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34話 アルティメットマン


 ンドワン国大使館から自宅にもどる。


「ただいま~」


と玄関を開け、靴を脱いで台所まで行くと、かあさんに呼び止められた。


「セイア、ンドワン国って、公用語は英語?仏語?それとも……」


って聞いてくる。


(公用語?……あ言葉ね)


と思い、かあさんに、


「いや、言葉は通じる……うん、日本語通じると思うよ。」


と、かあさんに答えると、かあさんはニコニコ笑いながら、


「そう、なら安心ねぇ~」


と言った。


「これ、書いといたから明日学校に持って行きなさい。」


と、かあさんに言われダイニングテーブルに置かれた書類を手に取ると……


”ホストファミリー承諾書”と書かれた紙に署名とうちの印鑑が押してあった。


「うん、わかった。」


と俺が言うと、かあさんが、


「そーそー、ソフィーちゃんだっけ……お部屋なんだけど、

2階のセイアの隣の部屋にしたからね。」


と言ってきた。


(2階の俺の隣の部屋は……とうさんの趣味部屋で、とうさんの

今までの趣味の道具とか置いてあって、足の踏み場がなかったと思うが……)


と考えていると、かあさんがそれを察したのか、


「なんか、おとうさん張りきっちゃって1人で片付けていたわよ~」


と少し半笑いで俺に言う。





◇◇◇◇◇





 数日後、ゲキの家にホームステイするクレアさん達も無事ゲキのおばあさんに許

可をもらえた見たいで、住むために必要な寝具や家具を購入し、搬入を済ませた。

 ただ、寝具や家具、それに衣類や下着を購入する時、少しもめたかな……。


 ソフィーの生活費はイーシャイナ王家から金塊で支払われた物を時田さんが売っ

て、こちらのお金に変えている。時田さんに聞くと、当初、クレアさん達騎士3人

費用もそこから支払うつもりだったが、クレアさん達3人から、それは困ると言う

か、恐れ多いことで、それは駄目だと言うのだ。ソフィーがいくら大丈夫と言って

も3人はガンとして聞かなかった。


(まぁ、騎士として確かに国からお給料が出てるということなんだろうが……)


 自分達の分は自分達で払うと言うのは良いんだが、クレアさん達が差し出した

イーシャイナ王国の金貨は、こちらの金としての価値は本来の通貨より少ない。


 たんに、金の重さで行くのでそうなってしまうのだ。


 イーシャイナ王国通貨単位は、ターラー、金貨一枚は10万ターラーになる。


白金貨100万タラー

金貨10万ターラー

クオーター金貨2万千ターラー

銀貨1万ターラー

クオーター銀貨2500ターラー

銅貨100ターラー

クオーター銅貨25ターラー

鉄銭1タラー


 ちなみに、時田さんがニールさんと話をした中で、イーシャイナ王国の物価など

を考慮すると、1ターラーは、おおよそ日本円で1円と考えられるそうだ。こちの

世界のお金なら、いくらでも交換できるが、異世界とは交流がないのだから、所謂

為替レートも存在しない。


 その話を聞き俺は、


「なら、時田さんに預けたお金で交換しましょうよ。」


と俺が言うと、時田さんが俺に、


「よろしいので?」


と聞いて来た。


そこで、


「異世界で活動するには向こうのお金を持っている方が便利でしょ。」


と言うと、時田さんはニッコリ俺に笑って、


「さようですな。」


と言ってくれた。


 そこで、費用については解決!したわけだ。クレアさん達は、金貨と交換した1万円札10枚を見て目を丸くする。彼女達の話だと、アルブ王国のお金、ニュルタムみたいだそうだ。アルブ王国では硬貨でなくすべて紙幣なのだそうだ。


 そんな3人に俺は、


「こちらでは、紙幣と硬貨を混ぜて使っているんですよ。」


って言うとクレアさんが、


「硬貨と紙幣?混ぜる……」


と考え込むので、この後ソフィーも含め、こちらのお金について、時田さんに講義をしてもらった。


 こうして、無事、寝具や家具、それに衣類や下着を購入することができた。





◇◇◇◇◇







 荷物を搬入する前、俺のとうさんと、かあさんにソフィーが素早く自分の胸の前で手を組み、【思考転写】一般には”テレパス”と呼ばれる魔法の呪文を詠昌して、魔法を掛けておいた。


(とうさんと、かあさんには、何やら宗教儀式のように写ったかも知れないが)



