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63話 救援王子と将軍


ソフィーの両親であるエドモンドさん王妃カリーナさんと別れを告げ、俺達はニールさんと時田さんを都市防衛の強化魔応円作成とオブリヴィオン”擬態”を見抜く装置(魔動機)作成

のために残ってもらい、残りの俺達8人は、『電風の丘ダンジョン』付近デスロ同盟国・イーシャイナ王国連合軍砦を目指し、トレラーを走らせている。


 ケンタウロス砦の地下道と違い道なき道を進むため、今回はトレーラーの自動運

転が使えないので、俺、ミオン、シノブで交代で運転している。


 ゲキとエドナさんは、時田さんに代わり食事を作る係で、まだ調理道具に慣れて

ないエドナさんにゲキが指導しながら料理を作るため、ゲキは運転メンバーから外

している。


 また、今回フェリクス王子の伝令将校である鳥人系鷹族のファルコさんも道案内

役として俺達に同行してもらってる。


 この世界の地図はかなりアバウトなところもあるので、トレーラーを走らせなが

ら、ドローンを限界高度(上空約4500m)まで上昇させて、ドローンからの映

像で、現在の位置をファルコさんに見てもらいうのと、イーシャイナの防護壁には

魔物除けの特殊な魔法円が仕込まれていると、ニールさんが言っていたので、ミオ

ンの発案で、今ソフィーに魔力レーダーを使いイーシャイナ王国と距離を測りなが

ら進んでいるところだ。


「ひぇ~!!」


 トレーラーの指揮所後部にあるシャワー&トイレ室から変な悲鳴が聞こえてきた。


「まぁそうなりますね」


「そうねぇ~初めてだとそうなるよねぇ~」


と悲鳴を聞いたクレアさんとエドナさんが、クスクス笑いながら言う。


 そう今、フェリクス王子の伝令将校であるファルコさんが……初めてシャワー付き

トイレをご利用なさってる(笑)。


 ニールさんとソフィーはそんなことなかったんだが、それ以外の異世界メンバーの

クレアさん、エドナさん、アイーシャさんは、初めて使ったとき似たような悲鳴を上

げたのだった。


 しばらくして、目が虚ろのファルコさんが、俺達がいる食堂兼作戦室に入って来た。


「……」


 そんな彼に、ゲキが近寄りそっと肩を叩いて、


「ファルコさん、ドローンの映像から今どのあたりかわかるか」


とにこやかに尋ねる。ゲキに肩を軽く叩かれたファルコさんは”はっ”としてゲキ

と目を合わせてから、食堂兼作戦室の大型モニターを見て、


「アッ……えぇーーと、そうですね、この感じだと、このあたりかと……」


そう言いながら、テーブルの上に広げた地図の中のある地点を指差した。

それを見てゲキが食堂兼作戦室の大型モニターに設置されているスピー

カーに向かって、


「ソフィーさん壁からの距離は?」


と聞くと、指揮所で魔力レーダーを監視していたソフィーが言った。


『おおよそ1000kmです』


それを聞いてゲキがシノブに聞く、


「だとしたら、もう少し手前のこの辺か?」


ゲキの問いかけにシノブが首を横に振り、


「いや、ここら辺りだと思うよMr.シモトウゲ」


と言いながら、ゲキとファルコさんが指差す間の地点を指差し言った。


「そーか、ならそろそろお昼にするか」


ゲキがそう笑いながら言った。





◇◇◇◇◇





―――異世界『電風の丘ダンジョン』地下内部某所―――☆




三俣の槍を持ち、長く伸びた白髪を逆立て、白いフードがないローブのような

物を着ている男……サディコ将軍が、荒れ狂うウナギのような怪物(この世界で

電龍と呼ばれる魔物)に向かって三俣の槍の先を向けて何やら念じるようなしぐ

さをすると、サディコ将軍の目が光った。


≪静まれ!≫


すると、電龍と呼ばれる魔物は急におとなしくなった。


そして何やらこの世界の魔法円のようなものを設置する。


「これでよい」


そう一人呟いて、何かを感じたのか振り向く、サディコ将軍。


「そうか、勇者達がこっちに向かったか……ならば」


そう言って、目を瞑り、


≪アントマン達よ作戦変更じゃ≫




◇◇◇◇◇





―――異世界『電風の丘ダンジョン』付近デスロ同盟国・

イーシャイナ王国連合軍砦付近の丘陵地―――☆




「なんと、結界の竜巻と雷雲が消えておるではないか!」


騎乗しているフェリクス王子の隣に同じく騎乗しているマクシムス将軍が呟いた。


「と言うことは、ダンジョンの魔物が出て来ると考えねばなりませんねぇ」


そう言う王子は馬を反転させ、後ろを行軍してくる騎士達の方に振り向き、手を上

げ、


「撤退!」


それを見て、マクシムス将軍も同じように後ろを振り向き、王子と同じように手を

上げて言った。


「者ども~!引けぇ~!!」


