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異世界いったらヒーローごっこ ~夢勇者GUY BRAVE~  作者: グリンピースの豆ごはん
第1章 突然の異世界 そして 突然のヒーロー!?
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28話 作戦参謀……ミオン!?

 俺は急にミオンに泣かれ、少したじろいでいると。


「お前はいつもそうやって、人のために何かするんだよ。それでいて、人に恩を売ったりもしない。」


 ゲキの言葉を聞きながら、俺は泣いているミオンをなだめている。


「そんなお前だから、俺やミオンはお前のことが好きなんだよセイア!だから、俺達にもお前から受けた恩を少しでも返させてくれ。」


と頭を下げるゲキ。


「しかし、命をなくすかも知れないのに、お前やミオンを巻き込みたくない。」


と俺ゲキに言い返すと。


「なぁ~に、この下峠激。撃心流の名にかけてセイアお前も……いや、みんな俺が守ってみせる!だから頼むセイア!」


と深々と再び頭を下げるゲキ。そこにシノブも続けて俺に言ってきた。


「Mr.シモトウゲだけではない!このシノブ・メイトリックッスも傭兵であった僕のDaddyの名にかけてみんなを守るよ!」


と笑顔でシノブも俺に言った。


 更に、時田さんが、


「おぼっちゃまの言う通りです。わたくし、この時田も微力ながら皆様をお守りいたします。」


と時田さんまで頭を下げてきた。


「まぁ、正直一人では……って思ってたんだけどな。」


と素直にみんなに言うと、さっきまで泣いていたミオンが急に笑顔になり、


「やった~♪♪」


と飛び上がって喜んだと思うと、


「これで、この世界を冒険できるぅ~♪」


とミオンが、はしゃぎだした。


 それを見た俺は、”あははぁ~”と顔を引きつりながら、笑うしかない

俺であった。




◇◇◇◇◇





 翌朝、朝食を済ませ俺達は一旦俺達の世界に帰る用意をする。


 あの後、ニールさんとの話し合いで、オブリヴィオン(魔王軍)の動き次第ではあるが、当面こちらの戦力を整えることになった。


 今、オブリヴィオン(魔王軍)が居座っている場所はこの世界でもかなり危険なダンジョンがある地域。アルブ王国とカカ帝国の間にある【永久凍土の監獄】イーシャイナ王国とデスロ同盟国(ポリス連合)との間にある【雷風の丘】、デンスアーラ共和国(獣、鳥系)とウクラハンバ王国(ドワーフ系)との間にある【炎毒の谷】、そして ベラトーラ首長国 (爬虫類系)東側とアトラール砂漠に挟まれた地域の【冥界のオベリスク】。いずれのダンジョンも一国の騎士団と互角以上の戦闘力を誇るいわば、ドラゴン級の魔物が生息しているらしいので、万が一に備えて、こちらの戦力アップ……主に俺の戦力を上げなければならない。


それに移動手段を含めてのバックアップ体制も整えたい。……と言うことで俺達は一旦元の世界へと帰ることになった。


 ソフィーについては、GUY BRAVEの重要なファクター……主にエネルギーとして……なので、ソフィーはこちらに連れて行くことになった。 また、ソフィー護衛のクレアさん、エドナさん、アイーシャもこちらの世界に同行するらしい。


 アイーシャさんの猫耳、猫鼻、尻尾に関しては……”偽装”の魔法で対処出来るし、当面シノブの関係であるンドワン国大使館内で生活してもらうので、その辺も問題ないらしい。


 今、ニールさんと時田さんはアルブ王国の王城に出向いている。


 王城では各国大使を集め、今後のオブリヴィオン(魔王軍)の対策を話しあっている。当然、その席にはジョセフさんも出席しているのだけれど、主にニールさんと時田さんは、俺達が協力するにあたり、経費の負担をこの世界の各国がどれだけ負担してもらえるか交渉するために出向いている。




◇◇◇◇◇





 俺は、帰る準備を整え、イーシャイナ王国大使館の館の裏手にある庭に出て、ゲキがクレアさん、エドナさん、アイーシャさんら相手に模擬戦をしているのを見ているところだ。


 ロングソードを右手に左には丸い盾を持ち、肘から肩にかけての部分と、太ももの部分以外は、金属製の防具で身を固めた出で立ちのクレアさん。右手のロングソードでゲキに切りつけるかと思ったら……そうではなく左手の盾をゲキに投げつけた。


「スピンシールド!」


 クレアさんがそう叫びながらシールドをゲキの方に放つ。クレアさんが放ったシールドは物凄く回転しながらゲキに向かうが、それをゲキは体を右にスーと傾け避ける。


 そこにエドナさんが弓で矢を放つ。


「ライトニングアロー!」


エドナさんが放った矢は稲妻を帯びてゲキに迫って来る。


(早い!)


 エドナさんの放った矢は、矢とは思えぬ速さでゲキに迫る。恐らく、ライフルから放たれる弾丸よりは遅いが、少なくとも拳銃から放たれる弾丸よりは、早いような気がする。


 後で、エドナさんに聞いたら、この技は弓に番えた矢に”雷”の魔法を流し、放つ寸前に”風”魔法で矢の速度を上げているらしい。


 その電気を帯びて、すさまじく迫る矢にゲキは素早く右手から気を放ち、


「撃心流奥義の1つ 真空弾!」


と叫んだかと思うと、ゲキが放った気の塊は、エドナさんが放った電気を帯びた矢を一瞬で粉々にした。


 それを見たエドナさんが目を見開いて”ぎょ”としたが……次の瞬間、先ほどゲキが避けたはずのクレアさんの丸い盾が、物凄い勢いで回転しながら、再びゲキにの方に向かって来た。


(戻ってきた……いや軌道を変えたのかな?)