 荷物の搬入も済み、うちの家のリビングで顔をそろえた。

俺、とうさん、かあさんとソフィー。


 ソフィーが改めてソファーから立ちあがり、とうさんと、かあさんに挨拶する。


 薄いブルーで花柄の浮き出した模様のワンピース。

 ちなみに、靴は服と同じ色のローファを履いていた。


 俺の両親の方を向き、スカートを両手で摘み、ちょこんとお辞儀をして、


「改めまして、これからお世話になります。

ンドワン国から参りました。わたくし、ソフィー=ラグナヴェールと申します。

こちらの風習は良く存じませんが、一生懸命勉強いたしますので、よろしくご教授下さいますようお願いいたします。」


と挨拶するソフィーに、とうさんも改まって背筋を伸ばし、


「ご丁寧な挨拶痛み入ります……っと!」


 ソファーに座ったまま、頭を下げたかと思うと、急に”ニパ”と笑うとうさん。


「まぁ、硬い挨拶はこれくらいにして、私はセイアの父親の大鷲健一おおわしけんいち

こっちに座ってるのが私の妻のじゅんだ。」


と言ってソフィーに、かあさんを紹介した。


 かあさんは、とうさんに紹介され、ぺこりと頭を下げ笑顔でソフィーに、


「まぁ、立ったままでもなんだから、ソフィーさん座って、お茶でもしながらお話

しましょうね。」


 そう言って、立っているソフィーを座れせると、代わりに自分が席を立ち、お茶

とお菓子を用意するため台所に向かった。




◇◇◇◇◇





 前もって俺は、かあさんにソフィーはコーヒーが苦手だから、紅茶。

 しかも、飲み方はロシアンティで、ってお願いしていたので目の前に紅茶が並ぶ。


「ジャムは、ブルーベリーと苺、しかないけど……大丈夫かしら?ソフィーさん」


とにこやかに聞く、かあさんにソフィーは、笑顔で


「はい、苺は大好きです♪」


と言うソフィーに、かあさんは、


「そっ、それは良かった♪」


と笑顔で言った。


 とうさんと、かあさんは、スプンに苺のジャムを取ると、そのまま紅茶に入れかき混ぜる。


 俺とソフィーは、苺のジャムを口に入れてから紅茶を一口飲んだのを見て、とうさんとかあさんは”ぎょ”っと目を見開いた。


そして、とうさんが、


「あっ、そーやって飲むものか……」


と言って来たので俺が、


「別に、決まりはないみたいだけど……」


と答えると、かあさんと目を合わせ、


「そーか、ならいいか」


と言いながらかあさんと笑った。


 そして、かあさんが、


「お口に合うか分からないけど、良かったらクッキーも食べてみて、私が焼いたの~」


と言い、ソフィーにクッキーを勧める。


 かあさんに、クッキーを進められたソフィーが、クッキーを手に取り一口パクリと食べて、


「お!おいし~い。ほっぺが落ちそうですぅ~」


と笑顔で言うソフィーに、かあさんが満面の笑みで、


「よかった♪」


って嬉しそうに答えた。


「ところで、ソフィーさんのお父さんは何をしている人なんだ。」


と、とうさんがソフィーに聞いて来た。


「はい、えーー王……」


とソフィーが言いかけて口ごもった。


「えっ!?王?」


と聞き直すとうさんに、俺が慌てて口を挟む。


「いや、大勢の人を雇って、アンティークの貴金属の化工や販売をしているんだよな!ソフィー。」


「ええ、そうです……アンテークです。例えばこのような指輪。」


と自分の指輪を見せとうさんに言うソフィー。


 ちなみに、ソフィーが着けている指輪は、”身代わりの指輪”よくゲームでもおなじみの即死状態の攻撃を一度だけ無効に出来るもの。コノタイプのアイテムは着けてる人の魔力を必要としないので、ミオンも使用できるし、ソフィーの膨大な魔力でアイテムが壊れることがないのだそうだ。


それを見て、とうさんが、


「ヘー、お金持ちなんだな~ソフィーさんのお父さん。」


と言うと、ソフィーが苦笑しつつ、


「それはどうでしょう~」


と言う。


「ご兄弟は?」


と、かあさんがソフィーに聞く。


「はい、6人兄弟です。……男2人に女4人。」


と答えるソフィーに、とうさんが、


「おお、6人とは……大家族だねぇ~」


と言う。


「一番上の兄は病気で亡くなりましたが……」


そう言うソフィーに、すまなさそうに、かあさんが、


「そう、それはお気の毒に……ごめんなさい変なこと聞いて」


と言う。


 少し場の空気が沈んだのを察したのか、いきなり、とうさんが立ちあがると、


「あっ、そーだ、ソフィーさんに見せたい物が!」


と言って隣の部屋にそそくさと向かうと、DVDのボックスを2つ持ってきて、ソフィーに聞いた。


「アルティメットマンと、ホッパーライダーどっちが見たい?」


と聞いて来た。


(やっぱり、そうなるか……)


と俺が苦笑してると、ソフィーが首を傾げ、


「D……b?」


とポツリと言うので、俺はソフィーの耳元で、


「ん……ソフィーは劇場でお芝居とか見たことある?」


と聞くと、ソフィーは小さく頷く。


「なら、そのお芝居をそのまま記録して……画面で観賞する物?……装置?!って感じかな」


と俺が続けて言うと、ソフィーは驚き、目を見開いて、


「えっ、そんな魔動機があるのですか~!!」


大声で言う。


それを聞いて、とうさんが不思議そうに、


「魔動機?っ……なんか、ファンタジー物語の人みたいなセリフだねぇ~ソフィーさんは……」


俺は、少々焦り、とうさんに言う。


「いや、ほら、ソフィーの家はアンティークの物が色々あって……」


 ハッキリ言って、めちゃくちゃな言い訳だと俺も思うが……とうさんは、早く見たいのか、俺の言葉を意に介せず、


「どっち見たい?ソフィーさん。」


とソフィーに聞いてくる。


ソフィーは少し考え、


「セイア様のお父様のお勧めでお願いします。」


と言うソフィーに、とうさんは、


「そう言われると、迷うけど……まぁ最初はアルティメットマンの方にしようか♪」


と笑顔で言う、とうさんにソフィーも笑顔で、


「はい♪」


と元気よく答える。


 ちなみに、『アルティメットマン』は、日本の特撮テレビ番組。

制作は特撮で有名な円山プロダクション。昭和41年ごろの作品。

ファンの間では、後続作品のヒーローと区別するために「初代」と頭につける場合

があるらしい。


アルティメットマン=ウ○トラマンです。

ホッパーライダー=仮○ライダーです。


明日の6月6日(月)以降平日のUPは朝8時から朝7時に変更します。

土日は今まで通り朝8時のUPとなります。

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