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38話 ゴブリンの巣

 俺、ソフィー、ゲキ、シノブに時田さんが食事をしていると、部屋のスピーカー

からミオンの声が聞こえて来た。


 ちなみに、ゲキとシノブは大盛りのおかわりをしたところ。


「ねぇ、さっき偵察させたバリブリーンが、……」


その言葉に俺が、


「バリブリーンってなんだ!?」


とスピーカーに向かって言うと、


「あっ、言ってなかったけ……ドローンのことだよ」


とあっけらからんと言うミオンに、


「いや、ドローンでいいんじゃないか……」


それを聞いたミオンが、


「それじゃぁ~味気ないじゃない」


と言い返してくる。


(……う~ん、別にどうでも良いけど……それ初代戦隊もの飛行要塞の名前じゃん


と思いつつ、それを口にしないで、


「で、そのーバリブリーンがどうした。」


と言うと、



「バリブリーンが撮影してきた動画をチェックしてるんだけど、これって、ゴブリ

ンの巣じゃない?」


と言いながら俺達が食事している部屋の大型モニターにドローンが取って来た動画

を流した。


「うん?なんか大きなアリ塚見たいだけど……」


と映像を見ながら俺が言うと、


 外に居たニールさんが、無線を聞いていたようで、


「じゃ、今、中に入って確認しますよ。」


って言ってトレーラーの中に入って来た。



 ちなみに、【思考転写】一般には”テレパス”と呼ばれる魔法は、名前からして

こちらの世界で言うテレパシーのようなものかと思っていたら、どうもそうではな

いらしい。確かお互いの頭に浮かぶイメージを伝えあるってのは同じなんだが、時

田さんの推論によると、お互いのイメージをそれぞれの脳にある言語野(脳の言葉

を司るところ)に送りその人の言語に当てはめて、伝えるということらしい。なの

で、離れたところいる相手を認識した状態でないと使いづらいらしい。なので、今

回は、こちらの世界の小型無線機を持ってもらっていて、みんな耳に時田さんと同

じワイヤレスハンズフリーを付けていて、常時会話を聞いてもらっている。


 ただ、ソフィーの場合威力がありすぎて、ソフィーが【思考転写】一般には”テ

レパス”を使った場合、ソフィーは半径3Kmくらいの人と話せるそうだ。したが

って、ソフィーの魔力の塊である”俺”GUY BRAVEも変身さえすれば、ソ

フィーと同じ能力がある。


 トーレーラーに戻って来たニールさんが、ドローンの映像を見て、


「確かに、これはゴブリンの巣ですね。」


と言ったのを聞いたミオンの声がスピーカーから、


「後で、行ってみない?」


と言う。……かなり嬉しそうである。


「でも、俺達は、この先にあるダンジョンを攻略しなければならないんだぜ。」


と俺が言うと、


「でもさ、ダンジョンの攻略前に小手調べって必要だと思うのよ。ゴブリンってゲ

ームでも初心者向けのモンスター何だし……。」


とスピーカーから聞こえるミオンの声に、食事中の時田さんがフォークを置き、


「確かに、ダンジョン前に、皆様の連携の最終チェックやら、ブレイブタンクのテ

ストも……必要かと。」


と言うのを聞いて、


「でしょ、でしょ♪」


 スピーカー越しでも鼻息荒く、興奮しているミオンの様子が、手に取るようにわ

かる。


 食後、ミオンの提案により俺達はゴブリンの巣にむかうことになった。俺達が乗

ったトレーラーは、一路ゴブリンの巣へ向かう。道が舗装されてないため、少々揺

れるが、それ以外は快適にトレーラーは走る。モーター音しかしないため、揺れな

ければ本当、電車に乗ってるような感じだ。


「なぁ、ミオン」


 食堂のモニター横に設置されているスピーカーに向かって俺がミオンに話しかけ

る。


「なあ~に?セイア。」


と俺に聴き直すミオンの声がスピーカーから流れる。


「あのさ、ブレイブタンクって無線誘導式だろ?」


と俺が聞くと、


「そーよ……それがどうしたの?」


と聞いてくるので、


「いや、無線誘導なら、ゴブリンの巣やダンジョンのように地下になっている場所

では、無線誘導が使えないんじゃないか?」


と疑問をぶつける俺にミオンはあっけらからんとして、


(たぶん見えないけどそう感じる。)


「そこは、しっかり者のミオンちゃんだもの……抜かりはないわよ。」


と言うミオン。


(いや、お前の場合、多々抜かりがあるから聞いてるんだよ。)


