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55話 口寄せのワッペン

 とうさんと かあさんに事情を説明する。


「なるほど……で、セイアお前はどうするんだ。プレゼント」


 とうさんにそう言われ俺は


「うん……どうしようかな」


そう顎に手を当て考える俺に とうさんは、


「なぁセイア、彼……シノブ君の好きなアニメは?」


と、唐突に聞いてくる とうさん。


「えっ、何だっけかな……」


考える俺に、居間の奥で母さんと母さんが仕事で使ってる生地の余りをエドナさ

んと共に捜していたミオンが、


「太陽の牙バクラム……っとか後……超時空要塞ミクロスだったと思うよ。」


と俺と とうさんに言って来た。


「おっ、バクラムは渋いねぇ~……あっでもミクロスなら」


と言いながら俺に手招きをする とうさん。


 俺は手招きする とうさんと一緒に今や父さんの趣味部屋と化した今の奥の和

室へと行く。


 和室に俺と入ると、とうさんは押入れを開け、なにやらゴソゴソしたかと思う

といろいろ、俺の前に並べ出す。


ワリキリー(地球側のメカ)を3体、主人公機、隊長機、そして、青い機体、そ

れとフィギュアやらぬいぐるみやら後は小物関係を数点。


 で、俺に説明しだした。


「ワリキリーは、地球側のメカで、普段は戦闘機だが、このようにして……」


と言いながら超合金のおもちゃを変形させて行く。


「このようにロボ形態に変形するんだ……で、これが主人公の輝の機体で、真ん

中は隊長のロッカー大佐の機体で、この青いのがエースパイロットのミックスの

機体だ……ただ、これはお前には譲れない。一点ものだからな」


その とうさんのセリフを聞き俺は少しズッコケル。


(なんだい、なら、わざわざ見せなくても)


そう思っていると


「でも、このぬいぐるみならお前に譲ってもいいぞ」


と、とうさんが俺に見せたぬいぐるみは……チャイナドレスを着た頭に丸いボン

ボリが2つ着いた女の子のぬいぐるみ。


 俺が、頭に?を浮かべて、とうさんの話を聞いていると、いつの間にか和室に

入って来ていたミオンがそのぬいぐるみを見て言う。


「あっ、それ!リン・ミンミンの”ミンミン人形”!」


「?ミンミン人形」


ミオンの言葉に俺が聞き直す。


「ミクロスの劇中でアイドルとなったミンミンのマスコットキャラで、これを劇中

ではワリキリー乗りのパイロット達が自分の機体の操縦席に飾っていたことから、

人気がでてメーカーが発売したところ爆発的に売れまくった商品だったんだよねぇ

、おじさん。」


その言葉を聞いて、うちの とうさんが、


「流石は、ミオンちゃん。わかってらっしゃる。」


そう微笑む2人に、俺は”キョトン”として


「で……?」


と聞き直すと、とうさんはニコニコ笑いながら


「今このぬいぐるみを私は2つ持っている!その1つをセイアに譲ろう…

…¥5,000円で」


(なんだかアルティメットマン最終回のようなセリフを……ってえっ¥5,00

0円!)


