46話 地下3階 ジャイアントシャベル VS ブレイブチーム
俺達は全員で地下2階の武器庫にアシドスライムがもう残っていないか丹念に調
べた。
その時”ぐ~っ”っとお腹が鳴る音がした。
「すまん、腹が減ってきたようだ。」
少し、ばつが悪そうにゲキが言った。
「あら、もうそんな時間?」
とミオンは自分の腕時計を見て言う。
俺も頭の中で時刻を確認”PM00:00”。
「ゲキさんのお腹は正確ですねぇ~」
エドナさんが笑いながら言う。
「地下3階のジャイアントシャベルは数も多いし、全員で当たらなきゃならないか
ら、ここらでお昼にしましょ~」
ミオンがそう皆に告げた。
俺は、GUY BRAVEのままなので食事は取らないってか取れない……。
お腹も空いてないので、俺が警戒に当たって、他のメンバーには食事をしてもらう
って言ってもダンジョン内と言うことで、所謂ゼリー飲料(ウ○ダー○ンゼリー)
とショートブレッド(カ○リー○イトのブロックタイプ)を食べるだけなので時間
はかからない。
ただ、ゲキは物足りないのか食べ終わったゼリー飲料の袋をマジマジと見ていた。
そんなゲキにシノブが近づき、
「よかったらこれもどうだい?Mr.シモトウゲ。」
と言いながら干し肉を手渡した。
「すまんな、いただく。」
シノブから干し肉を受け取り嬉しそうにそれを頬張るゲキ。
俺はこの間にソフィーと連絡を取った。
◇◇◇◇◇
----------トレーラー内指揮所-----------
「はい、わかりましたお気をつけてくださいセイア様。」
ソフィーは俺の報告を受けそう言って通信を終えた。
「で、おぼっちゃまやオオワシ様は……」
時田さんの問いかけに、ソフィーは時田さんの方に振り返り
「はい、今、地下2階層でお昼のお食事をしてるそうです……それにみなさん怪我
一つないそうですよ」
笑顔で言うソフィーに時田さんが
「では、わたくしたちもお昼にいたしましょう。」
「はい、ありがとうございます。」
笑顔で言う時田さんに同じく笑顔で返すソフィーであった。
◇◇◇◇◇
昼食を終え、通路を降りて地下3階のフロアー前。
「そうね、まず、正面にブレイブタンクを中心に左にクレアさん右にゲキ。
タンクの後ろからエドナさん、ニールさんが弓と魔法で……それで、右側
からセイアが突っ込んで、左側からはシノブとアイーシャさん3人で敵の
かく乱をお願い。」
「「「「「「「了解」」」」」」」
皆声をそろえてミオンの作戦に頷いた。
俺はちらっとフロア内を覗く。
本当、大きな地下駐車場って感じで、かなり薄暗くはあるが、真っ暗ではなく、
見た感じ、おおよそ500台位の荷馬車が整列している。中には車輪が外れ壊れ
ているものがチラホラ見える。
≪名称 ジャイアントシャベル≫
≪戦闘力 900≫
≪防御力 300≫
≪スピード 200≫
≪特技 穴掘り≫
×40
ジャイアントシャベルって、言ってしまえば大きなモグラ。身長1.5mで集団
で穴を掘り生活している。雑食で何でも食べる(当然人間も)が、主に俺が倒した
ワームが主食のようだ。
一見、あの巨大なワームに勝てるのか?って思うが腕がシャベル状になっていて
、しかもその部分は鋼の剣すら折ることができるくらい強力なのだそうで、それに
集団で襲うので大きな敵でも倒してしまうということだ。
◇◇◇◇◇
まず通路からフロアーにブレイブタンクが入り、その左にクレアさん右にゲキが
スタンバイする。
そして後ろにエドナさん、ニールさんが配置についたところで、ニールさんが魔
法を詠唱し、
「Flash sphere【閃光球】!」
と叫ぶと、ちょうどバレーボールぐらいの大きさの光の球がゆらゆらと、フロアー
真ん中の天井付近まで到達すると……一気に眩い光を放ち散って行った。
するとフロアーの馬車の陰に隠れていたジャイアントシャベルがバタバタと倒れ
ていった。
「今よ!」
ミオンの叫びに俺がフロアーの右から侵入し、シノブとアイーシャさんが左側か
ら侵入する。
俺たちが侵入した少し後位に倒れたジャイアントシャベルが頭を振り起き上がっ
てくる。
(モグラだけに……光に弱いのか?)
