45話 落とし穴?は……
「「「これは!」」」」
「What’s?」
と俺とゲキとミオン、それにシノブが口にする。
通路突き当たりの大きな広場があり、正面の壁側に、三つの大きな入り口のよう
な物があった。
「ここです。落とし穴は……」
と言うニールさんの言葉に俺は、正面右側の入り口に顔を突っ込み覗いた。
広さは奥行き6m、幅6m、高さ4m位だろうか。そしてそこには床がなく、大
きな穴が開いているようで、底が見えない。
俺はセンサーを使い深さを測ってみると……。
≪深さ 127m ≫
と出た。
俺の横で、シノブもライフルに付いているライトで照らしたみたいだが、底が見
えないと言っている。
その時”ピッピッ”と頭の中に音がして、最下層に落ちたであろう2個目の偵察
球と通信が繋がった。
「あっ2つ目のと繋がった。」
と俺が言うと横にいたシノブが
「何と繋がったんだい?Mr.オオワシ?」
俺と一緒に穴を調べていたシノブが俺の方を見て言った。
「いや、もう一つの行方不明のほうの偵察球と今繋がったんだよ。」
その俺の言葉にニールさんが、俺とシノブの方に来て、
「やはり、この落とし穴に落ちたんですね。」
と穴を覗き込みながら言うニールさんの言葉にシノブが、
「いや、ちょっと待ってくれMr.ラーキン……。」
と言いながら、
「Missシラトリ、Mr.オオワシ、Mr.シモトウゲちょっと来てくれ。」
と隣の入り口を見ながら手招きしてきた。
俺とミオン、ゲキは、手招きするシノブの方に近寄ると、
「これを見て何かに似てると思わないか?」
と言って来た。
「何かに……似てる?」
とゲキが不思議そうに穴の隣の入り口を見て言った。
その時、同じように見ていたミオンが
「うん…この金網のようなドアがスライドして開くのねぇ……ん?周りには金網が
張ってあって……これって…あれじゃないのシノブ。」
その言葉を受けシノブが、
「ああ、たぶんここは……。」
「「エレベーター!」」
と二人は声をそろえて言った。
「「エレベーター!?」」
ミオンとシノブの言葉を受け今度は俺とゲキが言う。
「そうよ、セイア、ゲキこっちを見てみたらわかるわよ」
とミオンに言われ俺とゲキが穴の方に移動する。
「ほら、ここ見て」
ミオンんが指さすところを俺とゲキが覗くと……。
「ここに切れたケーブル見えるでしょ」
ミオンが言うところを俺とゲキが見ると確かにワイヤーのようなケーブルが垂れ
下げっている。
「それに、その上ってか奥、見てみて~」
そう言われ、更にケーブルの奥と言うか上の方を見た。
「う……ん?、何かデカイ、モーター!?」
と俺が答えるとミオンは、
「そう、ケーブルがあってモーターでそれを引き揚げる装置と言えば?」
と俺とゲキに問いかけるミオン。
「まぁ、昇降機……エレベーターと言うことだな。」
ゲキがミオンに答えると、満面の笑みで
「ピンポン♪正解!」
と右手の人差指を立てて言うミオン。
「でもさ、エレベーターにしたらデカクない?」
と俺がミオンに言うと、
「だって、ケンタウルス達なんでしょ~」
「馬並……だな」
とミオンの言葉にぼそっと言うゲキ。
俺達の話についてこれない異世界組は頭の中に『?』を浮かべ、ポ~カンとして
いたのでシノブが皆に説明した。
「では、これは落とし穴ではなくエレ……べーター?と言う上下に人や物を運ぶ魔
動機なんですか?…… しかし、父達の仲間がここを調べている時、急に床が……
落ちて、奈落の底に落ちかけたと……」
と今だ疑問を浮かべるニールさんにシノブが説明する。
「こういう装置は定期的に点検していなければ動かなくなるし、壊れてしまうんだ
よ。ここはもう何百年も人が訪れてなかったし、メンテナンスもされてなかったん
じゃないかなMr.ラーキン。おそらく、たまたまMr.ラーキンの父上の仲間の
人がここの上に乗った時古くなって切れかけたワイヤーが一気に切れて落ちたのだ
ろうと思うよ。」
シノブの説明に俺が口をはさんだ。
「で、ここを調べていたニールさんのお父さんの仲間の人はどうなったの?」
「ああ、いえ、彼は鳥人族(鷹族)だったので、異変に気付き、すぐさま翼を使っ
て、脱出しましたので、難を逃れてますがね。」
