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35話 ソフィーのパジャマ

 


 DVDの観賞会も終わり、夕食を迎える。ソフィーは、キャラに似合わず、初めて見るDVDに興奮気味だった。


 ちなみに、感想を聞いてみると、


「すごいです。

セイア様の世界には、こんなすごい勇者様が居られるとは……」


ってことだった。


(いやいや。これは空想の物語……なんですがねぇ)


 それはさて置き、今晩のおかず……は、中華だった。


かあさん曰く、


「刺し身や天ぷらなどの日本料理を考えたんだけど、外国の人の中には、

生ものが苦手の人もいるでしょ~。

公ではフランス料理のフルコースが定番だけど、うちの家計でそれは

無理だから……フランス料理に次いで万人受けする中華にしたの♪」


とのことだ。


(……それにしても)


 ダイニングのテーブルには、酢豚、肉団子の甘酢掛け、エビチリ、焼き飯、

餃子……中華スープ(予算の関係でフカヒレではない)。


テーブルに乗り切らないくらいの料理の数々。


(かあさん……張り切り過ぎ。)


 ちなみに、箸が使えないソフィーの為にかあさんが、ソフィーには、

ナイフ、フォーク、スプーンを用意した。


とうさんの、


「それでは……」


と言う声に合わせてみんなで手を合わせ。


「「「「いただきます」」」」


すると、とうさんが、俺達と同じ様に手を合わせるソフィーを見て、


「ほう~関心関心……ってかソフィーさん何処で覚えたの?」


とソフィーに聞くと、


「セイア様に教えていただきました。」


と、にこやかに答えるソフィー。


 ソフィーの答えを聞いて、とうさんが、俺をチラッとみて、


「セイア……お前……なかなか、やるな」


と小声で言って来た。


(なかなか、やるなぁ~ってなんだよ……)


と思いながらも、にこやかに、とうさんに言い返した。


「とうさんの息子ですから。」


とニパって笑ったら、とうさんは俺のその返事に絶句していた。


(へへっ、とうさんを黙らすには、この手に限る。)


と、思いながら笑いをこらえる俺。


「どう?ソフィーさんお口に合うかしら」


と、かあさんがソフィーに尋ねると、


「はい、どれもおいしいです~♪。

特に、このミートボールがおししいです。」


と笑顔で答えるソフィーに、かあさんが、


「あっ、それね、肉団子の甘酢掛け……セイアも

それ好きなのよ~♪」


と嬉しそうに答えるかあさんに、


「えっ、セイア様もですか♪」


とソフィーも嬉しそうに言う。




◇◇◇◇◇





「「「「ごちそうさまでした」」」」


とみんなで合掌し、食事を終えた。


リビングでくつろいでいたら、洗いものをしている、かあさんが俺に、


「セイア、ソフィーさんにお風呂とトイレの使い方を教えてあげて~」


と言って来たので、


「はぁ~い」


と答えたら、ソフィーが俺に、


「いえ、大丈夫ですよセイア様、レラト様に教えていただきましたから…… ただ、お風呂と言うのは……浴場と同じなのでしょうか?」


と言って来た。


「ああ……浴場と言うほどではないけど……

まぁ、ついて来て……説明するよ。」


と言い、ソフィーを連れてお風呂の説明を一通り終えたんだけど……


結局、ソフィーはシャワーにするそうだ。




◇◇◇◇◇





 俺は、自分の部屋に戻って、寝転んでマンガを読んでいると、

”コンコン”とノックされ、


「セイア様、今よろしいでしょうか?」


とソフィーが俺に声を掛けて来た。


「どうぞ」


と言いながら、俺が部屋のドアを開けると、シャワーを終えたソフィーが、

パジャマに着替えて、立っていた。


「失礼します。」


「お先に、シャワー頂きましたセイア様。」


 そう言うソフィーのパジャマ姿は、アライグマの着ぐるみパジャマ。


(えっ、またミオンがやりやがったな……でも可愛い。)