そして、正面のブレイブタンクを見つけると敵意剥き出しで、襲ってきた。それ
を見たミオンは、すごさまブレイブタンクの右肩の軽機関銃を襲ってくるジャイア
ントシャベルに向けると発砲する。
”バリバリバリ”次々と発射される5.56x45mm NATO弾が、正面か
ら襲ってくる5体のジャイアントシャベルを穴だらけにした。
それを見た他のジャイアントシャベルはタンクの左右に転回。それに合わせたエド
ナさんが、弓で追撃する。魔法を掛けず弓を連射するエドナさんは、あっという間に
右に転回したジャイアントシャベル3体の頭を射ぬいた。
ニールさんもすぐさま魔法の呪文を詠昌し、左に転回したジャイアントシャベル
3体に杖を向け魔法で攻撃する。
「Icicle!」
無数のつららがジャイアントシャベル3体に突き刺さる。
◇◇◇◇◇
そのころ俺とシノブとアイーシャさんはお互い左右に分かれてこのフロアーの最
後部に到達した。
このフロアーの最後部には人1人が通れる穴が開いている。
「ここから侵入してきたみたいだなMr.オオワシ」
そう言うシノブノ言葉に俺は黙って頷き、
「俺はこのまま奴らの後ろから攻撃するから、シノブとアイーシャさんは左右に別
れて、横から攻撃してくれ」
そう言う俺に
「OK♪」
「わかりましたにゃん」
と2人は左右に散って行った。
それを確認して俺は右腕をブレードアームに変え左手をマシンガンアームに変え
右腕のブレードアームからプログレシブプレードを展開し、後方でミオン達に気を
取られ油断しているジャイアントシャベル3体に切り着け頭をふっ飛ばす。
そして、仲間の首が突然吹っ飛び驚く、ジャイアントシャベル2体に左手のマシ
ンガンアームを向け鋼弾を放つ。
”バリバリバリ”2体のジャイアントシャベルは先ほどの3体同様に声も出さずに
お亡くなりになった。
俺の放ったマシンガンの音に気付いた後方の他のジャイアントシャベル達が俺に
気づいてパニックをおこし右往左往する。
そこに、”タンタン””タンタン”と銃声がして、俺から見て左手のほうのジャ
イアントシャベルが2体倒された。
(2点バースト?シノブもやるな)
俺やシノブの攻撃で完全に何処から襲われているのか分らず、辺りをキョロキョ
ロ見回しパニクルジャイアントシャベル達。
やっと俺やシノブに気付き、俺達の方を見て敵意を向けた所に後ろから音もなく
忍びよったアイーシャさんが襲う。俺やシノブに気を取られていたジャイアントシ
ャベル達の後方で、”ドサ””ドサ”とおとを立てた。その音に振り返るジャイア
ントシャベル達の目の前には仲間の2体の死体があった。
「「「「「「「「「「キーーーーーーーーーー」」」」」」」」」」
奇声?なのか鳴き声なのか声を上げるジャイアントシャベル達。
◇◇◇◇◇
正面から襲ってくるジャイアントシャベル達を右肩のショットガンで次々と倒し
ていくブレイブタンク(ミオン)。
「これで弾切れ!」
どうやら右肩のショットガンの弾切れのようだ。
弾切れだと言うミオンにゲキが言った。
「後は俺達がやるからミオンは下がっていろ!」
その言葉にミオンが飄々と言う。
「ほ~い、じゃ、後よろしく」
正確には、まだブレイブタンクには武器が残っている右手のハサミ型のマニュピ
レーターに左手の4連装の回転式のグレネードランチャーだが、右手のハサミは機
動力が殆どないブレイブタンクでは役に立たず、また、左手のグレネードランチャ
ーはこの狭い場所では威力があり過ぎて仲間を巻き込む恐れがある。
実質ブレイブタンクはお役御免になり、ミオンと共に後方の馬車を引くユニコー
ンの方に後退した。
「ふん!」
両手に持った脇差で、襲い来るジャイアントシャベル1体を切り着け倒すゲ
キの目に奮闘するクレアさんの姿が写った。
「こっ、の~!」
飛びついて来たジャイアントシャベル1体を左手の盾ではじき飛ばし、空中に飛
ばされたジャイアントシャベルを右手の剣で串刺しにするクレアさん。
その時、クレアさんの反対側からクレアさんに飛びかかるジャイアントシャベル
の姿を見たゲキが腕に仕込んでいる小柄を手に取り投げた。
「危ない!」
”シュッ”と音を立てながら、小柄はクレアさんを襲おうとしたジャイアントシ
ャベルの眉間に”バシ”と突き刺さる。
「あっ、ありが……」
そうクレアさんが小柄を投げたゲキの方を見て御礼を言おうとした時、今度はゲ
キの後方の天井にシャベルの腕を突き刺しながらゲキに迫るジャイアントシャベル
の姿が目に入った。
「伏せて~! スピンシールド!!」
そうクレアさん叫ぶと、左手の盾をゲキの後方に迫るジャイアントシャベル目掛
け投げつけた。
その声にゲキはすぐさま反応して、回転して飛来するクレアさんの盾を避けなが
ら、自分の後方を振り向くと、天井にぶら下がるジャイアントシャベルがクレアさ
んの投げた回転する盾に真っ二つにされシャベルの腕を天井に突き立てた上半身だ
けのジャイアントシャベルが目に入った。
「すまん、ありがとう」
そう頭を下げるゲキにクレアさんは
「おアイコですね」
とニッコリ笑って、言った。
◇◇◇◇◇
泡をくい狽えるジャイアントシャベル10体ほどが団子状に固まった
いた。
それを見た俺とシノブはその塊を見てお互い頷き合う。シノブはライフルのレバ
ーをフルオートに変え、俺はマシンガンアームの腕を固まってるジャイアントシャ
ベルに向け、シノブと同時に発砲する。
”バリバリバリ””タタタタタタタタタタッ”俺の左手とシノブのライフルから
閃光が途切れなく光、10体ほどのジャイアントシャベルの体を穴だらけにした。
その穴だらけで倒された仲間の塊を見て呆然としているジャイアントシャベル3
体にアイーシャさんが音もなく近寄り手に持ったタガーで、倒して行った。
◇◇◇◇◇
「十文字切り!」
両手に持った脇差を十字に振るって、また1体ジャイアントシャベルを倒すゲキ。
戦意を喪失し、逃げ出そうとした残りのジャイアントシャベル4体に容赦なくエ
ドナさんの矢が次々と命中する。
「ふう~これで打ち止めでしょうかねぇ~」
のエドナさんの問いかけに
「たぶんな、もうこの辺りに邪気は感じられないからな」
と答えるゲキ。
そこに、俺とシノブとアイーシャさんが手を振りながら戻って来た。
「おーい、こっちは片付いたよ~」
そう言う俺に、ゲキも手を上げ
「こっちもだ!」
それぞれの戦いでした。




