27話 えっ!ダンジョンあるの?
(この世界って国の数8つしかないのか……少なすぎるよな~)
ニールさんの説明に俺は思っていると……
「なんか国の数がすごく少ないねぇ……この世界。」
地図をマジマジ見て、ニールさんに聞くミオン。
「そうですね、昔は数百の国があったと聞いていますが……人間同士の戦争や、魔王との戦争で多くの人々が死に……国が無くなりました。それだけでなく、ダンジョンが出来て魔物が住み付くようになり、住めなくなった所もあります。」
ニールさんの説明に、
「「えっ!ダンジョン!!」」
驚きと嬉しさが混じった声でミオンとシノブがハモって言う。
「いやいや、ゲームの世界と同じようなダンジョンとは限らないだろう、この世界のダンジョンって……」
俺が苦笑しながらミオンとシノブに言うと……
「ねぇ、ニールさんそのダンジョンには、モンスターが居たり、宝物があったりしない~」
嬉しそうにニールさんに聞くミオン。
(こいつ、俺の話聞ーてねぇーのか)
俺が心に思っていると、ニールさんから意外な答えが……
「ええ、モンスター……?魔物もいますし、当然、宝物もありますよ。」
「えっ!……」
俺が絶句した傍らで、
「「やった!!」」と手をたたいて喜ぶミオンとシノブ。
(あっ……あるんだダンジョン……ゲーム見たいなやつ)
と顔を引きつらせ思っていると、
「えぇ、こほん」
時田さんが咳払いし、
「少々本題からそれたようなので、お話を戻していただけますか?」
ニールさんに言う時田さん。
「あっ……はい」
ニールさんは時田さんに返事をしてから、
「今回、オブリヴィオン……魔王軍は、当初各国の国境線まで攻め入り、戦闘を繰り返していましたが、現在彼らは一旦各国の国境線から軍を一旦引き、北ドワナ大陸の東側、カカ帝国とアルブ王国の間の地域、イーシャイナ王国とデスロ同盟国の間の平原、デンスアーラ共和国とウクラハンバ王国の間の地域に、ベラトーラ首長国東側とアトラール砂漠に挟まれた地域に一旦軍を引き、そこに陣取っているのですが……」
と言いかけたところで、
「それが何か?」
時田さんがニールさんに問いかけた。
「はい、その彼らが現在陣取ってる場所って言いますのが……すべてダンジョンのある所なのです。」
「「「「「ダンジョン!!」」」」」
ニールさんの言葉に、俺、ミオン、シノブ、ゲキ、に、時田さんまでが、声を上げた。
「はい、この世界には我々が知る限りでは、20ものダンジョンがあるのですが、魔王軍が今、居座っている4ケ所は、この世界のダンジョンで最も危険とされ、探索を行ったすべての冒険者(Treasure Hunter)のパーテーが帰還しなかった為、各国と冒険者(Treasure Hunter)ギルドとの話し合いにより、封印されたダンジョンなのです。」
ニールさんの話を聞きながら俺は、
(なんだか、この世界のダンジョンといい、冒険者といい……ホント、ゲームの設定に似てるよな……)
なんて考えていた。
ニールさんは更に話を続ける。
「もし、オブリヴィオン……魔王軍がその封印を解きダンジョン内の魔物を外に出したら……」
そこまでニールさんが言いかけた時、不意に横からミオンが言った。
「でも、普通ダンジョン内のモンスターって、ダンジョンから出ないでしょ。」
と言うので俺がそれに対して、
「お前が言ってるのはゲームの設定だろう?ここの世界のダンジョンが……」
言いかけた時ニールさんが、
「いえ、ミオン殿の言うとおり、通常であればダンジョンから魔物が出ることはありません。」
と俺の言葉を遮った。
「なら!」
ミオンがニールさんに言うと、ニールさんはミオンに頷き、
「はい、しかし、魔王軍が使役しているモンスターは殆どが、本来ダンジョンにしか居ない魔物なのです。」
「???どう言うことなのだMr.ラーキン」
ニールさんの答えに疑問を投げかけるシノブ。
「はい、シノブ殿の疑問はごもっともです。セイア殿が回収した魔物の頭の中にあった魔動機……装置ですが、時田殿の指摘通り、あれを使って魔物を操っているのでしょう。」
「なる……ほど。」
自分の顎を摩りながら言うシノブ。
「っていうことは、オブリヴィオン達はダンジョンの封印を解いて、そこのモンスターを使役するつもりなのかしら?」
ニールさんに聞くミオン。
「はい、今までのことから考えても、その可能性は大きいかと……」
ミオンに頷き言うニールさん。
「その4つのダンジョンを封印するくらいだから、よっぽど危険なモンスターがいるってことですか……ニールさん?」
俺はニールさんに疑問を投げかけると、
「その通りです、例えば、ドラゴンやグリフィンゾンビやスケルトンなどがおります。特にドラゴンやグリフィンなどは1国の騎士団が総出で戦っても勝てるかどうか……」
とニールさんが俺に言う。