と俺は心で呟いた。


 これも、後でクレアさんに聞いたら丸いラウンドシールドに風魔法で回転を与え、しかも、その軌道を同じく風魔法を使って自由に変えれると言うことだ。


 迫りくる盾に対し、ゲキは背中の大きな刀を素早く引き抜き、長い柄を両手で持って刀を物凄い勢いで回転させると、


「撃心流奥義の1つ 旋風返し!」


と叫ぶや否や、物凄く回転する刀から小型の竜巻が起こり、迫りくるクレアさんの盾を弾き返した。それを見てクレアさんも目をむく。


 そして徐に地面に刀をさし、後ろを振り向くと同時に左手首に仕込んである小柄を抜くと、自分の影に向けて小柄を放った。するとゲキの影から物凄い勢いでアイーシャさんが左肩を押さえて飛び出してきた。


「ニャ~!」


 見ると、痛みのために地面に持っていたタガーを落とし、左肩にはゲキがさっき投げた小柄が刺さっている。


「そこまで!!」


と言って、慌てて俺がゲキとアイーシャさんの間に飛び込み、両者に手を広げて終了の合図をする。ゲキは3人に一礼してから”ふぅ”と大きく息を吐いた。そして、アイーシャさんに近寄り再び頭を下げて、


「大丈夫か!」


と声を掛けならがらアイーシャさんに駆け寄ると、


アイーシャさんは、


「大丈夫ですニャ、これくらい直ぐに直せますニャ。」


と言いながら肩に刺さった小柄を抜き、ゲキに返すと、なにやら呪文らしきものを唱えだした。そして、


「キュア!」


と叫ぶ。


 すると、アイシャーさんの肩の傷口が見る見る治って行く。


 それを間近で見ていたゲキは目を見開き、


「すごいな。」


と呟く。


 そこにクレアさん、エドナさんも駆け寄って来る。


「初めて見た技をこうも簡単に退けられるとは……。」


とクレアさんが呆れ顔でゲキに言う。


 しかし、クレアさんの言葉にゲキは唯、首を横に振り、


「いや……俺は、まだまだだ。」


そう呟くゲキにエドナさんが、


「えっ、ゲキさんが、まだまだなんだったら私達はもっと駄目ですねぇ~」


と苦笑しながらゲキに言う。


「いや……そう言うつもりで……」


と俯くゲキ。


「ゲキは、自分のことを言ってるんですよ。決してエドナさん達の事を言ってるのではないんです。」


と俺がエドナさんにゲキに代わり、言うと……


「それは、私達も分かってますよ……セイアさん」


と3人のリーダーであるクレアさんが笑顔で答える。


 そこに、笑顔でアイーシャさんが、


「私にょ、”シャドウ”の魔術を見破ったにょは、ゲキにゃんが初めてですニャ~すごいですニャ~」


とゲキに声をかける。


「いや、ハッキリ見破ったわけではない……今はまだ、何となく違和感を感じただけだから……」


とアイーシャさんに答えるゲキ。そしてこう続ける。


「まだ、気の使い方が荒いと言うか、無駄が多いんだ。もっと効率良く使わなければ、沢山の魔物を相手にした時には息切れしてしまう……」


とうな垂れて言うゲキに、


「まぁ、お前の気持ちは分かる……が正直、お前一人でどうこう出来る問題ではないし、何より俺がもっと強くならなければいけないんだよな~」


と俺がゲキに言うと、


「ああ、そうだな……俺一人で焦っても仕方ないな。」


と顔を上げ俺に言うゲキ。


「そうですよ、ゲキさん。この世界で魔物と戦う時は、集団で連携をとるって言うのが定石ですからね。」


と優しくゲキに言うエドナさん。


 そこに……


「そーよ~、ゲキ。パーティーやレイドでの戦闘は”連携”が命なの!」


いつの間にか俺達の前に現れたミオンが、胸をはり腰に手を当てて言う。


 俺は振り返り、ミオンを見て、


「お前の言ってるのはゲームの世界の話だろう~」


呆れ顔で言い返すと、悪びれることもなくミオンは、


「そーよ……でもこの世界は魔法があってモンスターが居てダンジョンがあって……って同じじゃないの?」


さも当たり前のように言うミオンに、


「「同じじゃない!!」」


と、俺とゲキが声をそろえて言う。


「ゲームはリセットしたりセーブしたり出来るし、何より死んでも復活出来るが、この世界ではないんだぞ!」


 強めにミオンに俺が言うと、ミオンは首をすくめて、そそくさと立ち去って行った。


 ”クス”と笑った後にクレアさんが言う。


「ミオンさんは余裕が御有りですねぇ~」


「いえいえ、あいつは単にお気楽なだけなんですよ。」


 そう俺が言うとみんな苦笑まじりで笑った。


「でも、ああ見えて作戦の立案とか戦闘指揮させると適任なんですよねぇ~」


と俺が言うとゲキが、


「えっ、本当か?あのミオンが指揮に向いているって?」


と驚き聞いてくるので、ゲキにこう言い返した。


「うん、そーなんだ……ただ、あくまでもゲームの話だけどねぇ。」


と言いながら舌をだして、”テヘペロ”の顔すると、それを見たゲキが”ふぅっ”って大きくため息をついた。


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