の指をポットに突っ込む。


≪100℃≫


「これで大丈夫だろ。」


 俺は、食事のために出した、テーブルの上にある鍋置きのようなものの上に置いた。この水は、湖の水ではないが念のためだ。俺が置いたポットから、ソフィーが茶葉の入った別の小さいポットへお湯を入れる。


 少し、その場においてお茶を蒸らすようだ。その間にソフィーがクラッカーや、それに載せるハム、チーズ、ジャムなどを用意する。食事の用意が出来たので、俺は変身を解除する。2人そろって、


「いただきます。」


 ソフィーには”いただきます”の習慣はないが、たぶん俺の真似をしているのだろう。ソフィーはスプンにジャムらしきものを取り、スプンのジャムを少し口に含んでから紅茶を飲んでいる。


(ロシアンティー?)


 俺が不思議そうに見ていると……


「こうやってフラガラリアのジャムを口に含むとお茶の渋みが消えますよ。」


 ニッコリ笑って俺に言う。


「その……フラガリアのジャムって?」


 俺の問いにソフィーは、またニッコリ笑って、別のスプーンにジャムを取りあ~んして来た。


「食べてみてください。おいしいですよ~」


 俺は一瞬躊躇したが、ソフィーが差し出すスプーンのジャムを口に入れた。


「あ!これ……」


 俺は、目を見開き言った。


「いちごのジャムか……」


 ソフィーは俺の反応を伺うように、


「お嫌いですか?」


と聞く。


 俺は頭を横に振り、


「いや、大好きだよ。」


とニッコリ笑った。


「良かった~」


 ソフィーもニッコリ笑った。


 テーブルの上のハムやチーズが載ったクラッカーをつまみながら、楽しいひと時をソフィーと過ごしていた時だった。


 突然頭の中に地図が浮かび、地図上に赤い光点が20個くらい浮かび上がった。

 そして、≪Enemy Approaching≫の文字。


「なんじゃ!これ。」


 驚く俺の顔を心配そうに覗きこむソフィー。俺はすぐさまGUY BRAVEに変身し、頭の中の地図に浮かぶ赤い光点の固まってる方角を見る。


≪Zoom≫


×20倍くらいのズームを掛けると、なにやら醜い子供のような奴らが見えた。


「こいつらはいったい……。」


と言う俺の隣で、荷馬車から望遠鏡を取り出したソフィーが同じ方向を見て、


「あれは、ゴブリンです。」


と言うソフィーの方を向き俺が、


「ゴブリン!?」


と聞き返すと、見ていた望遠鏡を外し、俺の方を見て、


「子供くらいの大きさで、醜い顔をした魔物です。」


「1人1人はそんなに強くありませんが、集団で人を襲うので厄介と聞きます。」


(やはりファンタジーゲームのゴブリンと同じか……。)


 ソフィーの説明を聞き、そう心で呟いていた俺に、さらにソフィーが続ける。


「それに、ホブゴブリンとゴブリンマジシャンが今回混じっております。」


「ホブゴブリン!?ゴブリンマジシャン!?って。」


 ソフィーの言葉に、そう俺が聞き返すと、望遠鏡を再び覗いて指をさす。俺は同じ方向を見て≪Zoom≫を掛ける。×20倍。


「他のゴブリンより、少し大きいのがホブゴブリンです。そして、他のゴブリンと大きさが同じですが顔が一回り大きいのが、ゴブリンマジシャンです。」


「顔が大きい?」


 ソフィーの説明に、そう疑問を返した俺に。


「ほら、あの赤い帽子を被ってるやつです。」


 俺は赤い帽子を捜す。


「あっ、あのとんがり帽子の奴かい。」


「はい、そうです。」


 そして再び、覗いていた望遠鏡を外して、俺の方に向き言う。


「簡単な魔法を使って来ます。」


 俺もズームを解除し、ソフィーの方を見て、


「簡単な魔法ね……。」


 兎に角、数が多い。と言うことで、ソフィーを馬車に乗せUnicornを呼び出し、Unicornに姫を守りながら、ゴブリン達の居ない方へ移動するように……と言おうとしたら……分かってるようだ。


 Unicornは馬車を引きながらその場を離れて行った。


 俺は、ゴブリン達を迎える準備をする。


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