「じゃ、そのダンジョンの封印が、オブリヴィオン達に解かれる前に、私達で奴らを蹴散らしてしまえば、いいってことよねぇ?ニールさん。」
ミオンが唐突に無茶苦茶なことを口走るのを聞いいて俺は、
「おいおい、いくらなんでもそれは無茶苦茶だろう!」
口を挟む。
「なんで?、こっちにはニールさんやゲキにシノブに時田さん……それにGUY BRAVEであるセイアがいれば簡単じゃない~?」
あっけらからんと言うミオンに俺は、
「あのな~!前回の戦闘でわからなかったのか?デロベ将軍が連れてきたダイヤウルフ32体にトロール3体倒すのに、みんなで協力してやっと倒せたんだぞ!」
少し怒り気味に俺がミオンに言うと、
「だって……」
俯きながら小声で言うミオン。
「それにだ!」
とミオンの肩を両手で掴み、諭すように俺は、
「今回、みんなが助けに来てくれて感謝してる。感謝してるが……ここからは俺の問題だ。ミオンもそうだが……」
俺はシノブやゲキの方に顔を向け、
「ここからは、俺だけでいい。お前らは向こうの世界に帰れ!……これ以上お前らが命の危険を犯す必要はない!」
と俺がみんなに言うと、ずーと黙っていたゲキが俺に向かってこう言った。
「それは、違う!それは違うぞセイア!」
「?……違うって……ゲキどう言うことだ?」
俺がゲキに聞き返すと、
「確かに俺は友として、お前を助けに来た。」
言うゲキの言葉に頷くミオンとシノブ。
「しかしだ!、俺はそれだけではない。俺の家の武道の流派。激心流は戦国の世に生まれた流派……つまり戦いのための流派だ。 しかし、今の平和な日本では無用の流派となってしまっている。俺は試してみたいんだよ。先祖が見出したこの流派の真の強さを!確かに、激心流は戦いのための流派とは言え、対人戦の流派ということも分かっている……分かってはいるが、魔物相手にこの激心流がどこまで通用するか試したい!試させてくれ頼むセイア!」
普段無口なゲキが、捲し立てながら俺に言い、そして頭を下げてきた。
それを聞いていた、シノブも俺にこう言う。
「Mr.オオワシ!僕もだよ。嘗て傭兵であった僕のDaddyのように強くなりたいんだ……それに、なってたって、この世界は最高じゃないか~♪魔法があるし……何より僕たちが考えたGUY BRAVEが実際に存在するのだよ。楽しいじゃないか、むしろFantastic!とは思わないかい?」
とこれまた饒舌に俺に語るシノブ。
「そうよ、セイア。こんなに楽し世界から帰れってぇ~ひどいじゃないの!」
ミオンまで調子に乗って俺に言ってくる。
「お前らな~……遊びじゃないんだよ!命掛けなんだぜ。」
と呆れてみんなに言う俺に、
「じゃ、セイアはどうなのよ!いくらソフィーが可愛いからって言って、自分の命を掛けるのは良いってことなの?……セイア!」
少し怒ったように言うミオン。
「それは……困ってる人をほっとけないっていうか……」
怒るミオンにタジタジしながら俺が言うと、
「ホント、あんたはいつもそれよ!お人よしと言うかなんというか……あの時、私を助けたのだって……」
口ごもりながら言うミオン。
「助けた……?俺がミオンを……はて?」
ミオンに言う俺に、
「もう!ホントセイアって言う人わぁぁぁぁぁ~!!!」
と手を振り上げて俺を殴ろうとするミオンの腕を掴んでゲキが言う。
「セイア!ミオンが言ってるのは、小学校3年の時、不良中学生5人に絡まれたミオンをお前がボロボロになりながらも守った時のことを言いたいんだよ!」
ゲキが俺に言った。
「そーいや、そんなことあったかな?……」
と笑いながら言う俺にゲキが、
「嘘つけ!そのおかげでお前は小さい時から通っていた空手の道場破門されただろう?……」
問いかけるゲキに、
「ああ、まあ、ちーとやりすぎたからな……」
と言うとそれを聞いたシノブが、
「やりすぎた?……」
と聞くが俺がそれには答えないでいると……
「相手の5人の不良は全治3ヶ月!」
俺に代わりにゲキが、シノブに答える。
「OH!それはすごいな……5人ともかい?」
シノブの質問に再びゲキが、俺の代わりに答える。
「ああ、そのおかげで、セイアは空手を喧嘩に使ったってことで道場を破門になったんだ。」
「でも、小学生相手に中学生5人で襲ったのなら、正当防衛って言うか相手が悪いんじゃないのかい?」
シノブの疑問にゲキが、
「確かにそうなんだがな、その時の師範は、いかなる理由があっても喧嘩に空手を使ったのはセイアが悪いと……」
そこまでゲキが言いかけた時、俺はゲキを手で制して、
「もう、昔の話だ……それに元々空手は父さんがヒーローになるには空手を習っておけって言って、無理やり習わされてたわけだし……」
と言うとミオンが俺に、
「よくな~ぁい!セイアは悪くないぁ~い!」
横からミオンが泣きながら言ってくる。
(いやいや……泣くなよミオン、俺が女の涙に弱いの知ってるだろう……)
と思い泣いているミオンにタジタジの俺であった。




