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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第1章 突然の異世界 そして 突然のヒーロー!?
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3話 ソフィー=ラグナヴェール後編

------ソフィー視点---


 雲の中を通り抜け、わたくしとニール様は矢のごとく、トンネルのような場所を飛んでいきます。その勢いにびっくりして、わたくしは思わず、ニール様のローブを掴んだ手を離してしまいました。


 やがて、トンネルに光が射したかと思うと、まっさかさまにどこかに落ちました。


「キャー!!!」


と思わず、わたくしは叫んでしまいました。


 気がつくと、わたくしは見知らぬ殿方の上に載っておりました。慌てて、わたくしが、殿方の体の上から降りて、


「大丈夫ですか……?」


と声を掛けたのですが……殿方は気を失っているようでした。


 わたくしは、あたりを見回します。見慣れない部屋、見慣れない机……近くにはニール様も倒れておられます。


 ニール様に近づき、


「ニール様!ニール様……」


 声を掛けましたが、返事がありません。


 側に行ってニール様の体を揺さぶりながら、もう一度声を掛けましたが、返事がありません。目を見ると白目をむいています。


 恐らく……わたくしには経験がありませんが、魔力切れではないでしょうか、転移魔法は本来、魔法陣を作成し、そこに魔力を流し込み転移します。通常の転移魔法だけでも魔力は大変消耗すると聞きます。今回はそれに加えて、ニール様は魔法陣を瞬時に魔法で形成させるという荒技をお使いになりました。


 物質化……と同じでかなり魔力をお使いになったのだと推測いたします。その時、殿方の唸り声が聞こえました。


 わたくしが振り返ると、先ほどわたくしの下敷きになった見知らぬ殿方から聞こえたような気がいたします。わたくしは、殿方の体を揺さぶりながら、


「大丈夫ですか?……」


と声を掛けます。


 すると、ゆっくりその殿方が起き上がってきました。顔がわたくしの近くまできます。失礼ながら、美男子……とは言い難いですが、どこか親しみのある……と言いますか……どこかでお会いしたような……お顔立ちです。


 わたくしは、殿方の顔をしばらく見つめていますと、


「ΘΛΓΨΠ!」


っと大きな声を上げられ驚かれたようです。わたくしもその声に驚き、少しその殿方から距離をとります。


「お怪我ありませんか?ここはいったいどこなのでしょう?」


と聞いてみましたが、言葉が伝わらない様子。


 どうしたらいいのか、しばらく迷っていましたが、”はっ”っと思い出します。魔物が……魔物が来るのです。ニール様の様子からして、わたくしは追い掛けて来る魔物たちに抗うすべはありません。


 わたくしは、覚悟を決めます。…… しかし、この見ず知らずの殿方を巻き込むことはできません。わたくしは、必死になって訴えました。


「魔物が!魔物が来ます!逃げて下さい。」


 目に涙を浮かべ必死で訴えましたが、困惑してるだけで、分かってもらえないようです。わたくしは、魔法が使えません。夢のお告げを受けれるけれど……今回、魔王襲来は夢の通りです。


 しかし、まだ夢に見た勇者様は降臨されていませんが……生れた時よりかなり魔力量が多いと言われて来ましたが、魔法がうまく発動出来ないのです。……しかし、これは使えます!


 わたくしは、自分の胸の前で手を組み、”思考転写 ”の魔法の呪文を詠昌しました。【思考転写】一般には”テレパス”と呼ばれる魔法です。


 言葉が分からない者同士使う魔法です。


 わたくしが、普段この魔法を使わないのは礼儀的なこともありますが、なにより、強すぎて本来、一対一で使う魔法なのですが、わたくしの場合ある一定の範囲内に効いてしまうのです。


 しかし、今はそんなことも言っていられません。


「Thought Transference!」


 魔法名を叫びます。


「早く逃げて!」


≪えっーーー!≫


 大声を挙げ、殿方はすごく困惑している様子。


(言葉は届いているはず。)


 わたくしは驚き目を見開いたままの殿方の手を取り、立たせようとした時です。ドスン!と物凄い音がして、音のする方に振り返るわたくしと殿方。その目の前には、あのおぞましき者と2匹のオークが立っておりました。


