261話 アロガン・ゲキ!決死の戦い
『ファイヤーブレード』
クレアさんの巨神器が、剣の刃、全体を炎で包み、高温の熱で、
ギル(暗黒の龍)の右腕を切り裂く。
"シュッパ”
”ギャオ~ン”
続いて間髪入れず、ゲキが、
『奥義!烈火電光兜割』
電龍の放電のエネルギーを斬魔刀に集めギル(暗黒の龍)の背中を切りつける。
\\\ズババババァ~ン!///
”ギャオ~ン”
『ハァ、ハァ、ハァ』
しかし、大技連発で疲労困憊のゲキ。
斬魔刀を杖代わりに、立つのがやっとといったところ。
『ゲキっち大丈夫~』
心配した電龍が、ゲキに声をかける。
『ああ……大丈夫だ』
しかし、どう見ても大丈夫そうには見えない。
”ギャオ~ン”
体の再生を終えたギル(暗黒の龍)が、よろけるゲキを踏みつけようとする。
『ゲキさん!危ない』
クレアさんの巨神器が、ゲキを踏みつけようとするギル(暗黒の龍)
の足を盾で防ごうとするが……。
”バッキーン”
『キャァ~!!』
弾き飛ばされてしまう。
『クレア!』
ゲキは思わず叫ぶ。
『チャクラム!』
"シュッパ~ン”
クレアさんの巨神器を吹き飛ばし、ゲキに迫るギル(暗黒の龍)の
右足を切り飛ばす光輪。
『ゲキ殿!無理をするな、引け』
そう声をかけるアロガンに、
『ハァ、ハァ、俺は引かん!セイアが戻るまでは!』
と言い返すゲキ。
『しかし……もう到底戦える体では……』
とアロガンが言いかけると、
『貴様こそ、残り時間がもうないのでは……』
とゲキに言い返され、心配そうな顔から一転、きりりとした顔で一言、
『まだ、30秒ある!』
と言い切った。
そして、お互い目を一瞬目を合わせたかと思うと、
アロガンは上空高く飛び、ゲキは電龍を呼び寄せ同じく空へと上がった。
◇
アロガンは、自身の最後の大技を放つ。
『ふんっ!』
と一言いうと、アロガンの全身が光に包まれ……。
≪必殺!ヘッティング・キラー≫
自身の翼を折りたたみ、ギル(暗黒の龍)の喉元目掛けダイブする。
アロガンは、光の玉と成り、体当たりした。
\\\ドッカーン///
ギル(暗黒の龍)は大爆発を起こし、大きなきのこ雲が空に立ち昇る。
やがて、雲が晴れると、そこには首から上がないギル(暗黒の龍)の
姿がある。
それを見て、すぐさまゲキが動く。
ゲキは、電龍の上で、斬魔刀に気を流し、斬魔刀の刀身を5mに伸ばす。
『翁!、ビームを俺に撃ってくれ』
ゲキの言葉に、”ギラン”のソンブル翁が、
『相分かった』
と、ゲキに告げると”ギラン”が方向を変え、上部と下部にある、陽電子ビーム
砲が放たれたれる。
”ビー”
≪かっー!≫
ビームがゲキに迫る中、ゲキは目を見開き、気を体から解き放つと、ゲキに向
かったビームが、ゲキの持つ斬魔刀の刀身にずれ当たる。
ビームが当たった斬魔刀の刀身がビームのエネルギーを吸い、赤く光りだし、
そして、長さ10mまで伸びた。
と同時にゲキが電龍の頭からから飛び降り、斬魔刀を振りかざしなら叫ぶ。
≪奥義!斬魔光牙兜割!≫
\\\ズババババァ~ン!///
ギル(暗黒の龍)の頭部なしの体が真っ二つに切り裂かれるが……。
その傍らに、地上で、刀を振り下ろしたまま固まっているゲキ。
そして、少し離れた場所には、変身が解けて、地面に倒れるアロガンの姿が
あった。
◇
『やったか!』
轟雷号の艦長席でジェームズさんが、叫ぶ。
『いや……』
と、”ギラン”ブリッヂでソンブル翁がつぶやいた。
ソンブル翁がつぶやいた通り、ギル(暗黒の龍)の体は瞬く間に再生する。
”ギャオ~ン”
『聖霊力ビィ―――ム!!』
”ビィ―――”
”ズボズボ”
俺の放った聖霊力ビィ―ムが、奴の喉笛を捕らえ貫通した。
”ピッ"
≪Enemy≫
≪名称 ギル(暗黒の龍) ≫
