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61話 アントマン


------異世界某所地下室---


 岩をくり抜いたような部屋で大きな木製の机の前で、長く伸びた白髪を逆立て、

白い、フードがないローブのような物を着て椅子に座り1人瞑想をしているかの

ように佇んでいる男。


 そう、男の名は、サディコ将軍。


 サディコ将軍は突然目を見開き呟いた。


「やっと……見つけたぞ!」


そして、再び目を閉じ命令する。


≪捕らえよ、アントマン≫




◇◇◇◇◇





 ミオンが近くの建物に向かい男達を縛るロープを借りて戻って来た。


「はい、セイア」


「サンキュー」


俺はロープを受け取り、男達を縛り上げる。


「後で、アイシャかエドナに治療魔術で怪我を直させましょう」


と言うソフィーの言葉に俺は黙って頷いた。


 俺達に近づく気配を感じたのか、ソフィーが俺から目線を外し、見ると騎士が2

人がこちらに向かってるのが目に入ったソフィーは、俺達を襲ってきた男たちを騎

士の詰め所に運んでもらおうと声を掛けた。


「申し……。」


 しかし、2人の騎士の形相にソフィーは声が出なくなった。


 俺が、ソフィーの様子に気づき、その騎士達を見ると、顔が青ざめ、目が虚ろで

生気がない……。そして俺の頭に文字が浮かぶ。


≪擬態(Minicy)騎士≫


「ソフィー!俺の後ろに下がって!」


俺はソフィーに大声でそう叫んだが、ソフィーは俺の大声に驚いたのか、俺が言っ

ている意味が分からずその場で、あたふたとしていた。


 それを見て、ミオンがソフィーの手を取り、俺の後ろに下がり、ソフィーを庇い

ながら持っていたP-38を迫る騎士たちに向かって構えた。


 騎士達は、そんな俺達を見て、腰の剣を抜きながら走り出した。


 俺はとっさに持っていたヌンチャクを1人の騎士の足元に投げつけると、投げつ

けられた騎士は転倒した。

それを見て俺はすぐに変身ポーズに入る。



 両腕を横に開き、それから、両耳の側まで弧を描くように上に上げ、


「☆ブレイヴ☆」


と叫んだ時、転倒していない方の騎士が何か叫びながら俺に切りつける。


「▲◎§ΔΘ!」


俺を切りつけようとする騎士の剣をかろうじて避ける俺。


(あぶねぇ~あぶねぇ)


”パンパンパン”


ミオンが、すかさず俺を襲う騎士に発砲し、俺の援護をしてくれた。


 ミオンが放つ、3発の銃弾の内2発は騎士がかぶる兜に弾かれたが、

残りの1発は見事騎士の額を貫いたのだが……額に穴が開くものの血しぶき一つ出

ず、騎士もちらっとミオンを見るが、再び俺に剣を振り下ろそうとする。


「なっ!なんなのこいつ!」


ミオンが驚愕しながらそう叫び、再び”パンパン”と騎士に向け発砲する。

すると騎士はミオンに再び発砲され、剣を振り下ろす手が一瞬止まり、ミオンを睨

みつけた。


 俺はその隙に、両腕を前に下ろして両手をクロスさせると、


「☆スパーク☆」


と叫んだ。


と同時に、両手が光かった瞬間、変身した……。


 俺の体を眩い光包み込むと俺を襲っていた騎士がその光の眩しさに目をくらませ

たのか、よろけて倒れた。


 俺はすぐさま右腕をブレードアームに変え同時に左腕をマシンガンアームに変え

ると右腕のブレードアームスリットからプログレッシブブレードを展開する。


 俺の近くでよろけていた騎士と、先ほど俺がヌンチャクを投げつけて倒れていた

騎士が起き上がると、


「「グェ――――――!!」」


何やら叫び声らしき声を出したかと思うと、”バリバリバリ”と騎士達の体が裂けて

中から何やらモンスターらしき姿を現した。


「「「えっ!」」」


その姿を見て俺やミオンにソフィーがそう叫んだ。


騎士達の体の中から出てきたものは、”アリ”あの昆虫のありの姿だった。


 ただ、アリと言っても身長160cmで、腕2本、足も2本、人間の手足が生え

たもの。まるで、精巧にできた特撮の怪人の着ぐるみって感じの姿だった。


 俺の頭には、


≪名称 アントマン(オブリヴィオン雑兵)≫

≪戦闘力   1000≫

≪防御力   800≫

≪スピード  100≫

≪武器     顎、酸≫

×2


と浮かぶ。


 俺はすぐさま、右腕のプログレッシブブレードを側に居たアントマンへ切りつけ

た。


”シャキーン”


