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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第1章 突然の異世界 そして 突然のヒーロー!?
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4話   タライ

 慌てふためく女の子……を落ち着かせ。馬車が停まっていたところまで戻り、女の子に話を聞く。あいかわらず、俺はGUY BRAVEの姿のままだった。


(俺……一生このままなのかな……)


 女の子の名前はソフィー=ラグナヴェール。イーシャイナ王国の第4皇女……つまりお姫様ってことだよな。ソフィーの話だと小さい時、何かの(神様ではないらしい)存在から夢のお告げ?を受けたらしい。


 それは、言葉と言うよりある種のイメージのようなもので、突然、現れた魔王とその従者が人々を襲う。そして、幼いソフィーにその魔の手が伸びようとした時、天から光に包まれた勇者……つまりGUY BRAVEである。俺が降臨、魔王とその従者を次々倒しソフィーを助ける……って言う夢……?ソフィー曰くお告げを何度も見たそうだ。


 それ以外にも、災害などの夢(お告げ)を見ていたそうで、今までお告げは100%当たってるそうだ。故に彼女は人々から神子みこと呼ばれてるらしい。今回、オブリヴィオンと言う魔王軍団が突然現れ、無理難題を吹っ掛け、人々を殺し村々を焼き払った。 しかも、奴らはこの世界の魔物を操り、自分たちの戦力にしているらしい。


「えっ!魔物……が居るの……」


と、さらっと言うソフィーの魔物……って言葉に俺が驚くと、


「勇……あー セイア様の住んでいたところには居ないのですか?」


と逆に驚かれた。


「魔物も魔法もない……まぁゲームの世界ならあるけどね。」


って言ったら、


「ゲーム?……ですか。」


と何やら考えこみだしたので、


「いや、その話はまたの機会に、それより話の続きを聴かせて。」


 俺の言葉に我に返ったようで、話の続きをしだした。オブリヴィオン達はソフィーの国イーシャイナ王国に対し、ソフィーを差し出せと……さもなくば国を滅ぼすと言って来たらしい。その要求を、ソフィーの父である国王フェリクス=ラグナヴェールが拒否。その結果、今イーシャイナ王国はオブリヴィオンと戦争状態だそうだ。


 戦況は今のところイーシャイナ王国が優勢ではあるものの、国王は大事を取ってソフィーを若いころ王が、懇意であったアルブ王国の魔法省の大臣。ティム・ラーキンを通じて、アルブ王国に一時避難させる手はずを取ったのだが……その途中、オブリヴィオンの将軍の一人であるデロべ将軍達に襲われたとのことだった。


 あの俺が美術室で初めに見た、ヨーロッパ系の顔立ちをし、髪はグリーンで、ローブのようなものを着て、耳は……尖がってる?って男の人は、アルブ王国の魔法省の大臣。ティム・ラーキンの1人息子で、イーシャイナ王国の魔法省顧問のニール・ラーキンと言うエルフ族の青年で、襲われた時ソフィーを逃がそうと転移魔法を発動させたが、何かの原因でそれが暴走し、俺の居た世界に転移した……らしい。


(そー言えば……)


 ふと、空を見上げて見たが、例のウネウネはすでに跡形もなく消えていた。そのウネウネが消えているってことは、ニールさんがこちらに戻ることも……また、俺が自分の世界に戻ることもかなわない……ってことだ。


「さて……これからどうしたものか。」


と、ごちる俺の言葉に。


「もしかしたら、ラーキン様なら!」


 俯いていたソフィーが顔を挙げ、右手を拳にして俺に訴える。


「ラーキン……様ってニールさんのお父さんのこと?」


 ソフィーに聴き直す俺の言葉に、コクコクと頷くソフィー。


(結構その仕草が可愛い♪)


