64話 UFO?
時間が遅れましたが何とか今日中にUPできました。
マクシムス将軍の話では、『風の丘ダンジョン』の結界である竜巻と雷雲が消え
ていると言う。
「おそらくは……魔王軍の仕業。」
と呟くフェリクス王子。
なので、まもなく風の丘ダンジョンに閉じ込められていた魔物達がダンジョンよ
りあふれ出るであろうと言うことになり、一旦、デスロ同盟国・イーシャイナ王国
連合軍砦に戻ることになった。
トレーラーまで、フェリクス王子とマクシムス将軍を案内する。
「兄上様!……よくぞ御無事で!」
フェリクス王子を見つけるなり、半分泣き顔で王子に抱き付くソフィー。
そんな妹を抱きしめ、頭をなでながら王子は言う。
「お前が予言した勇者様のおかげだよ」
王子の言葉に涙ぐみながら”うんうん”と頷くソフィーであった。
そんな兄妹の感動の再開をしていると、フェリクス王子の伝令将校であるファル
コさんがトレーラーから出てきて王子の前に進み出て膝を折、臣下の礼をとって。
「王子御無事で」
その言葉にソフィーを抱きしめていた、手を離し、ファルコさんの方を見て、
「おお、ファルコお前がここまで勇者殿達を案内してくれたのか……ご苦労だった
な」
と笑顔で声を掛けるフェリクス王子。
その言葉にファルコさんはそのままの姿勢で
「ははっ」
と答えた。その傍らで、
「おお、これが勇者の戦車(古代戦車のこと)か~」
俺達のトレーラー見て感心するマクシムス将軍。そこへトレーラーの入り口から顔
を覗かせたミオンが自慢げに言う。
「へへ~すごいでしょ、なんてったって、食堂付き寝室シャワー、トイレ付きでし
かも、冷暖房完備よ」
「れ・いだんほう?」
ミオンの冷暖房の意味が解らず、頭を傾げるマクシムス将軍。
ミオンはトレーラーから降りてきて、マクシムス将軍とフェリクス王子にぺこりと
頭を下げ、
「初めまして、マクシムス将軍、フェリクス王子」
ミオンが、マクシムス将軍とフェリクス王子の前に進み出て宇宙刑事アリーのあの
短いスカートを摘み、例のポーズをとる。マクシムス将軍、フェリクス王子が、一
瞬それを凝視して……。
(……う~ん、見えたな確実に)
「自己紹介しますね~、私は勇者の幼馴染のミオン・シラトリです。」
とミオンが笑顔で言うと、ミオンの……凝視していた2人が”はっ”と我に返り、
「おお、勇者殿の幼馴染か、私はデスロ同盟国の軍事都市 パルタスの
将軍マルクス・マクシムスだ。よろしく」
とミオンに軽く頭を下げた。
「私は、イーシャイナ王国第2皇子フェリクス=ラグナヴェールです。今回はあり
がとうございました。」
と同じく王子も頭を軽く下げた。それを受け、ミオンは右手を横のゲキに向けて、
「こっちは、私と同じ勇者の幼馴染のゲキ・シモトウゲ」
とゲキを2人に紹介する。ゲキは紹介され軽く2人に頭を下げた。
「おお、先ほどの見事な剣技の御仁か」
「フェリクスです」
と言いながらゲキの手を取り握手するマクシムス将軍。その横で軽く会釈するフェ
リクス王子。
「で、こっちが……」
とミオンが紹介しようとしたら、自分から王子と将軍の前に進み出たシノブが、
自ら2人に握手を求めながら、
「勇者の親友のシノブ・メイトリックスだ。プリンスラグナヴェール。ジェネラル
マクシムス。」
笑顔で2人と握手を交わす。
「おお、あの爆裂魔法の御仁か!」
と握手しながら、笑顔でシノブの肩を叩くマクシムス将軍。
「そして、こちらがソフィーの護衛騎士のクレアさん、エドナさんにアイーシャさ
ん。」
とミオンの脇で、膝を折、頭を垂れている3人を将軍と王子にミオンが紹介する。
「其方達であったか……」
「よくぞ、今までソフィーを守り抜いてくれた礼を言うぞ」
そう、将軍と王子が3人に声を掛けると、3人は至極恐縮しながらクレアさんが、
「いいえ、滅相もない、わたくし達の力など……勇者様や勇者様のお仲間比べれ
ば、遠く及びません。」
と謙遜しながら言った。
そして、最後に俺を指して、少しちゃめかしぎみにミオンが言った。
「そして、こちらに御座すのが、かの有名な勇者!セイア・オオワシで~す。」
「おお、先ほどは忝い勇者殿」
「ありがとうございます。妹だけでなくわたくしの命までお救い頂き感謝してもし
