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54話 フルアーマー? 


 結局3時間も及ぶ捜索活動も空しく、金貨は俺が見つけたあれ一枚しか見つか

らなかった。俺も一応GUY BRAVEの各種センサー及びレーダーを駆使した

んだけどね……残念だね。


 見るからに落ち込むミオン。


「まぁ、しゃーねぇーな」


 俺は肩を落とし落ち込むミオンの肩に手を置きそう言う。


「Missシラトリ、そう落ち込まなくても……他にもこの世界にはダンジョン

があると言うじゃないか~」


シノブもそう言ってミオンを慰めた。


「じゃ、帰ろう~」


とミオンに声を掛ける俺に、小さくミオンは頷いた。




◇◇◇◇◇





 俺とシノブ、ミオン3人が皆の所に戻ると、トレーラーの外に置いたテーブル

で、丁度皆がティータイムを楽しんでいる所だった。


「お疲れ様です、どうでしたか?」


とお茶を飲む手を止めてソフィーが俺達に言って来た。


「いや、結局見つからなかったよ」


そう言う俺にソフィーは、


「それは残念でしたねぇ~」


と言いながら、席を立ち、


「お疲れでしょ、ささ、こちらに来てお茶でもご一緒しませんか?」


と俺達をお茶に誘ってくれた。


 ソフィーの誘いに俺達もお茶にすることにした。


俺やシノブ、ミオンにお茶を入れようとするソフィーにクレアさんがすくっと立

ち上がり、


「姫様、お茶なら私が……」


そう言うクレアさんに、ソフィーが優しく微笑み、


「クレアはコーヒーを入れれますか?」


と聞いた。その言葉にクレアさんは


「こ・コーヒーですか?」


と固まるクレアさん。


「しらないでしょ~ぅ」


そう言いながら微笑み、俺にこう言った。


「えっ~、セイア様はミルクだけでしたよねぇ」


と微笑みながら言うソフィーに俺が頷く。


「ミオン様。シノブ様は同いたしましょう~」


そう言うソフィーにミオンとシノブが、


「私は、ブラックで」


「僕は、フルアーマーで頂こうか、Missラグナヴェール」


 シノブの言葉に固まるソフィー。


「たぶん、ミルクと砂糖を入れてくれってことだと思うよソフィー」


と俺がソフィーに助け舟をだす。


 ちなみに、俺がなぜシノブの”フルアーマー”の意味が分かるかと言うと、う

ちの とうさんがコーヒーを飲む時、いつも、かあさんに”フル装備で”って冗

談ぽく言っていたから、何となくだけどわかった。


「あぁっ……はい、かしこまりました。」


そう言うとソフィーは俺達にコーヒーを入れてくれた。


 まぁ、所詮インスタントコーヒーですけど。


「どうぞ、」


そい言ってソフィーが俺の前にミルク入りのコーヒーを出す。


「ありがとう、ソフィー」


俺がそう言うとうれしいのか途端に満面の笑みを浮かべるソフィー。


「どうぞ、ブラックですミオン様」


「ありがとうねソフィー」


コーヒーを出すソフィーにお礼を言うミオン。


「で、こちらが……ふ・フルあーまぁーです。」


そう言ってシノブの前に砂糖ミルク入りのコーヒーを出すソフィー。


「ありがとうMissラグナヴェール。」


笑顔でお礼を言うシノブ。そこへエドナさんが


「あっ良かったらこれ食べていただけます~」


と言いながらクッキーの入った皿を出して来た。


「これは……?」


そう聞く俺に、エドナさんが


「さっき、トレーラーの厨房の使い方をゲキさんにお聞きして焼いてみました。」


そう笑顔で言うエドナさんの言葉にミオンが


「えっ、ゲキ料理とかしたことあるの?使い方よくわかったね」


と聞くミオンに大きな湯飲でお茶を啜りながらゲキが言った。


「ああ、ばあちゃんに教わったからな」


と素っ気なく言うゲキ。


「じゃ、いただこう~」


進められたクッキーに手を着けるシノブ。


「あっ、シノブ、ずるいエドナさんのクッキーってチョーおいしいだから、私も

いただこーっと」


ミオンもそう言うとエドナさんが差し出す皿からクキーを取る。


「そーだな、こないだ食べたけどおいしかったものな」


俺もそう言いながらクーキーを手に取り一口食べる。


「「オイシー」」


「Oh、Great!」


俺とミオンそしてシノブがクッキーを食べて言う。


 それを聞いて満面の笑みを浮かべたエドナさんがゲキの方に振り返り、


「ゲキさんバンチャーのおかわりはいかがですか?」


と聞くエドナさんに手を上げ、


「いや、もう結構だ」


その会話を聞いたシノブが、そっと俺の耳元まで顔を近づけ聞いて来た。


「バンチャーって?」


「ああ、たぶんだけど……番茶。日本のお茶の一種だよ。」


そう俺がシノブに言うと、頷きながら納得したような仕草をするシノブ。



そんな会話をしながら皆でお茶をしていたら、いつのまにかミオンは元気になっ

たようだ。




◇◇◇◇◇





 夕方、時田さんとニールさんが、シノブの護衛部隊の精鋭10名を連れて戻っ

て来た。


「ただいま、戻りました。」


シノブに頭を下げる時田さん。


「ああ、ごくろう時田」


と頭を下げる時田さんに手を上げて言うシノブ。


 時田さんは、直ぐに頭を上げ、精鋭部隊に目配せすると、精鋭部隊は”さー”