「分かった、じゃ……そうしようか」


 ソフィーの提案に俺は賛同する。どのみち、今の俺がどうこう出来るものではないし、GUY BRAVEに異世界に転移できる能力はない……たぶん。元々、ストーリーを担当したミオンの話だと、外宇宙の侵略者に対抗して、製造された戦闘アンドロイドって設定だったと思うし。

……。


 何とかならないかな……この姿。


 自分がデザインしたGUY BRAVEが嫌ではないが……変身ものだったはずだから、元の姿に戻れるハズ……なんだけどな。そんなことを考えてると、ソフィーは死んだ騎士?やメイド風の女の人などの遺体に祈りを奉げ、遺体を一生けん命引きずろうとしていた。


(その健気な姿も可愛い♪)


 おっといけないっけない。


「ソフィーなにしてるの?」


 俺の掛けた声に顔だけをこちらに向け。


「あっ!遺体を一か所に集めて焼かねばなりませんので。」


「なんで焼くんだい?」


 不思議そうに聞く俺に。


「このまま放置いたしますと、魔物が臭いを嗅ぎつけますし、アン

デットになってしまいます。」


 今だ動かない遺体の足を引っ張り、俺に言うソフィー。


「アンデット!?」


と聞く俺に、


「はい、ゾンビやスケルトンって申せば、お解りいただけますでしょうか……」


のソフィーの言葉に、


「あ~……なんとなく。」


(ゲームで良く出てくるモンスターだけどね。)


 俺はソフィーに近づき、彼女が引っ張ってる遺体を”ひょい”と持ち上げる。


「あ……ありがとうございます。」


 俺に礼を言い。


「では、遺体から遺品をわたくしが外しますね。」


 俺はソフィーが遺品を外すと言うので、持ち上げた遺体をソフィーの近くの地面にそっと置いた。そして、近くの荷物用馬車にあったスコップを取り出し、大きめの穴を掘る。その穴にソフィーが遺品を外した遺体を1体づつ並べて行き、壊れた馬車の木製の部分をひっぺがし、馬車のホロ(布部分)も穴に入れ、両手を天にかざして叫ぶ。


「フレイムアーム!」


 俺は右手をフレイムアームにチェンジして、


「フレイムストーム!」


 右掌の穴のような部分から、炎をだして、遺体をみんな焼き、穴をソフィーと一緒に埋め戻した。オークの遺体は別にして、穴に埋めずにそのまま焼いた。すると、頭の中からなにやら機械のような物が出てきた。


(これは……)


 俺がその機械のような物を手にして、不思議そうに見ていると、ソフィーも俺の手にある機械のような物を覗きこみ。


「なんでしょうね?」


と俺に尋ねてきた。


「さぁ~……まぁ、ひょっとしたらオークを操るための機械かも……」


とソフィーに言ったら、


「これでオークを操れるのですか?」


と不思議そうにその機械のような物を眺めるソフィー。


「まぁ、わかんないけどね。」


と言うと、しばらく考え込んで、


「アルブ国に行けば何かわかるかも、しれませんね?」


と言うので取りあえず持っていくことにした。


 移動のために使える物がないか探してみる。使えそうな荷馬車が1台と、ソフィーが乗っていた王族専用の箱馬車が1台。後は、俺が壊した荷馬車の残骸と、車輪が取れて動きそうもない荷馬車が1台。馬は逃げて1頭もいない……。 さて、どうするか……と考えているとソフィーが荷馬車の中でゴソゴソしているのが、目に止まった。


「ソフィー!なにしてるの?」


 俺の声に、荷馬車の後部のホロ部分からヒョイと顔だけ出して、


「あー……ちょっと着替えと、体を拭くものを捜していました。」


と言いながら、着替えの服と綿の布のような物をもって、荷馬車からヒョイと降りてきた。ソフィーを見ると確かに服には血がべったりと付、顔や腕には土が付いている。


(この血は俺を抱きしめた時、付いたんだろうな……)


 ソフィーは裸足になり、湖に入ろうと足を水につけて、


「ひっ!冷た~い」


 思わず水に入れた足を引っこめる。俺はそれを見て、


「まだ4月後半だから水は冷たいだろう。」


と言って、ふと思う。


(元の世界は4月後半だったが、この世界の季節はそうとは限らんが……)


「あっ……そうですね……まだ、春ですものね。」


と言うソフィーの言葉を受け。


(……こっちの世界と元の世界と時間の流れは同じなのか?)


