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32話 6万円!?

「あっそーだ、あのーおじさんとおばさんにお願いがあるんです~」


ミオンがうちの両親に、DVDに写っていた4人の女の子達が今度日本に留学する

際に、そのうちの1人”ソフィー”のホストファミリーになってほしいと頼んだの

であった。


(ナイス、ミオン。)


初め、かあさんは乗る気ではなかったが、それに引き換え、とうさんはノリノリ。


 結局、とうさんと、ミオンが2人がかりで、かあさんを説得した。




◇◇◇◇◇





 連休が明け、5月中旬の中間テストをなんとか終え、6月。

学校の制服が夏服に変わった頃。

 

 ちなみに、うちの制服は男子が所謂、学ランで女子がセーラー服。夏服は男子が

半袖のカッターシャツに女子は白地ベースの襟がスカイブルーの半袖に変わる。


 ムチャリーさんに話があるからと言われたので、ンドワン国大使館に向かった。


 すでに大使館の例の客間には、ゲキとミオンもいて……


(って……なんでミオン、お前はアニメセイラー戦士の格好をしてるんだ?)


と思いながらも、ムチャリーさんの話を聞くことに……


すでに、ゲキとミオンはムチャリーさんから話は聞いているようだが……


 ムチャリーさんの話によると、この度、ンドワン国からの留学生として、ソフィ

ーやソフィーの護衛のクレアさん、アイーシャさん、エドナさんが俺達の学校へと

やって来ることになったそうだ。


 ただ、本来アイーシャさんは、17歳で、クレアさんは18歳、エドナさんに至

っては51歳……って言ってもエルフ族では17歳と言うことなのだが、そこは、

皆俺達と同じ16歳で、ンドワ国の戸籍を作ったそうだ。


(戸籍ってそんなに簡単に作れるんだ……。)


 俺とソフィーは同じクラスになるらしい……

 ただ、クレアさん、アイーシャさん、エドナさんは俺と同じクラスには出来なかったらしい……


(そらそうでしょ、そんなに沢山一つのクラスに入れるのは、無茶と言うものです。)


 で、ゲキのクラスにクレアさんとエドナさんが入り、アイーシャさんは、ミオンとシノブのクラスになったそうだ。

……で、学校の手続きは終わったのだが、ソフィー達を受け入れるホストファミリーはすでに俺の家に決まっているものの、クレアさん、エドナさんのホストファミリーはゲキの家でってことに……。アイーシャさんはシノブの所に……ってここ?ってここだよな。


今から、ゲキの家にクレアさん、エドナさんをゲキが連れて行くそうだ。


(あのゲキのお婆さんが、すんなり外国人を受け入れるとは……)


って思っていると、そんな俺の心を読んだのか、


「ばあちゃんも、2人の剣筋を見れば納得してくれるはず。」


と俺に言って来た。


 俺は心をゲキに読まれて、少々驚いたが……


(……確かに2人はソフィーの護衛騎士だからな……)


そう思っていると、準備が出来たのかクレアさん、エドナさんの


2人が客間に入って来た。


「お待たせいたしました。」


クレアさんが言う。


 俺はその言葉に振り返り、2人の女性騎士を見ると……。

エドナさんの長耳はすでに、ニールさんの魔法で、普通の人間の耳に代わっていた

のだが……何と!2人はミオンと同じアニメセーラー戦士のコスチューム姿。


エドナさんは白地に緑……たぶんジュピター。


クレアさんは白地に青……たぶんマーキュリー。


呆気に取られてる俺をよそにゲキが2人に


「では、参ろうか!」


「「はい!」」


ゲキに言われ2人が元気よく返事をした。


「では、行ってきます。」


とゲキはムチャリーさんに言って2人を連れて出て行った。


(……)


俺はしばらく無言だったが……ミオンの方に向いて、


「おまっ!」


って言いかけたら、すかさず、ミオンが、


「だって~!戦士らしい服がいいって言うんだもん!」


と俺に言う。


「せっ、せ、戦士の格好って!……お前!……」


と一瞬怒りかけたが、”はぁ~”とため息をついて……諦めた。


(まぁ、ミオンのすることだし仕方ないか……2人には気の毒だけど。)