行軍していた騎士達は2人のその言葉を受け次々に後ろを振り向き”撤退”を伝えて

行く。


 そして騎士達はクルリと反転して、砦の方に撤退を開始して行った。


騎士達の撤退を見ていたフェリクス王子とマクシムス将軍。


「では、我らも撤退いたすとしますか」


とマクシムス将軍がフェリクス王子に声を掛けると、フェリクス王子は黙ってそれ

に頷いた。


 それを見た、マクシムス将軍が自分達の護衛の歩兵に向けて手を上げようと……


した、その時である。


「▲◎§ΔΘ!」


護衛の歩兵の1人が突然意味不明の言葉を言ったかと思うと、持っていた槍でマク

シムス将軍へ、向け突き出した。


「何をする!」


そう言って、持っていた剣でその槍をいなした。


すると、フェリクス王子とマクシムス将軍の護衛の歩兵達は一斉に”バリバリバリ

”と騎士達の体を破り捨て、アントマンの姿を現すと次々にフェリクス王子とマク

シムス将軍に襲い掛かった。


「しまった、勇者に諮られたか!」


そうマクシムス将軍が叫ぶ。


 フェリクス王子とマクシムス将軍は20体以上のアントマンに囲まれながらも、

果敢に剣や魔法で応戦するも乗っていた馬を槍で突かれ、2人共、落馬する。


”ヒッヒ~ン””どさ”


落馬しながらも、2人はすぐさま立ち上がり、お互いの背を合わせながら剣でアン

トマン達と対峙する。


 しかし、何体かのアントマンがその鋭い顎を開き、”酸”を吹きかけた。


「しっ・しまった」


そうフェリクス王子が叫んだ時、何処からともなく声がした。


「フリーザーブリザード!」


 フェリクス王子とマクシムス将軍を襲うアントマンが吐いた”酸”が2人に降り

かかる前に凍り付き地面に落ちる。


 フェリクス王子とマクシムス将軍は、それを見て思わず声のする方に振り向くと

、そこに立つ者を見て思わず声にする。


「「いったい……何者!」」


そう2人に言われた俺は名乗りをあげる。


「通りすがりの勇者です。フェリクス王子それにマクシムス将軍!」


「「勇者殿!!」」


俺のその言葉に驚く、フェリクス王子とマクシムス将軍。


2人が俺に気を取られていると、フェリクス王子とマクシムス将軍の後ろで、


「撃心流奥義の1つ 真空切り!」


と言う大きな声がしたかと思うとアントマン2体が体を真っ二つにして倒れていた。


 フェリクス王子とマクシムス将軍は再び声のする方に振り返ると、自分たちを囲む

アントマン達の後ろに東洋のサムライ!?ニンジャ!?姿の男が立っていた。


「下峠 激……推参。」


と大きな斬馬刀を構えなおして言うゲキがいた。


「「お――!!」」


と思わず声を上げるフェリクス王子とマクシムス将軍。


ゲキの出現に、慌てふためくアントマン達。


 俺はすぐさま、両手をワイヤーアームに変えて、


(少々乱暴だけど……)


そう心に思いながら、


「Wブースドワイヤーナックル!」


両手首を飛ばして、フェリクス王子とマクシムス将軍の襟首を掴むと、あのケンタ

ウロスの砦でミオンにしたように、2人をそのまま空中高く釣り上げた。


「「なっ!」」


俺に釣り上げられたフェリクス王子とマクシムス将軍は何が起こったのか理解でき

ず、空中で手足をバタつかせるが、そのまま俺の居る所の地上に降ろすと、俺の意

とが、わかったのか”ふぅ~”と息をついた。


「助かりました、勇者殿」


「忝い勇者殿」


そして、口々に俺にお礼を言う。


 そんなフェリクス王子とマクシムス将軍の前には、すぐさま、クレアさんが盾を

構えて立ち、右にアイーシャさん左にエドナさんが立ってガードを固めた。


そんな2人に一礼をして、俺は再び両腕をフリーザーアームに変えて、今だあたふた

しているアントマン達に向け両腕の掌の噴射口を向け叫ぶ。


「フリーザーブリザード!」


 俺の放つ冷凍ガスを浴びたアントマン達が、次々”パキパキパキ”っと凍り付い

て行った。それを俺の右手奥の方で見ていたシノブが口径は84mmのカールグス

タと呼ばれている無反動砲を構え狙いをアントマン達に向けると、


「Fire!」


 無反動砲の後ろからものすごい炎と煙を出しながら、無反動砲の弾が凍り付いて

動けないアントマン達の方に飛んでいき、”ボ~ン”と大きな爆発音とともに爆炎

を上げアントマン達を粉々にした。


「「こ・これが勇者の力!!」」


フェリクス王子とマクシムス将軍は、目の前の光景に思わずそう叫んだ。

「通りすがりの勇者です。フェリクス王子それにマクシムス将軍!」と言うセリフは、

ウ○トラセブン第一話の「通りすがりの風来坊さ」のリスペクトです(笑)

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