と思う俺。


「ちょっと待ってて。」


と俺はソフィーに声を掛け、荷馬車の中に入り、何か使えるものはないか”ゴソゴソ”物色する。


「お!これで……」


 俺は荷馬車にあった野営用の大釜を取り出し、ソフィーの近くまで運んで、


「これでお湯を沸かそう。」


 ソフィーに声を掛け、片輪の外れた荷馬車の残った車輪を外し木の部分だけを適当な大きさに砕き、大釜の周りに敷き詰め、湖の水を入れて火をつけた。お湯が沸く間に、車輪を外したホロのついた荷台だけになった馬車をソフィーの前に置き、簡易テントの代わりにして、体を拭くためのお湯を入れる入れ物を探す。


 するとソフィーが俺に、


「確か、洗面や体を拭くための、大きめのタライがあったと思います……」


と言ってきたので、それを荷馬車のなかで探す。


(大きめのタライ……ってよくコントで上から落ちてくる奴だよな。)


 しかし、俺が思うタライがなかなか見つからない。すると、ソフィーが、


「ありました♪これですよ。」


と俺の目の前に差し出す。


「あ!……これが……タライ。」


 思わず、声に出して言ってしまう。そこにあったのは、木製のやや大きめで、深めの子供なら中に入れそうな大きさのタライ……と言うか自分の感覚だと桶って感じの物だった。


「?……セイア様のところではタライとは言わないのですか?」


 不思議そうに行ってくるので、


「いや、ちょっと思っていたのと違っただけだから。」


(実際、タライなんて使ったことないしね。)


 そして、そろそろいいんじゃないかと思い大釜の中に手を突っ込むと。≪68℃≫って頭に表示がでた。


「ちょっと熱すぎ。」


 俺は、湖から水を汲みお湯をうめる。そして手を入れてみる。≪38℃≫


「まぁ、これなら。」


 大釜を壊れた荷馬車の中に運びタライにお湯を注ぎこむ。


「これでどう?」


と俺がソフィーに言うと、


「わぁ~、はい、ありがとうございます。」


と、嬉しそうにお礼を言うソフィー。


 俺は、壊れた荷馬車のホロから出て後部の入り口部分の布を締め外にでた。壊れた馬車を背にしてで立つ俺。スルスル~バサ。服を脱ぐ音が聞こえる。”ゴックン”思わず唾を飲み込む俺。タオル代わりの布をタライにいれて、布を絞る音。そして、絞った布で体を吹いて、いるであろう音が聞こえる?!


(おいおいGUY BRAVEの聴覚ってハンパねぇ~なひょっとして、このまま振り向けば、ホロの中透視出来たりして♪)


 なんて妄想していたら、


「きゃぁ~~~!!」


 荷馬車のホロの中からソフィーの悲鳴が聞こえた。俺は慌てて荷馬車のホロの中に入る。


「どうした!!ソフィー!」


 そこには、ソフィーの姿……”素っ裸の”。


 ソフィーが裸で、タライ側で仰け反りながら、悲鳴をあげている。それを見た俺の脳裏には、


≪One’s Name Sophie―lagunaveil≫

≪Age 16≫

≪Height1.58Meter≫

≪B 80≫

≪W 56≫

≪H 83≫

≪Cup C>

≪Combat Power0≫

≪Energy無限≫

≪Body Temperature36.6℃≫と浮かぶ。 



「おっーーーーーーー!!!!」


思わず叫ぶ俺であった。















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