そう思いながら、俺は、


「うん分かった、じゃ俺もお風呂に入って来るねぇ。」


と言うと、ソフィーは、


「では、失礼いたします。」


と言いながら、自分の部屋に戻って行く、着ぐるみパジャマ姿を見て、


(お姫様と着ぐるみパジャマ……ありだな)


と思う俺であった。




◇◇◇◇◇





------異世界某所ゴブリンの巣---




 平原に中に、赤茶けた土が地面を覆う。突如としてそびえる巨大なアリ塚のようなと言うより、ちょっとした山にも見える場所に、1人の男が三俣の槍を持って立っていた。


 長く伸びた白髪を逆立て、白い、フードがないローブのような物を着ている。


 そう彼は、サディコ将軍。


「さて、これで4ケ所目になるか……」


そう呟いたサディコ将軍は、その山にも見えるアリ塚にポッカリ空いた

穴の方に近付いて行く。


「「「「「ギギ!」」」」」


 すると、その穴から錆びた槍を持った、数体のゴブリンが出てきて、サディコ将軍の行く手を阻もうと襲ってくる。


 そのゴブリン達に、セディコ将軍は”カッ”と目を見開くと、見る見るゴブリン達は持ていた錆びた槍を手放し、その場で固まってしまった。


「ふんっ!」


 サディコ将軍はそんなゴブリン達をしり目に、そのアリ塚にポッカリ空いた穴に入って行く。

穴に入ると、アリの巣のように、通路の左右に小部屋が幾つもあり、そこから”ワラワラ”と、武器を持ったゴブリン達が出てきたが、先ほどと同じようにセディコ将軍は”カッ”と目を見開くと、武器を捨て、その場で固まって行く。


 サディコ将軍は、そのまま通路をどんどん進み……

やがて一番奥の突き当たりにある大きな部屋へとたどり着いた。


 天井の高さは15mくらいあるものの、学校の教室程度のその部屋には、他のゴブリンよりかなり大きく推定10mくらいの大きさで、上半身は他のゴブリン位だが、女王ありのようにお尻部分巨大な……約8mくらいあろうか、ひたすら、卵を生んでいるゴブリンクイーンが居た。


 ゴブリンクイーンは、セディコ将軍を見るなり、


「ギギギ……ギヤオー」


と叫び、荒れ狂うようにセディコ将軍を襲おうとしたが、セディコ将軍が”カッ”と目を見開くと急に大人しくなった。


「さて、それでは……」


と呟き、


≪ソンブル翁、これらをTransfer!(転送)願います。≫


≪うん、分かった≫


と、念話のような会話を交わす。


すると、ゴブリンクイーンを初め、巣に居たゴブリン達が光ったかと思うと、シャボン玉のように成ってその場から姿を消して言った。


 誰もいなくなったのを確認すると、セディコ将軍は、


「Transfer!(転送)」


 そう言い、光ったかと思うと、シャボン玉のように成ってその場から消えて行った。




◇◇◇◇◇





「「いってきま~す。」」


 元気よくソフィーと俺が、かあさんに挨拶して、

一緒に学校へ向かう。


 途中ミオンとも合流し、3人で学校へ向かうのが日課になった。ゲキとクレアさん

、エドナさんは、ゲキの剣道部の朝練のため、いつも俺達よりかなり早くに学校に

行っている。残念ながら、うちの学校には女子剣道部はなく、クレアさん達は男子

剣道部のマネージャーとして部活に参加してるとのことだ。

 

 ちなみに、剣道部顧問の先生の話によると、今まで、部員10名の内、朝練に

参加していたのは、ゲキを含め3名だったが、クレアさん達がマネージャーにな

ってからというものは、10名全員皆勤で参加してるとのことだ。


(男と言うのは、現金だね。)


 学校の正門付近でシノブとアイーシャさんと合流して、お互い声をかけ合う。

そして、また互いの教室へ別れて行く、シノブとアイシャさんにミオンと俺とソフィー。


 ソフィーはうちの学校に来て瞬く間に人気者になった。男子にも女子にも……。

中にはそんなソフィーと仲が良い俺を”絞める”と言って俺を秘かに襲おうとする

輩もいたりしたが……それらすべての奴らは、秘密裏にアイシャーさんやシノブ

の護衛の人達に排除されていたらしい。


(たぶん、殺されてはいないと思うが……)