 俺の側に居たアントマンは俺に体を斜めに切られ崩れさった。


”ジュルジュルジュル~”


 アントマンを切りつけた直後、俺の右手のプログレッシブブレードが煙を上げながら溶けて行く。


「しまった!酸か!」


俺は酸で溶けていくプログレッシブブレードを見つめながらそう叫んだ。


すると、もう1人のアントマンが俺に向け大きな顎を開いたかと思うと、口から

青緑の液体を俺に吹きかける。


 俺は思わず右手で防いだが、今度はその右手が”ジュルジュルジュル~”と煙を

上げながら溶けだした。


「しまった!」


「セイア!」


「セイア様!」


ミオンとソフィーが目を見開きながら、俺に声を掛ける。


 俺はすぐさま左手のマシンガンアームをアントマンに向け”バリバリバリ”と鋼

弾を放ったが、”カンカンカン”と金属音と火花を散らしながら、俺の放つ鋼弾を

はじきやがった。


「くっそ~!」


そう呟く俺にミオンが叫んだ。


「セイア!フレイムアームとフリーザーアームで連続攻撃して!」


 俺は、ミオンの言葉に頷くと、右腕をフレイムアームに変え左腕をフリーザーア

ームに変え、素早く左腕をフリーザーアームをアントマンに向ける。


「フリーザーストーム!」


掌の噴出口から冷凍ガスを勢いよく噴射する。

すると冷凍ガスを浴びたアントマンの体がみるみる凍り付きアントマンの動きが止

まった。


 そして俺はすぐさま右腕のフレイムアームの掌の噴出口をアントマンに向けると。


「フレイムストーム!」


右手の掌の噴出口から炎を吹きだした。

すると、アントマンの体は、急激に冷やされた直後に急激に熱せられ、”パキパキ

パキ”と音を立て、体全体がひび割れていく。


「セイア!ブースドワイヤーナックル!」


再びミオンが俺に叫ぶ。


 俺はミオンの叫びに頷くと、左腕をワイヤーアームに変えて……。


「ブースドワイヤーナックル!」


そう叫んで、左腕を飛ばしアントマンにぶつけた。


”バキーン”っと大きな音がして、アントマンに左腕が命中すると、アントマンの

体は粉々に飛び散っていった。


「セイア!」


「セイア様!」


そうミオンとソフィーは叫びながら、俺の元に2人は駆け寄って来て、ソフィーが


「お怪我は……」


と言って俺に抱き付いてきたソフィーに


「ああ、大丈夫だ!」


そう言いながら、ソフィーの肩を抱き寄せた。そして


「セイア、危なかったわね」


と側に寄り添いながら言うミオンに


「ああ、危なかったな」


と答え、


「なぁ、ミオン、やっぱ変身ポーズやめよう」


と俺がミオンに問いかけると、


「え~、やっぱダメかな……。」


少し残念そうだったが、今回の件でミオンも納得してくれたようだ。


 ちなみにアントマン達との戦闘終了後俺の頭には、


【大鷲 青空】GUY BRAVE

≪名称 GUY BRAVE≫

≪レベル11≫

≪戦闘力        110,000≫

≪防御力         30,000≫

≪スピード        30,000≫

≪EP   45,000/55,000≫

≪状態     ☆【青】良好≫

≪特技    勇者≫



 あらら、またレベル上がってるよ……確かに苦労したけど。





◇◇◇◇◇





------異世界某所地下室-------


 椅子に座り1人瞑想をしているかのように佇んでいるサディコ将軍が、突然目を

見開き呟いた。


「くそ!……こうなれば……」


かと思うと、サディコ将軍は椅子から立ち上がり徐に、岩をくり抜いたような

部屋を足早に出ていった。




◇◇◇◇◇





 アントマン達との戦闘で、街は大騒ぎになっていた。

その騒ぎに乗じて、例の冒険者3人組は逃亡したようだ。


 騒ぎを聞きつけシノブ達も駆けつけてくれた。

 また、街の警備をしていた騎士達も集まって来たので、一旦ここの現場の後処理

を任せ俺達は王城に戻ることになった。


 この後、(エドモンドさんと緊急会議を行うことになっている。


 今回の件は単に俺達が、オブリヴィオンに襲われたことよりも、この国イーシャ

イナ王国ってか、王都のキアの街にオブリヴィオンが潜入……しかも騎士に”擬態”

してたことが、かなりの問題と言える。


アントマンのヒントにしたのは、超人バ○ム1に出てくる戦闘員の名前からです。


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