きれません勇者殿」
と深々と頭を下げる将軍と王子に、
「あの……勇者って呼び方はやめません?」
と言う俺の言葉に、下げた頭を上げた将軍と王子は”ぽかん”とした顔で俺を見る。
「ソフィーにもニールさんにもセイアって呼んでもらってるので、お2人もそう呼
んでください。」
そう俺が言うと、
「「しかし……」」
と王子と将軍は考え込むが、そこにソフィーが
「お兄様、マクシムス様、それがセイア様の世界……つまり、異世界の習わしです
ので……」
と2人に懇願するような目で見ながら言った。
「う……そうだなソフィーがそう呼んでいるなら私もそう呼ばせて頂こう」
「フェリクス王子がそう呼ぶなら私もそう呼ばせてもらおうか」
と2人が言ってくれた。
「ありがとうございます。フェリクス王子、それにマクシムス将軍」
そう言って俺は2人と硬く握手した。
「じゃ、紹介も終わったことだし、さっさとトレーラーで砦に戻ろうよ」
とミオンが言うと皆その言葉に頷くが、その時、王子が言った。
「その前に、ファルコこのことを砦に居る騎士達に伝えておいてくれ」
そう言う王子にファルコさんは一礼して、
「かしこまりました、では早速」
そう言って、ファルコさんは背中の大きな羽を広げ、その場を飛び去って行った。
大空を砦の方に飛ぶファルコさんを見送った後、俺達はトレーラに乗り込もうと
した時に、何かを見たのか、シノブがファルコさんが飛び去った反対側の空を指差
し言った。
「What is that?」
その声に俺達はシノブが指差す方を一斉見見て、
「う?ん……空飛ぶ円盤か?」
「?……そうね、UFOのように見えるけど」
ゲキとミオンの言葉に俺が不思議そうに言う。
「何でこの世界にUFOが飛んでいるだ!」
それは、色は銀色で、おおよそ、直径1m位の大きさの円盤だった。俺達のその
言葉にフェリクス王子とマクシムス将軍はその言葉の意味が解らず、首を傾げなが
ら……。
「「ゆーほー?」」
その時だった、その空飛ぶ円盤が”パッ”と消えたかと思うと、次の瞬間俺達の
真上に現れ、円盤下部から眩い光を俺達に放つ。
「いかん……」
「やばい」
俺とゲキがそう叫んで、皆を庇おうとしたが、時すでに遅く、俺達はあっという間に
光に包まれたかと思うと、次の瞬間意識を失っていた。
◇◇◇◇◇
気が付くと、俺の側にはミオンだけがいた。
「ソフィー達は?」
「わかんない」
俺の問いにそう答えるミオン。
2人であたりを見回すと、俺達は少し高台で、足元はごつごつとした赤茶けた岩
だらけの処に居るようだ。そしてそこから見える風景は、雲一つない抜けるような
青空が広がり、俺達の足元のような岩場に所々小さな森のような緑の地帯が点在し
、遠くには岩でできた山が3つ見える。
「ここは……どこだろう」
そう俺がミオンに呟くと、ミオンは俺の方を見て、
「ひょっとしてダンジョンの中だったりしてぇ~」
と冗談ぽく言うミオンに俺は真顔で
「まさか!」
と言い返した。
「兎に角、皆を探そうよセイア」
そうミオンに言われ俺はソフィーと念話を試みる。
≪ソフィー……ソフィー無事か?≫
そう問いかけたが返事がない。
≪ソフィー……ソフィー?≫
と、もう一度問いかけてみる。
すると……
≪あ!セイア様ご無事で!≫
≪ソフィー良かった無事か?≫
≪はい、セイア様の方こそ……≫
≪ああ、こっちは無事だ、今俺はミオンと居るがソフィーは誰と居るんだ?≫
≪はい、シノブ様とアイーシャとマクシムス様と4人です。≫
≪そうか、ゲキ達は?≫
≪わかりません……それにお兄様も……≫
そのソフィーの言葉にしばらく考えて、
≪ソフィーあのさ、ニールさんと前に連絡とったみたいに魔動機でフェリクスさん
と連絡取れないか?≫
≪ああ!はい、やってみます≫
そう言う念話をソフィーと交わしていると、甲高い声が空からしてきたので振り返
ると。
「あれ?ひょっとして……ワイバーンじゃないかな」
と隣のミオンが空を指差しながら言った。
「えっ!ワイバーンって……ってことはここはやっぱり……」
「「電風の丘ダンジョン~!!」」
と驚きながらミオンと俺はお互い顔を見合わせ言った。
宇宙刑事アリー=宇宙刑事シ○イダーのパートナー
○ニー