とニールさんが俺の問いに答えてくれた。
「じゃ、取りあえず最下層の偵察球の……。」
と言いかけたミオンの言葉を俺が遮り、
「いや、そっちはもうデーターを回収したし、まだ生きてるようだから引き続き偵
察するようすでに命令した。それより、この下の地2階と3階の方を見てくれ。」
と俺が言いながら、壁にもう一つの偵察球からの映像を投射する。
俺が投射した映像を見ていたミオンが言った。
「この下の地下2階は武器庫?その下の地下3階は馬車の駐車場?」
ミオンの言葉を受けニールさんが言った。
「そのようですね……しかし、問題なのは……」
とニールさんが言いかけた時エドナさんが言った。
「う~ん……地下2階に居るのは恐らくアシドスライム……それに地下3階に居る
のは……ジャイアントシャベルでは~」
エドナさんの言葉にニールさんは頷いた。
「アシドスライム?ジャイアントシャベルって?」
とミオンが聞いた。
ミオンの問いにニールさんが説明してくれた。
アシドスライムはこの前ソフィーを襲ったスライムの亜種で、酸を出して生物だ
けでなく金属をも溶かして自分の栄養に変えるスライムだそうだ。そしてジャイア
ントシャベルってのは……ニールさんの話を総合するとデカイ肉食のモグラってこ
とみたい。
ニールさんの説明を聞いてミオンが言った。
「じゃ、この先のアシドスライムはセイアとニールさんで対処するとして……。」
と言いかけた時、ユニコーンが引く馬車に背負っていたハードタイプのデイバック
と持っていたライフルを下ろして、代わりに2つのボンベがくっついたような物を
背負いながらシノブが言った。
「待ってくれたまえぇ~こんなこともあろうかとこれを用意した。」
その言葉に俺達がシノブの方を見ると……。
シノブの背中にはボンベらしき物が2つありそこからホースのような物が伸びて
いて、手には銃口と言うか、ガソリンスタンドの給油装置の用な物を握っている。
「それは、にゃんですにゃ」
とアイシャさんが聞くと、それを待ってましたとばかりに自慢げにこう言った。
「Flamethrower!……つまり火炎放射器だよ。」
「「「火炎放射器」」」
俺とミオンとゲキは思わず声をそろえて叫んでしまった。
「そうだよ、これから先まだMr.ラーキンの魔法に頼らなきゃいけないんだから
ここはひとつ、僕とMr.オオワシに任せてくれたまえ」
と満面の笑みで言うシノブ。
「わかった、じゃシノブとセイアでお願いね……セイアいい?」
「ああ、わかった」
ミオンの問いかけに俺は了承した。
◇◇◇◇◇
地下2階の部屋の手前、俺とシノブ意外のメンバーはここで待機してもらい俺と
シノブは2人並んで地下2階の部屋に進んで行く。
地下2階の部屋は、通路より少し暗い感じで、馬鹿デカイ……図書館!?って感
じかな。部屋には図書館の図書棚のような物がずらりと並び棚と棚の間は人が3人
位通れそうな通路になっている。図書棚のように見える物は当然、本棚などではな
く剣や槍、弓、クロスボーと言った武器や鎧、盾などの武器防具が整理され、保管
されているようだ。
そして、その金属の武器や防具には黄色いジェル状の”アシドスライム”が、へ
ばりついている。
≪名称 アシドスライム≫
≪戦闘力 300≫
≪防御力 100≫
≪スピード 10≫
≪特技 酸≫
×30
「Mr.オオワシ準備いいかい?」
俺は両腕をフレイムアームに変えシノブの言葉に黙って頷く。
俺達は2手に分かれて……
「Fire!!」
「フレームストーム!」
俺とシノブは一斉に炎を噴射する。
「「「「キュー」」」」
「「「キャユーー」」」
俺とシノブが放つ炎に次々と溶けてなくなる”アシドスライム”達。
結局、1時間くらいかけて2人で丁寧に”アシドスライム”達を焼き払って行っ
た。
「ふぅ~」
「終わったなMr.オオワシ」
「何だかブラッドバットといいアシドスライムといいあまりにもあっさり倒したの
で、なんだか拍子抜けって感じだ。」
っていったら、側に来たゲキが、
「前もって対策を考えているからそう思うだけだろう。」
と返された。
まぁ、確かにそうなんだけどね。
これもあっさりとでしたね……次はどうでしょう?