と思いつつ、


「と、言うと……。」


とミオンに訊ねる俺。


「ブレイブタンクは、通常……この指揮所から操縦するんだけど、それとは別に、

簡易操縦が出来るようにコントローラがあるのよ。」


いかにも自慢げに言うミオン。


 ミオンの話だと、ダンジョンなのど地下に侵入する時の為に、スマホ型のコント

ローラが用意されているらしい。


 ただ、そのコントローラーでは、ブレイブタンクの側で操縦する必要があるらし

いが……


(ってことは、ミオン自体、ダンジョンやゴブリンの巣のような地下施設には俺達

と一緒に入る……ってことだよな……何かいやな予感がする。)


そう思っていると……


「ゴブリンの巣が見えてきました。映像を送ります。」


ソフィーの声がスピーカーから聞こえて来た。


 ソフィーが、トレーラーのカメラの映像を俺達の居る食堂の大型モニターに送り

、皆でみて見る。


「Missラグナヴェール。レーダーの反応はどうだい?」


とシノブがソフィーに尋ねる。


「レーダーに魔物の反応はありません。」


と言うソフィーの声を聞いて、シノブが、


「おかしい……」


と考え込むシノブ。


「ミオン、ドローンを偵察に出してくれ。」


と俺がミオンに言う。


「OK、バリブリーン偵察モードで発進!」


と元気よく言いながらドローンを発進させた。


「ドローンの映像をダイレクトでこっちにも回してくれ。」


と俺が言うと、ミオンは、


「ラジャー!」


と元気よく返事をして来た。


 しばらくすると、ドローンからの映像が食堂の大型モニターに映し出される。

本当に大きなアリ塚ってか、小さい山?って感じ、所々に窓のような穴が開いてい

る。


「上の塔の部分は、物見台になっているはずです。」


と言うニールさんの言葉を受け、ミオンが、


「じゃ、アリ塚の部分にバリブリーンを侵入させてみるわ。」


と言う。


ドローンがアリ塚(物見台)の部分に侵入する。

ドローンが送って来る映像を見ながら、


「ゴブリンが1匹もいませんね……。」


とクレアさんが言う。


 ドローンからの映像を見る限り、もぬけのからって感じだ。


「兎に角行ってみるしかないか……時田トレーラーをゴブリンの巣、手前300m

で止めてくれ。」


とシノブが時田さんに言うと、


「かしこまりました。」


と答える時田さん。




◇◇◇◇◇






 ゴブリンの巣300m手前でトレーラーを止め。トレーラーの最後部のガレージ

のシャッターがユルユルと開く。


 トレーラー下部からスルスルとスロープが伸び地面に付くと。キュルキュルと機

械音を出しながら、”ブレイブタンク”がトレーラーが出て来た。


「ブレイブタンク発進!」


 元気よくブレイブタンクの後ろからスマホ型のコントローラーを持ったミオンが

降りて来た。


「出~発!!」


 ブレイブタンクを後ろから操るミオンがそう言いながら、皆の前を行こうとした

ので俺は、


「ちょっと待てミオン。タンクは丈夫でもお前は、ひ弱だから、俺が先頭を行くよ

。」


と先に行こうとするミオンを制止した。


「えっえ~……。」


と少しふくれっ面のミオン。


「心配しなくても、俺が倒したゴブリンはお前にやるから。」


と俺が言うと、たちまち機嫌を直したミオンが笑顔で、


「なら、いいわ。」


と俺の後をご機嫌で付いてくる。


俺はすぐさま変身。


俺は両腕を横に開き、それから、両耳の側まで弧を描くように上に上げ、


「☆ブレイヴ☆」


と、叫んび、両腕を前に下ろして両手をクロスさせると、


「☆スパーク☆」


と叫んだ。

と同時に、両手が光かった瞬間、変身した……。


(やっぱ、間があるし……何より……ダサい。)