≪体長 40m≫
≪体重 50,000t≫
≪戦闘力 899,000 /900,000≫
≪防御力 799,999/800,000≫
≪スピード 60,000 ≫
≪MP 898、113/900,000≫
※1分ごとに20%MP回復
≪特技≫
・頭の角から、黒稲妻
・目から、ストップ光線(相手の時間を止める)
・口から、ダーク煙幕を出し、ダークフィールドを派生させる。
(ダークフィールドに閉じ込められると、光や音を
遮断し、相手の目や耳の感覚を無くさせる)
・手の爪、 爪を相手に突き立て、魔力を奪う。
(うん……アロガンとゲキで少しは魔力を削れたみたいだ)
脳内に浮かぶギル(暗黒の龍)のデーターを見て、そう思
う俺。
”ビィ―――”
そんな俺に向け、目から、ストップ光線を放つギル(暗黒の龍)。
とっさに、右掌からはアンチマジックシールドを発生させ
ギル(暗黒の龍)攻撃を無効化する。
『きかねーよ』
とは言ったものの、こちらも攻めあぐねる。
≪今のうちよ、クレア、電龍、ゲキとアロガンを~≫
そんな時、ソアラねぇ~ちゃんが念話で、クレアさんと電龍に
指示を出す。
『あいよ~』
『はい!』
ねぇ~ちゃんの指示に、そう返事をした電龍とクレアさん。
クレアさんの巨神器は、ボロボロのシールドを捨て、
巨神器の右手で大事そうにゲキを包み込み、そっと
左手に乗せ、背中のバーニアをふかし、”ギラン”までジャンプした。
電龍も倒れている、アロガンをそーと咥え、クレアさんと同様に
”ギラン”へと向かった。
2人の回収を見届けたソアラねぇ~ちゃんが、俺に言う。
≪もう、あれを使うしかないわ≫
『ん?あれって……』
聞き返す俺に、さらにねぇ~ちゃんは言う。
≪あれは、あれよ≫
『だ・か・ら……』
≪ムフフッw≫
意味ありげな笑みを浮かべる。
質問をする俺を無視して、轟雷号のジェームズさんに言う。
≪ジェームズ~!私が合図したら、あれをぶっ放してねw≫
『ん!?あれ……ああ、対消滅弾……か!』
突然、ソアラねぇ~ちゃんに言われ、ピンと来なかったようだが、
すぐさまねぇ~ちゃんの言うあれを察して、
『Missソアラ了解した』
と言うと同時に、
『艦首対消滅弾発射用意!』
と命令を下すのだった。
『対消滅弾で、奴を倒せるの?』
と再び問いかける俺に、
≪……だけじゃ倒せないわよw≫
と平然と言うねぇ~ちゃんに、
『だったら……』
≪うんw……聖霊玉を使うのよ≫
≪聖霊玉で、奴を包み込んで、そこに
あの大型爆弾をぶち込む……ってわけよw≫
『ん!?ギガ・ブレイブの武器にはそんなのないよ?』
とねぇ~ちゃんの返答に突っ込むと、
≪あるわけないでしょ≫
ぶっきらぼうに答える。
『ん!?あるわけない……って』
と俺が聞き直すと、
≪聖霊玉は、私……聖霊が全エネルギーを開放して作る
玉なんだから、ギガ・ブレイブにできるわけないでしょ≫
と少し突き放したようにねぇ~ちゃんが答える。
『……それって、ねぇ~ちゃんの全エネルギーを使う……
ってこと?』
≪うんwそうよ≫
俺は、姉の返答に一瞬考えたが、
『……!?それじゃぁ~ねーちゃん消えてなくなる!って、
ことじゃん』
目を見開き、ねぇ~ちゃんに大声で言い返し、
『ダメ、だめ、駄目!!!』
と猛烈に抗議するが、
≪……って言うことで、セイアお疲れ様≫
と淡々とした口調で、ソアラねぇ~ちゃんが、俺に言った
かと思うと、次の瞬間、俺は大きなシャボン玉のような
透明の膜に覆われ、ギガ・ブレイブの外にいた。
『!?』
俺は状況が呑み込めず、膜の内側を叩きながら、
『ねぇ~ちゃん!駄目だ!ダメだってば!』
『元にもどしてよねぇ~ちゃん!!』
ひたすら、喚き散らすのだった。