 そんな楽しい学園生活が続いた6月初旬のある放課後、俺のスマホの無料通信アプリに時田さんからメッセイジが入る。『皆様ご準備が整いました。』それを見て、すぐさま『了解』の文字を打った俺は、ソフィーを連れて一旦家に帰り、着替えを済ませる。制服から俺はロンティーに半袖のチェックのシャツを羽織り、ジーパン姿、ソフィーは木綿のワンピース。


 準備を整えンドワン国大使館に向かうのであった。



◇◇◇◇◇






 ンドワン国の大使館に急ごうとしたが……足がない。


(やっぱ、とうさんのあのバイク……修理しようかな。)


と思いながらも仕方がないのでソフィーと一緒にバスで向かう。


(この時間ってバスの本数少ないんだよな……)


 バスを待ちながら、イライラしてるとそこに、”ドットト……”と低いエンジン音を響かせた白い車高の低いバイクが俺達の前に止まった。


 赤いヘルメットに、赤いウエットスーツぽい服に身を包んだ……。


(あの服はイブンゲリオンの戦闘服……その格好、その見覚えあるバイク……)


「ミオン!」


と声を掛けると、ミオンはヘルメットのフードを上げ。


「セイア!まだ、こんなところをほっつき歩いてるの?」


と少し薄笑いで言うミオン。


「いや、バスがこないから……」


って言うと、


「セイアもバイクに乗れば良いじゃない……確かセイアのおじさんのバイクあったじゃない?」


と言うミオンに、俺は……


「あれはだいぶ昔のバイクだし、最近、とうさんも乗ってないから動くかどうか……。

それに……あのレーシングレプリカモデルってどうも好きになれないんだよねぇ~」


と苦笑しつつ言う俺に、


「あら、ホッパーライダーのバイクみたいでカッコイイと思うけど?」


と笑顔で言うミオン。


「それじゃ、お先に~」


と言いミオンはバイクを発進させて行ってしまった。


 一見、さっそうに載っているようだが、ギアーチェンジがぎこちない。


 SIZUKIシズキ製のイ○トルーダークラシック400、所謂クラシカルタイプのバイク。

車高が700mmしかない為、乗り降りはし易いが、重いためスピードを出して乗るっと言うより

制限速度60km/h、~80km/hぐらいまでのスピードで走行して気持ちが良いバイクだそうだ。


 こないだの、ミオンの誕生日に両親が買ってくれたそうだが、購入先は実は、うちの、かあさんの弟の燕沢甚平つばめさわじんぺい……甚平叔父さんは隣町でバイクショップを経営ていて、あのミオンが乗っているバイクも甚平叔父さんの所で購入した物だ。


 叔父さん曰く、「車体が重いし、取り回しがしにくいから、ミオンちゃんの腕では……」

って言っていたしろもの。


(しかし、見た目重視のミオンは、そんなこと意に介さず購入したのだけれど、買ってから、そう乗ってなかった所を見ると……やはり乗りにくいのだろう。)


などと考えていたら、遠くから”パカパ・パカパ・パカパ”と馬が疾走してくるのが見えた。良く見ると……ゲキとクレアさんとエドナさん3人が馬に乗って俺の前をさっそうと風を切りながら駆け抜けて行った。


(そーいや、ゲキんところ、馬飼ってたよな……。)


そう思い、なんか皆に先を越され遣る瀬無い気持ちでいっぱいになる。


(やっぱ、とうさんのバイク甚平おじさんに修理してもらおう。)


と心に誓う俺であった。


SIZUKIシズキ製=SUZUKIです。

アメリカンタイプのバイクです。はじめはハーレーにしたかったのですが、

排気量が大きすぎて高校生が乗るには無理があるかと思い変更しました。

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