 おぞましき者が、こちらに近づいて来ます。そしてわたくし達の前に立ち、


「手こずらせおって……さあこっちに来い。」


とわたくしに言います。


「嫌です!」


とわたくしが言うと、嫌がるわたくしの手を、そのおぞましき者が乱暴につかみ引っ張りました。すると、殿方はわたくしの手から、その男の手を払い。


≪何すんだよ!嫌がってるじゃないか。≫


とおぞましき者に向かっておっしゃいながら、おぞましき者とわたくしの間に立たれました。


「なんだ!?小僧……邪魔立てする気か……」


 おぞましき者はそう言うと”ひょい”と殿方を持ち上げ。


「邪魔だ!!」


と言って部屋の壁に投げつけました。”ドスン!”と言う鈍い音とともに、殿方は壁に後ろ向きで激突してしまいました。


≪ぐっわっ!≫


と声を上げられ、壁からずり落ちながらも踏ん張って立とうとしておられます。そして、口からゴボゴボと血が……


「やめてぇ~~~!!!」


 わたくしは必死で殿方に駆け寄り、涙を流しながら、しがみつきました。


(この方を殺させません!)


 わたくしは、必死で殿方を庇おうと、しがみつきましたが、おぞましき者に命令された、オークの1人が、殿方にしがみついているわたくしの手を引き剥がそうと、殿方にしがみつく、わたくしの手を引っ張ってきます。


 わたくしは、必死で引き剥がされまいと殿方の体にしがみつきます。するとオークは引き剥がすのを諦めたのか、殿方としがみつくわたくし諸共、出てきた転移魔法陣が変形した雲に向かって投げ飛ばしました。


「きゃぁ~~~!!!」


 わたくしは、殿方にしがみつきながら、叫びました。そして、殿方にしがみつきながら、思いました。


(わたくしは、どうなってもかまいません!でも、どうか、この殿方だけは、たすけていただけないでしょうか勇者様~~~お願いです。)


 そうわたくしが、心に思った時、わたくしの体から物凄い力のようなものが抜ける感覚と共にわたくしは気を失ってしました。




◇◇◇◇◇




 何時間たったのでしょうか……ふと、わたくしは体を揺さぶられ、


「もう……大丈夫だよ」


と言う耳元で囁かれる声で目を覚ましました。 でも、まだ頭がぼーとします。視界が段々とはっきりしてきて、目の前の人を見てわたくしは”はっ”といたしました。


「えっ!」


(あっ!----あのーー勇者様!♪)


 わたくしはガバッと起き上がり、思わず勇者様に抱きついてしまいました。


「やはり助けに来てくれたのですね勇者様。」


 わたくしは、嬉しくて嬉しくて♪涙が溢れ出ました。


「へっ……勇者?」


 しかし、勇者様はキョトンとしておられます。それでも、わたくしは嬉しさのあまり、


「そうです。あなた様は、わたくしが幼少の時から時折夢に現れて……魔王からわたくし達を守ってくれる偉大な勇者様です。」


と抱きつきながら言いました。


「夢の中で……守る……勇者。」


 小首をかしげる勇者様。


「いや、このデザインはマンガのために、ついさっき俺が描き上げた……」


と勇者様は言いながら、さらに困惑ておられる様子。


 あまりの嬉しさに、はしゃいでおりましたが、ふと、なにか違和感を覚えます。


 えっーと何でしょうか?……


 その時わたくしは”はっ”としました。思い出しました。キョロキョロとあたりを見渡しましたが……やはり、あのわたくしを庇って、傷つかれた殿方の姿が見当たりません。


 わたくしは、嬉しさのあまり勇者様に抱きついていた手を離し、


「でも……私のために彼が……」


 そう言うとわたくしの眼から涙が溢れ出し、止まりませんでした。


「彼?」


そんなわたくしに勇者様はおっしゃいます。


「わたくしが別世界らしき場所に転移した時、わたくしを庇って……」


と言いかけた時……勇者様が不意におっしゃいました。


「あ~!それ俺だわ」


「へっ?」


わたくしはその場で、キョトンとしてしまいました。




◇◇◇◇◇




 どう言う理由かは分かりませんが、わたくしを庇って傷ついた殿方は今、目の前に居る勇者様だったのです。勇者様のお名前は、オオワシセイア様とおっしゃるそうです。 ただ、わたくしの国のように名前が先に来る読み方でなく、名前は後に来ると、言うことらしいです。


 まるで、この世界の東の端にある、ナ国の名前の読み方と同じようです。年齢は、わたくしと同じ16歳だとおっしゃっていました。


 わたくしが勇者様とお呼びするのが、お気に召さないとおっしゃるので、わたくしは、


「オオワシ様」


とお呼びしたら、


「セイア」


で言いとおっしゃいます。


「セイア様」


とお呼びして、ふと、このやり取りどこかでしたような……


「あっーーーーーーー!」


「ニール様!」


 なんと言うことでしょう、わたくしはニール様の事をすっかり忘れて居りました。







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