◇◇◇◇◇





 取りあえず、エドナさん、クレアさんのことはゲキに任せるとして、ソファーか

ら立ちあがって、帰ろうとしたら、時田さんが客間に入ってきて、


「大鷲様例の件で少々お話が……」


と言って来たので、俺は再びソファーに座り直す。


ムチャリーさんはそれを聞いて、


「それでは、私はこれで。」


と言って時田さんと入れ替わって部屋を出て行った。


 ミオンが俺の隣で、”なになに”って感じで微笑みながら身を乗り出す。

俺はそんなミオンの腕を引っ張って、再び席に座らせると、時田さんが


「白鳥様が居られても、かまいませんか?大鷲様。」


と聞いてくるので、俺は黙って頷くと、時田さんは、


「では。」


と言って俺の向かいの席に座りこう言った。


「先日、お預かりしていたゴブリンから出て来た金属の塊についてですが……」


時田さんの言葉に再び”なになに”って感じで微笑みながら身を乗り出しそうになる

ミオンの腕を引っ張って座らせたる俺。


「やはり、金でございました。」


と言う時田さんに、目を輝かせて再び身を乗りだそうとするミオンの腕を掴んで、


「そうですか」


と俺が答えると、


「正確には、1つ目のくすんだ黄金色の金属が金で、2つのくすんだ銀色っぽいのが銀で、黒っぽい金属が1つ。……これが鉄でございました。」


「なるほど……」


と俺が時田さんに言うとミオンが、


「金!?銀!!」


と興奮気味に言う。


「鉄の方は……殆ど価値がございませんが、銀の方はそれなりの値段で売れるそうです。ただ……」


「ただ?」


と俺が聞き返すと、


「金の方は9Kの純度しかありませんので、日本では流通しません……が!」


「「が?」」


俺とミオンの声がハモる。


「イギリスではアンティークのアクセサリーなどで使われるため需要があるそうです。」


と時田さんの言葉に俺とミオンが息を飲む。


「少々手数料は高く附きましたが……」


と言いながら電卓をたたく。


「金9Kが500gで……」


と金額を叩く。


「それに銀が同じく500gが2つで……」


更に電卓を叩く。


「そして手数料の2割を引いて……」


時田さんの叩いた電卓の数字を恐る恐るみる俺とミオン。


『¥579,200‐』


「「えっえーーーーーー」」


再びミオンと俺がハモって言う。


「で、これが換金したお金です。お確かめ下さい。」


と俺とミオンの前に封筒に入った現金を置いた。


何故かそのお金を俺ではなくミオンが数える。


「55・56・57」


と一万円札の束を置き、


「7・8・9千円と100円玉が2つで200円」


金額を確認したミオンが


「確かに」


とそのまま現金を封筒に入れ、懐に入れようとして……


「おい!」


と俺がミオンに怒ると、


「へへ、ばれたか……テヘペロ」


と舌を出した。


俺はミオンから封筒を奪って、中から1万円札を1枚抜いて、


「後は時田さんの方で、預かって頂けませんか?」


と聞くと、


「はい、かまいませんが……」


と時田さんが封筒を受け取ろうとした時、封筒を持つ俺の手をミオンが掴んで、


「ねぇ、セイアその1万円何に使うの?」


と聞いてくるので、俺は、


「いや、こないだ壊れたタブレットを修理に出しても買い直しても同じくらいかかるから、買い直そうかな?って思って……」


と言うとミオンは急に俺に甘えるような仕草で、


「セイア~お・ね・が・い……があるの♪」


俺は体をしならせ俺にそう言ってくるミオンに”ぞー”っとして、


「なんだよ、ひょっとしてほしい物がある!とか言うんじゃないだろうな」


とミオンを睨むと。ミオンは満面の笑みで俺に、


「ピンポン♪、流石セイア様です~♪」


”はぁ~”っとため息をついて、


「お前な~……このお金はメンバーみんなで使おうと思ってるんだけど?」


と俺が呆れ気味に言うとミオンはニコニコって笑って自分を指さし、


「わ・た・し・もメンバーだよ~♪」


と甘えたような声で言う。


そして、


「だって、セイアも自分のタブレットにお金使うじゃん~」


と俺の肩を叩きながら言うミオン。俺は、そんなミオンをジト目で見る。


「おまえ、どうせ、またコスプレの衣装がほしいとか言うんじゃないだろうな。」


と言うと、ミオンはニッコリ笑って、


「ピンポン♪」


と言いながら、ミオンは自分のスマホを取り出し、操作するとスマホの画面を俺に見せた。ミオンが差し出すスマホの画面をいやいや見る俺、そこに写っているのは、アニメ”イブンゲリオン”のヒロインが着る戦闘服が2着。


「おいおい2着も買うのかよ。」


と呆れて言う俺に、ミオンは頭を横に振り、


「ううん、1着でいいのレイアの方は持ってるから、私のほしいのはナスカの方なのよ。」


と赤い戦闘服を指さすミオン。


俺は、画面の戦闘服の値段を見て”ギョッ”とした。


「ろっ、ろ……¥64,800-」


驚く俺にミオンが、


「いや、全部出してくれ、っとは言わない……足らない分だけでいいのよ。」


と言うので、


「足らないって……お前、今いくら持ってるの?」


とミオンに聞くと、ミオンはニコニコしながら、俺の耳元でこそこそって言った。


「¥4,800-」


俺はそれを聞いて思わず叫ぶ。


「おっーーー!!、お前、¥60,000ーもたりねぇ~のかよ~!!!!」


と、俺の声がンドワン国大使館の建物中に響き渡るのであった。


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