「えっー―――¥5,000円って、とうさん!」


驚く俺に とうさんは涼しい顔をして、


「何をいってるんだセイア君、大事な友達へのプレゼントをタダで手に入れようと

は虫がよすぎるんじゃないかな……それに、これオークションじゃ¥10,000

円はくだらないのだよ。」


とニコニコ笑いながら言う とうさん。


「えっ……」


と戸惑う俺に とうさんは重ねて言う。


「いやならいいんだよ、いやなら」


そう言う とうさんに俺はしばらく考え込んだ後、


「わかった、わかりました」


 そう言って和室を出て、自分の部屋に戻り机の上に置いてあった、ぶたの貯金

箱のお尻を開けお金を出してみる。


「¥5,328円……」


 足りない訳ではない……しかし、これを使うと俺の全財産は¥328円だけに

なってしまう。机の上に貯金箱から出したお金を眺めながら考えていると、トン

トンと階段を駆け上がる音がして、俺の部屋の扉を”ガッチャ”って開けてミオ

ンが入ってきた。そして、お金を見つめ悩んでる俺に一言。


「セイア、あのゴブリンのお金使えばいいじゃん」


そう言うミオンの顔を見上げ、


「いや、あれは皆のために……」


ボーっとした目つきで言う俺にミオンは


「なに堅いこと言ってるのよ、あんたは勇者様なんだから……¥5,000円く

らい誰も何も言わないわよ……セイア」


「ああ、そうなのか……」


「そうよ、言わないわよ、もし、文句言う奴がいたら、私がぶっ飛ばす」


そう、明るく言うミオンに


「そうか、少々気が引けるけど、それで補てん出来るなら助かるな」


そう思い直して、机に広げていた¥5,000円を握りしめ、 とうさ

んの居る和室に戻った。




◇◇◇◇◇





「へへぇーまいどあり~」


と、とうさんが俺からお金を受取り、


「で、お客さん物はお包みしましょうか?」


とちゃめっけたっぷりで言うとうさんに


「じゃ、頼もうかな」


と俺も半分笑いながら言うと、とうさんは、かあさんの所まで行き、かあさんが

いつも頼まれ物の洋服を作って持って行くように置いてある包み紙を用意しても

らい器用に包んでくれた。




◇◇◇◇◇





 俺と とうさんがそんなやりとりをしている間に、クレアさんは、うちの か

あさんに、あまり物の革をもらって、革用針と糸で器用にそしてかなり手際よく

ある物を作っていた。


「ふっ~完成しました。」


そのクレアさんの声に、うちの かあさんが驚き


「えっ、もう完成したの?早い……早すぎない?」


と言いながら、出来た品物をチェックする。


「あら、完璧……すごうわねぇ~クレアさん」


そう言う かあさんにクレアさんは真顔で


「いえ、私なんか、まだまだです。」


と言うクレアさんに、かあさんが、


「なにをおしゃいます~クレアさん完璧よ~、こんなに手際よくできるのなら

忙しい時、うちで、バイトしてくれない?」


そう言う かあさんに少し照れながら、


「わたくしで、お役に立つなら喜んでお手伝いいたします」




◇◇◇◇◇





「で、そっちは、どうだゲキ」


 俺達の方は何とかなったので、今はゲキの方に電話しているところ。


「ああ、こっちは、エドナさんが今ケーキを焼き始めたところで、アイーシャさ

んは、木の選定が終わり今彫りはじめてた所だ。」


「そうか、こっちも後ソフィーが……って、あれソフィーは?」


俺がスマホごしにミオンに訊ねると、ミオンも辺りを見回して、


「あれ、まだ自分の部屋じゃない?……私みてこようか」


そう言うミオンに俺が頷くと、ミオンは階段をあがり2階のソフィー部屋へ向か

った。


 それを目で追いながらゲキとの会話を続ける。


「そうだな、こっちは後ソフィーが決まれば……ミオンがプレゼントを家に取り

に帰って完了ってとこか……」


「わかった、こっちはまだ少し時間が掛りそうだ」


「了解、そっちが準備できたら連絡くれ」


「わかった」


 俺はゲキとの会話を終えて、ふと居間を見渡すと、まだソフィーもソフィーを

呼びに行ったミオンの姿が見えない。


「かあさん、ミオンとソフィーは?」


そう、かあさんに俺が聞くと、かあさんは


「さぁ、まだ降りてきてないんじゃなぁい?」


と言うので、気になったので、俺も2階のソフィーの部屋に向かった。




◇◇◇◇◇





 2階にあがり、ソフィーの部屋の扉をノックする。

”トントン”


「ソフィー~ミオン~いる~?入っていいか?」


そうソフィーの部屋の扉の前で、俺が言うと、部屋の中から


「うん~入ってもいいけど、入れないと思うよセイア~」


とミオンが言う。


「どういうことだ?」


そう聞き返す俺にミオンが、


「まぁ、見ればわかるよ」


そう言うミオンに俺は首を傾げながら、


「入るよソフィー~」


と言いながら”ガチャ”と扉を開け……開かない……?


すると、ミオンが


「ちょっと待ってここどけるから~」


そう言うと何やら”ドサ””バサ”って言う音がしたかと思うと

中から扉が開いた。


 俺は恐る恐るソフィーの部屋に入る。


 そして部屋の中を見て驚く……


「こ・これは……」


ソフィーの部屋を見て俺は目を見開いた。


「どうしたんだいったい……」


 部屋中に、洋服やら下着……やら本やらなんやら……凄い感じで散らかりまくっている


 タンスをひっかし回してるソフィーに本棚の本を1冊ずつ”パラパラ”とめく

ってはその辺に投げまくるミオン。


「いったい何を捜してるの?」


と聞く俺に、タンスをひっかきまわしているソフィーが気付き、


「あっ、セイアさま……」


俺に気が付き顔を赤らめ、慌てて散らかった……パ……下着を手じかにあった紙

袋に放り込んで隠そうとするソフィー。


 俺もその……パ……下着を見て少し顔を赤らめながら、


「なんでこんなになってるの?」


と尋ねた。


 ソフィーの説明によると……こうだ。


 ソフィーが小さかった頃、そそっかしいって言うかかなりのうっかりさん。


(今もかなりのうっかりさんだけど……)


 見かねたニールさんが有る魔動具を作ってくれたそうだ。


 それが……『口寄せのワッペン』と言う魔動具だそうで、この魔動具結構便利

ってか、 つまり、忘れそうなもの、大事なものにこのワッペンを張っておくと、

なくしたり、どこっかに仕舞ってわからなくなった時、そのワッペンを貼ったもの

の名前を呼べば手元に戻って来ると言う代物。


 なのだが……そのワッペンが見つからないのだそうだ。


 俺はしばらく考えてソフィーに言った。


「そのワッペン、今何かに貼ってあるわけではないのかな?ソフィー」


俺がそう言うと手を止めたソフィーがしばらく考え、


「はい、そのはずです。」


そう言ったので、俺はソフィーにニッコリ笑ってこう言った。


「じゃ、さ、『口寄せのワッペン』って言ってみて」


と言うと、半信半疑のソフィーが、


「口寄せのワッペン」


と改めて言うと、部屋の隅々から何やらソフィー目掛けて飛んでくる物体が3つ。


 そして次の瞬間その物体は、ソフィーの手の上乗っていた……3つとも。


「へぇっ……あ――――」


手の上にあるワッペンを見つめ固まるソフィー。


 その様子を見ていたミオンが呆れ顔でソフィーに言った。


「初めからそうしたら良かったじゃん」


 そんな2人に俺が一言。


「じゃ、ちゃっちゃと片付けようか」


太陽の牙バクラム=太陽の牙ダ○ラム

超時空要塞ミクロス=超時空要塞マ○ロス

ワリキリー=バ○キリー

ロッカー大佐=ロイ・ホッ○ー少佐

エースパイロットのミックス=マッ○ス

ミンミン人形=○ンメイ人形

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