 俺を先頭に、ブレイブタンク、ミオン、ゲキ、シノブ、ニールさんクレアさんエ

ドナさん、アイーシャさんが続いてゴブリンの巣の入り口に向かった。


 ソフィーと時田さんはトレーラーでお留守番。




◇◇◇◇◇






 ゴブリンの巣の入り口まで来て後ろを振り返り、皆に一旦止まるように合図する。


 俺はゴブリンの巣の入口に少しだけ、入ってからGUY BRAVEのセンサー

で中の様子を探る。俺の身長は172cm、変身していなければぎりぎり頭は閊え

ないはずだが、GUY BRAVEになった俺は背が伸びているのか、少々頭が閊

えるようだ。俺は少し屈みながらゴブリンの巣の中に入って行く。


 俺のセンサーには全く反応なし……念の為、ブレイブタンクのセンサーでも索敵

するも、俺のセンサーと同じく反応はなかった。


「セイア、ブレイブタンクとGUY BRAVEで先に先行し、通路にある小部屋

は他のメンバーに捜索してもらおうよ。」


と提案してくるミオンに、俺は、


「大丈夫か……ミオン。」


と言い返すと、胸を張ったミオンが俺に、


「大丈夫!いざとなったら、この子とセイアを盾にするから」


とニンマリ笑顔で言って来た。


(ならいいか……。)


って思い、後ろの仲間に振り返ると、皆、黙って頷くのが見えたので、ミオンの言

うとおり、俺とブレイブタンク、ミオンが先行し、他のメンバーは通路の左右にあ

る小部屋を手分けして、捜索して行く。


 案の定、俺が屈んで入った入り口を、俺より背の高い、ニールさん、ゲキ、シノ

ブ、エドナさんは俺と同じように少し屈んでゴブリンの巣に入る。


 狭い空間の戦闘になるので、ゲキは背中の斬馬刀ではなく、腰に刺した左右の脇

差を抜き部屋を調べる。エドナさんは、魔力を込めて、弓の成りと呼ばれる部分を

ブレードに変えて、部屋を調べている。


 エドナさんの武器といい、クレアさんの武器といい、こちらの世界の武器はある

意味便利なようだ。



「クリアー!」


「くっ……りあ」


「クリア」


「クリアです。」


「クリア!」


「クリにゃ!」


 シノブ、ゲキ、ニールさん、クレアさん、エドナさん、アイーシャさんが部屋を

確認し、そう叫んでくる。これは、シノブの案で、安全確認したら、”クリア”っ

てお互い声を掛けると、言うことにしていた。


(他のメンバーはともかく、ゲキに、この”クリア”のセリフが似合わない。)


と思いながら、でも言いにくそうだが、素直に”クリア”と叫ぶゲキを見ていた。


 俺とミオンが少し先行しては、他のメンバーが小部屋の確認する。


 シノブもゴブリンの各部屋があまりにも狭いので、途中から持っていたH&K X

M8アサルトライフルのスリングを肩にかけ、腰のガバメントを抜いて、部屋を調

べていた。


 俺とミオンが先行し、他のメンバーが小部屋を調べるってのを何回か繰り返し、

洞窟ってか、通路最後部の広い部屋に到着した。


 途中、錆びた剣や槍、小型の弓など、ゴブリン達の武器が小部屋にあるものの、

ミオンが期待する宝箱は存在はしなかった。


(ここの部屋は、天井も高く屈む必要がないな。)


と思っていると、それもそのはず、ニールさんの説明では、ここはクイーンの部屋

……ゴブリンクイーンは身長10mにも及ぶ大きさだそうで、俺達が知っているゴ

ブリンとは違い、この世界のゴブリンはクイーンを中心に、って言うかクイーンの

意思で他のゴブリン達がコントロールされてるそうで、ゴブリンクイーンは、ひた

すら卵を生むだけの存在で、他の一般ゴブリンが運んでくる餌……(人間も含む)

をそのまま食べるため、人間の場合、身につけてる金属……たとえば武器や防具、

アクセサリーごと飲みこむ。


 そのため、その金属のうち消化しきれない物がクイーンの生む卵の中に入り込み

、俺が倒したゴブリンのように、まれにゴブリンの体内から出て来るってことがあ

るらしい。


 ただ、ゴブリンクイーンは錆びた金属だけは嫌がるらしく、一旦食べても、それ

を吐き出す習性があり、ゆえに、その吐き出したもの中にある武器や防具を一般の

ゴブリン達が使っていると言う訳。


(なるほど……武器や防具が錆びているのはそう言う訳か……。)


 結局、ゴブリンには1匹も遭遇することなく、ブレイブタンクの各種テストや皆

の連携を試すことなく、俺達はゴブリンの巣を後にすることとなった。



トレーラーへの帰り道、ひたすら、


「あぁ~金塊が……私のコスプレの資金が……」


って、1人ぶつくさ言っているミオンをスルーしながら、トレーラーに向かう俺達。


 この日、俺達は、空になったゴブリンの巣の付近で夜営することにした。


バリブリーン=バルブルン+バリドリン

秘密戦隊ゴ○ンジャー飛行要塞です。


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