っと2班に分かれ、5人はそのままトレーラーを護衛し、残りの5人はセ○エイ

らしき乗り物に乗り、パトロールに向かうようだ。


「では、皆様参りましょうか」


と俺達に向かって言う時田さんに俺達は頷き、魔法円で待っているニールさんの

元へ向かった。


 皆が揃ったのを確認したニールさんは、


「Paralleltransfer【異世界転移】!!」


 魔法円の周りに例のモヤモヤが現れ、俺達を包みこまれたと思ったら、次の瞬

間、俺達はトンネルらしきところを猛スピードで移動していた。





◇◇◇◇◇





 夕方、ンドワン国の大使館に戻って来た俺達は今日はここで夕食をいただき、

ここで1泊することにした。


 今日の夕食は、フランス料理のフルコース。驚く俺とゲキに時田さんが、


「あちらでは、まともなお食事が出来ていませんでしたからね」


と俺とゲキに言う。


(いや、まともなって……俺にとってはかなり十分、まともな食事でしたよ)


と心で俺は呟いた。





◇◇◇◇◇





 朝一番に、それぞれのProxyプロキシ Automatonオートマトンをンドワン国の大使館

に呼び出し、


「「「「Reinttate!!!!」」」」


 口の所からトランプの大きさのカードを食べる。 口の中に入れたカードは一

瞬にして消えてなくなり、それと同時に俺達の頭の中にプロキシ オートマトンの

記憶が流れ込んできた。


(たいして変わりなかったみたいだな)


そう俺は心に思うが、口には出さない。


 すると、皆が口々に言いだした。


「おお、これはいかん急がねば」


「あっ私も……ゲキさん急ぎましょう」


ゲキ、やクレアさんがそう口にしたのを皮切りに皆が口々に”急がないと””急

用が”などと言いだし、シノブと同居するアイーシャさんまでが”急ぐにゃ”と

言いだした。


「おいおい、皆急にどうしたんだい~」


と半ば呆れ顔で言うシノブ。


「皆様お忙しいようですね」


とそれをにこやかに見ていた時田さんが言った。


「僕は暇なのだが……」


少しすね気味に言うシノブに時田さんが


「では、久し振りにおぼっちゃまにお手合わせ願いますか」


とボクシングのポーズをとり言う時田さんに、しかたないって顔で


「ああ、そうしようか時田」


と言うシノブであった。





◇◇◇◇◇





 ンドワン国の大使館から急いで出る俺達、ゲキ、クレアさん、エドナさんはそ

れぞれ、ゲキの所の馬に跨る。 ちなみに、ゲキが乗るのは赤風あかかぜ

クレアさんが乗るのは、白風しろかぜ、エドナさんは、青風あおかぜ


 そして、ゲキの後ろにソフィーが乗り、クレアさんの後ろに俺が乗って、エド

ナさんの後ろにはアイーシャさんが乗った。


 先行する、赤風あかかぜ白風しろかぜ青風あおかぜの後ろを

ミオンがバイクで付いて来た。





◇◇◇◇◇





 俺の家の前でゲキが馬を止める。そこで、俺とソフィーとミオンとクレアさん

が、降りる。クレアさんの乗っていた白風しろかぜにアイーシャさんが代わ

りに手綱を持つと、


「では、後でなセイア」


とゲキが馬上から俺に言う。


「ああ、後でなゲキ」


そう言葉を交わし、ゲキとアイーシャさんとエドナさんは、馬を走らせゲキの家

に向かって行った。


 それを見送り俺は、ミオン、ソフィーとクレアさんを連れて家に入る。


「ただいま~」


「おじゃましま~す」


「ただいま戻りました」


「失礼します」


俺、ミオン、ソフィー、クレアさんがそれぞれ言い、玄関から居間に向かう。


 それを見て、かあさんが目を丸くして驚きながら、


「あら、セイア朝早く出て行ったと思ったら……お客さん連れて」


そう言う かあさんにクレアさんが深々と頭を下げて、挨拶する。


「お初にお目にかかります、お母様……わたくしクレア・リード申します」


その様子に かあさんも慌てて頭を下げて、


「はい、ご丁寧に……私はセイアの母のジュンです。」


 そのやり取りを聞いていた父さんが奥の居間から出てきて、


「あら、また別のべっぴんさん連れて来たのかセイア」


とニマニマしながらそう言った。


(この、エロ親父!)


俺は心でそう思いながらも、とうさんと かあさんに今回の事情を説明するので

あった。



50代のおじさんの一部にコーヒーにミルクと砂糖を入れるのを

フル装備って言う人がいます。

その話を昔、ロボット好き(主にスーパーロボット大戦)の後輩に話したら、

それ以来、彼はフルアーマーでって言うようになりました。


これ、本当の話です。

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